青木純子のレビュー一覧

  • ホテル・ネヴァーシンク

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    とある実業家の道楽的思い入れにより改築に次ぐ改築が繰り返された広大な屋敷、フォーリーハウス。
    財政難により競売にかけられた屋敷はユダヤ人シコルスキー一族に買い取られ『ホテルネヴァーシンク』として一時代の輝きを放つ。
    半世紀に渡る隆興と凋落の裏にはシコルスキー一族の決して美しいばかりではない営みが息づいている。

    ホテルとしての絶頂期に起きたネヴァーシンクでの男児失踪事件の真相究明を細い軸にしながら、歴代の関係者の物語で各年代の場面を構成する形式。
    必ずしも失踪事件の謎が前面にあるわけではなく、あくまでもネヴァーシンクを取り巻く歴史絵巻。
    本筋とは関係のなさそうな挿話が、伏線かと思いきや本当に全

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    2021年05月07日
  • ホテル・ネヴァーシンク

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     ロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズの初期作品の一つである『キャッツキルの鷲』というタイトルはなぜか忘れがたいものがある。さてそのキャッツキルという地名だが、「キル」は古いオランダ語で「川」の意味なのだそうだ。古いオランダ語。うーむ。

     ハドソン川に沿ったいくつかの土地の名には「キル」が付いてるらしい。この作品の直後にぼくが読むことになるアリソン・ゲイリン著『もし今夜ぼくが死んだら、』の舞台が、実はニューヨークに注ぐハドソン川流域の架空の町ヘヴンキルなのである。「キル」の意味を教えてくれたのはそちらの翻訳を担当している奥村章子さんで、彼女が巻末解説でそのことを教えてくれたのだ。これ

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    2021年04月15日
  • ホテル・ネヴァーシンク

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    ネタバレ

    キャッツキルが舞台と聞けば、スペンサーシリーズの『キャッツキルの鷲』のオールスター銃撃戦をすぐに思い出すがそれは置いといて…

    青木純子さん訳ということで、ケイト・モートン作品ぽいものを予想していたが、少し軽い感じでとても読みやすい。

    それほど長くはないのだが、時間を積み上げ、重要な登場人物も多く、視点も変わるので物語の厚みを感じた。特に最初の移民時代はわずか70年前。現代とこんなに近いのにこんなことがと驚く。


    某所でたくさんオススメされていて面白いのは確かですが、ラストの曖昧さ、犯人の目星のつきやすさなど、文芸寄りかと。
    結末をぼかすのは好きではないなぁ。

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    2021年01月16日
  • 秘密 下

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    じっくりと、じわじわと、過去が明らかになっていくのは、ちょいともどかしいほどに、ていうか文字多いよ、なんだけども、更にはもしかしてこの展開なら最後はこうじゃね?ていう流れが分かったりするけど、それはそれとして、ストーリーに引きずり込まれてしまう。序盤はやや伏線をはるのに忙しくて、ちとだれたんだけども、頑張った甲斐があったよ。
    しかしドリーさんが可愛そうというか、不憫でならんぞな、これ。最終的には一番悲惨なのはこの人だけど、特にフォローもなく、さり気なくスルーされるという、世の中厳しいものだよ。やっぱ悪いことは考えるもんじゃないわ。

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    2020年12月20日
  • 忘れられた花園 下

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    ネタバレ

    2005年、オーストラリア。祖母を看取ったカサンドラは、葬儀の席で大叔母たちから実は祖母のネルが養子だったことを知らされる。驚くカサンドラだったが、ネルはもうひとつ謎を遺していた。オーストラリアから遠く離れたイギリスのコーンウォールにコテージを所有していたのだ。「これをカサンドラに遺贈する。いずれその意図を理解してくれることを願って」と書き残したネルの足跡を追って、はるばるコーンウォールのトレゲンナという村にたどり着いたカサンドラは、かつて貴族の邸宅だったブラックハースト荘で貴族の令嬢と童話作家と画家が過ごした日々にネルの出生の秘密が隠されているのを知る。百年の時を行き来しながら、一人の女性の

