【感想・ネタバレ】火喰鳥を、喰うのレビュー

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Posted by ブクログ

ものすごく奇妙な読書体験でした。
どっちかというとホラーよりかはSFな気がする。でも、読者をしっかり恐怖に陥れてくる。そりゃ大賞受賞するよな、と思った。これがデビュー作とか、期待大やん!読んで良かった!是非考察しながら読んで欲しい。でも、パラレルワールドとか、非現実的な物語が苦手な人は合わないかも?

物語は全十日間、起きている時間と、夢を見ている時間に分けられる。
大伯父の墓が荒らされた所から物語が始まるのだが、そこから不可解な現象が起き始める。怨念的なものが作用しているのか、もしくは誰かのイタズラか、主人公たちは原因を探っていく。


【中盤までのネタバレ注意】

この本を読む上で重要なカギを握るのが夢の存在だ。全十日間に夢を見る描写があり、これがまた読者を混乱させる要因でもある。
主人公の身の回りに起きていることに関係する悪夢を見る。悪夢は様々な形となって主人公を襲う。起きている時も悲惨で残酷な現実に押しつぶされそうになるのに、夢の中も安心はない。
だが、読み進めていくうちに、読者側に対して曖昧な伏線を残す。そしてこれが考察するヒントとなり、読み進める手が止まらないほどの面白さを引き起こしている。
主人公は勿論、夢から覚める。悪夢の中に少しだけだが事件を紐解くヒントが隠されていた。だが、主人公は目覚めると夢の内容を忘れてしまう。ここが凄くもどかしい。


【ラストまでのネタバレ注意】

ラストはとても衝撃的だった。こんなに怖い締め方は知らない。
物語でちょくちょく出てくる千弥子という人がいるが、ここがどうもわからなかった。もう少し掘り下げて欲しかったなぁ。

現実世界ではなくて別世界の話なのか、主人公は問題を解決出来たのか多くは語られなかったが、私はあることに気づいてしまいましたよ!
起きている時から夢を見る時に変わる時は必ず、● このマークが付けられていますよね。ラストはヒクイドリの顔をした貞市を追い詰めました。そのあとに●があるんです。つまり、起きている時の物語は追い詰めた所で終了しているのです。そして夢パートに移る。夕里子と新婚旅行に行くのは主人公ではなく、北斗。しかも笑っている。とても不気味な終わり方です。でも、夢の中ということは、夢オチになるのではないのでしょうか。違うかもしれないけど(汗)
結局、起きている時の結末が明瞭としていないから、単純に夢オチでよかったねとも言えないのが怖い要素。
夕里子の結婚相手は主人公ではなく北斗、という夢を見るのも、「夕里子が無事なら私はどうなっても良い」という考え方から来たのか、北斗に焼かれた夕里子の悲惨な姿を見た主人公がトラウマとなって生み出したのか………うーんよくわからない!みんなの考察教えて!

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃおもしろかったです。読書初心者ですが、とても読みやすくて一気に読んでしまいました。

異常現象や怪異に対してそういう解釈をするのか!!と感動しました。
現実世界でも同じようなことが起こっていないという証明はできなさそうなのがワクワク…いやゾクゾク?します。SF的な要素もあるのでしょうか?

他の方のレビューを見ていると、結末の好き嫌いは分かれそうですね。個人的には非常に好きな終わり方でした。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

いやー。
怖い、怖い。
とは思いつつ読む手は止まらず。

寝る間も惜しんで一晩でイッキ読みしてしまいました。
これがデビュー作とは今後の作品も楽しみですね!

