作品一覧

  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験
    4.0
    「病院に入りたいなら、頭がおかしいふりをしなくちゃ」 脳炎を精神病と誤診された過去を持つジャーナリストは、かつて全米医学会を大きく揺るがした心理学実験――精神病患者になりすまして病棟に潜入する「ローゼンハン実験」の調査・取材を開始する。やがて、実験に隠されたある奇妙な点に気が付く。次第に明らかになる衝撃の真実とは...!? 「これは患者5213号の初入院の模様である。名前はデヴィッド・ルーリー。39歳のコピーライターで、子どもが2人いる。頭の中で声が聞こえるという。しかしそこには問題があった。彼はコピーライターでもないし、ルーリーという名字でもない。じつはそんな人物は存在しないのだ。実在しない『デヴィッド・ルーリー』は偽患者だった。約50年前、医師が精神病患者とそうでない人を区別できるのかどうか確かめるために、精神科施設にみずから入院した8人の健常者のうちの最初の1人なのである」(本書より) 「調査報道の偉業。探偵小説のような説得力」(「エコノミスト」誌) 【目次】 ■ はじめに 第1部  第1章 鏡像  第2章 ネリー・ブライ  第3章 狂気の存在する場所  第4章 狂気の場所で正気でいること  第5章 謎が謎に包まれている謎の男 第2部  第6章 デヴィッドの本質  第7章 「ゆっくり進め、場合によっては足踏みのままでもいい」  第8章 「わたしなら、正体を隠しとおせるかもしれない」  第9章 入院許可  第10章 マッドハウスで過ごした九日間 第3部  第11章 潜入する  第12章 ……結局、人が正気かどうかわかるのは正気でない人だけだ  第13章 W・アンダーウッド  第14章 クレイジーエイト  第15章 第一一病棟  第16章 氷の上の魂  第17章 ローズマリー・ケネディ 第4部  第18章 真実の追求者   第19章 「ほかの疑問はすべてここから生まれる」  第20章 標準化  第21章 SCID 第5部  第22章 脚注  第23章 「すべては君の頭の中に」  第24章 影の精神衛生ケアシステム  第25章 決定打  第26章 疫病  第27章 木星の月 ■ エピローグ ■ 謝辞 ■ 訳者あとがき ■ 原注 ■ 図版・資料許諾
  • 脳に棲む魔物
    4.1
    1巻1,584円 (税込)
    ある日突然、正気と狂気の境界線を超えた24歳の女性記者。医師のだれもが治療困難な精神疾患の診断を下したが……! 医学ミステリーを超える面白さ。NYタイムズ第1位の衝撃の医療ノンフィクション。

ユーザーレビュー

  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

    Posted by ブクログ

    なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験。スザンナ・キャハラン先生の著書。正気と狂気を見極めることができない精神科医。精神疾患である人とそうでない人を見極めることができない精神科医。もしそうであれば精神医学に意味はあるのと疑問に思う人がいても不思議ではない。でも狂気に苦しむ人がいて精神疾患で苦しむ人がいることは紛れもない事実。精神医学や精神科医に完璧を求めたところで仕方のないこと。

    0
    2022年08月15日
  • なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験

    Posted by ブクログ

    ローゼンハンの偽精神患者の実験は広く知られている。しかし、そのニセ患者が自分と院生以外はいたかどうかわからない、という結論である。サイエンスに掲載された論文とともにこれを読むことがいいと思われる。ただし、400ページの本文のうち250ページは偽精神患者実験の説明であり、残り150ページがそのニセ患者の真偽をめぐる話である。したがって、この本を読むだけでローゼンハンの実験の説明になっている。
     シンバルドや電気ショックの実験についても、それぞれ実験の過剰操作としての電気ショックの強要や、囚人役の過激な演技が記載されているが、これをもっとで説明している本が翻訳で必要であろう。

    0
    2022年04月29日
  • 脳に棲む魔物

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    ネタバレ

    感動的で貴著な本である。

    著者、スザンナ・キャラハンは本にある病気になった時24歳。
    訳者のあとがきにあるように、本書の構成は、前半が著者の次第に悪化していく詳細な精神症状と、医師による相次ぐ誤診、診断が確定されない中どんどんと精神状態が悪くなっていくさまと困惑する周囲の記述は、ホラー小説を読むかのよう。

    実は私は読む前から診断名を知っていたし、精神科医でもあるので、この前半は読み進めることが非常に辛かった。我が身を振り返っても、24歳という若さで幻覚・妄想が出て来た場合、統合失調症ないしは双極性障害と診断してしまう可能性は高い。あえて言えば、突然の発症、それまでの社会適応からして、『この

    1
    2015年05月22日
  • 脳に棲む魔物

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    ネタバレ

    発表当時は珍しかった、自己免疫性疾患が突然発症した女性の、ご本人による回顧録。
    こうした書物を読むときは、

    ・日本とは異なる保険診療/自由診療混合医療の国で起きた事である。
    ・書かれている内容は、現在また異なる基準で判定されたり、価値が変わったりすることがある。

    の2点に気をつけながら読みます。
    そして読み終えました。

    不幸な偶然が3個積み重なった人と、幸運な偶然が3個積み重なった人の差に想いを馳せざるを得ません。著者は後者でした。
    幸運その1.『ポスト』の正社員で、保険会社が診療費をカバーしてくれたこと。
    幸運その2.両親も、恋人も、経済的に自立しており、著者を支える余裕があったこと。

    1
    2014年10月03日
  • 脳に棲む魔物

    Posted by ブクログ

    一気に読めるミステリーを超えた一冊。

    これがフィクションではないということも驚きだが、
    この病を乗り越えた彼女が
    偶然にも物書きであり、
    のちに情報を集めて本書にまとめられたことは奇跡のようなものだ。

    既存のミステリーに飽きた人にぜひおすすめしたい。

    0
    2014年07月18日

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