入江喜和のレビュー一覧

  • みっしょん!!(6)

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    ネタバレ


    最終巻

    終わってしまって哀しいけれど、まずはこの漫画を描いてくれてありがとう。読ませてくれて本当にありがとう。

    『たそがれたかこ』で出会い、『ゆりあ先生』で真にハマって、『おかめ日和』や絶版の『のんちゃんのり弁』まで買い漁るほどに好きな漫画家になった頃にちょうど連載が始まったのが『みっしょん!!』だった。
    中年女性がMT車免許を取るために奮闘する、というバズる要素皆無なこのマンガが自分には奇跡のように好みドンピシャで、毎巻楽しみに、楽しんで読んできた。

    前巻のあとがきにて、次で最終巻だと告げられてショックを受けるとともに、そりゃこの内容じゃ打ち切りでも仕方ないか……でももっと長く続くように読み支えてあげられなくて申し訳ない、と一読者の分不相応ながら思ったりもした。

    そうして読んだこの最終巻。
    物語としては、やや駆け足ながらも最大限に前向きに綺麗にまとめてくれて万感の想いで読み終えた。

    そして最終ページ見開きにある作者あとがき(「おばちゃんのよしなしごと」)。
    それを読んで、そういうことだったのか、これは長く続けられればいいとか、そういう類の作品ではなかったのだと知った。
    読者に人気が出るとかどうこうの前に、作者がどうしても自分の人生のなかで書かなければいけなかった作品を、わたしはこの4年間、読ませてもらっていたのだと。
    だから、こう言ってしまうのは不謹慎なのかもしれないが、わたしは今とても晴れやかな気持ちでいる。自分のかわいい車で外の世界へ走り出した未知さんのように。
    この漫画は惜しまれつつ終わってしまった傑作ではなくて、こうでしかないやり方で描かれ切った傑作なのだと、自分のなかで整理することができたから。
    物語外の文脈を持ち込むのはあまり好きではないけれど、この作品にはそうせざるを得ない。

    生きて年を重ねていく度に、人生から絞り出すようにして豊かな漫画を書き継いでくれている作家なので、次の作品も楽しみで仕方がない。

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    2026年08月14日
  • ゆりあ先生の赤い糸(11)

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    常識を振りかざした刃みたいな現代では叩かれまくりそうな事が次々起こるのに、なぜか登場人物に共感し温かい気持ちになってしまうのは登場人物がリアルで心理描写が丁寧に描かれているからだと思う。

    男女の垣根も社会問題も笑いと力強い愛で飛び超えていく新しい家族観マンガだと思った。

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    2025年09月04日
  • のんちゃんのり弁(2)

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    ネタバレ

    なんだこれ…… ちょっとすごすぎる。ヤバすぎる。この2巻からようやく話が動いてきたと思ったら、とんでもない振れ幅とスピードで展開している。それでいて、どこまでも下町を舞台にして地に足がついたホームドラマであることに変わりない。すさまじいとしか言いようがない。夫は本当にヤバい酷い男だが、若気の至りでくっついちゃうのもわかるのがまた生々しくて憎らしい。小巻を応援せざるをえない。

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    2025年05月24日
  • みっしょん!!(4)

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    ネタバレ



    最新4巻を読むため、3巻から復習
    何度読んでもボロ泣きしちゃう。
    入江喜和、貴方の漫画がいっちゃん好きや……

    4巻
    うお〜〜!!! 35周年記念の過去作キャラ大集合短編、『たそがれたかこ』の娘・一花が成人した姿でもう泣いてしまった。元気そうで本当になにより。出演は[おかめ日和]以降で、のんちゃんのり弁とか肴なんとか〜は出ないんだーと思ったけど、そうか、BE・LOVE移籍後の作品のみってことか。

    令和の鬼教官の説教に、未知は惚れて、若者には通じないのクソわろた。
    ずっと笑いながら涙を流しながら読んでいる。

    未知の息子・祥太郎の女装はそういう理由だったのか…… トランスジェンダーではないっぽい? シスヘテロだった。中学の保健室登校仲間と大人になってから再会して恋に落ちるとかめちゃくちゃキュンだが…… ジョセフィーヌとレダ先輩……
    これはどんどん登場人物が増えていきそうな気配。

