吉行淳之介のレビュー一覧

  • 夕暮まで

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    乾いた文体で濃密な男女の関係を描いている。男と女の関係は感情と感情が寄せ合い、引き合い、触れ合うことで進展したり後退したりする。年齢の近さや遠さはあまり関係がない。佐々と杉子の関係は、佐々の年齢に近い私にとっては理想的に見えてしまう。こういうドライな関係もいいなぁとぼんやり空想してしまう。お馬鹿さんだ。
    この小説世界に漂っているのは都会の暗鬱さ、陰鬱さ、鬱屈さだ。倦怠感といってもいいかもしれない。都会生活特有の孤独感みたいなものも感じられる。欲望を掻き立てられ、欲望を消費する高揚。そしてそのあと否応なくやってくる空虚。それをものの見事に照射しているように思える。ちなみに「夕暮族」というワードが

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    2025年10月02日
  • 砂の上の植物群

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    吉行淳之介文学忌、淳之介忌

    本棚に残っている吉行さんの文庫本の発行年からすると どうも20歳くらいの頃よく読んでたみたいです
    まだ残してあったのは、好きだった記憶があったからなんだろうと思う
    再読してみたけど 時代は移り 今となっては
    さっぱりわからない

    『砂の上の植物群』は、1950年代に文學界に連載された作品で、戦後の空気をまとった私小説風の語り。亡くなった父親の抑圧や複数の女性との関係を通じて、主人公の内面の空虚さが描かれているが、正直、何を描きたかったのかはっきりつかめず、誰にも感情移入はしない。
    よそに子ども作る父親像も、当時の時代を映しているのかもしれない。1976年には土瓶さ

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    2025年07月26日
  • 娼婦の部屋・不意の出来事

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    吉行淳之介の文章には妙に惹かれる何かがある。彼の持つ儚さや満ち足りなさのようなものが、よく題材にしてる娼婦と惹き合うところがあるんだろうなと感じる。今風に言えば、回避性パーソナリティや共依存に近しい。

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    2025年06月27日
  • 夕暮まで

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    7月26日 吉行淳之介文学忌、淳之介忌

    1978年第31回野間文芸賞 受賞
    1979年第35回日本芸術院賞 受賞

    持っていた昭和の文庫とは装丁が変わってますから、まだ現役で販売されているようです
    お姉さんな頃、何を思っていたか忘れたけど、吉行淳之介さんの作品が好きで何冊かまだ本棚に残してありますね

    アンニュイでダウナーで欲情的で昭和的
    若い女性と逢瀬を重ねる中年男
    妻にはバレていない模様
    若い女性は、最後さえ死守すれば、あとは欲望の赴くまま
    行為の表現は具体的で扇状的
    関係性と彼らの存在自体は、抽象的で不確か

    昔はドキドキしたのかな
    もうわからないわ

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    2024年07月25日
  • 娼婦の部屋・不意の出来事

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    初期の13編を集めた短編集。前回読んだ『原色の街・驟雨』よりさらに著者の作品の振り幅の大きさが堪能できて良かった〜完全にハマりそう、全集にも手を伸ばしかねない。他者との距離感を定める過程で自己を確立していく人物の話が多かった印象。その隔たりは、XY軸だけでなく、Z軸にも及ぶ。立場が異なる男女が共に海に落ちる「原色の街」、現実世界を遠く見下ろし浮遊する「漂う部屋」と同様に、「童謡」の「「もう、高く跳ぶことはできないだろう」」や、「出口」の「彼は男も自分と同じ平面に立っていることに考えを向ける余裕が無かった。迂闊と言わなくてはならぬ……」とか。この辺もっと掘り下げたいなぁ。

    「娼婦の部屋」表題作

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    2024年06月21日
  • 原色の街・驟雨

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    終戦により、焼け出され、身寄りもなくなった貧困を理由に娼婦になった人も多かった。裕福で色情的な人、精神は貞淑な娼婦。湧き起こる気持ちの抑制を巧みに綴る。「漂う部屋」は、結核が重病とされていた時代の話。死の恐怖を感じながらも明るく振る舞おうとする姿がじんときた。2024.4.28

