宮﨑真紀のレビュー一覧

  • 寝煙草の危険

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    現代を生きる若者たちを主に主人公に据えて、昔ながらの民間伝承や信仰を織り込み、現代の社会問題を絡めて描き出した味わい深いホラー短編集。不条理さと現実の不合理さが同時に味わえる、複雑な面白味のある話を楽しめました。

    この短編集の中では、「戻ってくる子供たち」が一番印象的でした。一見現代の社会問題を追っているような筋書きから、次第に不条理な不気味さが表に出てきて、現実を凌駕していく。けれどその不条理さは、辛く酷い現実を今生きている少年少女たちのどこへも表出しない辛みの別側面でもあるようで、けして絵空事だと軽んじて受け止められない重みを感じました。

    多くの短編でこの短編のように貧困などに晒されて

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    2024年07月15日
  • 怪物のゲーム 下

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    〈怪物〉を名乗る人物に娘を誘拐され、3つの課題をやり遂げなければ娘に同じことをした末に殺すと脅されるディエゴ。それは彼が書いた小説を模倣していて‥‥。

    課題の内容がおぞましくて気持ち悪くて、早く解決して欲しいという思いで一気読み。『クリミナルマインド』みたいだけど、警察がそこまで優秀じゃない。ディエゴは被害者なんだけど、なんとなくあんまり好きになれないキャラ。妻のラウラも。終盤はなかなか引っ張るけど、面白かった。

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    2024年05月09日
  • 寝煙草の危険

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    ・とっつきにくいかな?と思っていた読む前の印象と違い全然読みやすかった。訳が良い?のか?言葉も現代的なスラングも使われている所もあり、面白かった。
    ・全体的に覆われる不穏感。ラテンアメリカ文学的は不思議さみたいのも感じるけど、何となく思っていたのは映画のJホラー的な不穏さ。何もまだ起こってないのに何かが進行している様なドキドキ。日本的な環境とは明らかに違う場所での話なのにスッと入っていけるのは、その感覚の既視感があったから、かな?

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    2023年09月23日
  • 幻覚剤は役に立つのか

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    面白い。しかし脳に作用する物質でスピリチュアルな悟りを得るのが好きだねアメリカ人は。それのどこが悟りなのか。精神が物質の結果でしかないこの上ない証拠のように思うが。

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    2023年08月15日
  • 兎の島

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    装丁が綺麗で手に取ったもの。
    11の短編。タイトルの兎の島は、川の中の小島でウサギを飼ったところ、兎が想定外の行動を始める話。主人公がいなくなると、ウサギも死んで何もなかったかのようになる。
    「ホテル最上階の部屋は」、住み込み料理人が、ホテルの部屋で他人の見る夢を見始める。
    他人が見ている夢といいつつ、他人の考えを夢想しているだけでもあり、精神病名がつきそうな症状とも思える。
    「メモリアル」は死んだ母のアカウントが自分のFacebookに友達申請される話。ホラーというよりも、母を亡くした喪失感と立ち直りの話のようである。

    全編精神疾患の症状を、語るようでもある。
    スペインの持つイメージともか

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    2023年05月27日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

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    著者には脳炎を精神病と誤診された過去がある。危うく精神病棟に移送されかけたが、別の医師が脳炎を見抜き、事なきを得た。なぜ簡単に誤診が起きてしまうのか? 精神病とはいったい何なのか?  著者は自身の体験から、こう問い続けた。脳疾患と精神疾患の境目について調べていく内に、著者がたどり着いたのは「ローゼンハン実験」だった。

    ローゼンハンと実験協力者は、統合失調症の症状を偽って訴え、精神病棟への入院を果たした。入院後、自分たちの症状が「回復」するまでの経緯と精神病棟の現場における実態を詳細に記録した。研究成果は「狂気の場所で正気でいること」という論文に結実し、権威ある学術誌である『サイエンス』誌に掲

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    2022年09月21日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

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    1973年に行われた精神病院潜入実験「ローゼンハン実験」の真相を探求した刺激的なノンフィクションでした。本文にもある「もし正気と狂気が存在するなら、違いはどこにあるのか?」が本書のテーマでしょうか。結末がやや曖昧でした。偽患者として精神病院に潜入する体験談が(真偽はともかく)スリリングでした。

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    2022年08月25日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

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    めっっっちゃ読むのに時間がかかった。文章自体は凄い読みやすかったと思うんだけど、うーん…。
    内容は、二転三転していてスリリング。あらすじも覚えていなかったので、中盤以降の展開は実に面白かった。

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    2021年11月04日
  • プロジェクト・ファザーフッド

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    ジェンダー全盛期の現代において、父親の役割を重要視する内容なのだけど、父親の役割が何なのかは最後までわからない。ただ、父親という存在が大事なのだと男親が思うことで、地域へ良い影響を与えているというのが、とても良い仕組みだと思った。結局、役割があるかどうかということが人にとってそのコミュニティ(地域、家族に関わらず)に所属するかしないかの分かれ目になるのだと強く感じた。
    よく会社などでも何もしなくていいから、見てるだけでいいから、新人教育などで使われると思うが、一番やってはいけないことだと思う。自分の力を発揮でき、正当に評価する。このシステムがないと、コミュニティから人は離れていくのだとおもう。

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    2021年11月01日
  • 花嫁殺し

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    あらゆるグロミステリー読んできましたが、群を抜くグロさ。こんな死に方ひどすぎる!北欧系にはないドロドロ&凄惨のオンパレードです。幼少期に植え付けられたものに対する執着、怨念の重さを見せつけられました。猿の罰を思い出しましたね。そしてまたまた出てきたあの手のストーリー、実に気になる終わり方です。翻訳完成を心待ちにします。スペインの風景も垣間見え、楽しめました。そして、エレナが女言葉でなかったのも、新鮮でした。こんな翻訳を待ってました。