    うおお ホームコメディや…… 祥ちゃん良かったね……頑張ったね……
    祥太郎の恋という脇道に逸れたかと思いきや、夫との絆の再確認や、MT教習みきわめへのモチベupなど、本道にもしっかり繋がっていく脚本がプロの業すぎる。
    にしてもあの格好で「おとなしめ」ってすごいな、「毒創」ファッション…… 周りの大人が下手にツッコまずに受け入れるのも素敵

    読み終わっちゃったー…… 神の漫画 いちばん好きな現行連載作
    木津朝子センセーとだいぶ仲良くなったな。遠慮せずに叱られたりツッコまれたり出来る仲になった。料理や子守りが苦手という弱み・可愛げまで出してきて、ほんといいキャラしてる。朝子狙いのライバル?であるモモカの存在も良い。子持ち/孫持ち女性たちの三角関係。
    朝子への恋心を認めて夫に自白したとはいえ、今のところはまだガッツリ不倫で離婚とかそういう感じではなさそう。もちろん同性愛差別がここに絡んでるわけだけど、朝子さんは現状亡き夫LOVEのヘテロだろうし……
    夫の22歳のお笑い作家志望の若い女性との関係はマジで単なる友達なのか。狙ってはいなさそうだけど、入江作品だと歳下側からグイグイくるパターンがあるのでまだ油断できない。そこは少女マンガのファンタジーなので。
    妹の知世と居候の朝生の関係はまだ進展していない。普通に部屋に入れて雑談する仲ではある。祥太郎とレダ先輩の件がいったん進んだので、次巻はこっちにフォーカスしそうだと予想。


    そういえば、朝子さんって、家事能力の有無は対照的だけど見た目と性格の雰囲気だけなら「ゆりあ先生の赤い糸」のゆりあ先生っぽいよなぁ。
    つまり、前作の圧倒的な主人公を今度は憧れの対象として、前々作「たそがれたかこ」のたかこっぽい地味な中年女性イオリン(未知)に燃えるような恋をさせていると言えそうなのか。
    「たそがれたかこ」と「ゆりあ先生」を合体させてリブートしたような。
    たかこの人生を輝かせる中年からの趣味=ライブ要素に相当するのが未知のMT車であり、長年連れ添ってきた夫との関係を見直して自身も不倫?に邁進していくのは完全にゆりあ先生を引き継いでいる。
    そして高齢の母の自宅介護は3作共通という十八番っぷり。十八番じゃなくて、これが著者の当たり前の現実。

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    2025年05月20日
  • ゆりあ先生の赤い糸(3)

    REO

    無料版購入済み

    ゆりあさん、旦那さんが倒れるまで全く彼氏や彼女の存在に気が付かなかったのはふしぎですね。しかも人が良すぎてこの先が不安すぎる。

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    2025年04月25日
  • ゆりあ先生の赤い糸(2)

    REO

    無料版購入済み

    男性の愛人と隠し子以外は現実味がありますね。施設に入れたくても向こうの家族は反対する。かと言って率先した手伝いはしない。

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    2025年04月25日
  • ゆりあ先生の赤い糸(1)

    REO

    無料版購入済み

    バレエの話からいきなり50歳まで話が飛んだのは驚きました。その後の旦那さんの彼との展開。この先、意識は戻るのでしょうか。

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    2025年04月25日
  • BE・LOVE 2025年1月号 [2024年11月29日発売]

    ネタバレ 購入済み

    エモい

    星ニナ目当てで初めて購入しました。アンちゃん視点の皆の話とても良かったです。セト不足も補えたし、ヨルアンも、応援したくなるし、早くセト帰ってきて欲しいです。

    #胸キュン #アツい #ほのぼの

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    2024年11月29日
  • みっしょん!!(3)

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    ネタバレ


    また木津センセー引きかよッ!!! 続きが〜楽しみすぎる〜〜〜!!