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    2024年04月28日
  • 猫は神さまの贈り物〈エッセイ編〉

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    猫にまつわるエッセイを色々なところから集めたもの。谷崎潤一郎や夏目漱石など、大分昔のものが多く、文体が読み辛く苦労したものもあった。

    解説で角田光代さんが書いてらっしゃることと通じるけれど、現代の猫の扱いとはかなり違っていて、なんだか可哀そうだなぁ残酷だなぁと感じること多々……より家畜的扱いという感じ。

    猫は感情や言いたいことを目に見えて主張するし甘えん坊だし、現代に生きている私は家族の一員として以外考えられないけれど、昔はこんな感じの距離感だったんだなと。

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    2024年04月15日
  • 暗室

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    一章一章が掌編小説のようでそれぞれに印象的、全体を通せばひとつの長編小説になっている。
    前時代的な女性観・男性観も、終焉した男の美学として読めば面白い。

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    2022年01月09日
  • 原色の街・驟雨

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    「原色の街」
    色街に絡め取られた、人生の成り行きを紡ぎ出している。
    客に受けられるという穏当な手段でも、心中未遂という一刀両断的な手段でもこの街から逃れられない。むしろ逃れたくない自分から逃れられない。デスティニ、運命はこうも決定づけるのか。

    「驟雨」

    色街の女に本気になっていく男の物語
    サイコロ
    →不完全を示し、二人の気持ちが交わりそうで交わらないことを仄めかす。

    落葉
    落ちるはずのない緑葉が、にわか雨のようにボトボト落ちていく。それは娼婦に心を寄せることなぞ考えもしなかった主人公を、葉になぞらえ、幹(正道)から落ちていく様を描く

    茹でがに
    散らばる茹でがには、娼婦への嫉妬を、ダイレ

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    2021年09月10日
  • 吉行淳之介ベスト・エッセイ

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    面白かったです。
    吉行淳之介は初めて読みましたが、文章が軽くて明るくてするする読めました。
    時代の違いがあるので風俗や考え方は昔だなぁと思うところもあるのですが、今でもはっとするところもありました。
    「生きているのに、汚れていないつもりならば、それは鈍感である」、これはしみじみします。
    作家さんたちとの思い出も面白かったです。
    「根岸の里の侘住い」「それにつけても金のほしさよ」…俳句を読めといきなり言われた時のために覚えておきます。
    苛々することがあっても、これからは「気に入らぬ風もあろうに柳かな」と唱えればなんだか落ち着いていられそうです。

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    2019年05月04日
  • 原色の街・驟雨

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    戦後の赤線地帯の男女のやりとりが分かる表題作を読むと男は結婚相手に娼婦を選ぶことはないが、娼婦が肉体に目覚める男は結婚相手になるとは限らないという筆者の考えがよく分かる。価値転倒を狙ったらしいが娼婦を描きたかっただけでは?

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    2018年10月20日
  • 夕暮まで

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    伊藤裕作によれば本書の影響を受けた風俗店に愛人バンクやデリヘルがあるらしい。納得。主人公の中年は女子大生の素股とフェラチオとクンニを満喫する。デリヘル嬢を半日予約してたら警察にたまたま尋問され免許忘れて妻子にバレないか心配するとかしょうもない話。

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    2018年10月20日
  • 原色の街・驟雨

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    再読ですな。
    並行して読んでいた有島と比較すると断然文章が上手い、というか俯瞰という観点と文体の一体感を感じさせてくれる。それを世評では上手い作家というのかもしれず。
    内容はある意味キワモノであるという指摘を否定できないかもしれないけれど、生きているという肌触りはそういった局面でしか通常現れないと言えなくもなく。
    そのせいか、最後の『漂う部屋』は他と比較し一枚も二枚も落ちる気がする。

