吉行淳之介のレビュー一覧

  • 出口・廃墟の眺め
    とても謎めいた短編集でした。
    ちょっと怖かったのは「埋葬」
    戦後のちょっとした出来事、出会いが本当に不思議な空間で語られている。
    読んでよかった。
  • 暗室
    はじめから、断片的に様々な女との関係を中心としたエピソード群が徐々に、女が様々な形で主人公から離れて行くとともに、暗い部屋に住む女の体に魅了されてくように、エピローグへと導かれて行く。おもしろい作品だった。
  • 夕暮まで
    30数年振りで再読。文庫本の版を見ていると大学入学後に買って読んだ様子。
    当時、20歳ぐらいの自分としては、ちょっとエッチな小説と思って読んだような気がするが、まあまあおもしろいなと思うと同時に、若い女性と付き合うたぶん40代と思われる親父に対して、いい年して何やっとるねんとちょっと反発した気持ちが...続きを読む
  • 吉行淳之介ベスト・エッセイ
    いい文章だなあ うまいなあ うまいこと落ちをつけるよねえ と感心しながら読んだエッセイ。

    近頃ネットの情報満載の文章ばかり読んでいたため、このうえなく癒やされ心地よかった。

    この人のエッセイは、つらつらとあちこち寄り道しながら思いつくまま書いているようでいて、実のところものすごく計算された構成に...続きを読む
  • 鞄の中身
    この発行とは違うのだけれど、私が手にした本は、装丁がとにかく可愛くて。
    吉行淳之介の随筆、初めて読みました。
    最初の方は、短編小説でしたが、これがまたとても素敵。もっと読みたいなぁ。
  • 原色の街・驟雨
    なんたる文章力。

    空襲で爆死した父母の若い日の追憶が、その名前に絡まっていた。

    など、どうしたらこんな描写が思いつくのだろうと感嘆する。
    性(肉体)と精神というテーマは、私には響きにくいものであったが、にも関わらず、その文章だけを楽しみに読み進められた
  • 娼婦の部屋・不意の出来事
    驟雨や原色の街より面白い。何度も娼婦稼業に戻る女、娼婦についていくと実は男娼で勤務先をやめて薬物中毒とオカマにハマる男、実は傷ついた肉体を持つ女との関係とすぐそばの死、ゴシップでタレントを揺する安い記者とヤクザと女の三角関係。陰気臭い話だが淡々と描かれて良い。
  • 娼婦の部屋・不意の出来事
    この直前に読んだ『原色の街・驟雨』より少なくとも当方にとっては全然上、評価も当然ながら上とならざるを得ず。
    娼婦との関係という、少し厳しく言ってみれば私的な、小さな世界でストーリー展開していたのが、上手く昇華した感じ。まぁ熱狂的なファンからすると嫌なのかもしれないけれど、必要なステップアップという感...続きを読む
  • 原色の街・驟雨
    私の今年のテーマは「第三の新人」。
    安岡章太郎、丸谷才一に続いては、吉行淳之介です。
    本書に収められているのは、吉行の初期の短編5編。
    エロティシズムでしょうねー。
    谷崎とはまた違った魅力があります。
    世間的には、表題作になっている「原色の街」や「驟雨」なんでしょうが、ぼくは断然、処女作の「薔薇販売...続きを読む
  • 夕暮まで
    もっとも多く繰り返し読んだ一作(数十回も・・日課のように十日間毎日読んだこともある)。特に作家が好む作家(作品)であるように思われる。同業者として作家がこういう隅々神経の行きとどいた文章に魅せられ、その才能に惹かれるのはよくわかる。反面こういう文章(知性≒感性)はいまの時代にそぐわないものなのかも・...続きを読む
  • 砂の上の植物群
    【本の内容】
    常識を越えることによって獲得される人間の性の充足! 性全体の様態を豊かに描いて、現代人の孤独感と、生命の充実感をさぐる。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセー...続きを読む
  • 娼婦の部屋・不意の出来事
    吉行淳之介の初期の傑作短編13編を集めた作品集。ちょっとした情景描写や登場人物の挙動の行間に含むものがある。ただそこには人間性のどす黒い闇が直接的に描かれているわけではない。それどころかある種の非人間的な清々しさすら漂っている。しかしそれでいて不思議と心を捉える人間臭さが立ち篭めている。「不意の出来...続きを読む
  • 砂の上の植物群
    映画観たいなあ。
    濡れ場を描く純文学といわゆる官能小説との違いは喘ぎ声をカギカッコで書いてしもてるかどうかやと認識してますが合うてるやろか。
  • 夕暮まで
    難しい‼本の厚みだけで云ったら薄っぺらいのに、濃厚な話しだった。解説に卑語が飛び交っていたもんで、どんな内容か不安だった為レビューを読んだらまぁ賛否両論!これはやっちまったかも…と思ったけど、あたしはドンピシャに好きな感じだった。文体もモヤーッとした2人の関係も描写も。杉子も遊びだったのかと思ったけ...続きを読む
  • 星と月は天の穴
    七夕にこうしたレビューを書くのもなんですが(笑)、表題は、純粋恋愛とは無縁に生きようとし情事において女を道具としてしかみなさい主人公の中年小説家が、女に言われた素敵な夜空ねという発言に対し、「あんなものは、空のあなぼこだよ」と象徴的に言い放った言葉に由来している。
    小説家である主人公が、同名小説を自...続きを読む
  • 暗室
    吉行淳之介には、『原色の街』「驟雨」などをはじめとする、赤線の娼婦を扱った所謂「娼婦もの」と呼ばれる一群の作品がある。
    これらは1958年3月31日を境に赤線が廃止され、その時代状況とともに終わりを迎えている。

    では、その後。
    吉行はどうしたか、といえば、やはり本質的には変らない。

    確かに、赤線...続きを読む
  • 街角の煙草屋までの旅 吉行淳之介エッセイ選
    昭和の文壇の重鎮でもあり、対談・エッセイの名手として知られる吉行淳之介。実は彼の作品はまだ未読だったりするのだけど、他作品からの孫引きや著者の人なりについて色々目にする事が多かったり。
    個人的に興味があるのは、喘息に腸チフスに結核、肺炎、躁鬱病、そして治療の副作用からくる白内障…そんな心身不安定な中...続きを読む
  • 砂の上の植物群
    吉行淳之介の作品は読むのが初めてだった。

    エロいですよ。これは!こうゆうのが本当にエロというのだろう。びんびん感じますね。

    確かに、この本を読むと性の描写や描き方ばかりが目につくが、本当は伊木一郎の満たされない孤独感という内面が描かれているのだろう。

    死んだ父親の影に呵まれ、女性を抱くことで満...続きを読む
  • 夕暮まで
    5/11
    行間からたちこめるエロス。
    物語が男女の関係を描いているということとは無関係に、匂い立つものがある。
  • 夕暮まで
    主な登場人物は
    22歳処女の杉子と、
    現代的にいえばチョイ悪な中年の佐々。
    ふたりのねじれた肉体関係。

    印象に残ったのは、
    杉子とのお食事中に、
    佐々がレストランのテーブルに
    外国のエロ写真をばさっと広げるところ。
    「まあ、いやだわ…」
    と恥ずかしがりながらも
    エロ写真収集癖の...続きを読む