    本巻もめっちゃ面白かった! やっぱり自分はこういうのがいっちゃん好きや…… 入江喜和最高……
    平々凡々で地味なワタシがなんやかんやで運命の出会いをして人生が転がり出し……!?という、紛れもなく《少女漫画》のコアを突いていて、本当に楽しい。

    若者(少女)を主人公にしていると大抵は「美少女」として見栄え良く描かれるため、2次元キャラオタクのヘテロ男性たるじぶんは彼女らをどうしても萌え的/ポルノ的に消費してしまう。
    でも、そうして主人公キャラを強く客体的に見てしまうのは、主人公に自己投影・感情移入しながら波瀾万丈な物語を楽しんでいく少女漫画の王道の読み方にとっては都合が悪い。
    そこで、入江喜和作品のような、しっかり老いているデザインの中年女性を主人公に据えて、本質的には少女漫画のおはなしをやってくれる漫画は、自分の《少女漫画》の最適解だと感じる。
    未知さんのことを、心から応援できるもんな

    未知さんは、ゆりあ先生ほどじゃないけれど、たかこさんよりはバイタリティのある苦労人で、だからこそよりリアルに、彼女の現在の生活状況の大変さが生々しく伝わってきて、苦しい。この苦しさを味わえている時点で私にとってこの漫画は傑作だ。

    認知症で要介護のお母さんの造形がまたなぁ〜 ほんっと絶妙なんだよな〜〜
    母を初めてデイサービスのショートステイに一泊させて、久々に家でひとりでゆっくりできる一夜なのに、未知さんが母への罪悪感でけっきょくあまり寝られないのとか、描いていることが凄すぎて…… 泣きながら、一人暮らししてる娘に電話しちゃうのとか、マジで胸に来るよ。未知さん、貴方は頑張りすぎなくらい頑張ってるよ。

    と、こうして未知さんの置かれた環境のツラさが身に染みれば染みるほど、このマンガの本筋である「中年からのMT免許取得」という夢に向かう未知さんをより深く応援できる構造になっているのがまた素晴らしい。あなたは「家」に、「家庭」や「家族」に縛られなくていい。もっと自由に、自分の車に乗って好きなところへ出掛けて楽しんでいいんだ。もう折り返しているであろう、ここからの人生の旅路を。


    そして未知の「運命の人」こと木津朝子センセー…… 何歳なんだろうな。50はいってる? 年上の可能性もあるのか。
    めちゃくちゃカッコいい。カリスマ性があるのは一目見てわかるデザインだけれど、それでもしっかりと老いた中年キャラなのがまた良い。
    木津さんのジェンダーがまだわからないけれど、「女性」なのだとしたら、女性が女性と運命の出会いをする、まごうことなき中年百合ということになる……!(恋愛にたとえならなくても、現時点ですでに百合だろう。) 入江喜和がガッツリ百合要素を扱うのたぶん初めてだよな。ゲイ・BLはあったけど。

    志村貴子『大人になっても』のような社会人大人百合マンガめいてきたが、志村貴子はなんやかんやで描くキャラはみんな美しく綺麗な造形をしている(そこが明確な作家としての魅力である)。
    いっぽうこちらは更に年長の中年百合だし、少なくとも一方は子供もいる。設定だけでなく、キャラデザもしっかり「中年」の生々しい老いを描こうとしているのがまた素晴らしい。だからこそ、木津さんに思い切って「約束」を宣言するときの未知さんの顔がやや若返って見えるようなのがまたグッと来る。
    中年・老年百合マンガといえば『マダムたちのルームシェア』も好きだけれど、あちらのキャラデザはかなりキャラクターチックにデフォルメを効かせている(のが魅力)。どれもそれぞれに良い上で、私は入江喜和の描く、真に「中年」を自分ごととして引き受けながら《少女漫画》を諦めない漫画がいちばん好き。

    木津さん、シュッとしてるけどめっちゃフランクで人当たりの良い人で、読んでるこちらも「好き〜〜〜♡」ってなった。未知を敵視する、朝子ラブな若い女性は現段階ではちょっと雑な「若い女性」のステロタイプ過ぎてあれなので、ここから関係が変わって掘り下げられることに期待。