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    2018年06月09日
  • 暗室

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    初・吉行淳之介。女の身体に溺れる中年の話。といってしまっては身も蓋もないけど。いろんな女を侍らしていたのにひとり、またひとりと去っていき最後に残った女に溺れていくのはある意味滑稽。

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    2016年02月02日
  • 原色の街・驟雨

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    吉行淳之介という作家に以前から興味を持っていた。女優・吉行和子と作家・吉行理恵の兄、詩人・吉行エイスケと朝ドラのヒロイン・あぐりさんの息子。それに加えて写真で見る限りダンディーなのに女性蔑視者と言われている。

    表題の「原色の街」や芥川賞受賞作「驟雨」などは書き方が粋だけど内容はスポーツ新聞に載ってるエロ小説と変わらない。
    登場人物が皆利己的で冷たい。それ故読む人にクールな印象を与えているのかもしれない。

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    2016年01月24日
  • 夜の噂

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    絵画のような小説

    本作は、『驟雨』など叙情的な短編の名手として知られる吉行淳之介の数少ない長編だが、詩や絵画を想わせる叙情的さは健在であり、主人公や、それを取り巻く女たちとの人間関係や心象風景にも、作者独特の、はかはさや繊細さを味わえる作品です。
    一方、ロードムービーのような作品が多い作者にしては、本作にはオチもあるので、初めての吉行淳之介の作品の読者も満足のゆくことだろう。
    ちなみに、『砂の上の植物群』も本作のような絵のような小説。

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    2014年11月27日
  • 夕暮まで

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    中年男で妻子あり
    なのに遊び人で、若い女といくつもの関係を持っている
    そんなやつとの恋愛が、遊びでないわけがない
    だから本番行為なし
    でもそれ以外なら何でも許しちゃう
    そんな娘
    処女だと言っている
    しかし本当に処女なのだろうか?中年男は疑わしく思うのだった
    そんなことにこだわっても仕方がないけれど
    なんかからかわれてるみたいだし
    若い男の影を見て、嫉妬の気持ちもわいてくる
    でも本番行為なし
    させてもらえない
    まあがっついても仕方がないんだけど
    遊んでやってるつもりが、遊ばれてるような気分になってくる
    そんなふうに思うということは
    遊びじゃなくて、ほんとうは深い関係になりたいのか?
    それとも女の

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    2014年11月26日
  • 夕暮まで

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    セックス以外の性行為を中年男に許す処女について話が進む。オリーブオイルでの素股など性的に技巧を持つ処女というのも悪くないが、これといったとらえどころが表現しようがない作品である。

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    2014年09月09日
  • 原色の街・驟雨

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    「原色の街」の舞台となった場所を訪れたのをきっかけに興味を持ち、はじめて作者の本を読みました。5編からなる短編集。お金で買う割り切った物理的な「肉体」の関係を通して、複雑な「精神」の構造や変化を描いた「原色の街」「驟雨」がとてもよかった。どの話にも共通すると思ったのですが、混沌としたなかで何かを結論づけるようなものではないのに、驚愕させられるような、印象に残るラストの表現の仕方、描き方は素晴らしい。この作者が個人的にすきか嫌いかは別として、凄い作家だなと思いました。

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    2014年05月18日
  • 原色の街・驟雨

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    初期の5つの中・短篇を収録。篇中の「驟雨」は第31回(1954年上半期)芥川賞受賞作。吉行は、「原色の街」で候補になって以来、ほぼ毎回候補に挙がって来て、ここでようやく獲得したのであった。つまり、手練れではあるものの、最後のインパクトには欠けるとの評価だったようだ。また、後年にも『夕暮れまで』を書いていることから、官能小説化のようにも思われがちだが、実質はかなりニヒルでクールな都会派作家である。ここでも娼婦が描かれるが、情交の場面はなく、主人公の山村と娼婦の道子、それぞれのデラシネこそが描かれたのである。

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    2014年03月30日