原浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★3.9
死者の執着が現在を揺らす。
いわゆる「怖がらせ特化」のホラーではない。
『火喰鳥を、喰う』は不穏なホラーだ。“現実の輪郭が少しずつ壊れていく感覚”という空気感作りが秀逸。
戦死した大伯父の日記を起点に、墓石の破壊、家の消失、失踪、不審な文字列など、異変が連鎖していく構造になっているが、この作品はそれらを「明快な怪談」として処理しない。だからこそ、不穏さが長く尾を引く。
「死者の記録」が現在を侵食していく。
ホラーでは“呪い”や“因習”が軸になることが多いが、本作では日記という記録媒体そのものが異様な存在感を持つ。ただ読むだけだったはずの文字列が、徐々に現実側へ染み出してくる。こ -
Posted by ブクログ
ネタバレホラー短編の間に、作家の「私」と担当編集者のやり取りが挟まれる構成。短編が出来上がっていく様子が興味深い。
しかし短編が出来上がる度に、担当編集者が休職してしまう。しかも、短編の内容となんだかリンクしている状況‥。最後に残った編集者も、ちょっと不穏な感じ‥。
短編は、どれもコワイ。続きが気になる怖さだ。すっきりしないまま終わるのも、怖さが増幅される。エレベーターの話の主人公の同僚は、巻き込まれた挙句主人公の身代わりに殺され、最終話の幼子を残して死んでしまうお父さんとか、コワイし気の毒だし‥!
現実パートの方もモヤモヤしたまま。編集者の異変と短編の内容は、関係あるのかないのか‥。夜中に読み終 -
Posted by ブクログ
ネタバレ裏表紙のあらすじから不穏な空気が流れている一冊。
内容は著者が書いた短編集と作者と編集者の打ち合わせシーンを交互に出して展開していく構成。
短編だけでも読み応えあり。テーマは日常的に潜む恐怖。SNS、橋、エレベーター、落書き、そして子供の頃の思い出。普段から目にする日常に怪異が侵食し、伝播する。ホラーでは割と良くある構成ですが現実の打ち合わせシーンを挟み、そこにまで障りが出ている様子を描き上手い事エッセンスにしている描写はお見事。
もうちょっと現実パートにオチがあれば良い気もしましたが、得体の知れなさが想像を掻き立てて新たな怪異に血肉を与えてくれそうなのでこれはこれで良い気がする。
子供 -
Posted by ブクログ
読書録「身から出た闇」4
著者 原浩
出版 角川ホラー文庫
p199より引用
“ エレベーターの事故について検索する
と、スマホの画面には様々な事故のニュース
やら報告書やら動画などがずらりと表示さ
れる。”
目次より抜粋引用
“トゥルージー
裏の橋を渡る
らくがき
「籠の中」執筆に関わる一連の出来事
828の1”
作品の執筆とそれに関連して起こる、日常
の恐怖を描いた、短編ホラー小説集。
デビューから世話になっている担当と、
その他に二人の担当編集者とで、新しい作品
についての打ち合わせをする著者。
著者本人に書きたい気持ちはあるのだが、
ホラーに対して強い思いがあるわけ -
Posted by ブクログ
ネタバレ震えましたね、良すぎて。怖くてじゃないですよ、良すぎて震えがきました。
1話目を前菜として、まるでコース料理のようにバランスの良い一冊となっていますが、なかでも最も評価したいのはメインにあたる828-1です。ホラー好きでこの話が嫌いな人はいないのではないかと思います。それぐらい良質な、トリを飾るのにぴったりの最高な作品でした。
怖さって、近さなんですよね。この先生はそれをちゃんとわかっていて、そして見事に操っていますね。そのことが知れて、大変にゾクゾクいたしました。まだまだ見届けたい先生がいるということに、嬉しくて震えがきました。