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2005年、オーストラリアのブリスベンで祖母ネルを看取ったカサンドラは、祖母からイギリス、コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した。1975年にネルはなぜそのコテージを買ったのか? ネルの遺したノートと古いお伽噺集を手にカサンドラはイギリスに渡る。今はホテルとなった豪壮な屋敷の敷地のはずれ、茨の迷路の先にコテージはあった。建物の手入れを進めるうちに彼女は、蔓植物に埋もれ、ひっそりと忘れられていた庭園を見出す。封印されていたその花園は何を告げるのか? ネルとはいったい誰だったのか? 屋敷の秘密とは?/解説=川出正樹
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Posted by ブクログ
ケイトモートン 大好き。ゴシックというか、ブロンテ姉妹みのある世界と今をシームレスに繋いで、物語の面白さをじっくり味わえる。
20世紀初めにオーストラリアの港にたったひとり取り残されていた幼い女の子はどこから来たのか。その謎を、周りの景色もたっぷり堪能しながら、追いかけていく楽しさ!
再読なんですが、この楽しさ面白さ、まったく損なわれることはなくて、もしかしたら、結末を知っているからこそ、余裕をもってゆっくり楽しめるのかも。
子どものころは何度も何度も繰り返し同じ本を読んでいて、それでも毎回楽しかったなあ、ってことを思い出す。そういう読書もまたしよう。
ところで、ケイト・モートン、新作は出ないのだろうか…。せめて、「The Clockmaker's Daughter」、邦訳が出て欲しい。
Posted by ブクログ
今まで出会った中で一番美しい本だった。
きらきらとした粒子のように溢れてくる言葉が、
脳内で麗しい躍動感を湛えた映画のようにうつり、
また光あふれる絵画のように映り込んでくる。
そこかしこに張り巡らされた布線を
一つ一つ丁寧に絡め取っていく心地よさはミステリーとしての読み応え充分。
それに加え、登場人物の細やかな心理描写は読み手の心に切に訴えかける。読者を物語に引き摺り込み、活字の中で踊る人物たちと共に風を感じさせ、光悦とさせ、悩ませる。
それとなんと言っても、ただただ文字を追うだけで、作品の映像が脳に入り込み心臓が苦しくなる程の緻密で美しい情景描写。
目の前にある言葉を目で追うだけで、
こんなにも光のあたたかさを、闇の冷たさを直に感じることなんて出来たのか。
細やかな心理描写とテンポの良いストーリに夢中になりながら、胸が狂おしくなる表現が散りばめられ脳を刺す。
プレゼントしてくれた友人へ。
本当にありがとう。
Posted by ブクログ
「『秘密の花園』、『嵐が丘』そして『レベッカ』に胸を躍らせたあなたに謎に満ちたもうひとつの極上の物語を。」
「ダフネ・デュ・モーリアの完璧なまでの後継者。」
とまあ、なんて扇情的な文句なのでしょう。
勢いで購入したは良いものの、時間に余裕が出来るまでは、と思って取っておいた上下巻。
読み始めたら、三人の女性たち、イライザ、ネル、カサンドラに魅了されっぱなしだった。
以下、核心ネタバレは避けていますが、割と詳しくあらすじと感想を載せているので、お気をつけて。
発端は、前途洋々だったネルの出生の秘密を、実の父だと信じ込んでいたヒューによって打ち明けられる所から始まる。
実はヒューの子ではなかった!と知ったネルは、酷く傷付き、せっかくの婚約さえ解消してしまう。
では、自分は一体何者なのか。真実を知る唯一の手掛かりは、彼女が幼い頃に持っていた絵本だった。
ネルが真実に近付いてゆく一方、ネルの元を娘レズリーと孫娘カサンドラが訪れる。
無愛想で近寄りがたい祖母ネルに対して、最初は距離を感じるものの、レズリーに「置き去りにされてしまった」カサンドラ。
ネルと二人きりの生活の中で、彼女の存在に、そしてネルの死によって、彼女が抱えていた秘密に迫ってゆくことになる。
この、祖母から孫娘へのバトンタッチが巧妙。
ネルの頑なさが、同じ境遇となってしまったカサンドラに重なる、歯ブラシの夜がすごすぎる。
『西の魔女〜』を彷彿とさせる二人の、徐々に温かくなってゆく関係も楽しいのに、ケイト・モートンの構想はここで終わらない。
今度はネルが持っていた絵本の作者である、イライザ・メイクピースの幼少期に話が移る。
美しき母ジョージアナの亡き後、イライザと弟サミーは、古い物語に付きもののような意地悪オバさん、ミセス・スウィンデルとその夫の元で極貧生活を送っていた。
この姉弟のパートは、ネルとカサンドラパートのほのぼのさをひっくり返すほど、ロンドンの臭いや煙たさが充満していて、生々しく書かれる。
そしてある時、ピンチを迎えるイライザに一台の馬車がやって来る。
母ジョージアナは、マウントラチェットという名家を飛び出した、いわば貴族令嬢だったのだ。
彼女は馬車に乗り、イギリスは西の端コーンウォールの地に辿りつき……。
あー、そして、幸せになるのねー。
と思わせておいてからの、第二の意地悪オバさんアデリーン様、御登場!マジかよ。
一体、いつ、ネルの真実に行き着くのか。
イライザ、ネル、カサンドラの三人がそれぞれの視点から章を展開していき、いよいよか!と、気になる所で、語りが切り替わる(笑)
上手いです。
更に、挿話としてイライザの童話が入るのも、本当に上手いです。
私が読んだデュ・モーリア作品と比べると、うっわー、恐ろしい女だわー度はやや低め。(そんな度数があるかは置いといて)
ただ、三人が紡ぎ合う世界は、ものすごく広くて、色彩豊かで、なのにミステリーや薄暗い要素がハッキリとあって、秘密を覗いてしまった感まであって、本当に楽しませてくれる。
そう。つまり、訳も秀逸ってことですね!