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

怖おもしろかった!ホラーはこうでなくちゃ。不気味な出来事が積み重なっていく前半。火喰鳥が暗示するものが何かうっすらとわかりはじめ、新たな登場人物と共にミステリみが強まる中盤。衝撃の後半。終わり方が好きかというと微妙なんだけど、それでもまた読み返したくなるような魅力のある作品。

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2023年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ要素を含みます。

ホラーというジャンルではありますが、SF要素を含んだものとなっていました。そのため現実世界と意識内世界とが入り混じった不可思議な出来事による不気味さには凄まじいものがあり、なんとも気持ちの悪い恐怖が随所から感じられる作品でした。しかしオカルトという言葉だけでは説明できない出来事が絡んでくるため、どのように物語を締めるのか気になっていましたが、SFの世界観が受け入れられない方からすれば消化不良感を感じてしまうかもしれません。よって評価は人を選ぶものとなると思いますが、私は最後まで恐怖感を感じ続けられる傑作ホラーだと思いますので一読の価値ありな作品だと思います.

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とってもスリリングな一冊。
確固たるものだと思っていた日常/現実が何かに侵食され崩れていく。どんな手を打っても止められず、そんな主人公の恐怖を読者も震えながら追うしかない。

ちょっと作品世界が主人公に対して理不尽すぎるきらいはあるけど、途中からストーリーがどこへ向かうかわからなくなり、誰の言うことも信じられず、足元があやふやになっていく不安極まりない感覚が恐ろしいのに何故かアガる。

ホラー小説にありがちな怨恨や因習を恐怖発生の源泉にするのではなく、恐怖を与える側の都合みたいなものが明らかになっていく展開も面白い。
新感覚というのは言い過ぎか?それでも他ではなかなか味わえない読書体験だった。

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

横溝正史ミステリ&ホラー小説大賞ということで、手に取る。賞の名前もあってジャンルがどれになるのか気になって、一気に読めた。
マルチバースとかパラレルの要素は、そんなに好きじゃないけど、読んでる間は楽しかったです。後味悪いのは、あんまり。

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2023年03月19日

Posted by ブクログ

どのようなオチに進んでいくのか、全然分からないまま読み進んでいった。
今、自分が読んでいるのはホラーなのか、ミステリーなのか、SFなのか。
ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか。
先が気になって、ページをめくる手が止まらない。
角川ホラー文庫で出版されているが、ホラー要素はさほど強くないように感じた。ただ、読後の今も、自分はどんな小説を読んでいたのか分からないような、奇妙な読書体験だった。

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

読後すぐの感想が「なかなかにえげつないホラーを読んでしまった」でした。

物語は、第二次世界大戦中、パプアニューギニアで戦死した主人公の大叔父の手帳が、主人公を含む遺族家族の元に戻ってくるところから始まる。
その手帳の、大叔父が書き記した内容を読んだ時、彼らの運命がどんどんおかしくなっていく……。
その違和感がないようで、じわじわと手帳を読んだ彼らの運命をむしばみ、狂わせていく様々な現象は、生々しく描写されるラバウル戦線の熱帯の気温や血生臭さ、現実の真夏の描写と相まって、息苦しさを伴うじわりとした恐怖があった。

人は大事なものを"守る"ため、"手に入れる"ためには何でもするのか。
それが狂気となると、どうなるのか。

細かく書くとネタバレにすぐ当たるので伏せるが、戦中だろうが現代だろうが、人の"欲求"が、悪い方向へ追い詰められ、煮詰まり焦げ付いた末路を見たような、読んでいる最中の気味の悪さがものすごい(褒めている)。
加えて、ミステリーの観点では最初からの伏線や展開がスムーズで、最初から読み直したくなる構成になっているのが面白い。

話を急展開させるある人物の登場には、やや唐突感を感じるも、それを小さなものにするほどに、物語が濃密だった。
タイトルも中盤まで、ホラー要素の一つでしかないのかと思わせながら、後半からの急展開とタイトルの意味には唸らせられた。

ホラーは得意ではないジャンルなので、沢山読んでいる方ではないが、それでも「新しい」と思う作品でした。
ホラー好き……より強い恐怖(刺激)を求めている人にはちょっと物足りないかもと感じましたがホラー苦手な(でも読む)私にはちょうど良いぐらいのホラーでした。

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2023年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

特殊設定のミステリー。日記が勝手に書き換わる。死んだ人間が生きていたような事実に捻じ曲がる。実のところはお互いに生存し得ない人たちの戦いだったんだなあ。主人公がずっと彼だったからさ、ラストは少しもやっとした。もうちょっとチャコさん世界側の方も描いてもよかったかな。読み手が雄司さんに肩入れしちゃってるからね。あたしだけか。でも、一気に読み切った!

