機本伸司のレビュー一覧

  • 神様のパラドックス下

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    予期された未来は!?

    電子の神様作り後編。今度は米軍まで絡んで空中大騒動が巻き起こる。直美たちは世界戦争の危機を阻止できるか!?
    終盤友情出演の沙羅華と綿さんにはほっこり。出番ちょっとだけですが、ポジションは美味しいところを持っていく。
    ある意味、神様のパズルシリーズの姉妹作になってますね。電子化されるのも頷ける。

    #タメになる

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    2023年07月06日
  • 神様のパラドックス上

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    量子コンピュータを開発したIT企業が究極の占いソフト開発をもくろみ、その過程で完全予知の電脳神を作ろうと思い立つお話。
    まだまだストーリー前半で計画は途上なれど、量子コンピュータと連携した人工知能がどこまで進化するのか期待させる。
    人見知りで引っ込み思案の主人公、直美も好印象。

    #深い

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    2023年06月30日
  • 卒業のカノン 穂瑞沙羅華の課外活動

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    発電衛星ハッキングを阻止せよ!

    ついにシリーズ最終巻。沙羅華の異母兄ティベルノやゼウレト社の親玉ラモンも出てきて大いに盛り上がります。
    謎のハッカーテロリストと対決する沙羅華だが、怪我も負ってピンチ。さらに綿さんとの恋愛?の結末もきっちり描かれます。

    #感動する

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    2023年06月02日
  • 彼女の狂詩曲 穂瑞沙羅華の課外活動

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    むげんのライバル登場

    アメリカの最新型加速器の躍進によって旧式化し、仕分け危機にさらされるむげん加速器。
    沙羅華アイドル化計画を立ち上げるもやっぱり頓挫。むげん絶体絶命。
    ところがアメリカグループの研究には、とんでもないハイリスクが!?・・・というような流れ。
    今回は学者の父親と沙羅華の対立が絡んで、親娘物語として読ませてくれます。森矢家の内情がクローズアップ!

    #深い

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    2023年05月18日
  • 究極のドグマ 穂瑞沙羅華の課外活動

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    今回のネタは遺伝子工学

    ライバル天才少年登場。量子コンピュータと分子コンピュータの猫探し対決です。
    沙羅華の出自の秘密が明かされる重要な回。ゼウレト社の裏事情が描かれる。
    順調にデレ度進行中だが、綿さんとくっつくにはまだ時間がかかりそう。

    #感動する

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    2023年05月11日
  • 神様のパズル

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    光と場、早熟と保障

    自分は文系ですが、科学をかみ砕いて
    紹介するサイトで聞いていた
    考え方が多く総合されていて
    興味深く読みました。

    光が光速=最速なのは、
    雷が地面に向かうように
    光が、膨張する宇宙の果てに向かうから、
    そして、光が光速で飛ぶから
    認識できる。
    (光の波長より短い区間の
    位置とエネルギーは
    同時には認識できない。)
    また、光も水など通るときは
    少し遅くて、より速いものの存在を
    教えるように発光するんだね。
    (チェレンコフ光)
    それに、穂瑞の言う、光子と場は
    同じものの別の形態だというのは
    優れて統合的で感心した。

    穂瑞はさらに天才的にふるまって
    くれても良かったなあ。
    原子力が太陽をまねたように
    宇宙も作れそうですね。

    穂瑞と保積という名前は
    2人を対比させる意図があるのかな。
    保障の保でもあるね。
    ホームズも独身だったけど、
    自然や他者や異性とともに
    世界や社会や種族を維持するという対極。

    #深い #タメになる #ドキドキハラハラ

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    2022年03月31日
  • 神様のパズル

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    宇宙は作れるのか?
    壮大なテーマで、物理化学の用語もたくさん出てくるが、そういった用語は理解できなくても物語は十分に楽しめる。
    宇宙の始まり「無」から「有」ができるのはなぜか。
    宇宙を知る事で自分を知ることになる。
    案外、物理学と宗教と言うのは突き詰めると似ているのかもしれない。
    宇宙の謎に迫りながらも、日常の人間関係や就職活動などに悩んだり、宇宙の広大さと、学園青春も楽しめる
    素晴らしいSF小説でした。

