機本伸司のレビュー一覧
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ネタバレ「神様のパズル」では宇宙の誕生の謎に迫り、「パズルの軌跡」では人の生きる意味に迫ったシリーズですが、今回は、神様の存在について迫ります。
その人の人生観によって答えが変わってしまう命題に対して、科学的アプローチから一般解を導き出そうとする姿勢は、賞賛に値します。
持論、自説を自由に盛り込める創作物語ならではの面白さを久し振りに堪能できました。
今後も、タイムマシンを製作することは可能か? 子宇宙は存在するか? 超能力は獲得できるのか? 霊は存在するか? なんて問題ついて、科学的アプローチで独自の解を楽しませてくれるシリーズとして続いてくれると嬉しい。 -
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「神様のパズル」続編。前作では宇宙を作ることはできるか?というものすごいテーマをべたな学生の日常風景とのギャップで楽しませてくれるとても楽しいSFでした。今回は同じ登場人物が就職して社会に溶け込もうとしたところから始まります。テーマは前作の裏返し、「宇宙は作る必要がない。観察者としての自分が変われば宇宙が変わる」バラード的インナー・スペース(懐かしい!)へ向かうのです。自殺サイトに怪しげな宗教集団と、しかけが大きくなった分、作者の持ち味の日常からのギャップ分は少なくなってしまった感じ。でも、天才を作るために人工授精により生まれた性格に難あり美少女と、ぼーっとした主人公綿貫君とのでこぼこ具合が楽
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「神様のパズル」の続編。
外界が変えられないなら内側を変えればいいじゃない!ってことで、今度は宇宙を造るのではなく、精神の改造に挑戦ですよ。このあたりの動機が、「どこに行っても馴染めない」という天才孤独ヒロインの心理と絡み合っていて、非常にいじましい感じがします。今回もナイスツンデレ。
作者自身はヒロインが萌えキャラ扱いされるのが心外らしいのですが(今回表紙がおとなしいのもそのせい?)、普通、高飛車強気少女がぐずぐず泣いたりするような描写を入れておきながら萌えキャラじゃないとかそんな言い訳おかしいですよ!
ともあれ主人公の変態具合とあいまってニヤニヤすればいいんじゃないのですか。
ストー -
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この作者は「神様のパズル」以来気に入って読んでいる作者なのですが
これは神様のパズルと同等かそれ以上の作品じゃないかと思います。
正直なところ2作目の「救世主」だったかな…とにかくそれがあまり
気に入らなかったので今回の本も買うのを少しためらったんですが
買ってみて大正解でした。
ヒトのもつモノが巧く表現されてて、読んでいて爽快感というか
後味すっきりというか、それでいて濃厚というか
うまく表現できないけど、そんな感じ
SF小説だけど、この人の作品はメインはSFじゃなくて
物語がメインなのでとても読みやすい、のに
奥が深くて味わいがあって…
まぁこれからはためらい無く買う著者になりました。 -
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「最終理論(TOE)」をテーマにしたSF、というとグレッグ・イーガンの「万物理論」を思い出す。イーガンは、TOEの発見を目指す勢力争いを描き、理論に関してはTOE方程式が美しいことを述べるだけだが、「パズル」では物理的イメージを描き出すことに成功している(と思う)。思考実験から「多元相対性理論」「光子場仮説」を生み出し、質量とエネルギーの等価則を解釈して、地上でビッグバンを発生させる手順を説明する件は、久しぶりにハードなSFを読んだ気がした。$$ ただし、ストーリーは青春小説そのもので、孤独な天才少女の葛藤がもうひとつの流れにあり、こちらの結末は好みが分かれる。少なくとも表紙のイラストを見て
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近未来・・。
南極大陸の氷を掘って過去の大気中のガスの成分を調べていた。
「ここは、俺の居る場所ではない」
天文学者である神崎正は、この計画の発案者だったがこの仕事を辞めて南極から出て行く。
太陽が大きなフレアを起こし、地球に影響が出てきたのだった。
今は、電磁波の影響がたまに出てるだけだったが、予測では今後この勢いがまして、生命体が目玉焼きになって人類が滅亡するかもしれない。
地球では、シェルターなどを作りそこに非難する方針が進められていた。
正は地球の外に生きる希望をみいだそうとする。
そして彼は、ネットに募集をかける。
宇宙船を作りませんか?
「ダメで元々スペーストラ -
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機本伸司のメシアの処方箋を読みました。21世紀半ば、ヒマラヤの氷河が溶けて氷の中に埋まっていた正体不明の方舟が流れ出してきました。その方舟は誰かの墓のように見えましたが、中に格納されていたのはおびただしい数の木簡でした。木簡には綺麗なハスの花の模様がたくさん書いてありましたが、それが何を表しているのかは分からないのでした。そのハスの花の模様がDNAを表していると気づいた主人公たちが、巨大なコングロマリットを出し抜いてそのDNAを持つ生物を生成しようとするのでした。前作と同じで、天才のような登場人物に翻弄されてしまう、ちょっと気の弱い主人公という設定です。おいおい、どうしてそんなことを引き受けて
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K大学で物理学を学んでいる主人公・綿貫基一は、4回生になって素粒子物理学のゼミに参加することになります。そこで彼は、担当教授の鳩村から、同じ大学に在籍している16歳の天才少女・穂瑞沙羅華の面倒見役を依頼されます。穂瑞は、レヴェルのあわない綿貫たちとともにゼミに参加することを渋りますが、綿貫の連れてきた聴講生の老人、橋詰が投げかけた「宇宙を作ることはできるのか」という問題に触発され、ゼミに姿を現わすようになります。
穂瑞は、鳩村ゼミのテーマに「宇宙の作り方」を提案し、綿貫と穂瑞が肯定派、佐倉、須藤、穂積さん、助手の相理さんが否定派となってディベートを戦わせつつ、加速器「むげん」の見学、さらに実 -
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ヒマラヤで氷河湖決壊対策工事にあたっている主人公は、突然の水流に巻き込まれますが、そこで古代の「方舟」を目にすることになります。さっそく調査が開始され、方舟の中から何かのメッセージのような蓮華模様が発見されます。そんなある日、主人公のホームページに「ロータス」と名乗る男からのメールが届きます。彼が、蓮華模様の謎をインターネットでクイズとして出題するという奇策に打ってでると、北川と名乗る男から、その模様は遺伝子情報を意味しているのではないかという回答が寄せられます。ロータスは北側を誘い込み、さらにエンジニアをしている上杉という旧知の男や、生殖医療の専門家の真田などをチームに加えて、研究を進めてい