    しばしば家を空ける夫の不倫疑惑もどうなるんだろうな。目撃した時には思わず「いつもの、キタァーーー!!」と笑ってしまったが……
    入江喜和って、長年結婚生活をともにしてきた伴侶(夫)にも、自分ではない別の大切な人がいる(ことに思い悩む中年女性)……を描くのが本当に好きなんだなぁ。これが、「運命のふたり」という少女漫画ロマンスを解体しながら再構築することに寄与しているので、良いと思う。寝取られ性癖と似たものを感じる。
    それに、主人公側も運命の出会いを描くために、自分だけそれが赦されるのはアンフェアなので……という面もあるだろう。ひとつの都合のいい言い訳といえばそうだけど。(『大人になっても』で元夫側にもまた結婚を検討できるお相手が見つかったような)


    本巻では介護として80代?の母のお風呂シーンと、未知自身のシャワーシーンが描かれた。入江喜和の描く、こういう中年以上の女性キャラの裸がとても好き。まったくポルノ的な興奮を呼び起こさないから。ただそこにある生身の人間、としての裸。消費対象ではなく、確かに生きている存在。
    でもゆりあ先生のはエロティックだったような気もする。たかこも……?


    あと、単行本の裏表紙カバー裏の作者コメントも良かった。作者は免許を無事に3年前に取得してはいるものの、あまりドライバー趣味を謳歌できておらず、もう車売っちゃおうかなと思っているが、この漫画を描いている限りは諦めないようにしようと自らを励ましている、と。
    つまり、この漫画は、作者がすでに過去に達成したことを振り返りながら自伝的に描いているだけでなく、免許を取って自分の車を手に入れた “その先” までをも射程に入れて、作者の現在と将来をも探りながら鼓舞しながら進んでいる何重にも自伝的なフィクションである、ということだから。
    なので、未知さんが無事に免許取得して車に乗れるようになったところで終わってほしくはない。そのあとの人生をどう謳歌するかが肝心なのだから。


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    2024年11月14日
  • みっしょん!!(2)

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    ネタバレ


    24/9/26(木)

    うお〜いい引き! 続き気になる〜〜‼︎

    認知症の母の介護と、自動車教習という要素がまさかの「認知」によって繋がるとはたまげたね。

    「似たヤツ見つけるの好き」な未知さん好き
    家でお手製のMT教習キット作っちゃうの凄過ぎ。『かいけつゾロリ』の発明品見開きページかと思ったら。

    50歳の妹さんの行く末も応援したくなっちゃう
    子供の頃からきょうだいで自分だけ親に疎まれるの可哀想すぎる。

    主人公の心に火がつくのを待って「毎日の生活をただただ描く」のは地味ながらほとんどの人にはできない離れ業だろう。(作者ブログ参照)

    元不登校の息子・祥太郎くんはたぶんそうなんだろうなと察していたが、やはり「女装」することがあるようだ。

    パイカル先生ともこれから色々ありそうだし、木津先生はもちろん楽しみだし、こっからどうなっていくのかまったく未知数でワクワクが止まらない!


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    2024年09月26日
  • みっしょん!!(1)

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    ネタバレ


    24/9/26(木)

    『たそがれたかこ』、『ゆりあ先生の赤い糸』と読んできて、どれも40後半〜50代の中年女性を主人公にした話だったわけだが、今回の新連載もそこは順当に変わらず作者と共に歳を取って、54歳の既婚女性の物語であるようだ。
    そんな本作の主人公、庵未知(いおり みち)は親から継いだ町の小さな書店を経営しており、その2, 3階が自分たち夫婦と老いた母、妹ら家族の住まう住宅となっており、そこに他の人物が引っ越してくるところから物語が転がり始める──やはり今作も「長屋モノ」のようだ。

    毎日ただただ何とか生活を繋ぐ日常に押しつぶされそうになった主人公が、生きる糧として新たな趣味、「好き」を見つける……という筋書きも『たかこ』とほぼ同型だが、若手バンドマンに惚れるたかこに対して、今作の主人公が挑戦するのはMT自動車に乗るために運転免許を取ること──という、ついぞここまできたか、と呆れてしまうほどに地味なもの。高齢女性が映画制作を始めるとかBLにハマるとか、巷にはそういう「引き」のある話題作のマンガが溢れているなかで、入江喜和だけが、ひたすら自分の身の回りの生活に根差した、どこまでも地に足のついた物語を練り上げている。この覚悟の決まり方に震えるほかない。