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    2021年01月03日
  • 僕たちの終末

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    ネタバレ

     「...金がないから」できないと言うのなら、金を集めればいい。技術的に課題があると言うのなら、一つずつ解決すればいいだけじゃないか。次にどんな言い訳を考えるつもりなんだ。根本的な問題は、金でも技術でも何でもないはずだ。必ず目的地まで行くという信念だ。だからこそ、それが唯一の参加資格なんだ、...」

    <この星にしがみついていたい気持ちもわかる。この星に未来なんかないと思っていたくせに、そんなことが起きるのは自分たちの世代じゃないと心のどこかで思おうとしていた。ところがどうだ。終末がやってきた。これは終末という究極の価値観移行(パラダイムシフト)に備えて、我々が何をなすべきかということなんだ。そのために科学技術、社会、また自分自身は、一体何ができるのかということなんだ。
     いろんな対処法があるだろう。穴蔵へ逃げコ込みたい奴は、逃げればいい。ただ僕は、自分か死ぬことを思い続けながら、身をかがめて生き続けるのは嫌だ。それで思いついた。いや、僕だけじゃないだろう。誰もが一度は夢見たはずだ。星への旅を。
     『地球は人類の揺りかご』―。”宇宙ロケットの父”とも呼ばれるツィオルコフスキーの有名な言葉だ。しかもこの星は、確実に数十億年後には蒸発してしまう。死滅したくなければ、それまでに脱出しなければいけないことは間違いない。恒星間旅行というのは、いつか誰かがやらねばならないことだ。そういう話は、一杯聞かされもした。
     だから計画を立ち上げた。すると今度は、誰もが無理だとぬかしやがる。もしできないのだとすれば、漠然と思い描かれ続けてきた宇宙旅行の夢は、一体何だったんだ。一方で人類文明は、幼年期どころか壮年期を過ぎ、この先は急速に衰えて突然死も起こり得る。恒星船を建造するだけの体力が、これより未来にあるのかどうか。分かりやすい例をあげると、石油化学製品だ。また燃料や費用のことを考えると、そう度々できる計画でもないようだ。場合によっては、今が最初で最後のタイミングなのかもしれない。そもそも恒星間旅行は、今までの宇宙開発とは桁が違う。人々の曖昧なモチベーションしか得られないような状況で百パーセントの成功をめざして動いたりするものじゃない。こういう事情でもなければ、起きなかった計画だったかもしれない。つまりこれは、終末において必然的に発生する、たった一度のファンタジーなんだ!
     成功率は高くないかもしれない。しかし、地球で行われるどんな救済計画より、はるかに発展性はある。それだけは断言できる。今、人類というのが、どういう生き物なのかが問われているんだ。ここで絶滅するのなら、それだけの生き物だったということだ。それでいいと僕は思わない。できもしないとハナからあきめて死んでいくよりは、やるだけやって死んだ方がいい。まさに、ダメで元々じゃないか>

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    2020年03月08日
  • 神様のパズル

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    ネタバレ

    「生きているうちに、何としても私は知りたいんです」ーーーー
    留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、不登校ほ女子学生 穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。「宇宙を作ることはできるのか?」


    なぜ、なぜという疑問はいつも持っているが、それを理解し得ない自分に焦りを感じつつ放置している。橋詰老人は凄いなぁと思いつつ、そこまで行動しても答えを得られない焦れには共感した、けど彼は脇役なので、問題を提起したらほぼ出番は終わりだよ!綿貫があまりにもボヤボヤしていてストレスも感じていたが、彼がそれくらい分かっていないからこそ物理を理解していない自分でも読み進めることができたんだなと感じた。日記形式で結末は最悪にならない事が分かったので、その日その日の日記を集中して読むことができる。もう少し物理理論を知って読んだら、穂瑞が打ち破っていく過程が楽しめたんじゃないかなと思う。教養は娯楽。
    解説でサラカ・ホミズとワタサンの種明かしがあって、めちゃくちゃ納得した。少し先の現代だとしても変わった名前を不思議に思っていたんだよなぁ!森矢先生…そうかあ!お父さんに…そうかぁ!!!こういう小ネタが大好きなので、また次作を読みたいと思った。

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    2020年02月15日
  • 究極のドグマ 穂瑞沙羅華の課外活動

