すんみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
それぞれの話の背景には住宅格差、厳しい学歴社会、就職難、ストライキ、デモ参加などが見え、日本社会ではそれほど馴染みがないこれらに「韓国って日本より過酷だな」と呑気に思ってしまうかもしれない。しかし解説にある通り、男女格差は日本の方が遥かに遅れており、危機感を持ちたいところだ。韓国のジェンダーギャップ指数が日本を上回ったのはこの本の女性たちのように声を上げ続ける人がいたからだ。著者がこの本や『82年生まれ、キム・ジヨン』を書いたように、作家たちが世界に発信し続けているからだ。
28人の韓国人女性たちの声が聞こえる。日本人であっても女性ならばきっと誰かに共感し、互いを抱きしめ合いたいと思うだろう。男性読者は、身近な女性たちの苦しみがここに書かれていると理解できてほしい。自分を含め日本人はもっと今の社会に対して声を上げなければ。フェミニズムだけでなくストライキやデモ参加だってもっと近くにあって良いと思う。冷笑して距離を取るのではなく。
解説の桜庭一樹の、家父長制の悪を凝縮したグロいエピソードが強烈すぎて呆気に取られた。もうこういう発言を浴びせられる人がいませんように、と願っているけれどきっとまだ道のりは遠い。私も岩に卵を投げつけるひとりとなろう。 -
Posted by ブクログ
「チカ」
静かで穏やかで、やさしさのような、不穏なような、歪な自由について。どんな経緯であっても、故人だったとしても、人間の要望の方がロボットの存在(いのち?)より重い世界であることも含めて、結末にはればれとした自由と心ざわめく気持ちがしました。
チカのバレンタインさんは「苦痛を感じられないものは本物とは言えない」と言いつつ、痛みを知っていたのかしら。それとも、バレンタインさんの言う「苦痛」は身体の感覚としての痛みだけなのかしら。チカはバレンタインさんにとって本物だったのかしら。
あとは「恋人は済州島生まれ育ち」「ヒョンジョン」が好き。ヒョンジョンは無事だとよい。 -
Posted by ブクログ
「82年生まれキムジヨン」を数年前に読み、同じ作者の本を手に取った。
キムジヨンの話よりもより多くの世代・異なる時代を生きる女性がフォーカスされていて、それぞれの女性の生きづらさや時代による感覚の差などがありありと描かれている。
自身に置き換えて捉えてみても、学生時代女性の生きづらさや親との感覚の相違を感じ、声を大にしていたにも関らず、社会人として生きていくうちに少しずつ諦めが生じていくのを感じるとともに、その諦めがまた未来の女性を苦しめてしまうのではないかと奮い立たされる感覚がした。
また、同時にフェミニスト的考えを大切にしながらも、周りが見えなくなってしまわないように(男性として生きる生きづらさ、新しい時代や古い時代への理解を怠ること)気をつける必要があると感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界を放浪する癖のある恋人キョンミンが、カナダからハナのところへ帰ってきた。が、箸の持ち方が前より上手いし、嫌いだった茄子を食べる。極めつけはプラスチックかペットか見分けるために目からビームを出していた。これを見たハナはキョンミンが宇宙人ではないかと疑い始める。
SFファンタジー恋愛もの。
数万年前の内乱を逃れて地球の深海に隠れている宇宙人に内乱が終わったことを知らせに行く、とかエピソード一つ一つがユーモラスで、SFといってもガチガチではない。ストランディングしたクジラたちと交信するシーンは泣ける。
エコロジー(ハナの仕事自体が古い衣服を別のものに再生すること)やフェミニズムの視点が、心地よく、結婚式の準備は納得できるワクワクがあるし、何よりハナとキョンミンの愛情が伝わってくる。
しかし、本物のキョンミンより宇宙人のキョンミンとの方が大抵の女性は幸せになれそう。ということは、これはやはり痛烈なメッセージだと受けとるべきだろう。
「ときどき自分が地球人なのが恥ずかしいんだよね。いつまでも殺しあって壊し続けるのが」
「そんなに恥ずかしがることないよ。地球はいまでも平和とはほど遠いけど、偉大な魂が次々と生まれてくる素敵な星なんだから。ハナはアーシュラ・K・ル=グウィンと何年も同じ星に住んでたんでしょ。それは自慢していいことだから。最後までノーベル賞を与えなかったってどうかしてるよね」(P188)
ル=グウィンが出てくるあたり、ちゃーんと意図して書いていると思う。
韓国映画の実力なら映画化できると思うので、是非してほしい。 -
Posted by ブクログ
なんかふしぎな、ほんわかラブストーリー?
設定が少しSFなんですが。
交際歴の長いハナとキョンミンのカップル。
ある日、キョンミンが
ひとりでカナダ旅行へ出かけて事件に巻き込まれ
帰ってきたら別人のようにハナ想いになった。
いや、別人じゃなくて…もしかして宇宙人?
その事件というのが、隕石落下事故で
同じように巻き込まれて行方不明になった
人気歌手のアポロと
彼の長年のサポーターだったジュヨンの話も
同時並行で描かれて
やっぱりキョンミン怪しいわ!で盛り上がって
あっさり三分の一くらいで正体判明。
でも、そこからもまた、なんかおもしろい。
別人キョンミンはハナのことが大好きで
ハナもだんだん情が湧いてくるし
ジュヨンは宇宙でもいいから
アポロ探しに行くと言いだすし( ^∀^)
後半に「本物の」キョンミンが帰ってきて
すわ韓国ドラマのように修羅場!?
かと思いきや…ちょっとしんみりさせつつ
やっぱり、ぶっとびハッピーエンド! -
Posted by ブクログ
読後 やっぱりチョン・セランが好き
と思った。大好きな『シソンから、』とは違ってSFだし、あまあまな彼が出てくるけれど
著者が26歳の時に書いた小説を36歳で書き直し、もう2度とこれほど甘い話を書くことはできないと思う というこの話は、もともとは『新環境SFラブロマンス』と銘打って出された話。それを現代の著者の目で書き直している。
「大好きな服を生まれ変わらせます」という『洋服直し屋』をしている主人公ハナは、彼に振り回されてばかり
その彼がひとりでカナダに流星群を見に行き、そこに隕石落下の知らせが…
帰ってきた彼はなにか違う。
とてもハナに優しく思いやりを持っていて、今までの彼とはずいぶん違う…実は…
この辺りから少しSFも含まれるけど、舞台は韓国の普通の街
このカナダから帰ってきたあとの彼がもとの彼と違うみたいでとても理想の人。
地球環境を思い、自立しているハナとも合う
2人で社会的にも色々なことをしていくうちに…
という話なのですが、
『シソンから、』でもみられたように、地球環境を考え、自らの信念を持って生きている女性が描かれているところが好きです。
また途中宇宙の他の星の話が出てくるけど、その描写などもなかなか楽しい