保阪正康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は、昭和の時代を以下のやうに分類してゐる。
昭和前期:〜昭和20年8月
昭和中期:昭和20年9月〜昭和27年4月
昭和後期:昭和27年5月〜昭和64年1月
本書は昭和前期の謎を4つ、昭和中期の謎を3つ採り上げてゐる。
採り上げられてゐる謎は以下の通り。
1.日本の<文化大革命>は、なぜ起きたか?
2.眞珠灣奇襲攻撃で、なぜ上陸作戰を行なはなかつたか?
3.戰前・戰時下の日本のスパイ合戰は、どのやうな内容だつたか?
4.<東日本社會主義人民共和國>は、誕生し得たか?
5.なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になつたか?
6.占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかつたか?
7.M資金とは何をさし、それはどのやうな戰後の闇を繼いでゐるか?
これらの謎に對して著者は、事實を收集し、推理を交へて再構築することで、謎に迫つてゐる。
文庫版あとがきで、筆者は次のやうに述べてゐる。
「本書についていへば、私は、知的な刺激を求めて讀んでいただければと思ふ。(中略)
根據のある推測や可能性のある見解はときに必要にもなるのではないか。
本書ではその試みを行なつたのだが、(以下略)」
本書で初めて知る事實はたくさんあつた。
一例をあげると、ソ聯の日本侵攻である。
8月8日の日ソ中立條約を一方的に破棄しての「驅け込み參戰」は有名な事實だが、
それどころの騷ぎではない。
8月15日のポツダム宣言受諾以後もソ聯は武力侵攻を續け、
なんと9月5日の齒舞諸島占領まで續けてゐたのである。
樺太に上陸したのが16日で、25日に樺太全土を制壓し、
28日に得撫島、擇捉島に上陸。
9月1日に、國後島、色丹島に上陸。
これは知らなかつた。
しかも9月2日には日本は降伏文書に調印してゐるのであるから、
それ以降の軍事行動は、あきらかに國際法に違反してゐるのだ。
戰後處理をにらみ、大急ぎで權利を獲得したわけである。
この戰後のどさくさ占領が、現在の北方領土問題の發端なのである。
2004年4月2日讀了
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匿名
ネタバレ著者のスタンスが…。た
著者である保阪氏は、昭和史に関して膨大な著作が有るので「説得力」が有るのは確かだ。
しかし、人間と云う生き物は凡そ、初めからまっさらな視点で歴史に向き合えるとは限らない、と云う事も又事実なのである。
例えば別書の「吉田茂」の著作等では、自身の先入観が入り込み、見落とす筈が無い様な彼(吉田茂)の失策も「目を瞑ってしまう」部分が見受けられ、結局自分の主観的考えから“一次史料”を探してしまう為、詳しい事実関係を知らない読者には《史料が指し示す真実》と成ってしまう事が度々在ったのだ。
これでは、NHKやTBSが作る「ドキュメンタリー番組」とさして変わらない内容になってしまう可能性が、全く無いとは言えない。
例えば、つい最近見付かった史料では、ソ連側の方も相当に甚大な損害を被っており、ノモンハンでの出来事が《全くのデタラメ作戦》では無かった事も判明しているのだ。つまり、ただの“犬死作戦”では無かったと云う事だ。
勿論、著者が「一から十まで嘘を書いている」等と言う積もりなど更々無いが、この様にどんな専門家でも一定の《バイアス》が掛かってしまう事が有ると云う危険性を鑑みて、何でも鵜呑みにせず「セカンド・オピニオン」の様に他の研究者の著書とも突き合わせて読むよう、読者の方々には気を付けて頂きたいと、老婆心ながらお伝えしておきたい。