吉行淳之介のレビュー一覧
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あんにゅい。
変なおっさんと、尻軽女(処女―それ以外はなんでもする)のお話。
何も起こらない。いや、正確にいうと途中で女が処女じゃなくなるんだけども、それは話のなかえではどうでもいいことらしい。あっさり描写、てか、見逃したくらいだ。
それにつけても、作者は男である。
この一つも素敵なところのない男と不倫までして恋する必要性が一切感じられない。女の書く不倫小説に出てくる不倫男の多くは魅力的である。こいつなら、しゃーねーな、と思わせる男である。でも、この遊び人の描いた男には一抹の魅力も感じられないからこそ、この小説の意味があるように感じた。
つまり、何も起こらない。ということ。
昭和の香りがこの -
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吉行淳之介は『夕暮れまで』だけしか読んだことがなく、しかしその作品の印象がなかなか良くて気になっていた。
そこで、吉行の娼婦物を中心に読んでみることにした。
・「原色の街」
気に入るということは、愛することとは別のことである。気に入るということは、はるかに微温的なことだ。
・「驟雨」
その女を、彼は気に入っていた。気に入る、ということは愛するとは別のことだ。愛することは、この世の中に自分の分身を一つ持つことだ。それは、自分自身にたいしての顧慮が倍になることである。そこに愛情の鮮烈さもあるだろうが、わずらわしさが倍になることとしてそれから故意に身を避けているうちに、胸のときめくという感 -
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かなり面白かった。
上手く言うことはできないけれど、これまで僕は、吉行淳之介は女性や女性に対したときの男性を描くのが上手いのではないかと思っていた。例えば吉行淳之介の作品には、風俗嬢のような人が登場して、それが魅力的であることが多いので、そうした気分のときに吉行淳之介を手に取ることが多かった。
けれども、この短編集を読んで、特に「漂う部屋」を読んで、吉行淳之介の別の側面を見ることができたと思う。「漂う部屋」には、『生の極限の姿から醸し出される奇妙なユーモア』に富んだ場面がたくさん登場する。どうしてこうまでいやに心に残るのかは分からないが、ユーモアと言わざるを得ないというような場面である。こ -
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技巧的な恋愛だな――というのが、第一印象。主人公の佐々さんは、腹立たしいくらい安定しているように見える。飄々と不倫するの。もうちょっと翻弄させてやりたい反面、この手の男性が魅力的に映るあたり、私もクチバシが黄色いよなあ、って。
そんなふうに、主人公はノンシャランな男性っぽく私の目には映るけど、男性の読者がこの小説を見て、佐々さんが翻弄されてるだとか不安定な部分あるだとか、垣間見えたりするのかな。そして、22歳で処女の杉子がどう見えるんだろう。女性経験豊富な大人の男性にぜひ問いたいところ。
だって、私はどうしても杉子目線で読んでしまいます。
佐々さんじゃないと杉子の相手が務まらない感は、あ -
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13話の短編集です。どれも不思議なストーリーで、中にはついていけなくて、置き去りにされてしまうものもありました。一番不思議でないのが、1話の「娼婦の部屋」。吉行さんの本にはよく娼婦が出てきますが、雑誌記者の「私」が娼婦の秋子のもとへ通う話。その秋子は何度も娼家を出て、素人になり、そしてまた舞い戻り・・・、そしてまた・・・。「私」は、それを多少の感情のブレを持ちながらも淡々と語ります。「手毬」「出口」「紫陽花」「花束」も不思議で、どう考えていいのか分からない所もあるのですが、この4つは、わりと好きです。他のストーリーもよく分からないと思いつつ、読み進まされてしまう不思議さ。それも、少し猥雑で隠微