ハーバード・ビジネス・レビュー編集部のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ハーバードビジネスレビューに投稿された論文などを複数集めた自己に意識を傾けることにフォーカスした書物。感情コントロール手法、内省の奨励、外面的自己理解、ネガティブフィードバックの引き出しなどが各著者によって記載されている。自身にとってもっとも有益な気づきは、ターシャ・ユーリック氏の「自己認識力を高める3つの視点」である。特に"内省によって必ずしも自己認識が高まるわけではない”という視点であり、「なぜ」という自問は非生産的なマイナス思考と結論のこじつけを産んでしまうことがあるというもの。そのため、「なぜ」ではなく「何をするか」という思考を試すことである。これは未来にフォーカスを置くことで客観性も担保され、新たな洞察と行動を起こす後押しとなる。
「なぜ」は自身に対しての問いかけだけではなく、他者と建設的な会話として未来思考を踏まえた行動を共有することもできる。「なぜ」は批判的思考であり、気持ちの良いものでもない。人は常に未来に目を向けて行動することで肯定的な姿勢をとることができるのではないか。 -
Posted by ブクログ
「幸福」に関するさまざまな研究者によるそれぞれ違った角度からの考察集。前半は「幸福感」に肯定的な考察で、後半は否定的・懐疑的な考察という構成になっています。広い範囲で浅めの考察の数々なので、この本を入門書として他の本にあたるなどして知見を深めていくとよいでしょう。
肯定派の考察を読みながらもっとも共感しながら首肯できたのが、仕事の達成感よりも進捗のほうに人は幸福を感じる、というもの。これはしっかり身に覚えがあります。たとえば原稿を100枚書く場合、完成したときにだけ達成した幸福感を感じるのではなく、一日3枚でも4枚でも書けたときにも、またはひとつの重要なセリフをひねり出せたときにも、じんわりと力がみなぎるような幸福感を覚えるものです。これが進捗の喜びであり、まったく無視できないどころか、しっかり抱きしめておきたい幸福感ではないでしょうか。
それと、ストレスを穏やかな心で受け止めることができれば、心身の健康は阻害されない、とケリー・マクゴニガル氏の研究を引用するところにあるのだけれど、なかなかむずかしいなあ、と思ったり。ストレスと戦う姿勢ではないのだ、とあるのです。ストレスは必ずあるものだとわかったうえで受け止めるのだ、と。これはなんだか、まるで、水の流れのようにあれ、ですねえ。
まあ、どうしてもストレスって溜まるものでしょうし、そうなれば、まる一日、ほんとうに24時間、なにもしないで寝ているのがいちばん効く、と個人的に思うところですが。経験として。
最後の章では、幸福についての歴史がここ数百年の単位でまとめられていて、おもしろいです。それを読んで感じ、思ったことを以下に述べていきます。
幼少時の体験が、大人になったときの人格に影響するから、育児が大切だとされる。幸福な幼少時を過ごそう、と。でもどうやらこれは新しい幸福感に基づくものだし、昔はそうではなかった。おそらく、社会のほうから「立派で健全である大人」という高い理想像を要求されるようになって言われ出している。
「人間はもっと幸福で健全に生きるべき」というスローガンみたいなものが定着してきた影響で、社会から個人に求める成果や振る舞いの度合いが高くなっていった。それはこれまでの人間が越えられなかったハードルであり、これを越えるために幼少期の育ち方から見直されていったんだと思う。
西洋文化では18世紀末くらいまで、「喜びや悦楽を享受することなく、いくぶん悲哀を装い、禁欲に身を置く」ことが好ましいとされた、とありました。多少悲観的な人生観が好いとされたのです。
