宮﨑真紀のレビュー一覧

  • 舌を抜かれる女たち

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    人類が文字を発明して残してきた情報には、こんなにも男性優生の思想がこびりついていたとは。そしてその物語を読んできた自分の中にも、無意識下の影響を発見する。

    権力の構造を変えていく、という主張がとても刺激的だった。
    1人1人の意識や行動のアップデートを行わないと未来には繋げられない。古典(過去)と現代は紛れもなく繋がっているのだから。

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    2020年09月06日
  • 肉は美し

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    200ページほどで、2部構成。

    1部は人肉解体業、解体方法が割と細かく描かれているものの、主人公はその仕事よりも、周囲の人間との関係や過去に疲弊し切っている。
    それに釣られてこちらも疲弊しつつ、少し……SF的要素が足りないかな、と思ったが、1部の終わり、2部あたり、100ページ読んだあたりから面白くなり、ラストの主人公の妻の言葉が、実に生々しく残った。

    著者はアルゼンチンの女性作家らしく、他の邦訳もあるなら読んでみたい。

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    2025年12月05日
  • 秘儀(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    家族から勧められて読んでみた。とにかく面白いらしい。
    期待が高まる、、、が、帯を見ると、、、
    えっ⁉️ホラー?
    全世界が注目する南米ホラー
    今世紀、最強の恐怖
    アルゼンチンのホラー女王が綴る暗黒の書
    これまたおどろおどろしいキャッチコピーが並ぶ。
    私、ホラー苦手なんだよねぇ〜怖いのよ(泣)オカルト、怪談の類が無理❗️絶対、怖い❗️一人で寝れなくなる❗️嫌だ、、、読めない、恐ろしすぎる、、、と相当、読み始めるまで悩んで、怖いもの見たさに〝えいやぁー″と勢いで読み始めた。

    なんじゃこりゃ?
    巻末の解説に「ページを繰っても繰っても全貌が見えてこない構造の複雑さ」とあったが、それそれ!複雑な小説を読

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    2025年11月10日
  • いのちの選別はどうして起こるのか──ER緊急救命室から見たアメリカ

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    端的にいえば、資本主義社会で、さまざまなリソースに限界があるから。それがコロナを経て、歪みが酷くなった。

    それを選別というのかどうかは難しい。
    選別されるのが、資本主義社会。

    間違えるべきではないのは、金のあるやつがプラスアルファを得る社会ということである。

    それが悪いかと言えば必ずしもそうではないはずだが、機会均等結果不平等、機会均等も金次第で、カテゴライズと差別が大好きな大米国ではより酷いことになってるのはわかる。それでも結果的に人種差別という発想は嫌いだな。歴史的、社会的に色々な問題はあってのことだが、貧困問題と差別問題を一絡げにするべきではない。それは問題を曇らせる。

    著者は大

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    2025年07月14日
  • 寝煙草の危険

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    お初のジャンルでございました。
    短編集というのもあり非常に読みやすかったし、
    いい感じのホラー感と面白さかな〜と。

    幽霊や呪術と人の悪意がいい感じに共存してて
    ヒィー!ってはならないけどおお〜となる感じ。

    個人的には湧水地の聖母が1番良かったな。
    まさに人の悪意なんですけど、
    私も読んでて悪意から願ったので…笑

    後書きのアルゼンチンの歴史を知るとなるほどそうなのか〜ともなれます。知識がある方は本編を読んでいる最中にきっと気づけるのだろうね。

    めちゃどうでもいいんですけど作中2回うんこが出てきて、それがどっちもげりぴーだったのはちょっと笑いました。お気に入りなのかな?!

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    2025年07月08日
  • 寝煙草の危険

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    アルゼンチンと言う国の不安定さとゴシックホラーの融合

    あとがきがとてもわかりやすく魅力を伝えていると思う。
    国の事情や風土のようなものがあるからこそのなんとも言えない不気味さなんだなと。


    国書刊行会のスパニッシュ・ホラー文芸
    ・兎の島
    ・寝煙草の危険
    ・救出の距離
    とすべて所謂、ジャケ買いしていますが…
    やはり買い時は毎回躊躇するお値段

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    2025年05月26日
  • 意識をゆさぶる植物――アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性

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    本書を読み、植物、特に人の精神に影響を与える植物は宗教や文化と強い関係があり、この関係性を調べていくととても面白いと思いました。

    本書を100%信じることは出来ないが(テーマの植物に関して著者は擁護しようとする意思を個人的に感じたため)、もっと調べてみようというきっかけになりました。

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    2025年02月10日
  • 寝煙草の危険

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    ホラー、、、苦手だ。。。と思いつつ読み始めたけど、(最初こそ入り込めなかったものの)楽しく読めた。特に「戻ってくる子供たち」が面白い。
    とはいえ、最初入り込めなかったのも、私がアルゼンチン(あるいは南アメリカ)の社会状況をよく理解できていないからだろう。現実の方がもっと恐ろしいものだとすれば、ホラー小説という形式でオブラートに包んで追体験させてもらっているという事か。そう考えると「戻ってくる子供たち」を読んでいてなぜか感じた痛快さも理解できるような気がしてくる。

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    2025年02月09日
  • 意識をゆさぶる植物――アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性

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    やはり法的にも問題がなく日頃から馴染みのあるカフェインの章が最も楽しめた。
    カフェインの効果と飲み物を結びつけて好きだと思わされるように動機づけを受けている話はとても興味深くて、夢中で読んだ。
    カフェインが効いている間、眠気を誘う物質の受容体がハイジャックされて効果を感じないものの、その間もその物質自体はどんどんと溜まっていっているから、カフェインが切れた時にはどっと疲れを感じるというのは体験からもよくわかることだった。

