あらすじ
地球全体が自然保護区域となり、地上に降りることが許されなくなった時代。中学卒業を迎えた少年・ミツは、地球の35、000メートル上空で周囲をめぐる、上層・中層・下層からなる巨大な建造物・リングシステムで産まれ育った。卒業と同時に亡き父と同じ職業「リングシステムの窓を拭く仕事」に就いたミツは、父の死に対する疑念を抱きながら、超ベテランのパートナー・仁とコンビを組むことに…
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Posted by ブクログ
地球が全て保護区とされ、上空35000mの上空にまるで土星のリングの様に浮いているリングシステムのマンション建造物の中で人類は暮らしている、と言う設定。居住区の窓拭きを依頼されて窓を拭く組合員のお話。上層・中層・下層と言う生活水準が分けられた世界。
主人公ミツは、中学卒業と同時に父親と同じ窓を拭く仕事に就く。いい子なんだけど父親の失踪?死?が引っ掛かってて妙に大人びて冷めてるミツ…地球に降りられなくなって、地球の周りにあるリングの中で生活する彼ら。下層部の窓は磨かれない、いつも曇っている。中学卒業と同時に窓拭きの仕事をする少年…父の事故死?に疑惑が拭えなかったせいで、出来すぎなくらい聞き分けのいい子なんだけど、そこだけが引っ掛かって父親に対して内心では冷めた感覚を持っているんだけど、それが1話で払しょくされる瞬間のミツの姿勢がぁ…いじらしすぎる。
父親亡き後、周囲の好意と親切でたった一人で生きているミツ。父親と同じ仕事をしている頑固職人タイプの仁さん、ミツの隣に住んでいて食事の面倒をみていた影山夫婦、ミツを慈しむ人間の中に羨んで意地悪する真のような存在も描かれている。ほのぼのとした、と言う印象の強い絵柄だが、当たり障りのいい「良い話」だけしか描かれていない訳ではない。父の事故の真相が解るまで、ミツは父のミスを責め、父に対して猜疑心を持っていた。表向きは人当たりの良い物分りの良い子供だが、その部分には誰にも立ち入らせない意固地さも持っている。ほのぼのとした人情もの・ハートフルな雰囲気の中に突然非日常的に突飛な悪意、と言うのを描かれると「気持ち悪さ」が先に来るんだが、土星マンションの真がミツに向ける悪意には説得力がちゃんとあるので、これからミツがどう向き合っていくのかが興味深い。
ガチSFではないが、こういう未来に人々が地道に生活して仕事して生きている、と言う感覚は物凄く好きだ!!
地上に行ってみたいと父アキが言っていたことで、父の事故を単なる事故ではなく、自分や仲間を捨ててまでも地上に降りた(正確には落ちた)のでは、と言う疑惑を抱き続ける為に父の不在を消化できないまま、父と同じ窓拭きになったミツ。冷めてるようで、それでも父の本心に近づきたい気持ちが切ない。
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土星の話なのに格差社会、という未来と過去が混ざったような世界。
働くひとの悲哀、もういない人を思う心の揺れ動き、永遠に追いつけない悔しさ・・・そんな中での、喜びや楽しみ。繊細な感情がやわらかい絵で表現されていてとても愛おしい。
最後の巻までマンネリもなく展開されて、飽きることなくいい読後感だった。
Posted by ブクログ
たまたま見つけて、SF好きなのでまとめて購入しました。
設定はどれもこれもとても素敵。わくわくします。
こういうの、未来にありそう!とか思わせてくれます。
SF初心者には本当におすすめじゃないかな。
こういうタッチの絵ってどっちかというと苦手な部類なんですが、むしろこの絵がいいんだ!って思わせてくれます、読み進めていくうちに。
ほのぼの~を勝手に予想していたので、それだけじゃなくてびっくり。ちゃんと現実(未来のだけど)を描いています。