<幸福が訪れようものなら、罪の意識にかられたに違いない>(p141)とあり、悲し気なふるまいのなかに慎みを示すというのが18世紀までの常識だったようです。
これに関連するのが17世紀にあった歯科技術の発展だそう。それまで、虫歯がみっともなくて、みんな口を開けて笑わなかったんだと言う歴史家がいるそう。モナリザの微笑みは、おそらく虫歯を恥じる気持ちからの、曖昧な微笑みである、とも。
話は戻るけれど、幸福で健全な大人であることがスタートライン、というような、ベースのラインが高すぎるようになっているのが現代で、それを要求するのが社会、もっというとおそらく経済なのでしょう。人類が作る社会って、どうしても人間に対して強迫的になるものだなあ、と折にふれて考えるのですが、「幸福感」までもがどうやらこれにマッチしています。
では、最後にふたつほど引用をして終わります。
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働き手をぞんざいに扱うと、順調な仕事ぶりを妨げることになる。そのような扱いを受けた人は、往々にして自分が受けたのと同じような仕打ちを他人にするようになる。同僚の足を引っ張るのだ。(p107)
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→悪循環になりますから、誰かがぐっと歯を食いしばって、あるいは飄々とドライに受け流して、この負の連鎖を無いものにしてしまうとみんなが助かる、という話にもなっていきます。ぞんざいに扱われた経験は僕にもありますが、僕は意識して他者には人としての敬意を忘れずにいたいと、念じるようにやってきたほうです。そういった振る舞いが共鳴しだして職場がうまく回りだすと、働くのが楽しくなりますよね。なんていうか、人と人の間での不安感を軽くできるかどうかなんじゃないかとも思います。そのためには、人に人として接するのがそもそもの第一歩。
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しかし今日では顧客と接しない多くの従業員にまで、明るい態度が求められている。このことが予想外の結果を招く場合があるのだ。ある研究では、機嫌がよい状態にある人は、機嫌が悪い人に比べ、不正行為を見抜く能力が劣っていた。別の研究では、交渉中に怒りを感じている人は、幸福を感じている人に比べ、優れた交渉成果を上げた。(中略)むしろ職務によっては、幸福は実際にパフォーマンスの低下を招く可能性がある。(p124-125)
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→職場では明るい態度がマストとされやすいけれど、絶対的ではないのですね。これは「浮かれる」みたいな状態のことですよね。勝って兜の緒を締めよ、という言葉があるけれど、つまり幸福感に浸っていると足をすくわれることは昔からよく知られていたのでしょう。「スマイル」だとか「機嫌よく」だとかは現代になって幅を利かせてきたものじゃないかと思いますが、長い歴史的に見ると付け焼き刃的だったりするのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【核心的な気づき】
「自分こそが『やっかいな人』になり得る」という自覚がスタートライン。他者への批判やイライラの背景に、実は自分の認知バイアスや未解決の課題が潜む。
【本書で得た有用な視点】
1. 鏡の法則(自己投影のメカニズム)
・他者の言動に過剰反応するとき、自分にも似た傾向がある可能性。
・例:同僚の「遅刻」に苛立つ→自分も期限厳守に固執しすぎていないか?
2. 認知の歪みチェックリスト
・「白黒思考」「過度な一般化」など10のパターンを自己診断。
・実例:
「あの人はいつも私を無視する」(事実?/解釈?)
