原浩のレビュー一覧
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ネタバレ
「他のものに対しての強い欲はないよね。執着とか、執念とかって言葉を変えてもいい。それが無いのは人として美しいのかもしれない。だからこそ姉さんはあなたを選んだんだと思うよ。・・・・・けど、何かと争うには致命的な点なんじゃないのかな」
人の何かに対する異常な執着は恐ろしいよねって話だったと思う。
貞市の生に対する執着や北斗のゆりこに対する愛情になすすべなく翻弄されていく主人公を見て亮の言葉がそのまま当てはまるなと考えた。
自分の世界が他の世界に侵食されていく不安定さ、現実と夢やまぼろしがあいまいになっていく感じが落ち着かせなくなる作品だった。 -
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ネタバレホラー短編集
短編集全体でも仕掛けがあり
担当編集者に作品同様の現象がおきてゆき最後は読者に、、、って流れなのかな
残念ながら全体の仕掛けはイマイチだったけど、読みやすいしオーソドックスなのから新しめのネタもあってよかった
「Truesee」
チープだけど身近で得体のしれない怖さは感じる
今どきの学校の怪談にでも入っていそうな話
「裏の橋」
オーソドックスなホラーネタ
後半ファンタジーな展開あり
怖いというよりも、常に付きまとっているソレに気を抜いたら取り込まれるという緊張感を感じる
「828-1」
人それぞれの死神の話が興味深い
急にソレに気付いてしまったら怖いかも
気付いていないってことは、まだお迎えが来ないってことでいいんだよね? -
Posted by ブクログ
戦争で亡くなった祖父の兄がつけていた従軍日記が現代になって見つかる。その日記を巡って謎が展開するSFミステリーホラー。この日記をトリガーとして、交わるはずのない並行世界が交錯し、元ある世界と並行世界の存続をかけた戦いに発展する。
火喰鳥とは一体なんだったのか、どれが本当に現実なのか、どうしてこんなことがなし得たのか等、さまざまな疑問が浮かぶ。
スピリチュアルかつ現実味のない怖さで、読んでいる最中は恐怖を感じなかったが、読み始めてから何故か怖い夢を見るようになった。救いのない幕引きで、大切なものを横取りされ、壊されてしまったような辛さの残る読後感。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ不気味なプロローグの後、まず家の作りから入り、平和的な夫婦とその馴れ初め、家族構成、不吉な出来事、そして日記が登場し、主要キャラクタが集まっての談話から戦時中の状況に入りこみ、時空が交差する。実にスマートな導入。こういうのが大事だ。
「常と変わらぬ」を言い過ぎだが、〈蜘蛛牢〉とは別人に思えるくらい違う力のこもった文章。これほど実力者だと思ってなかった。難しめの語句が浮いていない。
4章までは正体不明の凶事が支える五里霧中なホラーで調子が良かったが、例の人物の召喚から内容は180度反転する。それからは…とにかく救いのなさが強調され胸糞悪い。スプラッター描写、寝取られ要素もあり、逆にバッドエンド的凡庸さが目立ってしまった感じ。
その胸糞悪さがどこに最も起因するかといえば、強制的に参加させられたゲームが最後になってとんでもないクソゲーと判明し、絶望のままエンディングを迎える展開にある。
火喰鳥は禍々しい怪異、恐怖、不安の象徴であると同時に、システムに残された回避不能の不条理なバグ、クソゲーのメタファー、イメージキャラクターだ。
逸脱するが、このような印象操作はヒクイドリにとっては風評被害になるだろう。実際のヒクイドリは無暗に手出ししなければ基本的に大人しい動物であるらしく、ジャングルの生態系に欠かせない存在であり、凶兆というより再生の象徴である。
貞市生存ルートは、悪夢をみてるだけ、恐怖は強迫観念的なもの止まりであり、体力無制限、戦闘はオートで楽勝な、初心者でも楽々クリアなイージーモードといえよう。
更にチート改造も施されている。
対して貞市死亡ルートはウルトラハードモードだ。主人公の最後のセリフ「火喰い鳥だ!」は、プログラムを直接弄る以外にクリア不可能なクソゲーだと理解してしまった瞬間の絶望の叫びである。
前者のゲーム性は普通、低評価の嵐になると思うが、小説になるとすんなり受け入れられている。結局本作品の根幹はそこにあり、あくまでハードモードという対比が無いと物語全体は機能しない。
太平洋戦争の敗北が別の小規模な生存競争を招き、さらにその結果を賭けて現在の争いが起き、またその結果次第で過去も変わるという、二重の円環的構造を持った設定は上手いと思う。
どこから状況が発生しているのか?などと端緒の部分を考えると頭がこんがらがってくるが、いわゆるパラレルワールド、並行世界的な話ではないと思う。並列した世界なら道路の合流地点みたいに、未来でも同時に存在できるはずだ。
これはゴムボートで岸に向かっていたら、急に真横に巨大タンカーが出現して転覆したみたいな、無意味で暴力的な事故に近い。しかもその事故は仕組まれている。
この作品の対立は真vs偽なのか、真vs真か、あるいは偽vs偽か?
