機本伸司のレビュー一覧
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購入済み
光と場、早熟と保障
自分は文系ですが、科学をかみ砕いて
紹介するサイトで聞いていた
考え方が多く総合されていて
興味深く読みました。
光が光速=最速なのは、
雷が地面に向かうように
光が、膨張する宇宙の果てに向かうから、
そして、光が光速で飛ぶから
認識できる。
(光の波長より短い区間の
位置とエネルギーは
同時には認識できない。)
また、光も水など通るときは
少し遅くて、より速いものの存在を
教えるように発光するんだね。
(チェレンコフ光)
それに、穂瑞の言う、光子と場は
同じものの別の形態だというのは
優れて統合的で感心した。
穂瑞はさらに天才的にふるまって
くれても良かったなあ。
原子力が太陽をまねたように
宇宙も作れそうですね。
穂瑞と保積という名前は
2人を対比させる意図があるのかな。
保障の保でもあるね。
ホームズも独身だったけど、
自然や他者や異性とともに
世界や社会や種族を維持するという対極。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「...金がないから」できないと言うのなら、金を集めればいい。技術的に課題があると言うのなら、一つずつ解決すればいいだけじゃないか。次にどんな言い訳を考えるつもりなんだ。根本的な問題は、金でも技術でも何でもないはずだ。必ず目的地まで行くという信念だ。だからこそ、それが唯一の参加資格なんだ、...」
<この星にしがみついていたい気持ちもわかる。この星に未来なんかないと思っていたくせに、そんなことが起きるのは自分たちの世代じゃないと心のどこかで思おうとしていた。ところがどうだ。終末がやってきた。これは終末という究極の価値観移行(パラダイムシフト)に備えて、我々が何をなすべきかということなんだ。そのために科学技術、社会、また自分自身は、一体何ができるのかということなんだ。
いろんな対処法があるだろう。穴蔵へ逃げコ込みたい奴は、逃げればいい。ただ僕は、自分か死ぬことを思い続けながら、身をかがめて生き続けるのは嫌だ。それで思いついた。いや、僕だけじゃないだろう。誰もが一度は夢見たはずだ。星への旅を。
『地球は人類の揺りかご』―。”宇宙ロケットの父”とも呼ばれるツィオルコフスキーの有名な言葉だ。しかもこの星は、確実に数十億年後には蒸発してしまう。死滅したくなければ、それまでに脱出しなければいけないことは間違いない。恒星間旅行というのは、いつか誰かがやらねばならないことだ。そういう話は、一杯聞かされもした。
だから計画を立ち上げた。すると今度は、誰もが無理だとぬかしやがる。もしできないのだとすれば、漠然と思い描かれ続けてきた宇宙旅行の夢は、一体何だったんだ。一方で人類文明は、幼年期どころか壮年期を過ぎ、この先は急速に衰えて突然死も起こり得る。恒星船を建造するだけの体力が、これより未来にあるのかどうか。分かりやすい例をあげると、石油化学製品だ。また燃料や費用のことを考えると、そう度々できる計画でもないようだ。場合によっては、今が最初で最後のタイミングなのかもしれない。そもそも恒星間旅行は、今までの宇宙開発とは桁が違う。人々の曖昧なモチベーションしか得られないような状況で百パーセントの成功をめざして動いたりするものじゃない。こういう事情でもなければ、起きなかった計画だったかもしれない。つまりこれは、終末において必然的に発生する、たった一度のファンタジーなんだ!
成功率は高くないかもしれない。しかし、地球で行われるどんな救済計画より、はるかに発展性はある。それだけは断言できる。今、人類というのが、どういう生き物なのかが問われているんだ。ここで絶滅するのなら、それだけの生き物だったということだ。それでいいと僕は思わない。できもしないとハナからあきめて死んでいくよりは、やるだけやって死んだ方がいい。まさに、ダメで元々じゃないか> -
Posted by ブクログ
ネタバレ「生きているうちに、何としても私は知りたいんです」ーーーー
留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、不登校ほ女子学生 穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。「宇宙を作ることはできるのか?」
なぜ、なぜという疑問はいつも持っているが、それを理解し得ない自分に焦りを感じつつ放置している。橋詰老人は凄いなぁと思いつつ、そこまで行動しても答えを得られない焦れには共感した、けど彼は脇役なので、問題を提起したらほぼ出番は終わりだよ!綿貫があまりにもボヤボヤしていてストレスも感じていたが、彼がそれくらい分かっていないからこそ物理を理解していない自分でも読み進めることができたんだなと感じた。日記形式で結末は最悪にならない事が分かったので、その日その日の日記を集中して読むことができる。もう少し物理理論を知って読んだら、穂瑞が打ち破っていく過程が楽しめたんじゃないかなと思う。教養は娯楽。
解説でサラカ・ホミズとワタサンの種明かしがあって、めちゃくちゃ納得した。少し先の現代だとしても変わった名前を不思議に思っていたんだよなぁ!森矢先生…そうかあ!お父さんに…そうかぁ!!!こういう小ネタが大好きなので、また次作を読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
2010/03/06
文系の私には、理系の話は難しくてついていくのがやっと(というか、ついていけない部分が多かった)ですが、楽しかった!
