原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前作がとても好きだったので読みました。
相変わらず読みやすく、少しずつ疑問が解けてゆく展開で一気に読み進めてしまいました。
理解しきれず、いくつか どういうことだったんだろう、という点は残りましたが、最後まで読み終えた直後は心の中で「うわーーー楽しかったーー!」と叫んでいました。
明らかに奇妙で、現実にはあり得ないことが起こっているのに、なぜだか そんなことあるわけないじゃん と思わせないような空気、没入感があります。
山と街の確執、虐げられた者の報復、そして人間のもつ恐ろしさ。
普段口にすることはないような、でも潜在的に共感してしまうようなものが、物語の底にあるからかもしれませんね。
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Posted by ブクログ
読後、なんとも言えない余韻が残る、読み始めて直ぐに物語の着地点が全く見えなくなる、独特の世界観は感じながらも、忍び寄る怪異やこれが人の悪意なのか情報は増えてくるが全く繋がらない、霧の中を歩いているような手応えがなく、少しイライラしながらも何処か惹かれていく、後半に入れば先が気になりドンドン読み進めていく、最期の最期まで答えははぐらかされ、読後の印象は何ともスッキリしたとは言えない想い!
しかし、これはこれで有りだと思う!率直な気持ちシーンによってはホラーの色も強いが、ミステリーではあるのだろう、◯◯レ◯ワールドという楽しみ方が出来るとすれば、非常に面白い物語であった。 -
Posted by ブクログ
緩やかにそして確実に怪異が日常的に侵蝕してくる前半は大傑作!と言う感じだったのだが、後半……そう、ポッと出のキーパーソンが現れてから高揚感は急激に失速していった。様々な可能性(怪異を引き起こした人物)について考えながら読んでいたのだが、うーん……この……物語の構造は面白いのだが、なんかこう結末まで読んでも釈然としない点が多い。
登場人物の一人称や敬称に「ん???」と思う点があり、多分そうなるのは計算づくで伏線というかヒントなんだろう。
モノローグパート着目してみると、まず冒頭から「さてこれはいったい誰なんやろか?」てなるんやけど、コミカライズはともかく映画はこれどう処理したんやろか。 -
Posted by ブクログ
映画をみてから原作を読んでみた
うーん、確かにこれを読んでしまうと、なんとなく映画が今ひとつに思えてしまうかも。
映画は、あれはあれで好きだったんだけど、ほとんど原作準拠な割に、ここを削ってしまったのか、みたいなものもちらほら感じてしまって、
原作を読んでから映画の流れだと、少し物足りなくなるのはわかる気がしたかも。
だけど、映画はなんていうか、言い方わるいかもだけど、ちょっと笑えるというか、なんだこれ的な突拍子もないような感じが面白くはあったので、、
こちらはけっこうしっかりした小説なので、あれはあれでいい映像化なのだと思えるような気もするし、
うーん、って感じ -
Posted by ブクログ
【短評】
「第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」を受賞した原浩のデビュー作。
私の読書史上に残る最悪な読後感を齎した作品である。世界がぐにゃりと歪むような独特の瘴気を纏った濃密な筆致は大変に好みだったが、物語の着地点が大変に好みではなく、斯様な評価と相成った。
信州に暮らす久喜雄司(くきゆうじ)の元に、太平洋戦争の南方戦線で戦死した大叔父・貞市(さだいち)が遺した日記が届けられる。日記に綴られていたのは、熱病と飢餓における喘ぎと強烈な「生」への執着、そして火喰鳥を喰うことに対する異常な関心であった。日記が放つ瘴気に気圧されるなか、最終頁に足される「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」の