岩岡ヒサエのレビュー一覧
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購入済み
ほのぼのほっこり、そして泣ける
丁寧にロボットと孤独な単身者のどこかぎこちない交流が描かれていて、ほのぼのしたり、クスッとしたり、じんわり心に染みて考えさせられます。ロボットの笑顔に癒されました。
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森を守る一族の一人に生まれた男の子(蒼一)と、風(科子)の物語である。そもそも存在する次元が異なる二人。蒼一は科子が訪ねてくれるのを待つ、と言う事で人間界からはみ出してしまう。科子も蒼一に会いたいと思ってしまった為に同族である野分の孤独に気付かなかった。
岩岡ヒサエ作品は絵柄のタッチの印象が強く、ほんわかしたファンタジー色だけで語られている様に見えるが、反対に絵のシンプルな丁寧さに呼応し、エゴがむき出しのまま描かれている。独善的な想いが「在り」、それが誰かと関わる事、原色(他に冒されてないそのまんまの姿)に「白)が混じってパステルカラーになる、その時に優しさや癒しやほんわかしたものが生まれるが、それまでは原色に原色を塗り固めたり、原色に黒が混じってひたすら黒に近付いて行く…そう言う怖さも描かれている。
一口に言ってしまうと、ファンタジーおとぎ話だ。想いが全て尊い訳ではなく、時に悪いものを呼び寄せてしまう事もある。蒼一と科子が互いを離れがたいモノと思い続けた為に言霊のように何かが宿り、森に凝縮させてしまったとも取れる。しかし最後に蒼一はその自分の想いよりも自分と同じ様に孤独を抱えて凝り固まっていたモノに寄り添う事を選んだ。だからこそ、何の効力もなかったスタンプカードにも想いが宿っていたのだ。
想う事は怖さもはらんでいる。だが、想い続ける事で叶う事もある… -
Posted by ブクログ
ミツの寝言…「もう拭けません!!から始まり(笑)1級試験を受けなければいけない、と言う事で「勉強」をしたミツ。自分の仕事に対してプロ意識が芽生え始め、影山がどんなものを使って仕事をしているのか気になってしょうがないミツ。「仕事」が「職業」になる瞬間がきちんと描かれている。職場に目標になる人間がいる、と言うのは本当に幸せな事なんだよなぁ。
放置されていた人工衛星の人工知能「朔」と真の話…泣けるなぁ。やっと来た指令が…(泣)ミツを嫌っている真と窓拭きしてる最中に通信機に混戦した電波が入る、サクと名乗るその声は「指令」をずっと待っていると言う。ミツは宇宙人と交信したかも、と思っているが、真はその声が「指令が来た」と言った時に声の正体を知る。知った事で、真はミツに対しての自分の腹立ちと、腹立ちを覚える事で(ちゃんと理由はある。真はタマチの為に怒っている)自分の方が仲間から離れていたこと、どうやっても一人で生きている訳じゃない事に気付き、「指令が来た」と喜ぶサクの最期の姿を見て、多分この世で一人「サク」の為に泣いてる…「サク」とは、打ち上げられたはいいが人工知能とコンタクトが取れず、放置状態になっていた衛星である…「朔(サク)」は打ち上げられてからずっと、宇宙空間の中でたった一人「指令が来る」のを待っていた。やっと来た指令は「使い物にならない人工衛星」を地球に落としてしまう事だった…泣ける…ずーっと、指令を待ってるんだよ…感情がない人工知能の無心が故の悲しさがこの一話に詰まっている。この33話だけでも、アンドロイドと人間もの好きな人は読んで欲しい。地球から宇宙に出ていく話は数あれど、地球に降り立つのが夢、と言うお話でもある。イルクラとか好きな人は読んで欲しいよ、マジで。真の頑なさ、タマチの代わりに怒ってる姿とか凄い解る。タマチの辛さをみんなが忘れてるのに腹立ってるんだよな、自分の為じゃなく。ミツが無条件でみんなに受け入れられてるのに腹立つ気持ちも凄い解る。ミツの努力を認めたくない気持ちも分かる。つまり、どちら側にもちゃんと「自分」があるんだよ。1話分、おもいっくそネタバレ気味に書いてしまったが、1話分くらいネタばれたって、土星マンションと言う作品の一部でしかない、と思って書いちゃったけど…。
