あきのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレシュガーアップルシリーズ第四巻。
ついに念願の銀砂糖師の称号を手に入れたアン。しかしその受章の影には、シャルに恋するブリジットに自ら羽を渡し、自由を失ったシャルの犠牲があった。
シャルの羽を取り戻すべく、アンはブリジットの居る砂糖菓子職人界の大三派閥のひとつとされるペイジ工房へ乗り込んでいく。
しかし、そこには病床の長とたった五人の職人がいるだけの、とても歴史ある工房とは思えない姿が広がっていた。
工房の長の一人娘、ブリジットからシャルの羽を返してもらうために、ペイジ工房で働くことになるアン。
没落寸前の工房を、銀砂糖師になりたてのアンは立ち直すことができるのか…?
前回の終わり方があんまりだっただけに、読み終わってすぐに四巻を開きました。
CMを挟んで再開したみたいに違和感なくストーリーが続き、すぐにまたハラハラドキドキの連続。
ペイジ工房の個性豊かな職人たちや、三派閥のしがらみ、アンとシャルの関係や、ブリジットの恋心など、なだれ込んでくることがもう盛りだくさんで、本を閉じてもこの世界観から抜け出せない。
どの巻にも増して夢中で読みました。誰もかれもの心情がほんのりと伝わってくるだけに、切なかった…。
特にアンとブリジットの譲れない恋心とか、エリオットの本心とか。
一部の誤植にはちょっと吹き出しましたが…(笑)
いろいろとぶつかりながらも最後にはペイジ工房の職人として、一丸となって砂糖菓子を作り上げていく皆の姿に、今回の登場人物全員が好きになりました。
教会に並んだ砂糖菓子、きれいなんだろうなぁ…。
しかし、最後の最後でそう簡単にハッピーエンドといかないのがシュガーアップル。
これは続きが気になりますね…五巻発売は八月ということで。この夏は、アンの居ない夏になってしまうのか(´;ω;)猛暑を乗り切る糧が…。
それでも待ち続けます。アンが作る砂糖菓子が、皆に幸せを与えてくれることを願って。 -
Posted by ブクログ
「wonder wonderful」で有名になったネット出身の作家さんの書き下ろし。商業作家さんとしての実力を堪能させて頂いた。
それにしてもこの河上朔さん(イチさん)の書かれる主人公は苦労人ばかりで(うぷぷぷ)読んでいて楽しくて切なくなるのは同病相憐れむという奴でしょうか。
ヨーロッパの中世を思わせるどことも知れない王国の王立騎士団の入団試験を受け損ね続けているヒロイン、カンナ。彼女がうっかり拾ってしまった行き倒れ少年、シンク。この二人をめぐる物語で、祈りの物語でもある。
「神様、私のこと嫌いですか」と言いたくなる時はだれにでもあるもので。この本を読んだからといって自分の何かが解決するわけではないけど。
読んで幸せになる物語だった。
シリーズ化……しますよね? -
Posted by ブクログ
“「にやにやするな。おかしな顔が、さらにおかしい」
塩漬けにした魚のスープを目の前に、シャルがずけっと言う。
「え?にやにやしてた?」
「頭の軽さが、露呈する程度にな」
ひどいコメントに、ミスリルは軽くシャルを睨む。そして、
「シャル・フェン・シャル。いつも注意してるだろう。本当のことを言うもんじゃないぞ」
こちらもけっこうひどいコメントをする。
「だって、嬉しかったから、つい……ごめん。不気味だった?」
「なにがそんなに嬉しいんだ?」
ミスリルはスープのうえに手をかざしながら訊ねた。
「キースが、わたしの砂糖菓子を見て、ほめてくれたの。あんな腕のいい人にほめてもらえたら、本当に嬉しい」
するとシャルは、むっとしたような顔をした。”
今回も、内容がぎゅっと詰まってて一息に読んでしまった。
キースは特に悪巧みをなんかはしていない、普通にアンと砂糖菓子の腕を競いたかっただけなんだなー。
最初は、色々と何を企んでいるのかと想像を巡らしてしまったけど。
アンの立場の弱さがしっかりと描かれてる。もし書いてなきゃ、多分気付かなかった。
銀砂糖師の称号を得ることができたアン。だけど、そんな喜びもよそに、シャルの羽がブリジットの手に。
喜んでる暇もない。
続きがすごく気になる。きっとアンは彼を助けるだろうから、その手段とか。
“胸の前で両手でしっかりと王家勲章をにぎりしめながら、動けなかった。
その目の前に、手が差し出された。
「いけないなあ、女の子がこんなとこに座り込んだら。ドレス汚れちゃうよ?」
エリオット・コリンズだった。愛嬌のある垂れ目で、見おろしてくる。
「知らないというのは、哀れだねぇ。俺は女の子の味方だからね、教えてあげよう」
「コリンズ、さん?」
「あの妖精は、君の銀砂糖のありかを聞き出すために、ブリジットに羽を渡したんだよ」
――羽を……?銀砂糖のために……?
衝撃でうまく頭が働かないアンに、さらに追い打ちをかけるように彼は続けた。
「君のために、彼は自由を売った」
そこでエリオットは、すこし意地悪そうな笑みを浮かべた。
「さあ。君、どうするかなあ?アン」” -
Posted by ブクログ
穏やかな時間が訪れたシリーズ第18巻。
19世紀ヴィクトリア朝のイギリスを舞台に、淑女の心をうつしだし輝かせる「恋のドレス」の仕立人クリスと公爵家長男シャーロックの身分違いの恋を縦軸に、人の心の暗闇を暴きだす「闇のドレス」の暗躍を横軸に描かれる物語もいよいよ佳境に近づいてきた模様。前巻で「闇のドレス」= 母親 と決着をつけたクリスは、身分の違いを超えて惹かれあうシャーロックと『今この瞬間』ではなく『一緒にいる未来』に目を向け始めました。
二人だけの時間を過ごすシャーロックとクリスがとても素敵に描かれています。クリスは恋人に対してまた少し心を開き、シャーロックは包容力に気づき始めた…そんな感じかな。読んでいてとてもとても「恋」したくなりました♪
久しぶりのキスの寸前に起こるちょっとした事件。拗ねるクリスも慌てるシャーロックも、もう可愛くって(笑)
そんなやり取りすらひたすら「甘い」これぞコバルト!な醍醐味です(笑)
そんな二人は次巻でシャーロックの実家に乗り込みます。アルフとの約束を反故にしたクリスの決意を受けて、果たしてどうなるのか…次巻が待ち遠しいです!