    運転免許。そう振り返れば、確かに『たかこ』では徒歩orチャリで移動していた(ライブには電車やバス)し、『ゆりあ先生』はタクシーを使っていた印象が強い(財力……)。これまでの入江作品で、自分の車を当たり前に乗りこなす中年女性主人公はいなかったように思う。『おかめ日和』などの過去作は未読なので分からないが。
    「自分の足」という言い回しがされるように、免許を取って車を持つことは、日常の生活範囲を拡大するということだ。妙齢の人間の生々しい生活/人生のスケッチを描いてきた作者が、ここにきて運転免許取得を主題に一本の連載を始める、というのは、案外納得できるものだった。(無論、おそらく作者が実際に免許取得をした経験に基づいているのだろうな……とは思う→「あとがき」が答え合わせ♪)

    86歳で手のかかる鬱陶しい母の造形はまんま『たかこ』のサヨちゃんの変奏だ。認知症が進んでる分より大変かつ「鬱陶し」がることに引け目を覚えるという点でも一層未知(娘)の負担が大きい。
    不登校経験のある子供(息子)は『たかこ』の一花の延長上、という感じもする。独身で実家に居着いている妹へもうまい具合に要素が分け与えられている。
    夜によく家を空ける夫……は『ゆりあ先生』の夫と近しいものを感じてしまう。
    未知が車に惚れるきっかけとなった、赤いポルシェに乗って浮世離れした見た目の妙齢女性キャラは、『たかこ』における美馬さん、『ゆりあ先生』におけるヤナイリクのような格好良さで、つくづくこういう感じの人に憧れがあるのだなぁとわかる。


    1巻をかけて、ようやく未知が運転免許実習を開始したところから始まる。1話冒頭を除いて、まだ車に乗ってすらいない。とんでもないスロースターターだが、それもまたマニュアル車のクラッチペダルを操作しての難しい発進に掛かっているのだろう(テキトー)。
    しかし、MT免許を50代で取るのがいかに難しいかが生々しく描かれるので、未知にとってはまさにこの上ないチャレンジングな高峰として聳え立つことがありありと伝わる。「地味」とか言ったけど、とんでもない。これはこれで、少年が大海原に漕ぎ出すのとまったく変わらない、マンガにする価値のある大冒険なのだ、ということが十分な説得力をもって表現されている時点で、すでにこの作品は傑作と言って良い。


    この1巻だけでもう登場人物の人間関係が収集つかなくなっており、キャラ総まとめの家系図がほしい。

    未知の妹・千世(50)と、義姉の息子・ともき(38)が何やらいいカンジの雰囲気を漂わせているが、今作は主人公の恋愛要素はないのだろうか。また夫が外で不倫している? 「ポルシェの妖精」のキャラがめちゃくちゃ良いので、そことの関係が今後大きく扱われてほしいが、恋愛まで行くとなると同性愛をやることになり、そこまで背負いきれるのか…?でもやってくれたら最高だな……というアンビバレントな気持ち。



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    2024年09月26日
  • たそがれたかこ(10)

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    ネタバレ


    ※注意 『ゆりあ先生の赤い糸』のネタバレも含みます!!!


    24/9/25(水)
    次作『ゆりあ先生の赤い糸』を一気読みしたことで、やっぱり入江喜和 最高だ〜〜!となったので、数年ぶりに読み返した(2回目)。

    こちらも最高でした。『ゆりあ先生』が1巻からフルスロットルで飛ばしていく超エンタメ性の高い物語であるのに対して、この『たかこ』はより静かな立ち上がりで、ひとりの中年女性の ”たそがれ” の日々、生活を丁寧に描いている。
    この雰囲気の差は、おそらく両作品の主人公の性格の違いにも起因しているだろう。『たかこ』を読んだあとに思い返してみれば、ゆりあ先生の度量の大きさ、懐の深さといったら半端ない。超人である。一方たかこは、終盤でようやく明かされる離婚のきっかけにしろ、ほんとうに「大人」らしくなく、「ダメ」なオトナであるが、それゆえに自分のような人間はものすごく共感を覚えて、たかこ、頑張れ!!(いや、頑張らなくていいから幸せに生きていてくれ!)と応援したくなってしまう。(応援したくなるのはゆりあ先生も同じだけど) 45歳と50歳、どちらも連載当時の作者の実年齢におよそ寄り沿った中年女性のキャラクターといえど、これだけ両極端な人物を主人公に据えて、いずれも傑作の長編漫画を走り切ってしまうところに、入江喜和の凄さを感じる。

