原浩のレビュー一覧
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緩やかにそして確実に怪異が日常的に侵蝕してくる前半は大傑作!と言う感じだったのだが、後半……そう、ポッと出のキーパーソンが現れてから高揚感は急激に失速していった。様々な可能性(怪異を引き起こした人物)について考えながら読んでいたのだが、うーん……この……物語の構造は面白いのだが、なんかこう結末まで読んでも釈然としない点が多い。
登場人物の一人称や敬称に「ん???」と思う点があり、多分そうなるのは計算づくで伏線というかヒントなんだろう。
モノローグパート着目してみると、まず冒頭から「さてこれはいったい誰なんやろか?」てなるんやけど、コミカライズはともかく映画はこれどう処理したんやろか。 -
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映画をみてから原作を読んでみた
うーん、確かにこれを読んでしまうと、なんとなく映画が今ひとつに思えてしまうかも。
映画は、あれはあれで好きだったんだけど、ほとんど原作準拠な割に、ここを削ってしまったのか、みたいなものもちらほら感じてしまって、
原作を読んでから映画の流れだと、少し物足りなくなるのはわかる気がしたかも。
だけど、映画はなんていうか、言い方わるいかもだけど、ちょっと笑えるというか、なんだこれ的な突拍子もないような感じが面白くはあったので、、
こちらはけっこうしっかりした小説なので、あれはあれでいい映像化なのだと思えるような気もするし、
うーん、って感じ -
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【短評】
「第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」を受賞した原浩のデビュー作。
私の読書史上に残る最悪な読後感を齎した作品である。世界がぐにゃりと歪むような独特の瘴気を纏った濃密な筆致は大変に好みだったが、物語の着地点が大変に好みではなく、斯様な評価と相成った。
信州に暮らす久喜雄司(くきゆうじ)の元に、太平洋戦争の南方戦線で戦死した大叔父・貞市(さだいち)が遺した日記が届けられる。日記に綴られていたのは、熱病と飢餓における喘ぎと強烈な「生」への執着、そして火喰鳥を喰うことに対する異常な関心であった。日記が放つ瘴気に気圧されるなか、最終頁に足される「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」の -
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面白かった。モキュメンタリーホラーの体裁をとった今っぽいホラーではありつつも、テーマ性のある怪談話をまとめた短編集でもあるという感じ。著者は決して若い方ではないようで、文体というか書き口も落ち着きがあるし、物語そのものもとっ散らかっていなくてまとまっているから、なんというか信用できる書き手という印象を持ったかも。はじめての1冊だったので、いくつか読んでみたい。どうでもいいけど、ホラー小説の出版社ってきっと怪異に満ちているのだろう、みたいなこと自体は、ちょっと俗っぽい考えというか、言い方わるいけど妙におっさんっぽく思ってしまったかも。でもそれ自体もネタにしているというか、自身の年齢性別とかに言及
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『角川ホラー文庫』
30年も続く角川ならではのジャンル。
私も江戸川乱歩や夢野久作の作品は、角川ホラー文庫のものを持っている。
ホラーというのは、なぜ、求めてしまうんだろうか。
人によるとは思うが、私にとってのホラーは、切っても離せないようなものである。
私に霊感があることも理由の一つだが、YouTubeで怪談を聞いてしまったり、不定期的に怖い本を読みたくなったりするのだ。
純文学作家がたちが何年も前からゾクっとするホラーを書いていること。現在でもホラーを求める人がいること。
やはり人間はホラーというものから逃れられない。
ホラーは、時代と共に求められる作風が変わっていく。
最近で -
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ネタバレ粗筋だけで購入したら『火喰鳥を、喰う』の前日譚だと後から知る。
ただ未読でも特に問題なかった。
探偵役であり『火喰鳥を、喰う』にも登場の北斗総一郎の出番は作中後半だし、基本的にライターの主人公の視点で進むので、これ単独で読んでも十分に楽しめた。
過去の事件を調べるうちに関係者も、そして調べ出した側にも死者が出てくる始末。
ホラー文庫ということもあって、これは本当に祟りか霊的何かと疑心暗鬼になったところで登場の北斗は、ある意味雰囲気ブレイカーというか、逆転の一手になったと思う。
一度無理と思わせてからの罠張り、どんでん返しは爽快すら覚えた。
真相が分かってみれば単純で、作中にちゃんと伏線も用