【感想・ネタバレ】秘儀(上)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

“闇”の力を借りアルゼンチンの政財界の裏側で暗躍する〈教団(オルデン)〉と、それを司るブラッドフォード家。生贄を捧げる儀式で“闇”を呼びだす霊媒として利用され続けてきたフアンは、息子ガスパルも同じ力を有することに気づく。死期が間近の自分が倒れる前に、息子を逃がす計画をたてるが、〈教団〉の包囲網は次第に狭められていった……。現実と異界を行き来し繰り広げられる流血の狂騒曲!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

物語の舞台は、1960年代から90年代にかけてのアルゼンチン。当時の社会状況を色濃く映し出したゴシックホラー。読み始めは全体像がつかみにくく戸惑ったけれど、読み進めるうちに断片がつながり、気づけば深く物語の中に引き込まれていた。教団をめぐる人物関係は複雑で少し覚えづらく、家系図を作って整理すると理解しやすかった(家系図を作ったのは『百年の孤独』以来かも)。
フアンと教団に関わるパートは不気味さと恐怖が強く、一方でガスパルと友人たちの場面にはYA文学のような瑞々しさがあり、その対比も印象的。フアンがガスパルを傷つけてしまう場面は胸が痛み、読んでいてつらくなった。普段あまり手に取らないジャンルだけど、予想以上に面白く、すっかりハマっている。下巻を読むのが楽しみ!

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルとカバー写真見てこれはもう買うしかないと、そして中身はぎっしりです。
上から下までぎっしり文字が!隙間がないページがほとんどで活字中毒のための本かもしれない。
儀式、怪しい組織、魔術のようなものを使える主人公、血と肉と狂気が詰まった儀式シーンは圧巻ですね。
後半から息子のガスパル視点になり、フアンが一つも説明してくれないことに読んでるこっちも不安になってくる。見て覚えろ、やってみろ精神なのか口下手なのか。

闇を神と崇めている組織があり、それを出現させるための霊媒がフアンであり、その力を息子ガスパルも引き継いでいるので組織に狙われているようですね。
章ごとに視点が変わるので下巻では誰になり、どんな物語が語られるのか!
楽しみです。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

謎の儀式を行い〈闇〉と接触することを本懐とする〈教団〉、そして〈闇〉を呼び出すことが出来る力をもつばかりに〈教団〉に振り回される霊媒のフアンとその息子ガスパルを主軸として展開する、この世の暗い部分を全て詰め込んだかのような作品

序盤に二人で旅行に出かけるシーンは、何か違和感がありつつも和やかな感じだったのに、タリに会ってからはエログロのオンパレードという具合でびっくりした
フアンがガスパルのことを愛しているのはよく分かるんだけど、病気で今にも死にそうだという焦燥感や敵の強大さが起因してるのか、愛情表現が大変にバグってる
しかもこの小説、敵の本拠地に行っても一部を除いてエグい描写ないのに、ホームにいるときは残酷な描写が多いというのが安心感を損なわせる

フアンがサラッと行う魔術・儀式の描写は、それ自体のカッコ良さとそれを終えたあとのフアンの憔悴もあって、結構好き
序盤から散々引っ張られた〈本儀式〉の内容については、血の温度と肉の感触が伝わってくるほどの、予想を上回るエグさ
タダでさえエグいのに加えて、それに参加する連中の恍惚感が詳しく描写されるから、より〈教団〉の異質さとおぞましさを感じる

第3章、ガスパルが主人公になってから現れた「ひとけのない家」の正体が何なのかが下巻で明らかにされると思うとワクワクする
夏休みに屋敷でガスパルが本当はどんな目に遭ったのか、ガスパルに残る淡い記憶から考えるとフアンが霊媒となって何らかの術をかけたのだろうけど、詳細が気になる
フアンとは結局仲直り?出来ずじまいで死別したのが辛い。
色々と謎は残ってるから下巻を読むのが楽しみ

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2025年10月19日

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