西内啓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
統計学は単なる計算技術ではなく、より良い意思決定を行うための考え方であることを学んだ。
特に印象に残ったのは、精度を際限なく追求することよりも、その精度で判断を誤る可能性があるかを見極めることが重要だという考え方である。私はこれまで、分析とはできるだけ正確な数字を求めることだと思っていた。しかし実際には、意思決定に十分な精度が得られているなら、それ以上の労力をかける必要はない場合もあることを理解した。
また、分析を始める際には最初から大量のデータを扱おうとするのではなく、小さく始めて仮説を検証しながら進めることの重要性も学んだ。完璧なデータ収集を目指して行動が遅れるよりも、まずは分析を始めて改善を繰り返す方が現実的であると感じた。
さらに、データを比較する際には、本当に意味のある差なのかを判断するためにP値などの統計的な考え方が必要であることを知った。見た目の差だけで結論を出すのではなく、その差が偶然によるものではないかを確認する姿勢が重要だと思った。
現在は生成AIの発展により、複雑な計算方法をすべて暗記していなくても統計手法を活用しやすくなっている。もちろん統計学の基礎知識は必要だが、計算そのものよりも結果を正しく解釈し、意思決定に活かす能力の方が重要になると感じた。今後は生成AIも活用しながら、統計学を実践的な武器として使っていきたいと思う。
本書を通じて、統計学とは数字を扱う学問ではなく、不確実な世界の中でより良い判断を行うための学問であることを学ぶことができた。 -
Posted by ブクログ
統計的な手法抜きにビジネスでデータによるととか、数字を見るとという話は浅い
リサーチデザイン:何を研究課題にするか、どうアプローチをするか、過去の研究成果と調査して設計すること
一般の人が思いつくようなことは既に過去の研究者が思いついて研究済み。過去の研究者が積上げた知識を使う(巨人の肩にのせてもらう)
クラスター分析:分析対象を類似性の高い集団でセグメントに分ける
素晴らしい製品:重視すべきところは大胆に増やし、そうでないところは誰もがためらうくらいに減らすかなくした製品
・軸には恣意が入る。そもそもその軸での分析が正しいとは限らない
空いている場所は過去に他者が失敗したり、撤退したりした死の海の可能性もある
データの分類が不適切だった可能性もあるが、経験や直感に反するデータは成果につながる新しい視点の可能性がある
・SPIが高い人はどこでもある程度の成果を出せるが、それよりも大きく影響するのは本人の特性と状況の相性
→全てが駄目な人はいない。この状況には合っていないだけ
・サイコロで1を出せないことに対して、やる気がないからと言っても意味がない
1しか出ないサイコロを作ったり、1以外が出ても問題がない仕組みを考えたりした方が合理的
もったいないと思っている人に買わせる→もったいないと思わせないようにするorもったいないと思っても買いたくなるようにする -
Posted by ブクログ
先日の入門書に続いて、統計学についてもう一書。
本書はタイトルのとおり、実践的な視点で潔くまとめたもので、産業分野や学術分野でのデータ活用(データに隠れた宝物を探る)において参考になる内容。
検定(Z検定、t検定)、回帰分析(重回帰、ロジスティック回帰なども、その考え方や使い道が初学者にも分かり易く解説・例示されているのが良き。
クラスター分析を使いこなすコツまで網羅していればと思うのは贅沢かな。
現代人は公私問わず多くのデータに触れるが、統計学の基本的なところを理解しておくことで不適切な解析結果に騙されなくなるので、私のような一般人にも有益と感じた。 -
Posted by ブクログ
