【感想・ネタバレ】いのちの選別はどうして起こるのか──ER緊急救命室から見たアメリカのレビュー

あらすじ

《 シカゴ大学の緊急救命医が告発する[人種差別×医療格差 ]の実態 》
「差別と貧困」が医療ケアに爪を立てる日常に挑み続けた、あるシカゴER医師の葛藤と前進、そして憤懣と挑戦に満ちた熱きドキュメント。

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〈 格差が分断する、医療という名の戦場 〉

通院するカネがなくて病状を悪化させた者、銃撃事件に巻き込まれた者、麻薬中毒者……。
救命救急室に担ぎ込まれるのは、社会構造と医療保険制度から取りこぼされた貧困層の黒人ばかり。

──アメリカ型資本主義の価値観は医療システムの中に勝者と敗者を生み続け、“敗者のいのち” は常に軽んじられてしまう。

社会で正義がおこなわれないかぎり、医療もまた、正当に人を救えるものにはなりえない。
これは、私たち日本人にとっても対岸の火事ではない。

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〈序文寄稿〉タナハシ・コーツ(2016年タイム誌『世界で最も影響力のある100人』選出)

「本書は、パンデミックさなかのERの1年を描いているのみならず、複雑な医療システム全体、そしてそれを捻じ曲げる分配の不平等について果敢に検証する。思い出してほしいのは、新型コロナウイルスの流行が始まったばかりの頃、ウイルスには〝肌の色は無関係〞と言われていたことだ。たぶん、本物の危機にあっては、人間誰もが共有する弱さを克服するため、誰もが立場を超えて力を合わせることになる、そう信じたかったのだろう。

しかし、それから3年が経過した今、黒人とラテン系の人々はこのパンデミックのあいだに平均寿命が3年も短くなった。これは白人の3倍に当たる。あの時点で予想してしかるべきだったのだ。そして今こそ、利口になるべきだ」

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〈訳者〉宮﨑真紀(「訳者あとがき」より)

「全編を通して、ドラマ『ER』さながら救急医療現場に緊張感と切迫感がみなぎり、黒人コミュニティを少しでも癒そうとする著者の情熱と不平等への怒りが満ちあふれていて、読む者を圧倒する。そして、格差構造の根深さをあらためて思い知らされる。いや、日本でも、貧困層の無保険問題、地方と都市部の医療格差など、医療環境に確かに深い溝が存在していることを忘れてはならないだろう」

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【目次】
■序文……タナハシ・コーツ
■1………2020年2月
■2………2020年3月
■3………ジャネットへの手紙
■4………2019年11月(パンデミックの前)
■5………ニコールへの手紙
■6………2020年5月
■7………ロバートへの手紙
■8………2020年7月4日
■9………ダニアへの手紙
■10………2020年8月
■11………リチャードへの手紙
■12………2020年9月
■13………フェイヴァースさんへの手紙
■14………2020年11月
■15………母への手紙
■謝辞
■訳者あとがき

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Posted by ブクログ

端的にいえば、資本主義社会で、さまざまなリソースに限界があるから。それがコロナを経て、歪みが酷くなった。

それを選別というのかどうかは難しい。
選別されるのが、資本主義社会。

間違えるべきではないのは、金のあるやつがプラスアルファを得る社会ということである。

それが悪いかと言えば必ずしもそうではないはずだが、機会均等結果不平等、機会均等も金次第で、カテゴライズと差別が大好きな大米国ではより酷いことになってるのはわかる。それでも結果的に人種差別という発想は嫌いだな。歴史的、社会的に色々な問題はあってのことだが、貧困問題と差別問題を一絡げにするべきではない。それは問題を曇らせる。

著者は大米国の貧困と犯罪が吹き荒ぶ地域で、救急救命室に属する医師で、理想と現実に引き裂かれて苦悩する。

まあ。
自分でも理想に挑んで失敗している。

問題提起にはなるが、解決にはならない。
事象の描写と著者の考え、これは手紙形式ではあるが、綺麗に分けて書いてあって読みやすいし本としては面白い。

しかしこいつら、毎日愛してるという、毎日手を繋ぐ、毎日キスをする、とか言っといてそれが出来なくなるとあっという間に離別するってなんなんだろう。

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2025年07月14日

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