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

ホラーってほど怖いことは起こらないんだけど理不尽SFサスペンスだった。
先が気になってずんずん読んだが「赤ずきんと健康」に薫陶を受けた人間にとって、この展開はあまりにつらい。主人公が一体何をやったというのか。面白かったけどもやもや

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦争で亡くなった大伯父の日記が見つかったことに端を発し、次々と怪異が起こり始め…というホラーとその怪異を起こした犯人は誰かという謎とで読ませる怒濤の展開のお話でした。話としてはすごく面白かったのですが、私的には主人公に感情移入してたので最後はなんか納得いかなかったかも…。

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2024年02月14日

Posted by ブクログ

強い執念、渇望が自分の日常をじわじわと侵食してくる怖さがこれでもかと伝わってくる作品でしたが、私の好みとは少し違っていたかも。

ミステリやSF的な要素もあって、はじめて触れるタイプのホラー小説でした。
同じ作家さんの『蜘蛛の牢より落つるもの』も評判が良さそうなので気になっています。

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

イヤミスよりイヤミスな感じを受けたけど、ホラーといえばホラーなのかも。とは言え過程よりも結末ホラーって感じだったかなぁ。

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2023年11月11日

Posted by ブクログ

2020年の第四十回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作だそうで!
ジャンル分けが何とも難しい、ホラーでミステリでSFでラブストーリーで、色んなことが起こる!

本の残りページが減っていくにつれ、結末がどうなってしまうのかと、じっとり嫌な冷や汗が出てくる。
脳がふいに奇妙な話を求めてきた時にオススメの一冊!

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2023年07月27日

Posted by ブクログ

ホラーやミステリーを使ったパラレルワールドの話でした。色々難しくなく伏線の回収もしていて面白くない訳じゃないけど、こういう終わり方はあまり好きじゃないかなと思いました。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作とのことで読み始めましたが、ホラー強めです。
描写が思いっきり映像でイメージできてしまうので、かなり怖い。。
好きなジャンルですが、怖すぎてなかなか読むのが進まなかった
ラストは誰の立場に立つかで印象がガラッと変わります。

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2023年01月29日

Posted by ブクログ

不思議な終わり方。
納得いく人と、納得いかない人にきっぱり分かれそう。全体的に不気味な雰囲気は、読んでいてとてもわくわくした。

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2023年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今ある現実と、有り得たかもしれないもう一つの現実…誰しも自分や大切な人が生きている現実を望むし、思い描いた通りの現実を欲するだろう。
でもちょっとこの結末はホラー的にはグッドだけど心情的には無理矢理の邪な勝利で後味悪い。
積み重ねた現実は生きる執念の化身のような火喰鳥に喰われてしまったが、人の心までは喰えないんじゃないかな。やはり夕里子はいずれ彼から離れる道を選ぶような気がする。
片や自分がチャコの立場ならハッピーエンド…単純に善悪で断罪できない複雑な読後感とパラレルワールドの不思議な魔力に捉われた。

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2022年12月17日

Posted by ブクログ

これは怪異でもあるし事件でもある。
あまり本は読んだ事がないから分からないけど、こういう終わり方の本は初めて。
面白かったです。

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2022年12月16日

Posted by ブクログ

単行本の頃から気になっていた作品。ホラー小説は普段読まないが、本書は<横溝正史ミステリ&ホラー大賞>受賞作ということもあり、てっきりホラー寄りのミステリー小説だと思っていたら、実際はホラー寄りのファンタジー小説だった。ホラーなのに怖くないという選評もあったようだが、確かに頷けるものがある。それはミステリー仕立ての淡々とした筋運びの所為かもしれないし、戦死者の怨念という重厚なテーマが後半で有耶無耶になった所為かもしれない。賛否両論ありそうなラストだが、ファンタジーは何でもありと言ってしまえばそれまでだろう。

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2022年11月27日

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