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    小難しい遺伝子の話とかなんとかもやもやぐちゃぐちゃ書いてあるなーと毎回思うんだけど…やっぱり好き。理屈ではまだ説明できない事象が人間にはあって、物理学や生物学といった学問のなかで答えはこれひとつだと突き詰めていくことも大切だけれどそのくくりに入れられない部分をただ曖昧にそんなものだと理解してしまう心も必要なわけで。愛とか情とかを計算式や数字やちっぽけな言葉ひとつで置き換えられてしまったらなんて世の中はつまらなくなるんだろうと思わないでもないね。

    そういうことを考えたくなるときにはこのシリーズは適している。

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    2013年05月12日
  • パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動

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    おもしろい!
    展開が楽しい 読みやすい!

    ハッピーエンドの作品を久々によんだので、読み終わって気分爽快です
    自分の性格が嫌で生まれ変わりたいと思うことがあっても
    ありのままを受け入れてくれる人がいるのだな
    いたらいいな と思いました。

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    2013年03月06日
  • 究極のドグマ 穂瑞沙羅華の課外活動

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    「神様のパズル」、「パズルの軌跡」につぐシリーズ第3弾「究極のドグマ」
    「ドグマ」から分かるように、本書では「生命とは何か」という問を軸に物語が展開していく。

    ストーリー自体は「猫探し」をしているにすぎないが、時折挿入される哲学的な問いかけ、生命倫理的な問題提起など、機本作品の魅力は本作でもありありと描かれている。

    次回作にも期待したい。

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    2012年07月26日
  • パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動

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    第3回小松左京賞受賞作「神様のパズル」の続編である。
    「宇宙は人間に作れるのか?」「宇宙とは何か?」を追求したSF小説である前作を受けて、今作では「人間とは何か?」「自分とは何か?」を追求した内容となっている。

    機本伸司の作品の特徴である「登場人物間のディスカッションを通して、哲学的内容に迫る」という部分が今作でも存分に発揮されている。

    前作と合わせて読むことをオススメする。

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    2012年07月20日
  • 僕たちの終末

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    世界の終末に向けて、宇宙船を作ろう!

    国や大企業や、そういったものの力ではなく
    民間のちっぽけな会社で宇宙船を作ってしまおうとする話。

    お金さえあればできるんじゃね?
    と思ったけど、まさにのそ資金調達が難関。
    なかなかに無謀なその計画に
    出資しようなんて酔狂もおらず
    設計図だって、造船請け負いの企業だって、
    政治的・法的な対処だって
    何から何まで民間でやるのは本当に大変なことで…。

    ただただ感心し、驚嘆し、絶望し…
    なんというか、理性的な感情の揺さぶられる話だった。
    為になったと思う

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    2011年07月27日
  • 神様のパズル

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    2010/03/06

    文系の私には、理系の話は難しくてついていくのがやっと(というか、ついていけない部分が多かった)ですが、楽しかった!
    理系の人は面白いんだろうなあ。
    主人公がお馬鹿だったのが唯一の救いでした。
    「学ぶこと」の、根本的な意味を教えてくれた気がする。社会のためではなく、ただ単に「知りたい」「面白い」という自分のために勉強をするんだと。大学は学ぶためにある。何のために学ぶのか。大切だけど言葉だけではない、本質を再確認できた気がする。
    キャラクターの名前が粋な設定
    ほみず→ホームズ
    綿さん→ワトソン
    考えることが多かったと思う。読書のこと、自分の考察を持つということ、勉強の本質など。
    これは本当に面白かったし、自己啓発にもなったと思う。

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    2019年11月07日
  • 神様のパラドックス下

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    人は神を生み出せるのか?という疑問に量子コンピューターを駆使して挑んでいく本作。同著者の『神様のパズル』のスピンオフとあったので、オマケ程度の内容かと思って読み始めたが、全然別の物語で大変楽しめた。あえて言えば、『神様のパズル』を読んでいれば最後にちょっとニヤリとできる程度で、未読でも全然問題なく楽しめる内容。
    機本伸司氏ならではというか、「神様を作る」という壮大なプロジェクトを4+2人でやってしまおうというユニークなシチュエーションが可笑しくて笑ってしまう。量子コンピューターやAI、スパコンにグリッド・コンピューティングといろいろなコンピュータを駆使した展開も面白い。
    ただ、「神」を目指さなくてもフライデーは十分にカウンセリングができる能力があったのではと思ってしまったのはナイショ。セールスポイントとし「神」を目指すことが重要なのかな。