未来を予想するための理論としてペイズ定理というのがある。過去の情報に基づいて未来を予想する。しかし、過去の情報には、重要な情報であるシグナルと、誤情報であるノイズとがある。ノイズによってバイアスがかかり、誤った予想がなされてしまう。そこで、結果と照らし合わせて、確率論的に次の予想を行う。これを何度も繰り返すことで、より正確な予想が行えるようになる。これは、気象予想やチェスでは威力を発揮する。正確なフィードバックが得られ、コンピュータの力、特に生成AIの力を存分に発揮できるからだ。一方、地震や経済のように、システムが複雑で、予想が正しかったか否かの検証が難しい場合には、コンピュータでは対応出来ないという。兎に角、複雑な未来を予測するヒントが詰まった必読の書である。
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Posted by ブクログ
実地での統計的手法の活用方法の基本(アウトカムを高めたいときの施策の抽出に限り、平均値などの現状分析や株価の予測などに関する内容はあまり掲載されていない。)がよくわかった。
データを整理したら、まずは重回帰分析(アウトカムが量的)かロジスティクス分析(アウトカムが質的)で影響している説明変数を見抜き、当該変数を操作することでアウトカムを変えられるのかどうか(当該説明変数とアウトカムの関係が、因果関係なのか相関関係なのか)をランダム化比較実験で検証し、その検証にあたってはz検定やt検定を行うと。
結局、χ2乗検定や分散分析は実用上あまり出番はないということか。
帰無仮説平均と対立仮説平均の差と、有意水準と望む検出力を設定すれば、これを満たすために必要な標準誤差がわかり、元データの標準偏差から必要なサンプル数が導出できるというのは、ちゃんとした順序で考えたら普通にそうなるだけの話だが、実用的で勉強になった。 -
Posted by ブクログ
経営戦略、人的資本管理、マーケティング、オペレーションの順にデータ分析と活用の手法を具体的に解説した良書。
共通するのは、適切なデータ分析対象範囲を決め、適切なアウトカム(=目的変数)を設定し、これに関係しそうな説明変数候補を決め(この時、先行研究で使えるものがあれば大いに参考にする)、ステップワイズ法などで説明変数を適度な数に縮約し、重回帰分析やロジスティクス分析により有意な説明変数を特定し、これを変えることでアウトカムに良い効果が出るかをランダム化テストで検証して改善に繋げる、という流れ。
そのうえで、それぞれのデータ活用におけるポイントもしっかり解説されていた。
経営戦略に関するデータ活用では、アウトカムは総資本利益率が望ましい。必要な説明変数データを収集するのに、帝国データバンクのようなデータ会社のデータのほか、業界団体や、顧客からの評価が知りたければマクロミルなどの調査会社の活用や、営業マンの資質などであれば業界記者や取引先などが使えるとのこと。
人的資本管理については、パフォーマンスの3割程度はIQやSPIで明らかになる汎用的な知能で説明できるが、残りの7割は個別の特性が効いてくるということ。人事情報はアウトカムについても、適宜補正可能な指標を選んでおくことが大事。
マーケティングでは、ターゲットセグメントを決める段階では、重回帰分析やロジスティクス分析ではなく、クラスタリングを用いて有意なグループを見出だして選ぶべき。これは、マーケティングのターゲットセグメント選択は、すなわち他のセグメントを捨てるということであるため、少なくともその変数を満たせば良いという経営戦略や人的資本管理における重視すべき変数の特定とは異なるアプローチが必要であるということである。セグメントが決まれば、当該セグメントの顧客のデータを集め、何がアウトカムである購買行動に繋がっているのか、繋がっていないのかを特定し、どこを強化すべきかを見抜く。
オペレーションでは、どの工程がボトルネックであるかを見抜いたうえで、そこを重点的に強化するべきである。そして、当該ボトルネックのアウトカムと説明変数を明らかにして何を強化すればアウトカムが向上するのかを明らかにする分析とともに、適正な在庫や仕入れやリソース投下を行うための「予測」も必要になる。予測では、他の説明変数だけでなく、過去の目的変数の実績値(例えば過去の売上)を自己回帰的に説明変数として予測する手法も有効である。
経営の戦略や戦術への深い理解と洞察力を併せ持った統計学の専門家の著書として、非常に読みごたえがあった。