吉行淳之介のレビュー一覧
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ヘミングウェイはかつて「おれたちはみな、生まれたときから固有の才能が備わっている」と言ったけど、吉行淳之介にもやっぱり固有の文学的才能が備わっていた。原色の街とか驟雨を読めば、その才能の片鱗を感じとることができる。
吉行淳之介は自分でも「ものを書く才能が自分にあるのかもしれぬ」と高校生の時に考えていたという。若い頃は誰でも一度は、自分にはなんでも出来る才能があると勘違いすることがあるけれど、吉行淳之介のそれは勘違いなんかではなく、きっと確信に近いものだったのかもしれない(羨ましい)。
私は赤線地帯の娼婦との関係性を描いた「原色の街」が好きだ。経験を素材にして書いたものだと思っていたが、実は違 -
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原色の街と驟雨はどちらもいわゆる赤線地帯と呼ばれる歓楽街の娼婦たちとそこに通う男の物語。都会的でクールな主人公の娼婦との関わり方は付かず離れず。時には心を揺り動かされることもありながらそれを悟られまいとする両者はある種、非常に技巧的な人間関係を敷いているといえる。
しかし、この技巧的な人間関係というのは別に娼婦と男にだけ存在する訳ではなく、社会集団の持つ力が弱まって、個人と個人を繋ぐ引力も弱まった現代においてはごく一般的に存在する。その絶妙な距離感を描くのに題材として娼婦や彼女らがいる遊郭が適していたのだろう。
主人公は直截な感情の発露を行わない。代わりに自らの心の動きを第三者的視点で見つめ -
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ネタバレ30数年振りで再読。文庫本の版を見ていると大学入学後に買って読んだ様子。
当時、20歳ぐらいの自分としては、ちょっとエッチな小説と思って読んだような気がするが、まあまあおもしろいなと思うと同時に、若い女性と付き合うたぶん40代と思われる親父に対して、いい年して何やっとるねんとちょっと反発した気持ちがあったと思う。
それから年月は流れて、今やこの主人公よりあきらかに年上になってしまった訳だが、再読してこの小説の無駄を削ぎ落とした簡潔で美しい文章には感心した。主人公に対しては、かなり羨ましいと言うか、時代が変わったから今はそう簡単には行かんのちゃうのとか、そういう気持ちになった。
ただ、女性と -
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ネタバレいい文章だなあ うまいなあ うまいこと落ちをつけるよねえ と感心しながら読んだエッセイ。
近頃ネットの情報満載の文章ばかり読んでいたため、このうえなく癒やされ心地よかった。
この人のエッセイは、つらつらとあちこち寄り道しながら思いつくまま書いているようでいて、実のところものすごく計算された構成になっている。
文章作法を研究したところで、常人はこんなふうに洒落た感じに主張をユーモアでカバーしながら書くはなれ技は無理だ、と思う。
もてたんだろうねえ
飲む打つ買う をどこまでも上品に嗜むタイプ
と文章からわかってしまう。
ミソジニーなだけでなく、今日なら差別的として校閲で直されそうな表現も -
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私の今年のテーマは「第三の新人」。
安岡章太郎、丸谷才一に続いては、吉行淳之介です。
本書に収められているのは、吉行の初期の短編5編。
エロティシズムでしょうねー。
谷崎とはまた違った魅力があります。
世間的には、表題作になっている「原色の街」や「驟雨」なんでしょうが、ぼくは断然、処女作の「薔薇販売人」。
主人公の若い会社員がニセ花売りになって、緋色の羽織が掛けられている家に住む女に薔薇を売ろうとします。
女には夫がいます。
この夫がくせ者で、妻に対する恋心をこの会社員に植え付けられたら面白いとさまざまに画策するのです。
会社員は夫の留守中に、女の家に上がり込むことに成功します。
ここからの会