    他作でも思うが、著者の作品は盛り上がりや盛り下がりのバランスというか構成が素晴らしいなと感じる。読み始めるとなかなか止められないのは困りものだが・・・。

    余談だが、読み進めていくと自分は作中の小佐薙氏と宗教観がよく似てるなぁと感じた。救われるための信仰なのに、なぜ他の信仰を認め合えないのか、という作中でなげられた疑問も日常でよく感じる。登場人物ごとにいろいろな宗教観が設定されているのも面白い点。

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    2011年01月22日
  • 僕たちの終末

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    近未来のSF長編。
    今回は地球脱出のための宇宙船作り。
    科学的にありそな内容となっています。

    子供たちのその後も続編としてでないかな。

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    2010年04月27日
  • 僕たちの終末

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    表紙絵が野尻抱介の「ロケットガール」を思い出させる。 本屋で「電波男」の隣に置いてあって、ちょっと手に取り辛かった。。。 でも、買って正解でした。これは面白い。 家族経営のしがない人材派遣会社が、人類初の恒星間宇宙船建造を受託って、、、ありえないけど妙なリアリティを感じさせる設定が上手いなー、と。 題材は宇宙船なんだけど、主題はプロジェクトX的な人間模様、みたいな。 自分もものづくりに携わるものなので、リアルに想像できて、ちょっと胃が痛くなったり。 しっかりSFなんだけど、それっぽくないというかそれだけじゃない、という感じですね。 この作者のほかの作品も読んでみたい、と思わせる一冊でした。

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    2013年03月16日
  • 神様のパズル

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    これは面白い。すごく良かった。物理の話はさっぱりだけど、するする読み飛ばした。大事なのはそこじゃない。面白かった。続編あるらしいから読む。

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    2024年11月08日
  • 神様のパズル

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    今さらながらQuizKnockにハマり、いまなら物理もいけるかも、と思って読んでみましたが、やっぱり物理は難しいです。
    ただ、どこまでが現在判明している物理でどこからがフィクションなのかはわからなかったものの、物理を極めることは自分自身を知ることという究極の物理学的テーマにはちょっと感動しました。

    母親が天才児を育てたいという思いから購入した精子から生まれた天才少女穂瑞(ほみず)沙羅華(さらか)。
    誰とも対等なコミュニケーションをとることができない孤高の少女を、なんとか大学に留めたい大人たち。
    それから巨大加速器という実験施設の建設にかかわる諸問題の責任など、本当ならまだ高校生である年齢の少女にぶつけられる大人の面子、責任回避、悪意等々「なんで私は生まれてきたのか」を考え続ける穂瑞。

    そんな彼女を心配するゼミの先生により、彼女のお世話係になんとなく任命された僕こと綿貫。
    就職の内定は取れず、卒論のテーマも見つけられず、それどころか肝心の物理の単位を落としそうだし、ゼミの話にはついていけず、あろうことかひとりで田んぼの世話をしているおばあさんに代わって田植えから稲刈りまで面倒を見ることになってしまう。

    主人公が落ちこぼれ学生のおかげで、難しい物理のあれこれも割とわかりやすく登場人物たちが説明してくれて助かる。
    多分この物理の部分を取り除けば、普通にライトな青春小説だ。

    「なんで私は生まれてきたのか」と中学生のような悩みに苦しむ穂瑞に対して、ほとんど役に立たない主人公。
    なんなら物理の問題にすら、何も関与しないし理解してないし、最終的にカタルシスも得ない。
    でも、そういう普通の男が彼女の周りで普通に接することも、彼女の救いになったのかもしれないな。

    ひとつ彼らがかわいそうだなと思うのは、勉強すること、知らないことを知る喜びを感じていないこと。
    今時大学進学は当たり前で、しょうがないから学校に通って単位を取ってはいるけれど、本当は毎日を面白おかしく過ごしたいだけ。
    もったいないなあ、せっかく知る喜びを得られる環境にいるのに。

    と、自分も学生時代は勉強しなかったくせにそう思う。
    最後に橋詰老人が聴講生から正式に大学生になったということに、一番の感動を覚えた。

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    2023年06月13日