あらすじ
中年の化粧品セールスマン伊木一郎が、偶然知り合った18歳の津上明子に求めるもの、明子に頼まれて誘惑する姉京子に求めるもの、そして妻の江美子に求めるものも、心ではなくただ女体であった。疚しさとも歪んだ心持ちとも無関係な、常識を破るショッキングな肉体の触れ合いの中に、真の性的充足を探り、性の根源にメスを入れた野心的長編。姉妹編を成す『樹々は緑か』を併録。
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Posted by ブクログ
【本の内容】
常識を越えることによって獲得される人間の性の充足! 性全体の様態を豊かに描いて、現代人の孤独感と、生命の充実感をさぐる。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
吉行淳之介の作品は読むのが初めてだった。
エロいですよ。これは!こうゆうのが本当にエロというのだろう。びんびん感じますね。
確かに、この本を読むと性の描写や描き方ばかりが目につくが、本当は伊木一郎の満たされない孤独感という内面が描かれているのだろう。
死んだ父親の影に呵まれ、女性を抱くことで満たされようとするが、逆に女が満たすために伊木が生かされているような気分になってくる。
伊木一郎は人生に何を見いだすのか、孤独なのか、絶望なのかルサンチマンなのか。伊木にとって女性とは何なのだろうか。そんなことを考えされられる。
Posted by ブクログ
今日読み終わった。僕は今まで吉行という人の短編や大衆小説「すれすれ」などを読んでいたが、魅力を感じたことはなかった。体質に合わないのかなと思っていたけれど、これで吉行世界の魅力が分ったと思った。
「砂の上の植物群」200ページ弱の作品だが、最初の100ページ目でしばらく別の本を読むために読み止しにして、1ヶ月近くたってから後半を読んだ。前半はわりとひらべったい、起伏のない、いろんなことをぎこちなく羅列しているような感じで、こういう渇いた無機質的、虚無的なのが吉行の売りなのかなと思いながら読んでいたが、後半になってにわかにストーリーが展開していく。前半に、ストーリーの途中で作者が登場して独白を始めるなど、小説としては特異というか不自然な手法が、後半にはにわかに必然性を帯びてくる。前半に出てきた夕陽の何気ない風景、登場人物が、後半では主人公の内面と結びついていく伏線であったことが明らかになっていく。その技巧の確かさが、この小説を完成度の高いものにしていると思う。
吉行はなぜ性を書くのか?そこには彼が単に遊び人というんじゃなくて、彼の存在、内的必然性をかけたいきざまがあるということもこの小説から読み取れる。僕はわりと抽象的、観念的な思考が好きだが、性というものは、その対局にあるのではないか。つまり、性に関われば、常にそこには具体的で生理的なにおいや熱や昂奮があり、それによって抽象的、観念的な饒舌さを退けることができる。この小説を読みながら僕はそんなことを感じていた。吉行にとっての性はその意味で、禁欲的でさえあると僕には思われた。吉行にも観念的な傾向があることは、小説中のクレーの美術論の引用などで察せられるが、その観念論を扱いながら、あくまで具体的(=観念論を排する禁欲的)な次元で中年男の人生の格闘を描いている。
Posted by ブクログ
吉行淳之介文学忌、淳之介忌
本棚に残っている吉行さんの文庫本の発行年からすると どうも20歳くらいの頃よく読んでたみたいです
まだ残してあったのは、好きだった記憶があったからなんだろうと思う
再読してみたけど 時代は移り 今となっては
さっぱりわからない
『砂の上の植物群』は、1950年代に文學界に連載された作品で、戦後の空気をまとった私小説風の語り。亡くなった父親の抑圧や複数の女性との関係を通じて、主人公の内面の空虚さが描かれているが、正直、何を描きたかったのかはっきりつかめず、誰にも感情移入はしない。
よそに子ども作る父親像も、当時の時代を映しているのかもしれない。1976年には土瓶さんの好きな日活ロマンポルノとして映画化されていて
いかにも原作になりそうな気配が漂う。
さてと処分します
Posted by ブクログ
あぐり観てキャーエイスケさんかっこいい〜とか言っててごめんなさいって思いました。なかなか暑く苦しい印象でした。熱っぽい。赫っぽい。夕陽のせいかな。これはわりかし短い作品ですが、長かったらちょっと読むのしんどかったかも。
なぜか高村薫の照柿を思い出したけど、あれはこのくらいの時代の暑苦しさを目指していたのかな?ふと思った。