動機の点から考えれば、明確に真vs偽だ。
ユウジの世界には動機が無く、一方でチヤコの世界は動機がありすぎる。さらに北斗の動機はチヤコの利害と一致し、逆にユウジとは対立している。
動機無くしては戦争は始まらない。戦争は動機によって継続され消えれば終結する。
ややこしいが普通に、正史が偽物によって乗っ取られる話だと理解した。
《おまえの死は、わたしの生》という一見不穏なキーワードも、なんてことはない、利害関係者の吐くセリフだ。
意外にもこれと似たようなことを述べている作品がハン・ガン『すべての、白いものたちの』だ。
『すべての、白いものたちの』では存在は一体化していたが、こうした「私」の存在を「誰か」の存在の有無に求めるという考えは、未来のことはわからず「誰か」を指定できないのだから、結果論でしかなく、やはり真ではなく偽造を思わせる。
いわば原作者没後の二次創作が本家に取って代わってしまったようなものだ。
多くの感想に見られるように確かにSF要素はあるが、個人的にあまりSFぽさは感じない。プロットはP・K・ディックが得意とするものだが、やはり格が違う。
だが実はこの小説は、あの名作SFと言われている、伊藤計劃『虐殺器官』(※三分の一ほど読んで挫折)のフォロワーなのだ。
互いの共存を拒む二つの勢力の生存競争によって起こり得ることが虐殺であり、またそれを操る存在がいて、言葉によって喚起される。
このように両者には作品の方向性を決定する重要な部分に共通項を見出せる。
『虐殺器官』のコンセプトの中核になっているのはトマス・ホッブズの提唱した「万人の万人に対する闘争」という概念だが、本作の内容をほぼ完璧に説明している。
以下はAIからの引用:
“万人の万人に対する闘争とは
これは17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブズが、『市民論』(1642年)や『リヴァイアサン』(1651年)で提示した概念で、国家や法などの共通権力が存在しない「自然状態」において、人間が互いに争い合う状態を指します。
基本的な考え方
・自然状態では、人間は自己保身のために他者を攻撃し、常に危険にさらされる
・能力差のない個人同士が自然権(自由・平等な権利)を行使し合う結果、全員が全員に対して敵対する戦争状態になる
・この状態では「勤労への意欲も削がれ、死への恐怖が支配する」とホッブズは描写した
ホッブズの解決策
この闘争状態を避けるために、ホッブズは社会契約論を提唱しました。
・人々は平和な社会を築くため、自分の権利を全面的に国家(主権者)に譲渡する
・強大な主権者(国家権力)が秩序を維持することで、万人の闘争状態から脱却できる
・これが絶対王政を合理化する理論となった”
⋮
この基本的な考え方と全く同じ状態と言っていいだろう。しかし解決策となると話が違ってくる。それは権力者が秩序を破壊し、自分の利益のために行動していることにある。
本作のキャラで《強大な主権者》に該当するのは言うまでもなく北斗である。
ホッブスの分析は一つの国、一つの国民に対しては的確だが、国家間になると説得力が弱まる。その解決のためには〈統一世界政府〉みたいな組織が必要になってくるが、作中でも争いの端緒は太平洋戦争にあることが皮肉だ。
現在の情勢でも、その解決方法の実現性は限りなく低く、まさに低い鳥である。
厳密に言えば、最初に闘争状態にさせた原因が来るのだが、この話は「万人の闘争状態から脱却した世界が、自然権を行使する別の世界と、それを利用した侵略者に滅ぼされる」ストーリーだといっても過言ではない。