そんなわけで、2018年末、取っておきの作品が、見事に取っておきの役割を果たしてくれて、ご機嫌です(笑)
あああ、コーンウォールで読みたかったー!!
Posted by ブクログ
いやあ、楽しい読書でした。
子どものころ読んだイギリスのお話みたいな部分と、ハーレクインみたいな部分。
「秘密の花園」の作者、バーネット夫人もちゃんと出てきます。
推理小説として考えると物足りない。
ネルの正体は、割と簡単に想像がつきます。
けれどイライザの悲しいまでに切ないローズへの友情。或いは愛情。
本当の自分を知りたいというネルの強い欲求。
過去の後悔から自分を解き放つことのできないカサンドラ。
この3人の人生が年代を超えて複雑に織りなしていく物語なのですが、この巻ではもっぱらイライザの人生について。
自分の力で生きてきた少女時代のイライザが、母の実家であるマウントラチェット家に引き取られ、本来の自分とローズとの友情にすがる自分との間で引き裂かれていく様子が、哀しいくらいの説得力を持って迫ってくる。
貴族のお嬢様というのは、家の奥深くに隠されて、世間を知ることなく、家族と使用人しかいない世界で育つのだね。
だからとても世界が狭い。
ローズの母であるアデリーンの、どこまでも満たされない欲求が、どんどん不幸を拡散していく。
誰もそれを止めることができない。
だって、狭い世界しか知らないから。
その圧倒的な負の情念を誰も知らないから。
“「人生は自分が手に入れたもので築き上げるものよ。手に入れ損なったもので測っちゃ駄目」”
アデリーンの不幸は、手に入れた貴族の生活という幸せではなく、手に入れられなかった妻としての幸せ、そして決して泥を塗ってはいけない世間からの評価で自分の人生を測ってしまったことだ。
ローズの不幸は、そんな母から知らず知らずのうちに植えつけられていた、貴族意識。
本来は手に入れることのできないものを、どうしても欲しいという気持ちを我慢することができなかった。
我慢の必要を教えられることなく育ったローズは、自分の要求が、自分の大切な人たちと、そして自分自身をも不幸にしてしまうと最後まで理解できなかった。
誰も教えてくれなかった。
それに比べたら、一見不幸の連続のイライザは、自分の才能を知り、報われずに終わったとはいえ彼女のほうからは決して失うことのなかった友情を知り、本当に愛するべきもの、大切なものを知ったことで、前向きに人生を終えることができたのではないだろうか。
ネルは、両親が実の親ではなかったことを知って、自分の人生を半分捨ててしまったが、意に反してカサンドラと暮らすことによって、自分が本来持っていた自分自身を取り戻すことが少しはできたのではないかと思う。
そしてカサンドラ。
失ったものにとらわれていた彼女は、これからはきっと手に入れたもので人生を測ることになるだろう。
そんな女たちの大河小説。
小さな疑問というか、突っ込みどころはあるけれど、大きな流れに任せてしまえばなんともいえない物語の魅力に包まれてしまうのだ。
そんな小さな突っ込みどころの一つ。
最後まで精神的な大人になることがなかったナサニエル。
もう気持ち悪いの。
自分とジョージアナしか世界にいなくて、時間が止まっていて、生きているのに世の中に何一つ貢献できない男。
この悲劇のそもそものきっかけを作った…わけではないけど、まあ拡大した男、ナサニエル。
彼の不気味さは、これ以上の悲劇を引き起こす予感があったのですが…うーむ。
上巻の時も思いましたが、訳者あとがきがめっちゃ長い。(笑)
今回も長いですわよ。
読み終わって本を閉じて思ったこと。
あ~、面白かった。
Posted by ブクログ
オーストラリア出身でイギリス在住の作家「ケイト・モートン」の長篇ミステリ作品『忘れられた花園〈上〉〈下〉(原題:The Forgotten Garden)』を読みました。
「ダフネ・デュ・モーリア」の後継者… 21世紀の「ダフネ・デュ・モーリア」… 等々のキャッチコピーが気になり、読んでみることにした作品です。
-----story-------------
〈上〉
1913年オーストラリアの港にたったひとり取り残されていた少女。
名前もわからない少女をある夫婦が「ネル」と名付けて育て上げる。
そして2005年、祖母「ネル」を看取った孫娘「カサンドラ」は、祖母が英国、コーンウォールにコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。
なぜそのコテージは「カサンドラ」に遺されたのか?
