発表当時は珍しかった、自己免疫性疾患が突然発症した女性の、ご本人による回顧録。
こうした書物を読むときは、
・日本とは異なる保険診療/自由診療混合医療の国で起きた事である。
・書かれている内容は、現在また異なる基準で判定されたり、価値が変わったりすることがある。
の2点に気をつけながら読みます。
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そして読み終えました。
不幸な偶然が3個積み重なった人と、幸運な偶然が3個積み重なった人の差に想いを馳せざるを得ません。著者は後者でした。
幸運その1.『ポスト』の正社員で、保険会社が診療費をカバーしてくれたこと。
幸運その2.両親も、恋人も、経済的に自立しており、著者を支える余裕があったこと。
幸運その3.然るべき論文を読み、自身の研究分野にもつねに情熱をもって取り組む医師に巡り合えたこと。
幸運な偶然が3個積まれていなかったら、この本は世に出なかったし、著者は精神病と診断されて社会福祉給付を受けるしかなかったのではないか。
それを想うと、今の日本でも、『ナニナニ障害』や『ナニナニ病』とされる人の何割かは、救えるのではないか。そうした事柄への気づきやすさを、持ち続けたいと思いました。