    とはいえ、著者の立場として、だからやめた方がいい、ということではないし、常にそれが手に入り依存している状況を不快に思わないなら、それは別に問題じゃない、という表明をしている

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    2024年11月04日
  • 兎の島

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    所謂ジャパニーズホラーとは違って訳者あとがきに書かれているように「幻想文学」

    怖い!ではなくてどこからが妄想なのか、現実なのか。このまま続くのか的な不安と恐怖。

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    2024年10月30日
  • 怪物のゲーム 下

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    ネタバレ

    下巻に入り、関係者達の相関関係はどろ沼状態。
    それぞれがどんな思惑で動いているのかなかなか見えて来ない中、挑戦ゲームの日が刻一刻と近づいてくるところに緊迫感を感じる。
    怪しい奴は湧いて出てくるが、すべからく空振り。
    ″怪物″は本当にディエゴの小説の中から解き放たれたのか!?

    犯人逮捕に漕ぎ着けないため、結果的に三度目の挑戦ゲーム(一度目は犬の糞を完食し、二度目は拷問器具の拘束に7時間耐え、、、)に臨むことになったディエゴだが、さすがに肉体的にも精神的にも限界を迎え。。。

    下巻中盤、第二部として突如犯人側からの視点で語られる。
    まさかの『模倣犯』的展開!
    ちょっとテンション上がっちゃいました

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    2024年06月15日
  • 寝煙草の危険

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    ネタバレ

    〈アルゼンチンのホラー・プリンセス〉による12編の悪夢。幽霊や魔女、呪いといったガジェットが登場するゴシック調ホラーに描かれるのは、現実のアルゼンチンが抱える過去の傷と病理。本書全体に漂う倦怠感と閉塞感、絶望、そしてグロテスクなまでに生々しい生への渇望。

    ・小さな骨を庭から掘り出したことで赤子の幽霊に付き纏われる少女「ちっちゃな天使を掘り返す」。アンヘリータ(ちっちゃな天使)の望みとは一体何だったのか。
    ・少女たちの憧れと嫉妬が残酷な結果を招く「涌水地の聖母」。この"少女たち"というワードもエンリケス作品の重要な要素なのかも。
    ・住宅街に現れた酔いどれの老人はゴミを満載し

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    2024年01月18日
  • 花嫁殺し

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    3部作とのことだけど、これ続きもう出ないのでは…?ここで終わるかーってラストなんだけど、これは続刊あったとしても後味の悪さは残ったままな気がする内容だね。読むの止められなくて一気読みしたけど事件解決した清々しさは1ミリも感じなかった。容赦ない展開好きだから私の好みではあった。

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    2023年09月09日
  • 兎の島

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    短編集。これからなんか展開が。。。何もなくいきなり終わる。という。疲れる。冒頭のやつと、終わりくらいに倦怠カップルの別れが書かれていてそれが共感できた。1個目はいわゆる修羅場を経験せずに関係を終わらせたい、ってやつで、なかなか。後のやつ。なんだかいい歳だし結婚してみるか、という男女が一応挙式などを行ったりする。一緒に過ごすことが増え、彼氏の歯茎の病気で口が臭く、人格を全否定してしまう女性。なんだろ、このドリフ感。身近感。

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    2023年08月10日
  • 寝煙草の危険

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    ちっちゃな〜の最後で赤ん坊の幽霊が走って追いかけてくるのが可哀想なのかシュールなのかわからなくなり笑ってしまった。
    「肉」の女の子たちの気持ちはわからなくもない。

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    2023年08月01日
  • 兎の島

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    どこまでが現実でどこからが夢や妄想なのかわからないような、うっすらと不安や不快感が漂う話が11篇。

    私はあまりハマらなかったかもしれない。
    幻想小説は好きな方だけど…文章?展開?うーん…。

    『冥界様式建築に関する覚書』が一番好き。

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    2023年01月06日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

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    読み進むうちにどんどん期待していた方向とは離れていったけれど、それはそれとしてたいへん興味深く読みました。

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    2022年12月24日
  • 怪物のゲーム 上

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    作家の娘が誘拐され、彼の作品通りの過酷な課題をこなさなくてはならない、、と言うのだが、本人も警部達も緊迫感が伝わってこない。登場人物それぞれが詳しく書かれていてそれだけで疲れてくる。それでもどこに伏線が張ってあるのか、読み飛ばす訳にはいかない。

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    2022年11月01日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

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    これ、どこからチョイスしたのか分からん…。でも、興味深い内容だったからまあ良い。いかにも容疑者チックな表紙で、中身もそっち系かな、と思ったけど(なりすまし事件を起こした真犯人、みたいな)、違ってました。一義的には、精神科患者になりすまし、実際の入院生活を体験し、その暗部を告発する、というもの。ただ本作の場合、途中から別の顔を見せ始めるのがポイント。なんと、論文捏造の方向に話が展開していくことに。これは作者自身も狙っていた訳じゃないらしく、その動揺ぶりがうかがえる語り口も魅力的。読み応えのあるノンフ作品でした。

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    2022年03月24日
  • プロジェクト・ファザーフッド

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    子どもへのDVはいけないということがストーリーでわかる。

    米国の犯罪多発地区の話だが、貧困の連鎖や子どもへの虐待などニュースに出てくる日本でも他人事ではないと感じる。

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    2021年11月19日