→ 無視された「具体的な場面」を3つ挙げるよう促す。
3. 感情の温度調節技術
・「熱い対立」(怒鳴る)と「冷たい対立」(無視)のバランス。
・効果的な介入:
- 体温上昇を感じたら「2分間の休憩」を提案
- 沈黙が続いたら「今の意見、どう解釈すれば?」と問いかける
4. 境界線の明確化プロセス
・許容範囲をチームで定義(例:人格否定NG/事実ベースの批判は歓迎)。
・「これは越境行為か?」を判断するフローチャートを共有。
【自己診断ステップ】
1. 過去1週間で「やっかいだ」と感じた相手を3人書き出す
2. 各人物について「自分が同じ行動をしていないか」を反すう
3. 該当例があれば「なぜ自分は許容されると思ったか」を分析
4. 改善策を「Iメッセージ」で言語化(例:「私は~と感じるので、~したい」)
【実践的解決策(本書ベース)】
■ 自己変容編
・身体センサーの活用:
手の震え/発汗を「感情のアラート」と解釈→6秒深呼吸で反応を遅延。
・認知再構成トレーニング:
「あの人は意地悪」→「彼はリスク回避が強いだけ」と解釈変換。
■ チーム改善編
・心理的安全性スコアボード:
匿名で「意見を言いやすい度」を1-5点で評価→月次で共有。
・役割交換デー:
リーダーとフォロワーをランダムに入れ替え、相互理解を促進。
【検証中の課題】
・「認知の歪み」自覚後、具体的にどう行動修正するか(書籍の案例不足)
・多忙な現場で「6秒ルール」を継続する現実的手法
・AIツールを使わない感情可視化の具体策
【総括】
本書の最大の価値は「他者を変えようとする前に自分を見つめる」という視点。特に「無意識の二重基準」(自分に甘く他者に厳しい)への気づきが重要。実践編の具体性にやや物足りなさを感じつつも、EI(感情的知性)を高める基礎訓練として有用。
(※「やっかいな人を資源化」説は私見。書籍では「管理すべきリスク」として扱われている点に注意。) -
Posted by ブクログ
往々にして、人間関係でのトラブル対策はどの時代においても、未来においても、解決することはないだろう。だが、工夫することにより改善することはできる。
本著では、主に自分の「感情」との向き合い方について方法論が述べられている。だが、小手先の技術だけでは人間関係を改善することは困難であり、仮に心理学者や精神科医やマネジメントのプロやエキスパートであったとしても、例えばパワハラ上司やハラスメントしてくる人間全員をコントロールすることはできない。
ならばどうするか、自分自身が変わることが重要であり、見方を変えてみたり、考え方を変える積極的な姿勢が必須である。
本著だけではなく、様々な方法を常に学び続け、先人の解決事例を取り入れ、現場で改善することが必要だ。
そして、個人だけではなく、歴史から見て、人間関係の問題を抱えている全ての中小大企業(全ての組織含む)は規模問わず組織の仕組みに問題があることを自覚し常に改善し続けなければ、近い将来、大きな痛手となることを私たちは個人・役職・立場問わず知り改善し努力し続けなければならない。 -
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アメリカの著書なので特に外資系での対人トラブルを未然に対策することに活用できる印象です。
(国内だと、書かれているような「敵意むきだし」とか「論争をあおられる」といったわかりやすい厄介よりも、きわどいグレーな厄介が多い気がします)
参考になる部分もあります。
ストレスのかかるコミュニケーションへの事前の備えとして、あらかじめ「自分の弱点を理解する」というのが挙がっています。たとえば「自分は理不尽で攻撃的な言葉に耐えられない傾向」だとか、「無視されたら黙り込んでしまう傾向」だとか。ここまでは多くの人もご存じの気がします。
こういった弱点をただ際限なく内省するのではなくて、できるかぎり明確に言語化していくこと→利害関係のない友人に伝えてシミュレーションしてもらうこと、までが対策だと。ざっくりと苦手の傾向を把握するくらいでは、ただの姑息な受け答えになっちゃうんですよね。そのシミュレーション友達おもろいな。 -
Posted by ブクログ
ハーバード・ビジネス・レビューの意思決定に関する論文10選。「意思決定をゆがめる心理的な落とし穴」「意思決定の行動経済学」「ニアミス:隠れた災いの種」「対話が組織の実行力を高める」「プロセス重視の意思決定マネジメント」「意思決定のRAPIDモデル」「道徳家ほどおのれの偏見に気づかない」「意思決定プロセスのカイゼン」「脳科学が解明する意思決定リスク」「戦略立案と意思決定の断絶」の10本。
意思決定や行動経済学に関わる本や論文を多く見ているのであれば、目新しい情報というのはそんなに多くはない。が、1冊にまとまっているので、通して読めるのはよかった。