安田峰俊のレビュー一覧

  • 中国ぎらいのための中国史

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    調査によると、日本人の9割は中国が嫌いである。この嫌われている中国は、つまり「現代中国」でありさらに言うならば「中国共産党の中国」であろう。
    一方、三国志しかりキングダムしかり、エンタメ作品などで中国的世界観は根強い人気を持っている。

    すなわち、日本人の素朴な理解においては「中国的」な魅力や歴史ある中国と、現在習近平が暴虐を振るう中国共産党の中国というもの明確に断絶して捉えられているのだ。
    しかし、当然中国側としては中国という国は連続している。
    それらは、中国で愛される作品や、原神など中国開発のエンタメにも現れている。
    一方で、共産党独裁の歪みの中で生まれた、水滸伝などを標的にして間接的に政

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    2025年06月25日
  • 中国ぎらいのための中国史

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    安田峰俊さんは本当に「読ませる文章」が上手な方で、この本もすらすらと読めるのだが、内容と問題提起は常ながら実に深い。

    なぜ諸葛亮の南征が、現代中国で肯定的に受け止められるのか。
    中国の情報工作「認知戦」と紀元前に書かれた「孫子」の関係は。
    「原神」のセリフや固有名詞は、なぜ中国古典や漢詩を踏まえているのか。

    習近平は演説でしばしば古典を引用するが、「中国において歴史とは、現代の問題を肯定したり否定したりする材料として活用する対象だ」と安田氏は説く。

    本書によると、日本には中国を、東洋史学、中国文学、哲学の観点から研究する「シナ学」(シノロジー)が存在したが、「2度にわたる痛恨の体験」で、

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    2024年11月10日
  • 移民 棄民 遺民 国と国の境界線に立つ人々

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    アジア、特に中華圏の社会・政治・文化事情に通暁するノンフィクション作家、安田峰俊氏のルポルタージュです。「無国籍者」となった女子大生。「夜の住人」となった軍閥高官の孫など、個性ある人物が登場します。




    本書は中国を中心に活躍されているノンフィクション作家、安田峰俊氏のルポルタージュです。「無国籍者」となった女子大生。漢族によって抑圧されているウイグル族の青年。「夜の住人」となった軍閥高官の孫…。とエッジの効いた人物たちが目白押しです。

    僕は安田氏の著作は『和僑 農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人』(角川文庫)を読んで以来、僕の中に幼少時からある「中国趣味」と安田氏がメインフィ

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    2024年10月07日
  • 北関東「移民」アンダーグラウンド ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪

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    北関東「移民」アンダーグラウンド ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪。安田 峰俊先生の著書。移民という言葉で移民の方々全員をひとくくりにするのは差別になる。差別は恥ずかしいことで差別は許されないこと。不法滞在は法律違反のルール違反だけれど不法滞在者には不法滞在をしている理由があるからそれを理解しないと解決にはつながらない。安田 峰俊先生のベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪は移民問題を真剣に考えるきっかけがもらえる一冊。

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    2024年05月03日
  • 中国vs.世界 呑まれる国、抗う国

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    「中国vs世界呑まれる国、抗う国」安田峰俊 PHP新書2021年 中国の開封にユダヤ教の末裔が暮らしていて、アメリカの団体がイスラエルへの移住の斡旋をしていた話や、京都清華大のウスビ・サコ学長が天安門事件の時に中国留学していた話は面白かった。

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    2023年02月05日
  • 八九六四 「天安門事件」は再び起きるか

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    アメリカと世界の覇権を争わんばかりの成長を見せる現在の中国では、歴史の中に埋もれてしまっているように感じる天安門事件。
    あれから30年が過ぎ、繁栄を謳歌する現在の中国の国民は、都市部に限っては現在の豊かな生活がある限り、自由を求め、共産党の一党支配に反対する声はあがらないだろう。
    そして香港も同じ道を辿るのだろうか。

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    2022年02月24日
  • 「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄

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    面白かった。
    今の中国政府が反体制派と見做した人間にどのような行動をとるのかがよくわかる。そして何より彼がさすらう中国全土のそれぞれの土地の様子もとても面白い。
    ミャンマー軍閥割拠地域やメコン川沿いの黄金三角地帯、チベットから雲南の冬の山越えなど、旅行記としての価値も高くて最高。

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    2021年12月06日
  • 現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史

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    中国の歴史になくてはならない秘密結社、それは怪しげな入会儀礼と融通無碍な空虚な器として今も生きている。洪門、青幋、法輪功、全能神、新天地協会…元々は、共産党こそ秘密結社だという笑い話もある。秘密結社の内実と次々と生れ出る背景を、綿密な取材と中国通ならではの深い洞察で描く。

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    2021年08月21日
  • 「天安門」三十年――中国はどうなる?