    たかことゆりあ先生の違い(ひいては両作の違い)として他に挙げておきたいのは「子ども(出産経験)」と「閉経」、それから「離婚」の有無である。
    たかこはひとり娘を産んでいて夫とは離婚済みの状態から物語が始まる。作中で何度か生理のシーンがあるように、まだ閉経はしていない。
    他方ゆりあ先生は閉経してしばらく経つと最序盤で言及される。子どもがほしかったがついぞ妊娠は出来ず、それを受け入れてきた時点から話がスタートする。夫との離婚などまったく考えたこともない地点から、とんでもないところまで連れて行かれる物語である。
    (ただ要素の差異を並べただけです。特に深い意味はありません…)

    また、『ゆりあ先生』を読んでいて、登場人物のなかで、少女マンガや他の大抵のマンガで主人公になりがちな、ティーンエイジャー(中高生)のキャラだけが綺麗に欠落しているなぁと思っていたのだが、それは前作『たかこ』で、娘・一花や、「好きな子」オーミといった中学生の子供たち(に対する中年女性の葛藤)をここまで克明に描いたからなのかもしれない、と今回再読して思った。

    ここだけの話、一花というキャラすら完全に忘れてしまっていたので、久しぶりに会って、あ〜〜〜〜いたな〜〜〜〜この子!!!と、なんだかとても懐かしく、再会しただけで泣きたくなった。


    『ゆりあ先生』との比較ばかりで申し訳ないが、『たかこ』もどちらも「長屋モノ」じゃん!!と気付いた。主人公が住むひとつの家/アパートを舞台にして、そこに集ったり移り住んだりする様々な人々との交流を、一種のコメディ(喜劇)として仕立て上げるのが本当にうまい。長屋モノ漫画の系譜として、『ハチクロ』とか『めぞん一刻』とかも読んだほうがいいんだろうな……


    また、今回読んで特に重要だと感じたキャラクターは、たかこの母・小夜子である。このばあちゃん、たかこに寄り添って読み進めていくと、ほんっっっとうにお喋りで鬱陶しく、そういう意味で「イヤな」人物ではある。しかし、たかこが一花やナスティやオーミ等のこと(本筋)に思い悩みながら家にいるときに、この母がひたすら「今日の晩ご飯は…」とか「ほんと寒いわねぇ」とか「あんたその髪恥ずかしい」などと、たかこの気持ちを一切考えずに自分勝手に生活の些事をまくしたてるフキダシでページが埋め尽くされていることが、結果的に、「生活」と「人生」を描いたマンガとしての本作の厚み、説得力を増していると思うのだ。いまだに精神が中2なたかこは、すぐに恋だなんだとフワフワ夢見て宙に浮いたり、一花のことや自分のことで深く落ち込んで鬱々としたりと、とにかく「地面」=ベースラインから上下してばかりいる。そういう人間だからこそ主人公たりうる作品なのだけれど、そこでたかこに(ウザがられながらも)常に世俗の現実を、還らなければならない「日常」を頼んでもないのに提供し続けてくれる「サヨちゃん」こそが、この漫画を、たかこを、根底で支えているのではないか。
    先述の「地面」の比喩は、作中ではたかこが女・一花に使っており、もちろんその喩えは間違っていないし、たいへんに感動的で大好きなシーンではあるのだが、実際には、一花よりもさらに、この漫画にとって重要な「地面」は、憎まれ役のお母さんだと思う。
    このサヨちゃん、読んでいて本当に鬱陶しいキャラなんだけど、丸っこくて小さくていつもニコニコしていて、絶妙な可愛さ・可愛げがあるのが良い。次作『ゆりあ先生』での憎まれ役キャラといえばあの義妹だと思うが、彼女よりもよほどサヨちゃんはまだ親しみが持てる。(これは無論、逆に言えば、入江喜和は次作でさらに扱いが難しい「イヤなひと」を出すという挑戦をやってのけている、ということであり、流石である。)
    (サヨちゃんポジション、『ゆりあ先生』では義妹ではなく母では?とも思うが、あのお母さんはちょっと人見知りなだけで、サヨちゃんほど鬱陶しくもなんともないのでノーカンとした。)