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    2021年07月27日
  • 花嫁殺し

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    やっぱりスペインの女性って、イメージ通り強い…
    マリアホが好きなんだけど、ケーキを焼いていくれる優しいおばさんかと思いきや、バルコニーで煙草をふかすとか、かっこよすぎる。

    この作品の事件はとりあえず終わったけれど、続きが気になりすぎる終わり方!
    早く続きが読みたいなぁ…
    いつか原文でも読んでみたいなぁ…

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    2021年06月11日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

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    原題は『The Great Pretender』、大詐欺師やなりすまし役者などといったニュアンスの意味を持つタイトルの本書。本書は、1973年に科学誌「サイエンス」に掲載され
    たアメリカ心理学者デイヴィッド・ローゼンハンの「狂気の場所の正気の存在」という論文を巡る一流のノンフィクションである。

    この論文が主張は極めて鮮烈であった。それは「精神科医は、正常な人間と精神病の患者を見分けることができない」というものである。その主張を裏付けるためのアプローチが凄い。というのも、ローゼンハンは自らを含む8名の偽患者に、嘘の病状申告をさせて精神病院に入院させ、診察や治療のデタラメさなどを暴き出すというも

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    2021年05月09日
  • 舌を抜かれる女たち

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    人類が文字を発明して残してきた情報には、こんなにも男性優生の思想がこびりついていたとは。そしてその物語を読んできた自分の中にも、無意識下の影響を発見する。

    権力の構造を変えていく、という主張がとても刺激的だった。
    1人1人の意識や行動のアップデートを行わないと未来には繋げられない。古典(過去)と現代は紛れもなく繋がっているのだから。

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    2020年09月06日
  • 肉は美し

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    ネタバレ

    人肉を食す未来という設定とニヒルな文体がずっと薄っすらとした絶望を漂わせている。何が正解か分からなくても考えることを辞めるなと言われているような気がした。
    いや…本当最後の最後…こっわ!!!

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    2026年04月26日
  • 肉は美し

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    ネタバレ

    ウイルスに侵されたあらゆる動物が殺戮された世界で、タンパク質摂取のために人肉食が合法となる。
    食用として家畜化された人間の解体処理工場で働く主人公のマルコス・テホのもとに、取引先から自家飼育用〈頭〉のメスが贈られてくる。家畜の奴隷化・性交渉は禁止されているが、彼はそのメスを孕ませてしまう。
    暖かく快適な暮らしをメスに与え、慈しんで暮らすようになるが、思い出されるのは以前授かったが亡くなった赤ん坊と、そのことにショックを受け実家に帰っている妻のこと。やがてメスは臨月を迎えるが……。

    という、だいぶショッキングな内容。カニバリズムを題材にした究極のディストピア小説だけど、人間は日々これと同じこと

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    2026年03月02日
  • 秘儀(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    いや凄い小説を読み切ったなという達成感が先にたち中身てきには??ホラー苦手人にはちょっと辛かった。あそこまでグロテスクに描かなくてもいいのにと思ったり。

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    2026年02月08日
  • 肉は美し

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    「肉は美(うま)し」という書名、読み進めるとなるほど。ずばり、人肉食の話です。ウィルスが世界に蔓延、動物の肉が食べられなくなった人類が共食いを始め、人を家畜の様に飼育し食べ尽くす、という世にもおぞましいストーリー展開。約230ページのコンパクト(?)なページ数でありながも、人が人を食べる描写にやや食傷気味になりました。

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    2026年01月28日
  • 肉は美し

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    家畜の肉がウイルスで食えなくなって人間を食うようになったディストピア小説。
    これ言ったら身も蓋もないけど「動物の肉が食えなくなった…せや!人間を家畜化したろ!」いや無理あるだろ。訳者あとがきの牛の肉をめっちゃ食うアルゼンチン人ならではの感性で、ある種の人を家畜にして肉を食う生理的嫌悪感というより家畜にこんなことしてるんやぞ!という倫理の内容かなと。
    南米の小説なのでもっとえげつない内容かと思ったがそういう意味では肩透かしだった。作中で出てきたあるフレーズがテーマとしてあるなら「寄生獣」の方が数段上。

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    2026年01月17日
  • 肉は美し

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    動物感染症のパンデミックによりヒトを食べることになった社会の物語。もちろんテーマゆえに、怖いし、グロテスクな描写もあるのだけれど、むしろ主人公から見た人間たちの雰囲気や話し方の表現が丁寧で独特な読み応えなのに淡々としていて……と不思議な感じがする、そんな読書体験でした。個人的にはp.10とタイトルを見比べて「くー!好き!」となりました。ラストシーンは結構衝撃的でしたが、主人公の心の穴を埋めるのにはいちばん幸せな展開だったのかな、と思います。

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    2026年01月11日
  • 秘儀(下)(新潮文庫)

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    下巻に入ると雰囲気がまったく変わり……なんてことはなかった。
    下巻最初の章は、上巻で語られてきた物語の前の時代(1960〜1976)だ。一人称の語り手は誰だ? この章でだいぶ謎が解けるようになっている。次の章は本筋にはまったく関係ないジャーナリストのお話。そしていよいよクライマックス(1987〜1997)となる。
    アルゼンチンの政治状況を基に土着宗教を被せ、そこに家族(主に父と子)を絡めたエンタメ小説という感想だ。上巻で感じたほどホラー要素は強くない。軍事政権下で想像もできないほど残虐な行為が行われたことへの怒りが感じられた。

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    2025年12月31日