そして。
個人的に、タヌキさんエピソードで泣いてしまいました。
Posted by ブクログ
2月22日から始まる文化庁メディア芸術祭の展示の前に、大賞をとったこのマンガが読みたくて買ってみました。
すごく魅力のあるマンガだと思いました。
世界観がしっかりしていて、人とのかかわりをほんわかに、しっかりと描いていて、SFではあるけども、素直に受け入れられるマンガです。
絵の雰囲気もよく、簡単に描いているように見えて、
ちゃんと見せたいところでは、ちゃんと描いていて、
すごく、こっそりとひきつけてくれる絵だと思いました。
すごくしっかりした、いいマンガです。
続きもほどよい時に読んでみたいと思いました。
ちなみに、土星マンションだから、土星の話かと思ったら、そういうわけではなかったです。
Posted by ブクログ
押し付けがましくないSF。
初めて読んだ岩岡ヒサエ作品。
1巻の表紙の男の子が逆さまで、
宇宙には上下ないからかな
センスいいなーって思って
目に留まって表紙買いしてホント良かった。
SFって良くも悪くもなんですけど
設定ハッキリさせるために
説明長くなっちゃったりするんですが、
これは最低限なんでこってりしてない。
宇宙という壮大なスケールの舞台で
主人公ミツがやってる仕事は窓拭き、、、
つっても普通の窓拭きじゃあないんです。
地球の周りに存在する まるで土星の輪っかのようなリングに
人が住んで生活圏として成り立ってる世界のお話ですから。
ミツはそのリングの窓を外(宇宙空間)から拭いてるのです。
とはいえ地味な仕事って点ではプラネテスに似てますね。
同じ窓拭きとして働き、仕事中に誤って
地上に落下し亡くなったとされている父親を持つミツ。
そんな彼に『地上に降りてみないか?』という声が。
ミツはどう決断するのか。その提案の真相とは一体。。。
最後はしっかり成長した彼らの姿に涙。
Posted by ブクログ
幻想的な絵。
独特の画風は一読の価値あり。
キャラクターたちもすごく可愛い。
その可愛さと、現実のエグさとがバランスを保ってからみ合って、巻が進むごとに加速します。
Posted by ブクログ
遥か未来、宇宙に浮かぶ土星のわっかのようなマンションに住む人々のお話。主人公はわっかの窓拭きを仕事にするミツ。命がけでやる仕事にだんだん遣り甲斐を感じていったり、窓の向こう側に住む人々との交流によってミツが成長していくってストーリー。あたたかい絵のタッチとほっこりした世界観。だけど生や絆などが描かれていて心にガツンとくるのです。
Posted by ブクログ
これはすごい!まさにすごいの一言です。何がすごいって?それはこの不思議な設定です。正直なところこんな話思いつくなんて、どんな頭してんだろって思います。この作者には世の中が違うものに見えてるんじゃないかって思えるくらいすばらしい。地球にはすでに人が住んでいなくて、その周りに土星の輪のように作られた巨大建造物の中で人々が生活している。太陽光を取り入れる窓の掃除をする人がいる。それも建物の外側からその窓を拭く。当然大きな建造物の中にも階級があって、太陽光を取り入れられる窓を手に入れられるのは上層階級の人たちだけ。下層に住む人たちは人口の明かりの中で生活している。とってもシュールです。でも不思議と違和感がなくてほのぼのしてる。それが最大の魅力かもしれません。とにかく心があったかくて、切なくなる。そんな本です。
Posted by ブクログ
可愛くて温かい作品。
でも、キャラクター一人一人が意志があり、そして話自体も考えるものがあります。
くすりとくる笑いがちりばめられてたり、主人公を温かく支えてくれるキャラにほんわかしたり…本当に素敵な作品です。
現在も連載中です!