    不登校・引きこもり要素にひじょーに弱いため、一花が出てくるだけで泣いてしまう。特に、摂食障害を患っているので、登場するだけでその体型が目について、比喩でなく「見るだけで泣いてしまう」。

    また、たかこが一花のことを本気で想って寄り添おうとして、なかなかうまくいかないで思い悩むさまが本当に胸にきた。けっきょく、母の子への無償の愛情という、どストレートな要素に弱い自分を再発見する。

    子供が何か辛い状況でもがいて苦しんでいるときに、親が一緒に思い悩み過ぎてふたりして暗くなっていくのではなく、まずは親が「好き」なことを全力でやって人生を楽しむことで、そんな親の姿を見た子供にいい影響が与えられる(かもしれない)という論法は、その実際性はわからないが、直感的に納得感は高いし、そういう物語としてとても自然に受け入れることが出来た。


    『たそがれたかこ』は、自分の人間性や仕事や家庭(母)、娘のことに悩むたかこが、いくつかの逃避先・リフレッシュ先を見つけていく話とも言える。美馬さんのお店、ナスティインコ谷在家光一(毎週のラジオ、CD、ライブなど)、光一似の近所の中学生オーミ(への恋)、そしてギター…… これらのいずれかの事でネガティブな出来事に遭っても、気晴らしとして別の「好き」に逃げ込んでリフレッシュすることで、なんとか生活をやっていくさまが繰り返し描かれる。もちろん、一花や母、パート先だって場合によってはたかこの心を癒す先になり得る。
    「自立とは何にも依存していない状況のことではなく、依存先をたくさん持っている状態のこと」だとはよく言われるが、入江喜和のマンガも、これと似たようなテーゼ・構造のもとで駆動していると思う。
    『ゆりあ先生』も同じで、寝たきりの夫の看病や、夫の不倫相手との関係で悩んだときに、特技にして趣味の裁縫(赤い糸)や、若い男とのロマンスや、幼い頃以来に再び通い始めるバレエ教室などなど、ゆりあ先生はその大変過ぎる状況で、次々とリフレッシュ先を増やすことでなんとか乗り切っていく。こうしてみると、たかことゆりあ先生にだいぶ共通点が見出せてくる。『ゆりあ先生』がすごいのは、そうして次々と逃避先・リフレッシュ先を見つけていったのちに、最終的に辿り着くのが、夫の不倫を通じて知り合った人々との「縁=赤い糸」ということで、ようは人生で運命的に関わり合った「人」みんなを依存先として肯定する……という離れ技をやっているところである。ゆりあ先生は本当に懐が広く、あの家は本当に間取りが広い。


    『たかこ』もあのボロい安アパートを舞台とした長屋モノである一方で、一花とふたりで隅田川沿いを散歩したり、橋を渡ったり、ナスティのライブ会場までガラケーで頑張って行き先を調べて向かったり、一花の通える病院を探したり、通院の帰り道でふと雰囲気のいい広場と建物に誘い込まれたり……と、たかこの住む東京の風景の広がりもまた大きな魅力であることは間違いない。「不登校」の子供やその親にとって、学校へ向かう道やその帰り路、病院までの行き帰りの道などは、それだけで単なる「ルート」ではなく、とてつもなく重く大きな迫力をもっているものである。そんな「道」の意味を、そこを共に歩く者たちの人生の一瞬を、確かに紙の上に映し取って描き切ってくれた作品だと感じる。