「ネル」とはいったい誰だったのか?
茨の迷路の先に封印された花園のあるコテージに隠された秘密とは?
〈下〉
祖母から英国コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した孫娘「カサンドラ」は、祖母「ネル」の書き残したノートと謎めいた古いお伽噺集を手に英国に渡る。
「ネル」はなぜ遠い地にコテージを買ったのか?
「ネル」はいったい誰だったのか?
今はホテルとなった豪壮なブラックハースト荘、その敷地のはずれ、茨の迷路の先にあるコテージの手入れを進めるうちに、「カサンドラ」は封印された庭園を見出す。
そしてブラックハースト荘の秘密とは……?
解説=「川出正樹」
*第3回翻訳ミステリー大賞受賞作
*第1位 第3回 AXNミステリー「闘うベストテン」(2011年)
*第7位『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
*第8位〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
*第9位『このミステリーがすごい!2012年版』海外編
●数々の書評から
魔力に満ちた一冊――ニューキャッスル・ヘラルド
最後の最後に明かされる真実。驚愕の真相とはまさにこのこと――カーカス・レビュー
読者を別世界に誘う壮大で豪奢な作品――NYデイリー・ニュース
「モートン」は読者を時に驚かし、時に当惑させ、そして徹底して楽しませてくれる――スター・テレグラム
あざやかな筆致、堪能すること間違いなしの作品――デイリー・エクスプレス
「ダフネ・デュ・モーリア」の完璧なまでの後継者――ル・フィガロ
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2008年(平成20年)に発表された作品で、「ケイト・モートン」の長篇第2作目にあたる作品です、、、
舞台はオーストラリアそしてイギリスのロンドンやコーンウォール、時代は1800年代終盤から2005年と、舞台と時代を行きつ戻りつしながら、空間的にも時間的にも大きな広がりをの中で、自らの、そして祖母の出自の謎を解き明かす物語… 面白かったです。
第1次世界大戦前夜の1913年、オーストラリアの港で、ロンドンから着いた船の乗客が去ったあと、たったひとり取り残されていた少女を港の職員が見つけ、自宅に連れ帰ることに… 小さな白いトランクと少女、トランクの中身はわずかな身の回り品と、お伽噺集『少年少女のための魔法のお伽話集』が一冊、、、
名前も思い出せないらしいこの少女を連れ帰った職員は、妻とふたりで彼女を「ネル」と名づけて育てることに… その後、妹たちが生まれ、長女として明るく育った「ネル」が21歳になった夜、父親は彼女に真実を告げる。
「ネル」は、自分が何者であるのかがわからないという驚愕から、心を閉ざし、人が変わったようになってしまう… 時は流れ2005年、祖母「ネル」を看取った孫娘「カサンドラ」に、祖母の友人が驚くべき知らせを持ってくる。
「ネル」が彼女にイギリスのコーンウォールにある小さなコテージを遺してくれたというのだ… なぜ、祖母はそんなコテージを持っていたのか? いつ手に入れたのか? 祖母の遺したノートと、かたみの古びたお伽噺集を手に、彼女はコーンウォールを訪れる、、、
コテージは、今はホテルとなった豪壮な館・ブラックハースト荘の敷地のはずれ、崖の上にあった… そして、そこには茨の迷路と、閉ざされ忘れられた花園が……。
「カサンドラ」の祖母「ネル」はいったい誰だったのか? 「ネル」はブラックハースト荘とどんなつながりがあったのか? 幾重にも重なる謎を解き明かすことはできるのか!?
1880年代から1913年に至る時間内では名門「マウントラチェット家」にまつわる物語が、主に一族の女主人と娘、そして当主の姪「イライザ」の視点から描かれ、1975年前後の時間内では「ネル」によるロンドンとコーンウォールでのルーツ探しが描かれ、2005年前後の時間内では「ネル」の死後、白トランクは孫「カサンドラ」へと受け継がれ、彼女は祖母の謎を解くべく渡英して謎を解き明かそうという姿が描かれ… という3つの物語が、1つの物語として編み込まれていく展開が愉しめました、、、
「ネル」が辿り着いた真実… 「カサンドラ」が辿り着いた真実… それは、ちょっとだけ違う部分もあるのですが、読む側は全ての真実が理解できる展開となっており、モヤモヤ感がなくスッキリとした読後感が味わえました。
凶悪な殺人事件やトリックを活用した盗難事件は起きず、自分のルーツを探るという地味なテーマにも関わらず、最初から最後まで読者の興味を惹きつける展開でしたねー
「ネル」は誰と誰の子どもだったのか?
「ネル」の本当の名前は?
誰が何の目的で「ネル」を屋敷から連れ出したのか?
なぜ、その人物は「ネル」をオーストラリア行きの船に乗せたあと消えてしまったのか?
なぜ、その後、誰も「ネル」を捜しにこなかったのか?
全ての謎が解けたときのスッキリ感は、何とも言えませんでしたね… ホントに面白かったです。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。