歴史の改変は文明の消滅を示唆し、北斗はさながらインカ帝国を滅ぼしたコルテス大王のようだ。終盤の展開は、その配下の〈エスパー的な能力を植え付けられた強化兵士〉によって惨殺される無力な一般人を思わせる。
北斗は、二つの世界にアプローチできる、多くの情報を把握している、原理や方法を知っている、などの有利な条件が揃っているチートキャラで、それらはゲームを進める上でも不可欠な要素であり、実質的に主権が与えられている。このキャラはチームリーダーであるうえ、ゲームマスターで、更に敵勢力のスパイなのだ。
この“失敗が約束されたようなキャラ”をメインに添え作品として成り立っているのは作者が優秀な証だとも言えるが、そんな“ゲームマスターがチームリーダーのゲーム”が面白いわけがない。
明らかにバランスがぶっ壊れたしょうもないクソゲーである。
しかし、もしこの物語が最初からゲームであれば傑作になっていかもしれない。日記を燃やせば30分ほどでクリア出来てしまうが、もちろん複数の分岐するシナリオ、マルチエンディングだ。
途中のガチャでは低確率で激レアキャラの〈カカポ〉をゲットできる。〈カカポ〉は北斗を弱体化でき、ボタン連打で火喰鳥を撃退することも可能。
育成に成功して〈概念化したカカポ〉にランクアップさせれば、貞市がカカポを食えるのか?と迷うことになる。
小説のタイトルが『カカポを、喰らう』なら売れないだろうが、ゲームなら大ヒット間違いなしだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレトゥルージー……というか完全にBeRealのお話が1番身近に感じられてゾクッとした
今時点で50歳の恐らく男性?ですよね著者の方……若者視点の捉え方がリアルすぎてびっくりした
盛れないからこそ逆に良い、と思いつつもちょっとめんどくさかったり、大人に説明してもピンと来なさそうなら説明するのめんどくさくなる感じ、分かる〜〜
だからこそそこからのホラー展開怖すぎた
ちょっとずつ家に近づくのはありきたりでありつつも、2分以内に撮って欲しいのに、トイレにいて、しかもLINE返信してるせいで間に合わないのヤバい。
裏の橋は怖いよりちょっと切なさが勝った
見てなかったのは悪いけど、子供だからね、そんな環境で余裕持ては厳しいなぁと思いつつ、助けてくれたのはなんなんだろう?急にファンタジー?とか思ったけどホラー自体もファンタジーだからいいか。
らくがきは、割とすぐに語り手の夫が犯人なのは想像ついたから、そこから展開としては裏切って欲しかった。
義父がらくがきを読んで死を悟りつつ珈琲を飲むとか……語り手が自分か知人の死の予告を見るのでもいいなー。語り手に浮気相手がいてその人が死ぬとかでも面白そう。
籠の中、怖いのに仕事だから行かない訳には行かないのめっちゃこえ〜
ホラーとは違うかもだけど、何となく澱んでるというか寂れてるところって長くいたくないなーって思うからそこでホラーなんて起きたもんには最悪だろうな
陣内さんはすぐパクパクされたのに、何回も捕まってるっぽい主人公は逃げ切れてるのなんでなのか気になった
話の中では宅配業者だったけど、編集者は住人なわけだから、どういう感じで影響があったのか知りたかったな
828の1は、友達のばあちゃんもその場にいたってことかな?婆が死期を悟るのはわかるけど、主人公だけ急に呪いじゃない?何もしてないのに……
著者目線の文章が挟まるのがお話はお話だけど、合間の編集部とのお話はリアルさを感じられて良かった
特に、取ってつけたような編集部とは良好な関係を〜とかが書かされてる感あって良い。
今井さんのSNSのはなんだったんだろう。
トゥルージーとは全く違うからそこも知りたかった。 -
Posted by ブクログ
『潰える』をテーマに、最恐の執筆陣が書き下ろした短編ホラーアンソロジーです。