Posted by ブクログ
岩岡ヒサエさんの本は短編しか読んだこと無かったのでどうなんだろう!?と思っていましたが最高でした。世界設定が独特で、近未来なのに全然冷たい感じがしないのがさすがです。
Posted by ブクログ
久々に漫画読んでる最中に泣いた(微笑)
日本橋ヨヲコという、希代の漫画家を世に知らしめたIKKIという雑誌は同時に「鉄子の旅」や「月館の殺人」なんかも出していて、ヴァラエティというか闇鍋めいていて、とてもU・B好みなわけだけど、そこからの新人賞で件のバシさんが岩岡ヒサエを引っ張り出したと、最近になって知ったわけで、なんという俺のセンス!(自画自賛)
内容自体は悪く言うと、「プラテネス」を女性漫画家が描いたらこうなります的なんだけど、岩岡ヒサエの方が平熱が低い印象。
その分、温度の上下差が激しくて、新陳代謝がよくなるのな。
一気に俺的連載中漫画ベスト3に殴り込みをかけるレヴェル。
余談だけれど、ここ経由で「花ボーロ」をお買い上げくださったあなた。
あなたが買ってくれたマージンでU・Bは今回「土星マンション」買いました。
お買い上げありがとうございます。
Posted by ブクログ
緩い絵柄に隠されているが、強いメッセージ性を感じる作品。
格差社会への反発や、まだ見ぬ世界への憧れ、
永遠に超えることのできない父への想いなど、
様々な視点からとらえることが出来る。
設定も独創的で、この方の他の作品も
今後また読んでみたい。
Posted by ブクログ
1人の方が心地よい。でもなんとなく回りが優しい人達でいてほしい。窓拭きを通して一期一会を日々繰り返すそんな理想を画にしたなんとも羨ましいお話でした。主人公の心情が丁寧に描かれていて『こういう漫画あるんだ』とかんがえさせられました。極端な喜怒哀楽につかれたら是非の一冊。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた漫画。
読んでみて良かった。特殊な舞台設定だけど慣れればすごく素敵な建造物に思えるし、ミツ君がまた淡々と色々感じ、考えるところがいい。
宇宙空間の「しん」とした音まで聴こえてきそう。
この先、どんなふうな展開をしていくのか、とても楽しみだ。
Posted by ブクログ
最初は絵柄が感じが受けつけなかったが、
読み進めるうちに好きになった。
この作者にしか出せない「空気」というのがある。
一時期、月刊イッキにて「土星マンション映画化!」と報が出たが、
その後震災の影響で予算が下りなくなり御破算となったらしい。
Posted by ブクログ
柔らかいタッチのSF。土星のマンションの話ってわけじゃなくて、惑星の周りに土星のようなわっか型のコロニーを創って暮らしている未来のお話。
その街は、地球が見える部屋は家賃が高く、光が届かないところ程家賃が安い。窓も無い。
富裕層の部屋の窓を、宇宙空間に出て拭く窓ふきの仕事をしている主人公ミツ。父親は昔同じ窓ふきをしていて、事故で亡くなった。
危険な仕事だけれど、父のみた景色に近い場所。
読むとたまごが食べたくなるおはなし 笑
ほっこり、じんわり、ってかんじです
Posted by ブクログ
最近漫画が当たりばかりで怖い。
どうやったらこの設定というか世界観を
思いつくのだろう…
素朴な絵柄と鋭利な切り込みが冴える。
「ごめんな、海を見せてやりたかった」
Posted by ブクログ
宇宙空間に出て、コロニーの窓拭き仕事をはじめた少年ミツの物語。
仕事の厳しさ、仲間との絆、など。
やさしい絵柄でていねいに描かれた作品です。
ふとした折に何度も読み返したくなる1冊。
Posted by ブクログ
設定がオリジナリティにあふれていてリアルで見たことがないSF感なのだけど、登場人物が見分けづらいのと話が地味で続きが気にならない。何か機会があったら続き読もうかな。
Posted by ブクログ
土星にあるマンションでもなく、
どせいさんが住んでいるマンションでもなく
土星の輪っかみたいなマンション(ラプラスがおおきくなったような)に
住まう男の子のお話
特に盛り上がることもなく、淡々と日常が描かれてる。
その静かさが、「すぐそこの町で起こっているフツウ」感を醸し出している。