原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ元々読みたいと思っていた小説だったが、積読チャンネルでオススメされていたので読んだ。
ドパガキでも読める小説と言われていたけど、本当に怒涛の展開で、2日で読み終わった。
戦死した貞市の日記を読むことで、次々と起こる怪異と不穏な展開。
貞市の日記だけでも、戦争の過酷さがすごく伝わってきて、どんよりする。
主人公の雄司が愛するものを守るために奮闘するんだけど、物語はどんどん悪い方向に……。
イヤミスと聞いていたけど、想像以上に嫌な終わり方だった。
作中では貞市の日記の結末が書き換えられてたけど、私は本作のラストを書き換えたくなったよ…笑
でも、よく考えたら、雄司視点だからバッドエンドだけど、チャコ視点だとハッピーエンドになるんだよな……。
誰かの幸せの裏には誰かの不幸があるっていう残酷さですね。
物語の途中、北斗が怪しい説が浮上するんだけど、「こういう場合、大抵は濡れ衣でミスリードなんでしょー?」と思ってたら、結局北斗が黒幕だった…。そういう裏切りかー。
執着の薄い雄司と、執着の強い貞市が対比として描かれていたけど、実は軽薄そうな北斗こそ夕里子への執着が強くて、結局、執着が強いものが勝つ、ということなんだろうか。 -
Posted by ブクログ
おそらくモキュメンタリーに分類されるホラー。
あくまで短編集であり、短編一つ一つも面白いが、短編の合間合間に、本書を編むにあたっての編集部との不穏なやり取りも挟み込まれており、一連の構成も面白い。
さてさて、あらすじにあるように、この本が角川ホラー文庫から出された意図とは…?
最後まで読んでしまうとわかります。
トゥルージーと828の1という短編が個人的に好きです。
以下もくじ
序章 角川ホラー文庫
トゥルージー
編集者との打ち合わせ一
裏の端を渡る
編集者との打ち合わせニ
らくがき
編集者との打ち合わせ三
「籠の中」執筆に関わる一連の出来事
編集者との打ち合わせ四
828の1
終章 角川ホラー文庫 -
Posted by ブクログ
決して引き返せない不可逆的な変化により日常が侵食されていく恐怖。ページをめくるたびに積み重なる、後戻りできない絶望感と、人間 vs 怪奇現象という対立構造の中、人間の無力さを容赦なく突きつける作品だった。
物語の起点は、第二次大戦で戦死した祖父の兄・貞市の記録の発見にある。その古びた軍記がほどかれた瞬間から、日常の歯車が狂い始め、読者は得体の知れない奇妙な世界へと引きずり込まれる。
作中で主人公の夢に現れる、人を喰らうヒクイドリのグロテスクな描写は、単なる悪夢にとどまらない。現実世界で次々と発生する超常的な現象や、狂気へと呑み込まれていく世界のメタファーとして見事に機能している。
人間が到底抗うことのできない正体不明の力によって、主人公の周りが、世界が変容していく恐怖。その結末は衝撃的だ。理不尽な運命に翻弄される人間の無力さを味わいたい読者にとって、忘れられない一冊となるはずだ。
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Posted by ブクログ
身近に潜む闇を扱ったモキュメンタリーホラー。
本当によく出来た構成だと思った。
なぜこの作品を書くことになったかの経緯から始まり、ひとつの短編ごとに編集部とのやり取りを挟む形式で進む。
完全にフィクションの作品としてのホラーを内包するように、モキュメンタリー的なホラーも体感できる。
こんな贅沢なホラー体験は他にないと思う。
段々と雲行きが怪しくなる編集部の人たち。
それぞれの短編も完成度が高い。
特に一風変わった形式で書かれた『「籠の中」執筆に関わる一連の出来事』を読んだあとは、エレベーターが怖くなる。
どのホラーにも共通することかもしれないが、「気づくこと」がきっかけとなることが多い。「裏の橋を渡る」しかり、「らくがき」しかり、「828の1」しかり、気づいてしまったら終わりなのである。
読み終わってから裏表紙の文章を読むと、最初はちんぷんかんぷんだったのにハッキリと意味が分かる。原さんからの最後の忠告だったのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔、キャンプ場で集団生き埋め事件が起こる。奇怪なことに、自らが掘った穴に自ら生き埋めになったという。
今はダムの底に沈むその場所が、記録的な渇水により徐々に姿を現していく。
過去の事件を書籍化するため、フリーライターの指谷は、事件で生き残った人物や関係者にインタビューを行い、ダムの干上がる様子を観察する。
そこで聞かされる「比丘尼の呪い」と「蜘蛛の年」。
取材中、指谷の周りで不穏な死が続けざまに起こる。そんな時、大学時代の後輩である北斗総一郎が接触してくる。
ダムが干上がるほどの暑い夏。でも、一つもカラッとしていない。ただただ、ジメジメと不快。そして、蜘蛛蜘蛛蜘蛛、、、。
脅されたわけではなく、自分が埋まる穴を掘る奇妙さ。その土地で伝えられる比丘尼の怨念。そして、蜘蛛蜘蛛蜘蛛、、、。
関係者の証言も同じようで、違和感が残る。でも、上手く指摘できないもどかしさ。記憶の中のキャンプ場にも、蜘蛛蜘蛛蜘蛛、、、。
気持ち悪いホラーだったが、北斗総一郎が飄々と登場すると、恐怖は謎解きのミステリーに。一気に話のスピードが上がって恐怖と謎解きが心地良い。
あぁ〜やっぱり怖いのは生きている人間だなぁ。