今回の収録作品は、澤村伊智:ココノエ南新町店の真実、阿泉来堂:ニンゲン柱、鈴木光司:魂の飛翔、原浩:828の1、一穂ミチ:にえたかどうだか、小野不由美:風来たりて。それぞれの作者によって全く異なる色合いのホラー小説が展開される。
アンソロジーということで、未読のホラー作家さんの開拓の意味も含めて読んでみましたが、本来私は大層な偏食家だったことを思い出したという感じでした。全編頑張って読みましたが、鈴木光司さんの『魂の飛翔』は一読ではうまく話が理解できず、今一怖さを感じられませんでした。
今作品集で怖い!でも好き!と思うのは断然小野不由美さんの『風来たりて』でした。営繕かるかやシリーズの短編ということだったので、最後にはきっとなんとかなるだろうと思っていましたが、短編でありながらも流石のジェットコースター展開でした。小野不由美さんのお話は上って上って落ちるジェットコースターのような展開が非常にスリリングだと常日頃思っています。どこまで上るのかもわからないし、落ち始めたらどこまで落ちるかもわからない。周りの風景が事細かに描写されるからこそ上っている間も落ちている間も怖い。そんなお話でぞわぞわとした恐怖を丁寧にすり込んで下さるのが、怖いのですが大好きです。
このようなアンソロジーを読んでみるのも、読み口を変えるという意味ではいいかもしれませんが、今回は新規開拓には至りませんでした。またどこかのタイミングでチャレンジしたいと思います。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争末期に戦死した大叔父の日記が死没地から届く。強烈な生への執念が籠った死者の日記を読んだことによって、主人公の周りで怪異が起こり始め、とっくの昔に死んだはずの大叔父が生きていた世界線が徐々に現実を侵食し始める。
ビニール袋を裏返して行って、全部裏返った後袋の口を閉じられて中に閉じ込められたような読後感。巻末の解説にも「十日間を1本ずつの指に見立て、1本ずつ折って行って最後は掌に閉じ込められる」と書いてたけど、ほんとにそんな感じ。一回読んだだけでは全てを理解するのは難しかったけど、虚構と現実の境界線が曖昧になり、最後はひっくり返ってしまう不穏さが良かった。また、火喰鳥というモチーフが物語の不気味さにより拍車をかけている。表紙の障子からぬっと顔出す火喰鳥、怖すぎるでしょ…。
しかし夕里子が魅力的な人物に思えず、そこまで執念を燃やすような女か?と思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
あまりホラー小説は読まないが、これは恐怖をしっかり感じた。
日記に少しずつ書き込みが増え、その異常が周囲の人間まで巻き込み、やがて現実そのものがおかしくなっていく。原因も仕組みも分からない何かによって、当たり前だった世界が崩れていく恐怖があった。
佐藤究『Ank: a mirroring ape』を読んだときにも少し似た感覚だ。とても読みやすくのめり込んだ。
ただ、正直ラストは微妙だと思った。あれだけドキドキしたから、その緊張感を最後まで持っていってほしかった。
二つの世界がどういう関係なのか、片方で生きればもう片方で死ぬのか。考えてもどうにも整理できない。もちろん、そこを読者の解釈に委ねること、説明できないものにすること自体が魅力だと感じる人もいると思う。
ただ、途中から「これはあえて答えを出さず、読者に解釈させるための曖昧さなのだろうな」と作者の意図みたいに感じてしまった。そこで少し冷めてしまった。
最初は「何が起きているのか分からない」から怖かった。最後は「分からないように作ってあるよ」と言われた感じがした。