宮﨑真紀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレウイルスに侵されたあらゆる動物が殺戮された世界で、タンパク質摂取のために人肉食が合法となる。
食用として家畜化された人間の解体処理工場で働く主人公のマルコス・テホのもとに、取引先から自家飼育用〈頭〉のメスが贈られてくる。家畜の奴隷化・性交渉は禁止されているが、彼はそのメスを孕ませてしまう。
暖かく快適な暮らしをメスに与え、慈しんで暮らすようになるが、思い出されるのは以前授かったが亡くなった赤ん坊と、そのことにショックを受け実家に帰っている妻のこと。やがてメスは臨月を迎えるが……。
という、だいぶショッキングな内容。カニバリズムを題材にした究極のディストピア小説だけど、人間は日々これと同じことを動物にしているのだと思うと複雑な心境になった。
主人公とメスは対人間であるけれども、二人の生活にずっと嫌悪感を覚えながら読んだので、ラストは正直興奮した。社会風刺で終わらせないでくれてありがとう。 -
Posted by ブクログ
アルゼンチン発のホラー小説……らしい。この国の作家が書いた本はホラーに限らずたぶん読んだことがない。そもそもほとんどなにも知らないに等しい。舞台となるのは1981年から1986年までのアルゼンチン。作中にも断片的に書かれているが、かなりやばい事態だったようだ。
冒頭、筋骨たくましい父親と少年が車で旅する場面は魅力的だった。が、中程に挟まる短いがグロテスクな謎の章、そして最後は成長した少年を主人公とするモダンホラー的な章(キングの『スタンド・バイ・ミー』や『IT』を思い出す)で終わる。うーん、要するに悪魔を崇拝する教団とその手先となる霊媒を巡る話か? だが、語られる内容が明確に繋がらず意味がわからない。
もやもやしたまま下巻へ。 -
Posted by ブクログ
このホラ大賞の短編集。
ラテンアメリカの香りはしつつ、ジェンダー・社会的な題材も取り扱う。
他のラ米文学と比べても突出した表現がなく、そこまでハマらなかった。脱糞やら嘔吐やらが好きなんだなと思った。
ちっちゃな天使を掘り返す
腐った赤ん坊を見つける話。
わたしは彼女の顔を覆ってからリュックに詰め込み、一五番のバスでアベジャネダに向かった。
湧水池の聖母
なによ、偉そうに、ぺちゃんこお尻の色黒女!まぬけにもほどがある。そいつらはあたしの犬だよ!
ショッピングカート
浮浪者をいじめて脱糞させた街からお金や電気食料などなどが消えていく話。
どこにあるの、心臓
異常心音を聞きたい女と聞かせたい男。
肉
死んだロックスターの肉を喰らうバンギャの鑑。
二人は棺を開け、エスピナの遺骸を吐き気を催しながらも熱心に食べたのだ。骨のまわりにあった嘔吐物が彼女たちの必死の努力を証明していた。
誕生会でも洗礼式でもなく
悪魔に取り憑かれたと言い張る女の子を撮影するカメラマン。
何より驚いたのが、出されたのがお茶だったことだ。性的倒錯者は絶対にお茶は出さないんだ、と彼は説明した。かならずコーヒーだし、夜なら赤ワインと相場が決まってる。
戻ってくる子供たち
行方不明になった子供達が一斉に帰ってくる。
わたしたちが死者と話していたとき
ウィジャボードは危険が危ない。
井戸
悲しみの大通り
展望塔
寝煙草の危険 -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族から勧められて読んでみた。とにかく面白いらしい。
期待が高まる、、、が、帯を見ると、、、
えっ⁉️ホラー?
全世界が注目する南米ホラー
今世紀、最強の恐怖
アルゼンチンのホラー女王が綴る暗黒の書
これまたおどろおどろしいキャッチコピーが並ぶ。
私、ホラー苦手なんだよねぇ〜怖いのよ(泣)オカルト、怪談の類が無理❗️絶対、怖い❗️一人で寝れなくなる❗️嫌だ、、、読めない、恐ろしすぎる、、、と相当、読み始めるまで悩んで、怖いもの見たさに〝えいやぁー″と勢いで読み始めた。
なんじゃこりゃ?
