あらすじ
終戦直後の混乱期。若槻礼次郎以来の天才と称された東大生・山崎晃嗣は、ヤミ金融会社「光クラブ」を設立し時代の寵児となるが、わずか27歳で服毒自殺する。後に三島由紀夫、高木彬光らが小説のモデルとし、アプレゲールの典型といわれた山崎は、なぜ死ななければならなかったのか。昭和史研究の第一人者が徹底取材し、その死後60年にして明らかにした山崎の真実の姿とは。戦後金融犯罪の謎に迫る。
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Posted by ブクログ
山崎正嗣が(意識的にか無意識にか)何物かに怒りを感じていたことは読み取れたけれど、そこから貸し金屋を選んだのかは謎だったかな。巷間流れる山崎正嗣像は一面しか押さえてないというのは確かなようだ。
Posted by ブクログ
三島由紀夫の『青の時代』の題材としても知られ、戦後の価値紊乱、典型的アプレゲール型の事件と評された山崎晃嗣の光クラブ事件。
「事件」とは言うものの、東大生が金融業を興したことが物珍しく脚光を浴びただけで、よくよくみると、法のグレーゾーンで運営していた新興金融会社が杜撰な経営と社会の急激な変化により破綻し社長が自殺した、という話である。「東大生」の冠が無ければ話題にもならなかったのではないだろうか。
ただ山崎はその死に際して手記を2点遺しており、また自殺の直前には芥川賞作家らと雑誌で鼎談する等メディアを賑わしていて、その妙に印象的な言説で後々まで語られる存在となった。自己演出の塊のような人物である。
著者の見立ては、その演出の煙幕の後ろに親族との葛藤や挫折感の残る戦争体験があり、東大生という肥大したプライドによって世間との無謀とも言える対決にのめり込んでいったのではないか、という。
同じ11月25日に死を選んだ山崎と三島。おそらく相当な親交があったのではと著者は見るが、三島が事件決行の日を選ぶのに、山崎のことが念頭にあったのか、気になるところである。