理系の人は面白いんだろうなあ。
主人公がお馬鹿だったのが唯一の救いでした。
「学ぶこと」の、根本的な意味を教えてくれた気がする。社会のためではなく、ただ単に「知りたい」「面白い」という自分のために勉強をするんだと。大学は学ぶためにある。何のために学ぶのか。大切だけど言葉だけではない、本質を再確認できた気がする。
キャラクターの名前が粋な設定
ほみず→ホームズ
綿さん→ワトソン
考えることが多かったと思う。読書のこと、自分の考察を持つということ、勉強の本質など。
これは本当に面白かったし、自己啓発にもなったと思う。 -
Posted by ブクログ
人は神を生み出せるのか?という疑問に量子コンピューターを駆使して挑んでいく本作。同著者の『神様のパズル』のスピンオフとあったので、オマケ程度の内容かと思って読み始めたが、全然別の物語で大変楽しめた。あえて言えば、『神様のパズル』を読んでいれば最後にちょっとニヤリとできる程度で、未読でも全然問題なく楽しめる内容。
機本伸司氏ならではというか、「神様を作る」という壮大なプロジェクトを4+2人でやってしまおうというユニークなシチュエーションが可笑しくて笑ってしまう。量子コンピューターやAI、スパコンにグリッド・コンピューティングといろいろなコンピュータを駆使した展開も面白い。
ただ、「神」を目指さなくてもフライデーは十分にカウンセリングができる能力があったのではと思ってしまったのはナイショ。セールスポイントとし「神」を目指すことが重要なのかな。
他作でも思うが、著者の作品は盛り上がりや盛り下がりのバランスというか構成が素晴らしいなと感じる。読み始めるとなかなか止められないのは困りものだが・・・。
余談だが、読み進めていくと自分は作中の小佐薙氏と宗教観がよく似てるなぁと感じた。救われるための信仰なのに、なぜ他の信仰を認め合えないのか、という作中でなげられた疑問も日常でよく感じる。登場人物ごとにいろいろな宗教観が設定されているのも面白い点。 -
Posted by ブクログ
表紙絵が野尻抱介の「ロケットガール」を思い出させる。 本屋で「電波男」の隣に置いてあって、ちょっと手に取り辛かった。。。 でも、買って正解でした。これは面白い。 家族経営のしがない人材派遣会社が、人類初の恒星間宇宙船建造を受託って、、、ありえないけど妙なリアリティを感じさせる設定が上手いなー、と。 題材は宇宙船なんだけど、主題はプロジェクトX的な人間模様、みたいな。 自分もものづくりに携わるものなので、リアルに想像できて、ちょっと胃が痛くなったり。 しっかりSFなんだけど、それっぽくないというかそれだけじゃない、という感じですね。 この作者のほかの作品も読んでみたい、と思わせる一冊でした。
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Posted by ブクログ
今さらながらQuizKnockにハマり、いまなら物理もいけるかも、と思って読んでみましたが、やっぱり物理は難しいです。
ただ、どこまでが現在判明している物理でどこからがフィクションなのかはわからなかったものの、物理を極めることは自分自身を知ることという究極の物理学的テーマにはちょっと感動しました。
母親が天才児を育てたいという思いから購入した精子から生まれた天才少女穂瑞(ほみず)沙羅華(さらか)。
誰とも対等なコミュニケーションをとることができない孤高の少女を、なんとか大学に留めたい大人たち。
それから巨大加速器という実験施設の建設にかかわる諸問題の責任など、本当ならまだ高校生である年齢の少女にぶつけられる大人の面子、責任回避、悪意等々「なんで私は生まれてきたのか」を考え続ける穂瑞。
そんな彼女を心配するゼミの先生により、彼女のお世話係になんとなく任命された僕こと綿貫。
就職の内定は取れず、卒論のテーマも見つけられず、それどころか肝心の物理の単位を落としそうだし、ゼミの話にはついていけず、あろうことかひとりで田んぼの世話をしているおばあさんに代わって田植えから稲刈りまで面倒を見ることになってしまう。
主人公が落ちこぼれ学生のおかげで、難しい物理のあれこれも割とわかりやすく登場人物たちが説明してくれて助かる。
多分この物理の部分を取り除けば、普通にライトな青春小説だ。
「なんで私は生まれてきたのか」と中学生のような悩みに苦しむ穂瑞に対して、ほとんど役に立たない主人公。
なんなら物理の問題にすら、何も関与しないし理解してないし、最終的にカタルシスも得ない。
でも、そういう普通の男が彼女の周りで普通に接することも、彼女の救いになったのかもしれないな。
ひとつ彼らがかわいそうだなと思うのは、勉強すること、知らないことを知る喜びを感じていないこと。
今時大学進学は当たり前で、しょうがないから学校に通って単位を取ってはいるけれど、本当は毎日を面白おかしく過ごしたいだけ。
もったいないなあ、せっかく知る喜びを得られる環境にいるのに。
と、自分も学生時代は勉強しなかったくせにそう思う。
最後に橋詰老人が聴講生から正式に大学生になったということに、一番の感動を覚えた。