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    面白くて勉強になる。
    前半は、天安門事件をざっくり振り返るのにもよい。
    民主主義というものが全然根付かない国、中国。そして日本。
    どちらも全然根付いてないのに、日本は中国より外見はそれっぽく見えるのが不思議。どこで袂をわかったんだろうと考えるとやっぱり明治維新なんだろうな。

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    2021年05月04日
  • 八九六四 「天安門事件」は再び起きるか

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    1989年6月4日に起きた「天安門事件」、それは現代中国最大のタブーである。今も中国政府は「六四」「八九六四」元の金額の送金すら許さないという。当時、民主化を叫んだ若者たちを訪ね、その肉声をまとめた。事件は、ある意味で「祭」だった。そして、40年以上が経つ今、多くの人々はそれぞれの立場で「祭りの後」を生きていた。

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    2021年04月26日
  • 現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史

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    法輪功や青幇、中華人民共和国の衛星政党・中国致公党など現代中国におけるマフィアや宗教団体、政党など秘密結社的な性格を持つ団体の興亡史である。本書に著された各団体への理解において、著者の院生時代の研究テーマである、「械闘」の研究が生かされており、また著者のバックボーンである中国史の知識が本書を「お手軽な新書」に終わらせない奥行きをもたらしている。

    2020年アメリカ大統領選挙では陰謀論を信じるトランプ支持者集団「Qアノン」が多くのニュースを賑わせたが、本書ではアメリカ大統領選挙をめぐる陰謀論の流布に一役買った郭文貴や「大紀元」などの法輪功系メディアについても紙幅が費やされており、アメリカ政治に

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    2021年02月24日
  • 移民 棄民 遺民 国と国の境界線に立つ人々

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    とても面白かった。
    ベトナム難民2世、ウイグル、台湾ひまわり学運などどれも今読んでも時勢に合う新鮮な話題で、筆者の先見の明に敬意!

    ひまわり学運のときに筆者が感じた「情緒的な感情の揺れ」も興味深かった。
    もちろん、記者はある対象に強い思い入れを持ちすぎると公正な取材・執筆ができなくなるし、常に冷静に観察することを忘れてはいけないと思う。駆け出しながら同じ職業についた私自身、それを日々痛感するし忘れてはいけないと思っている。

    でも、そんな職業的倫理と、個人的な好意を抱くことって両立し得ないのだろうか?

    自分の心から応援したいものに蓋をし、永遠に当事者ではなく傍観者であり続けないといけない。

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    2021年02月22日
  • 八九六四 「天安門事件」は再び起きるか

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    安田さんすごい。尊敬。いつかこんなものが書ける大人になりたいんだけどなれますか。

    新聞に染まりすぎて「著者の感想が表に出る文章」を長らく書いてないけど、やはり筆者の考察が挟まれた方が読み物っておもしろい。一方でそれは明確に「これはあくまで筆者の考えです」とわかる書き方で書かれている。つまり「これが事実だ」という押し付けがましさがない。

    かつて参加したけど今は現状の中国をそれなりに肯定する知識人(体制の受益者)、かつて参加したor後年目覚めた危うい一般人、今も気持ちがある少数の一般人、今もまじめに活動してる少数の活動家…
    ざっと類型化するとこんなところか。
    香港も台湾も今は何も影響を受けてい

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    2021年02月11日
  • 現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史

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    現代の中華圏(華人社会含む)に存在する”秘密結社”の現状と、その歴史的背景を解説する一冊。

    いろいろな秘密結社のことを扱っているのですが、犯罪的秘密結社と宗教的秘密結社を特に大きく扱っている。

    筆者ならではの飛び込み型取材は健在なのですが、この一冊はその背景や歴史も詳しく説明してくれる。そして、そういう「中国ならでは」な結社と似たような組織であったり背景であったりが日本にもあることを示唆しながらそれを説明してくれる。
    それがこの本の最大のウリであり…多分読者も選ぶところだと思う。詳しい説明はそういう解説より面白いストーリーを求める人には受けないし、宗教的・暴力的なカルト組織やその構成員を日

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    2021年02月09日
  • もっとさいはての中国(小学館新書)

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    だいぶ前に読んで登録忘れ。恐竜オタクが博士になる話と、最後の国際的指名手配富豪のインタビューが面白かった。定点観測して欲しい。

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    2019年12月22日
  • 性と欲望の中国

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    習さんの締め付けですっかり下火と思っていた中国の性産業。前半はすっかり廃れたかつての性産業の記憶。そして、後半は今の性。一人っ子政策の影響でアダルトグッズが社会で認められていると思っていたけど、解放された今でもしっかりニーズがあるんですね。そりゃ、それなりの道路の路面に店が出ているはずだわ。
    昔話の小ネタ程度にと手にした本でしたが、しっかり勉強させていただきました。澳門首家線上賭場上線啦が何のことか分かったし。
    安田さんって名前聞いたことあるなと思ったら、色んな雑誌にいろいろ寄稿しているんですね。それでだ。

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    2019年12月21日
  • 和僑 農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人

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    少し古い本だが現在の中国と対比できるという点では面白い。取材過程も含め著者の主張が詳細に述べられている。現地で中国語を駆使し体当たり取材するスタイルが迫力がある。

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    2019年10月22日
  • 性と欲望の中国

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    この著者の作品は毎回買う。今回も面白かった。終わった東莞などよりも、現在進行形のレポートをしてほしい。ラブドールは面白かった。次に出そうな香港ネタが楽しみ。

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    2019年09月30日
  • 八九六四 「天安門事件」は再び起きるか

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    徒に結論を求めるのではなく、当時を過ごしたそれぞれの群像を忠実に写しとる作業の成果。誠実な成果物が、単に天安門事件だけはなく、わが国の政治体制についても、問いかけてくることが多々ある。著者の丁寧な努力に敬意を表したい。

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    2019年09月08日
  • 八九六四 「天安門事件」は再び起きるか

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    気がついたらノンフィクションで複数の賞を取ってしまい、なかなかレビューしづらくなってしまった。著者の得意とする「足で情報を稼ぐ」という古典的とも言える方法と、ネットを使った情報収集が組み合わさった結果として得られた傑作である。

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    2019年06月26日