巻末の解説に「ページを繰っても繰っても全貌が見えてこない構造の複雑さ」とあったが、それそれ!複雑な小説を読みこなす力のない、単純すぎる私が悪いのか?視点を変えた登場人物の一人語りが長い!長過ぎる!一人でごちゃごちゃ語らんでええから、話を先に進めてちょうだいよ、と飽きてしまう。
1980年代のアルゼンチンという国の社会情勢を背景としているところは、興味深かった。
北欧ミステリーで耐性がつき過ぎたのか(つき過ぎて不感症を患ったのか)大してホラー要素の不気味さも感じず、唯一興奮したのは館に入り込んだ少年少女4人組の一人が三人に手を振った、、、そうして手を振ったあと、、、の館探索の箇所くらい。
最後まで、人を彷徨わせ、呑み込む館が重要な舞台となるのだが、、、。
事実は小説より奇なり、で異形のものは別として、こんな〈教団〉実際にあったのでしょうねぇ
。今でも密かに行われていたりして、、、ホラー小説を怖いと思えないくらい、現実の方がよっぽどホラーです。
複雑さは、いろいろな事を示唆しているからこそのようでした。
-
Posted by ブクログ
端的にいえば、資本主義社会で、さまざまなリソースに限界があるから。それがコロナを経て、歪みが酷くなった。
それを選別というのかどうかは難しい。
選別されるのが、資本主義社会。
間違えるべきではないのは、金のあるやつがプラスアルファを得る社会ということである。
それが悪いかと言えば必ずしもそうではないはずだが、機会均等結果不平等、機会均等も金次第で、カテゴライズと差別が大好きな大米国ではより酷いことになってるのはわかる。それでも結果的に人種差別という発想は嫌いだな。歴史的、社会的に色々な問題はあってのことだが、貧困問題と差別問題を一絡げにするべきではない。それは問題を曇らせる。
著者は大米国の貧困と犯罪が吹き荒ぶ地域で、救急救命室に属する医師で、理想と現実に引き裂かれて苦悩する。
まあ。
自分でも理想に挑んで失敗している。
問題提起にはなるが、解決にはならない。
事象の描写と著者の考え、これは手紙形式ではあるが、綺麗に分けて書いてあって読みやすいし本としては面白い。
しかしこいつら、毎日愛してるという、毎日手を繋ぐ、毎日キスをする、とか言っといてそれが出来なくなるとあっという間に離別するってなんなんだろう。 -
Posted by ブクログ
お初のジャンルでございました。
短編集というのもあり非常に読みやすかったし、
いい感じのホラー感と面白さかな〜と。
幽霊や呪術と人の悪意がいい感じに共存してて
ヒィー!ってはならないけどおお〜となる感じ。
個人的には湧水地の聖母が1番良かったな。
まさに人の悪意なんですけど、
私も読んでて悪意から願ったので…笑
後書きのアルゼンチンの歴史を知るとなるほどそうなのか〜ともなれます。知識がある方は本編を読んでいる最中にきっと気づけるのだろうね。
めちゃどうでもいいんですけど作中2回うんこが出てきて、それがどっちもげりぴーだったのはちょっと笑いました。お気に入りなのかな?! -
Posted by ブクログ
やはり法的にも問題がなく日頃から馴染みのあるカフェインの章が最も楽しめた。
カフェインの効果と飲み物を結びつけて好きだと思わされるように動機づけを受けている話はとても興味深くて、夢中で読んだ。
カフェインが効いている間、眠気を誘う物質の受容体がハイジャックされて効果を感じないものの、その間もその物質自体はどんどんと溜まっていっているから、カフェインが切れた時にはどっと疲れを感じるというのは体験からもよくわかることだった。
とはいえ、著者の立場として、だからやめた方がいい、ということではないし、常にそれが手に入り依存している状況を不快に思わないなら、それは別に問題じゃない、という表明をしているのもなんだか新鮮な感じがして良かった。
アヘンによる考えすぎてしまう脳を鎮静させて結果として幸せな気持ちになるという感覚や、メスカリンによる自ら対話の殻を閉じてしまっているものを開いて新たな視点から物事を見るという感覚についての話を読めたという点では面白かった。
が、気持ち少し長かったかなあという感じ。そのものズバリで知りたいという気持ちがあって読むのであれば最初から最後まで楽しめるとは思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻に入り、関係者達の相関関係はどろ沼状態。
それぞれがどんな思惑で動いているのかなかなか見えて来ない中、挑戦ゲームの日が刻一刻と近づいてくるところに緊迫感を感じる。
怪しい奴は湧いて出てくるが、すべからく空振り。
″怪物″は本当にディエゴの小説の中から解き放たれたのか!?
犯人逮捕に漕ぎ着けないため、結果的に三度目の挑戦ゲーム(一度目は犬の糞を完食し、二度目は拷問器具の拘束に7時間耐え、、、)に臨むことになったディエゴだが、さすがに肉体的にも精神的にも限界を迎え。。。
下巻中盤、第二部として突如犯人側からの視点で語られる。
まさかの『模倣犯』的展開!
ちょっとテンション上がっちゃいましたが、ここまででした。
以降は自分的には下り坂。
すべてがありきたりのハッピーエンドで、早々と舞台裏を見せた割には捻りなし。
はらはら息もつかせぬ要素満載のエンタメ小説としては面白いかもしれないが、深みはない。
H・G・ウェルズを軸に据えた『時の地図』に始まる、ヴィクトリア朝三部作(世界30ヵ国翻訳!)作家の描く震撼スリラーとのことでしたが、あるあるな作品止まりでした。