    そして、最終巻でたかこが行う例のとんでもない行為に関してだが…… まず、再読するまで、この展開もすっかり忘れていたことは書き添えておく。自分にとっては、一度読んだら二度と忘れられないくらい衝撃的なものではなかったようだ。
    で、今回読んでも、やっぱり、わりかしすんなり受け入れられたというか、そりゃそうなりもするかぁ、といった感じで、特に強い拒絶感を抱くことはなかった。それはやはり、10巻ぶんも長い旅路を共有してきたわけで、主人公たかこにかなり感情移入し自己同一化を進めていたから、というのが大きいだろう。
    が、それだけでなく、年齢に関係なく「好き」という気持ちを肯定するのが主題の漫画としてみても、また、世間ではキモいとかダサいとか思われるかもしれないことを敢えて突き付けていくパンクな中年女性を主人公にした物語としても、あの告白は必要で必然だったように思う。「倫理」を超えていけ。たかこが社会通念に沿ったまともな大人なんかじゃないことはそれまでにも十分描いてきているわけで、最後に、明らかに「アウト」な行為をやってのけることは、この物語を終わらせるためにはそれ以外あり得なかった。
    それに、「好き」という純粋無垢な気持ちが他者にもたらす暴力性、というテーマは非常に自分好みでもある。自分の暴力性と罪を自覚した上で、その刀で相手を切り捨てる主人公が好きだ。インディーゲーム『雪子の国』とかも同様。
    この『たかこ』での挑戦の延長上に『ゆりあ先生』での多重不倫ストーリーがあると思うと、やはり入江喜和の覚悟の決まりようが恐ろしいほどにカッコよく感じる。と同時に、それでも実際の賛否両論ぐあいで言ったら、『ゆりあ先生』での不倫要素よりも、『たかこ』での告白展開であろうから、まことに「倫理」とは不安定で不明瞭でおもしろいものである。『たかこ』のほうが尖っているまである。

    もちろん、その告白が実るはずもなく、あのような形になったところまで含めて良かった。あの戸惑いと怒りの表情だけで、なにも言葉による反応を得られていないところが素晴らしい。どこまでも一方的な言葉。

    これが男女逆でも同じように受け入れられたかは分からない。かなり拒否反応を示す気がする。
    その非対称性はもちろん倫理的に「間違っている」んだけど、そういう間違いを内にたくさん抱えているからこそ人間はおもしろいし、物語を読む意味があるのだと思う。

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    2024年09月25日
  • ゆりあ先生の赤い糸(10)

    ネタバレ 購入済み

    元嫁との対峙、リクの暴走!

    最終巻まで人間関係詰め込みまくって見せてくれて、皿まで食うゆりあさん最高です
    まさかのコロナ禍を描いてのフィナーレは泣いてしまうほどよかった

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(9)

    購入済み

    作者様おめでとうございます!

    講談社漫画賞総合部門、堂々受賞
    こんなにも新しい人間ドラマをしっかり描いてくれたこその当然の受賞ですよね

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(8)

    購入済み

    伴ちゃんの父親まで

    めんどうくさい人間関係のオンパレード!
    年下の子持ち彼氏の父親と対面することなんて想像したくない
    あと女が年上だったらなにが悪いんだ怒

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(7)

    購入済み

    またまた表紙がいい

    まにとゆりあさんとバレエの表紙
    泣けてくるほどいい
    バレエを再開したゆりあさんほんとうにパワーある、がんばれ!

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(6)

    購入済み

    表紙いい

    ゆりあとみちるの関係性とてもいい
    みちるにしなやかでしたたかな振る舞いを見せられて驚かされ魅せられてしまう読者も多いのではないだろうか

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(5)

    購入済み

    表紙がいいね

    「いい年して色恋に」みたいなたしなめはいらない
    ゆりあさんは胸を張って生きているし、伴ちゃんはそんな彼女を求めているのだ

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(4)

    購入済み

    ゆりあ、りく、みちるの三つ巴?

    かと思いきや、そうはならないのが作者の話作りのうまさです
    ゆりあとみちるのシスターフッドエピソードに期待

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    2024年04月06日
  • ゆりあ先生の赤い糸(3)

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    不倫されるよりきついかも

    夫が家庭外で家族ごっこしてるなんて、妻の立場ならはらわたが煮えくり返りそう
    子どもふたりに罪はなくて、大人が力になってやりたくなる気持ちはわかるんだけども無理だよゴロさんよ

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    2024年04月06日