私が人工知能ものに惹かれるのは、やっぱ人間が辛い・悲しい目に遭うのは「感情」があるからだと思ってるからだろうなぁ。感情を交えず物事を判断できればもっと楽に生きられるのに、って無責任に考えてしまうからだろう。逆に曖昧模糊としたものが理解できなければ「美」は解らないだろうなとも思う。 -
Posted by ブクログ
父親の子供だからみんなが面倒見てくれるんだ、と思い込んでいるミツに影山が言う「未熟な分 失敗するようにできてるから。」って言葉が出せる大人でありたい。
テーブルとソファの間の狭い所が好きなミツ…不憫だ…(笑)そうか、不憫可愛いんだよ、ミツ!!15、6歳なのに丁寧語喋りだし、天涯孤独の少年だし…でも湿っぽくもやさぐれてもいない。ミツの父親が事故った時に一緒に仕事していたタマチが気になる…繊細なんだか、卵が異常に好きな単細胞ぷりとか、なんか色々興味深いな(笑)太陽光に当たらない生活してると免疫不全症になる、とか、やっぱそうなんだー、と思ったり。ガチSFの様に科学を振りかざしたりしないが、そう言う世界で生きるしかなくなった人間の地道な生活が描かれてある。やたら深刻ぶらない、それが生活だから。 -
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地球が全て保護区とされ、上空35000mの上空にまるで土星のリングの様に浮いているリングシステムのマンション建造物の中で人類は暮らしている、と言う設定。居住区の窓拭きを依頼されて窓を拭く組合員のお話。上層・中層・下層と言う生活水準が分けられた世界。
主人公ミツは、中学卒業と同時に父親と同じ窓を拭く仕事に就く。いい子なんだけど父親の失踪?死?が引っ掛かってて妙に大人びて冷めてるミツ…地球に降りられなくなって、地球の周りにあるリングの中で生活する彼ら。下層部の窓は磨かれない、いつも曇っている。中学卒業と同時に窓拭きの仕事をする少年…父の事故死?に疑惑が拭えなかったせいで、出来すぎなくらい聞き分けのいい子なんだけど、そこだけが引っ掛かって父親に対して内心では冷めた感覚を持っているんだけど、それが1話で払しょくされる瞬間のミツの姿勢がぁ…いじらしすぎる。
父親亡き後、周囲の好意と親切でたった一人で生きているミツ。父親と同じ仕事をしている頑固職人タイプの仁さん、ミツの隣に住んでいて食事の面倒をみていた影山夫婦、ミツを慈しむ人間の中に羨んで意地悪する真のような存在も描かれている。ほのぼのとした、と言う印象の強い絵柄だが、当たり障りのいい「良い話」だけしか描かれていない訳ではない。父の事故の真相が解るまで、ミツは父のミスを責め、父に対して猜疑心を持っていた。表向きは人当たりの良い物分りの良い子供だが、その部分には誰にも立ち入らせない意固地さも持っている。ほのぼのとした人情もの・ハートフルな雰囲気の中に突然非日常的に突飛な悪意、と言うのを描かれると「気持ち悪さ」が先に来るんだが、土星マンションの真がミツに向ける悪意には説得力がちゃんとあるので、これからミツがどう向き合っていくのかが興味深い。
ガチSFではないが、こういう未来に人々が地道に生活して仕事して生きている、と言う感覚は物凄く好きだ!!
地上に行ってみたいと父アキが言っていたことで、父の事故を単なる事故ではなく、自分や仲間を捨ててまでも地上に降りた(正確には落ちた)のでは、と言う疑惑を抱き続ける為に父の不在を消化できないまま、父と同じ窓拭きになったミツ。冷めてるようで、それでも父の本心に近づきたい気持ちが切ない。 -
Posted by ブクログ
孤食な人たちの家にやってきた【子供みたいでもあり おばあちゃんみたいでもある】ロボット。仕事は食事サポート。いや、それ以上。優しくあったかい。いろいろ口出してくるけど、一緒にいることが心地よい。
お客さまのために健気に仕事をするロボットがかわいらしくてたまんない。孤食な人たちに共感してしまったり、いろんな食べ物が愛おしいなと思ったり。美味しいという気持ちを聞いてくれる人がいる生活もいいなと思うお話が詰まってる。
プラス…孤食だとしても、味も時間も思い出も気持ちもいろいろ味わって食べればよいんじゃないかね?なんてことも思ったり。
昨年「食べること」が怖くなってしまっていた頃に読んだ。食べたくないから食べ物に対しては何にも思えなかったけど、料理して食べることができるようになってきた今読むと、シンプルで美味しそうなものがたくさん出てきてた。ごはん、みそしる、やさい…。今日も美味しい何かを作って食べよう。