感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年04月14日
夕暮れまで。澁澤龍彦の随筆に、とある画家のアレゴリーという作品を紹介するものがあって、それは婦女が浮かべた舟上に、人体大の白っぽい球が配置されている絵なのだが、球がなにがしかのアレゴリー(象徴)であるのは分かるが、しかし一体なんのアレゴリーなのか、全く分からない、という内容だった。具象性は高いのだが...続きを読む、どこまでも不透明。そうした本でした。一体、夕暮れまで、とは何を示す言葉なのか。乾いていて、繊細であり、大人の小説でした。やはり吉行淳之介作品は良いですね。
Posted by ブクログ 2020年02月03日
30数年振りで再読。文庫本の版を見ていると大学入学後に買って読んだ様子。
当時、20歳ぐらいの自分としては、ちょっとエッチな小説と思って読んだような気がするが、まあまあおもしろいなと思うと同時に、若い女性と付き合うたぶん40代と思われる親父に対して、いい年して何やっとるねんとちょっと反発した気持ちが...続きを読むあったと思う。
それから年月は流れて、今やこの主人公よりあきらかに年上になってしまった訳だが、再読してこの小説の無駄を削ぎ落とした簡潔で美しい文章には感心した。主人公に対しては、かなり羨ましいと言うか、時代が変わったから今はそう簡単には行かんのちゃうのとか、そういう気持ちになった。
ただ、女性とのいろんな遣り取り(行動や言葉なんか)から、その状況や気持ちを男性側からではあるがよく表現されているところが、この小説のいいところではないかと思う。
Posted by ブクログ 2017年12月24日
もっとも多く繰り返し読んだ一作(数十回も・・日課のように十日間毎日読んだこともある)。特に作家が好む作家(作品)であるように思われる。同業者として作家がこういう隅々神経の行きとどいた文章に魅せられ、その才能に惹かれるのはよくわかる。反面こういう文章(知性≒感性)はいまの時代にそぐわないものなのかも・...続きを読む・ちと寂しい気分。
Posted by ブクログ 2013年07月30日
難しい‼本の厚みだけで云ったら薄っぺらいのに、濃厚な話しだった。解説に卑語が飛び交っていたもんで、どんな内容か不安だった為レビューを読んだらまぁ賛否両論!これはやっちまったかも…と思ったけど、あたしはドンピシャに好きな感じだった。文体もモヤーッとした2人の関係も描写も。杉子も遊びだったのかと思ったけ...続きを読むれど、結局佐々と一緒になりたかったのねぇ…女ってねぇ……困ったもんだよねぇ…。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
主な登場人物は
22歳処女の杉子と、
現代的にいえばチョイ悪な中年の佐々。
ふたりのねじれた肉体関係。
印象に残ったのは、
杉子とのお食事中に、
佐々がレストランのテーブルに
外国のエロ写真をばさっと広げるところ。
「まあ、いやだわ…」
と恥ずかしがりながらも
エロ写真収集癖の...続きを読むある杉子は
思わずじっと見入ってしまう、
というシーン。
杉子の伏せたまつげやその目線、
赤く染まった耳やくちびるを見て
佐々はたまらなかっただろうなと思う。
全体にただよう、
とらえどころなく薄気味悪く
ねっとり、ぬらりと
粘度の高い、濃密ないやらしさ。
こういうの、好き。
Posted by ブクログ 2018年10月20日
伊藤裕作によれば本書の影響を受けた風俗店に愛人バンクやデリヘルがあるらしい。納得。主人公の中年は女子大生の素股とフェラチオとクンニを満喫する。デリヘル嬢を半日予約してたら警察にたまたま尋問され免許忘れて妻子にバレないか心配するとかしょうもない話。
Posted by ブクログ 2014年11月26日
中年男で妻子あり
なのに遊び人で、若い女といくつもの関係を持っている
そんなやつとの恋愛が、遊びでないわけがない
だから本番行為なし
でもそれ以外なら何でも許しちゃう
そんな娘
処女だと言っている
しかし本当に処女なのだろうか?中年男は疑わしく思うのだった
そんなことにこだわっても仕方がないけれど
...続きを読むなんかからかわれてるみたいだし
若い男の影を見て、嫉妬の気持ちもわいてくる
でも本番行為なし
させてもらえない
まあがっついても仕方がないんだけど
遊んでやってるつもりが、遊ばれてるような気分になってくる
そんなふうに思うということは
遊びじゃなくて、ほんとうは深い関係になりたいのか?
それとも女の面倒な部分に関わりたくないだけなのか
いずれにしても、これではまるで悪い中年男みたいじゃないか
そのとおりだが
じゃあそれをもてあそぶ女は悪くないのか
悪いんじゃないのか
それとも
もてあそんでなんかない真剣な恋だとでも言うつもりか
よくわからない
わからない話なんである
Posted by ブクログ 2014年09月09日
セックス以外の性行為を中年男に許す処女について話が進む。オリーブオイルでの素股など性的に技巧を持つ処女というのも悪くないが、これといったとらえどころが表現しようがない作品である。
Posted by ブクログ 2012年03月13日
あんにゅい。
変なおっさんと、尻軽女(処女―それ以外はなんでもする)のお話。
何も起こらない。いや、正確にいうと途中で女が処女じゃなくなるんだけども、それは話のなかえではどうでもいいことらしい。あっさり描写、てか、見逃したくらいだ。
それにつけても、作者は男である。
この一つも素敵なところのない男...続きを読むと不倫までして恋する必要性が一切感じられない。女の書く不倫小説に出てくる不倫男の多くは魅力的である。こいつなら、しゃーねーな、と思わせる男である。でも、この遊び人の描いた男には一抹の魅力も感じられないからこそ、この小説の意味があるように感じた。
つまり、何も起こらない。ということ。
昭和の香りがこの作品に魅力を与えている。これが、現代だったら…援助交際ものか?
Posted by ブクログ 2010年06月11日
技巧的な恋愛だな――というのが、第一印象。主人公の佐々さんは、腹立たしいくらい安定しているように見える。飄々と不倫するの。もうちょっと翻弄させてやりたい反面、この手の男性が魅力的に映るあたり、私もクチバシが黄色いよなあ、って。
そんなふうに、主人公はノンシャランな男性っぽく私の目には映るけど、男性...続きを読むの読者がこの小説を見て、佐々さんが翻弄されてるだとか不安定な部分あるだとか、垣間見えたりするのかな。そして、22歳で処女の杉子がどう見えるんだろう。女性経験豊富な大人の男性にぜひ問いたいところ。
だって、私はどうしても杉子目線で読んでしまいます。
佐々さんじゃないと杉子の相手が務まらない感は、ある。でも、杉子じゃないと佐々さんの相手が務まらないっていう雰囲気は感じ取れなくて、それが非常にもどかしい。
結局のところ、杉子では佐々さんに脅威を与えることができない。できていない。ただ、杉子もいろいろと技巧的ではあると思うんだ。でも、それが見えないところが、とても良いと感じた。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
自分の人生と“処女”の扱いに戸惑う22歳の杉子に対して、中年男の佐々の怖れと好奇心が揺れる。二人の奇妙な肉体関係を描き出す。第31回 野間文芸賞