青木純子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレイギリスの作家ジェシー・バートン、2014年発表の小説。1686年、繁栄するオランダ、アムステルダムの裕福な商家を舞台に、18歳の新妻の成長と自立を描いた作品。面白いです。
オランダの田舎町の零落した名家の娘ネラはアムステルダムの裕福な商人、20歳年上のヨハンネスと結婚します。しかし、期待と希望を胸に訪れた新居では、優しいけれど留守がちで寝所を訪れることも無い夫、冷たく居丈高な義姉、図々しい使用人、等々に戸惑うばかり・・・。
ドロドロの昼メロのような舞台設定ですが、そうはならず、一家の危機を前に家族の絆を強めて行く、という物語。ミニチュアハウスやミニチュア作家がミステリアスでオカルティックな小道具として登場するけれど、本筋にミステリー的な仕掛けはありません。ミニチュアはネラを自立へと導く鍵であり、登場人物の心を映す鏡のような存在でもあるのですが、そのオカルト趣味は基本リアリズムの物語の中でちょっと浮いていると思います。
繁栄と自由を謳歌しているようなアムステルダムで、しかし宗教的社会的くびきはまだ人々をしっかりと捉えており、そんな中でネラの一家は崩壊して行く・・・ネラは今後強くたくましく生きて行くのだろうと思えるエンディングではありますが、結局の所誰も救えず、誰も罰せられることもない物語。面白いけれど、虚しさを感じる物語でもあります。それが歴史のリアル、なのかもしれませんが。