永井するみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すぐれた文章にある一定のテンポがあるのは当然なのかもしれないが、この小説には、常に落ちるリズムが付きまとう。
スマートな作家さんなのだろう。
どの程度彼女自身を忍ばせているのかはわからないが、彼女の描き出す登場人物は常にドライで強く凛々しく、そうして美しい。
それぞれの女性の姿形の描写は少ないはずなのに、なぜか一定のテンポが、彼女たちが同じ匂いの女性であると告げている。
不倫、という現象をクールに切り出し、恐ろしい程にドライに強く、美しく仕上げたこの作品は、まるで精緻な砂糖菓子のようだ。
美しく、脆く、口に運んで満たされても、決してそれだけではカラダを作ることのできない、虚構の食事。
さくさくさく、甘い毒が体を蝕む。
どんなに満たされていると満足したふりをしても、それは単なる虚構。
どんな修羅場の不倫小説よりもこの短編集には、不倫の毒がつまっている。背筋がぞっとする、ひそやかで華やかな、毒々しい空洞が。