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    2020年10月25日
  • 秘密 上

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    まず目次

    ケイト・モートン読者なら
    場所と年号の羅列(しかも過去と現在交互)
    ときたら、ニヤけてしまう。

    正当防衛で不審者の男を殺してしまった母

    でも娘は、男が母に対して
    知り合いのように話しかけるのが
    聴こえていて……

    現在:母は病床、高齢で過去の話を聞き出すことができない。
    過去:母の若い頃、時代の中生き抜く姿

    母は何故、男を躊躇なく殺したのか?
    過去に何が?という謎で読ませます。

    語り方が上手い…焦らずじっくり読む。

    だけど、本の外(現実)の世界が
    大変なことになっていて、なかなか
    読書に集中出来ない。

    …なので感想は下巻にて

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    2020年04月14日
  • 秘密 下

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    物語は、過去、現在、大過去と三段階に分かれて語られていく。
    50年前母親ドロシーが、家に訪ねて来た男を刺殺した。それを偶然目撃してしまった娘のローレル。事件は正当防衛が認められたが、そうでは無い事をローレルは知っていた。
    余命幾ばくもない母を前にして、あの時の真実を突き止めようと動き始める。
    上巻は進みが遅く、挫けそうになりながらもながら読み進めると、下巻の中盤あたりから物語は加速度的に一気に進み、目が離せない展開へ。謎解き自体は割とありがちな展開だが、読後感は非常に良く胸に心地良い。

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    2019年11月03日
  • 忘れられた花園 下

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    イギリスから船でオーストラリアに渡り、一人置き去りにされた少女。いったい彼女は何者で、何が起きたのか。過去と現在を行きつ戻りつしながら、過酷な運命に翻弄される一族の秘密が解き明かされていく。

    時代を大きくさかのぼりつつ語り手が何度も変わるため、人物関係を頭のなかで整理するのにひと苦労。それでも、ところどころ挿入される童話の真の意味を考えたり、少しずつ解き明かされていく悲しい過去によってそれぞれの人物像が浮かび上がっていく過程は、古典を読んでいるかのような心地よい読書となる。

    たぶん、子どもの頃にオーソドックスな海外の物語を読んで、異国の主人公たちに憧れた空想好きの元少女たちに愛される作品な

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    2019年11月26日
  • 忘れられた花園 下

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    ゴシックミステリーというジャンルらしい
    イメージより地味な読み心地ではなく
    サスペンスフルで
    次々とページをめくってしまう。

    途中で真相に気づいてしまったが
    それでも最後まで引っ張られる
    解説によるとやや荒さもあるみたいだけど
    綺麗にまとまって面白かった。

    他の本のあらすじをよんでみると
    こういう感じの話が多い作家さんなのかも

    映像化したら見てみたい。

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    2019年04月07日
  • 忘れられた花園 上

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    港に残された少女ネルと
    ネルを看取ったその孫カサンドラ
    そしてネルの持っていた本の作家イライザ
    他にもいますが主人公の各時代が切り替わりながら進む(目次には西暦と場面の文字、これだけで面白そうな雰囲気がある)

    ネルとは何者なのか?
    なぜこんなことが起きたのか?
    スラスラと引き込まれて、各時代で似たような場面でリンクしたり、時間差で登場人物のつながりが明かされたり
    作者の連続技がすごい。

    ひとまず感想は下巻にて
    登場人物が多いのがややつらい

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    2019年04月04日
  • 秘密 下

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    ネタバレ

    何となく面白そうだと思って買った本だったので、最初は「過去や現在、視点さえも行ったり来たりするので、読みにくにかも、、、」と思っていたが、そんなことはなかった!

    出だしから刺すのかい!と思ったけど、ドロシーの過去を考えたとしたら、そうなるよね、と

    読んでいるうちに、段々とドロシーがえげつない感じになってきて、ローレルの幼少期の母であるドロシー像とはかけ離れていたのも、そもそもが違うからとも考えられるような、、、

    最後の章のジミーに、何とも言えない気持ちになった

    結婚してからのヴィヴィアンは、初期は少しでも楽しかったのだろうか、やっぱりそんなことはなかったのだろうか。
    そんな中でドロシー

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    2019年03月21日
  • 忘れられた花園 下

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    何人かのおばあちゃん、孫がでてくる。いつもなら、誰が誰やらこんがらがってくるんだが、ちゃんと書き分けられているのか、混乱がなく、最後まで一気に読めた。

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    2018年04月18日
  • 忘れられた花園 下

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    良質ゴシックミステリー。ロマンス小説の香りもするが、入れ子構造で語られる各時代の女主人公たち、それぞれの決意と強さには励まされる。『レベッカ』『リオノーラの肖像』を思い出す。

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    2017年09月26日
  • 忘れられた花園 上

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    ネタバレ

    なぜ少女はオーストラリアへ出向間近の客船に取り残されたのか。

    4世代にも渡る少女のルーツをめぐる物語。

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    2017年08月14日
  • 忘れられた花園 下

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    下巻は続きが気になり、一気に読破!

    カサンドラもネルも大好きになった。そして、イライザは切なくなった。

    3人に共通するのは、自分の居場所をそれぞれが必死になって見つけようとしていたところ。自分が何者なのか、ないもの、もしくは失くしてしまったものを必死で追い求めて、本当に大切なものをちょっぴり見失ってしまう。

    私は、人間にとって大切なもののひとつに「自分の居場所を見つけること」があると思っているので、この物語は本当に面白かった。

    この本のタイトルの意味も下巻まで読むとわかります。

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    2017年07月06日
  • 忘れられた花園 上

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    タイトルにひかれて購入。

    最初は時代が行ったり来たりな上に、登場人物もいろいろ出てきて、頭を整理するのに必死。上巻を読み終えるころにようやく登場人物と時代がリンクしました。

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    2017年07月06日
  • 忘れられた花園 上

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    ゴシック色があるところが、モーリアの後継と言われるところなのかな?
    モーリアの方がより、「怖い」感じする。堅い、とでも言おうか。
    この作品が柔らかく感じるのは現代があるから、身近に感じるからかもしれない。

    いずれにしろ、楽しく読みました。予想通りのところと、予想を裏切るところとあり、どっちだろうどっちだろうと先が気になって。

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    2017年07月05日
  • 忘れられた花園 下

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    ネタバレ

    一番の謎は予想通りでしたが、面白かったです。
    過去の人物視点で語られる事は、現在の人物は自分で調べないと知りえない事で、それも、詳細まではわからない、という構成も面白いです。

    それから、作中にバーネットが登場するのですが、彼女がブラックハースト荘のガーデンパーティに招かれるのが1907年。『秘密の花園』の初版発行が1911年。成程、そういう仕掛けかぁ、と。

    本編にはあまり関係がないのですが、読んでいて疑問に思った事が、訳者あとがきですべてツッコまれていたので、「あ、何だ、そう思ったのは私だけじゃなかったんだ!」と、少し面白かったです。

    『秘密の花園』と『茨の城』がお好きな方にはおすすめで

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    2017年06月11日
  • ミニチュア作家

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    ネタバレ

    描かれているのは1686年10月から1687年1月まで。
    没落した名家の18歳の少女ネラ(ペトロネラ・オールトマン)が
    豪商ヨハンネス・プラントに嫁ぐところから物語は始まる

    ネラを顧みない夫、癖のある義妹、使用人との生活で孤独を
    感じながら、正体不明の作家によるミニチュアに導かれ
    彼女は成長していく

    ミニチュアハウスという可愛い小物からは
    かけ離れた重厚な雰囲気の漂う小説

    大きなテーマにがっつりと取り組む元女優の作家さん
    2作目も楽しみです、ドラマがヒットして日本で放送されないかなー…

    この年代のオランダは馴染みがなくて
    どうしよう…と思ったけどフェルメールが
    17世紀でした(^ ^;

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    2015年09月07日
  • 世界が終わるわけではなく

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    うっすらと登場人物が重なり合って一つの世界を作る短編集。どの短編も少し不思議な、幻想的な世界と繋がっている。また短編によって手触りが少しずつ違う。最初の短編は、まさしく世界の終わりのような日々の中でひたすら商品名が列挙される。妻を失った話は叙情的だし、いかにも十代な会話とモノローグ形式で進む短編もある。
    シッターと有名人の不憫な息子の二人旅の話、認知されなかった大富豪の息子が、その家を訪ねた時の辛い思い出の回想の話が良かった。

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    2014年11月16日