ダン・アリエリーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「予想どおりに不合理」の著者が不正と意思決定について著したもの。不正といっても、エンロンの不祥事のような大きなものだけでなく、ゴルフのスコア申告のように、そのほとんどが多くの人に関わりのあるありふれた不正である。
不正が起きるしくみについて、合理的経済学では、人は自分の置かれたそれぞれの状況を合理的に分析し、それをもとに犯罪を行うかどうか決めるというもの(シンプルな合理的犯罪モデル「SMORC」)らしい。しかし、少し考えればわかることだが、あらゆる決定について費用便益分析を覆ない、最も合理的に思われることをするとするなら、たぶん職場を一分離れるときも、財布を引き出しにしまいこむだろうし、どんな取引にも法的契約が必要になり、そのせいで法的闘争や訴訟に時間をとられるようになる。本書は、SMORCでは説明のつかない、「人を不正に向かわせる本当の力」を明らかにしている。
多くの事例に共通するのは、人の行為はちょっとした契機で変わってしまうものだということ。確定申告などの申告の不正を試す実験では、署名の位置を、(道徳心を呼び起こすため)一番上にするか一番下にするかで不正の数が減ったという。こういう工夫は、ビジネスでも十分考えるべきテーマであると思う。
一番興味深かったのは、「創造性が高い人ほど、ごまかしが多い」ということ。
「だれもがごまかしをする能力をもっている。またごまかしをする自分がなぜ不正直でも不道徳でもないのか、その理由を説明する物語を自分に語るのがとてもうまい。さらに始末の悪いことに、わたしたちは他人のごまかし菌に『感染』しやすく、またいったん不正なことをし始めると、同じ方法で不品行を続ける可能性が高い。」 -
Posted by ブクログ
家庭や社会において、我々はどのようなメカニズムで不正に手を染めてしまうのか―――人間の業とも言える「嘘」や「ごまかし」を行動経済学の視点から考察し、効果的な予防方法を様々な実験により検証した貴重なレポート。
罪を罪と認識させる、嘘をつかないことを宣誓させる、前例を作らない、大義名分を与えない、罰則の強化はあまり効果がないなど、興味深い実験データ満載だ。
誰かが自分に向けた不正を見極めるため、あるいは社会に対して無意識に不正を行いたくなる自分を律するため、役立つ書籍になるかもしれない。
ただこの本を読んで最も困難だと感じたのは、自分が自分に対して行う不正についてである。
例えば・・・ダイエット中なんだけど、超人気スイーツが半額で売り出してる・・・とか。
例えば・・・今日は酒飲まないと決心したが、冷蔵庫にお刺身と吟醸酒を見つけた・・・とか。
あなたは誘惑に耐えられますか? 固い決心に対するちょっとした不正を、拒み続けることができますか? -
Posted by ブクログ
世の中には不正をなくすために考えられた仕組みがたくさんある。
多くは、罰則を厳しくするとか、ばれる確率を上げるような、
費用便益的なリスクを増やすことで、不正を抑制しようとするものである。
でも人はそんなに合理的じゃない、
いつもメリットとデメリットを天秤にかけて行動しているわけじゃない、
ということを、面白い実験を通して明らかにしていく。
本書全体を通して論証している仮説は、
人は自分で正当化しやすいほど悪いことをしやすい、
というもの。
だから、
ちょっとした不正はだんだんエスカレートし、
誰のお金か分かりにくくなるほど、金融のモラルハザードは大きくなり、
会社の金庫から1円を持って帰るのはできないけど私用コピーはでき、
世の中を良くするために、政治家は平気で賄賂をもらう。
読むとどれも、ちょっと意外だが、納得するものばかり。
そして、不正についての人の行動心理を知ることは、
不正の防止、抑制に役立つ。
従来の規制、罰則ではなく、行動心理を知らない人には
信じられないほど単純だが、本当に効果のある対策を
講じることができる。
多くの人が、こういう行動傾向を知れば、
不正が起きにくい楽しい世の中になるのに、と思う。 -
Posted by ブクログ
なかなか刺激的だった。
単純な実験で母数に関する記述がないため、非常に少ないようであることが気になるところ。
不正は金額が少ないとか多いとか、ばれる確率が高いとか低いとかがその量を変えるわけではない。
不正を防ぐものは直前に倫理的なものを呼び起こすこと、倫理条項への署名、誓約、意思疎通の持てない監視者がある。
不正を促すのは社会的要員の不正を目撃すること、他人が自分の不正から利益を得ること、前頭前野が消耗した状態であること、ちょっとした不道徳から道を外していくこと、創造的な思考で正当化する能力、利益相反、クライアントとの付き合いの長さ、否定的なイデオロギーなどがある。
一旦不正をすると不正に酔い、実力を過信する。
最後のまとめを見るまでは、内容が多くて思い出せないものも。
時間はかかったし、いまいち今後の役には立ちそうにないが面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「幸せ」をつかむ戦略
行動経済学のダン・アリエリー氏にマーケッターの富永氏がインタビューしたものを富永氏がまとめたもの。
幸せには生理的・刹那的幸せと、苦労した後にのみ味わうことができる幸せの2種類があり、本書は後者に関してのことが多くの事例を挙げながら語られています。
でも夏に涼しい部屋でのむビールの幸せも結構大切だと竹蔵は思います。
村上春樹氏のいう「小確幸」。
小確幸の連続と耐えに耐えた後の大きな幸福感はどちらが良いのか?
まあ、幸せはストレスと一緒でその人の中にしかないので、その価値をどう考えるかによっていろいろな幸せがあって良い。
もちろん不幸もいろいろあって良い。
唯一してほしくないのは、勝手に幸せだとか不幸だとか決めつけられることくらいかな?
竹蔵 -
Posted by ブクログ
人間は不合理な決断をする生き物であることが、さまざまな実験やエピソードを添えて書かれている。英文を和訳しているため、例がややイメージしにくい部分はあるが、共感や納得できる部分は多かった。
ただ、行動経済学を勉強することを目的に読むのであれば、もう少しそれぞれのエピソードに対応する名称(アンカリング効果、バンドワゴン効果など)の説明があると良かった。
我々が不合理な意思決定をする際、多くの場合はランダムではなく一定の法則が存在する事が多い。その「意思決定のクセ」を知っておく事で、より良い意思決定ができ、経済の動きが説明できるようになる。行動経済学の奥深さを感じられる本であった。 -
Posted by ブクログ
正直、最近はもっと分かりやすく体系的に行動経済学を解説している本も多い。しかし、文章はある程度読みやすく、内容も当時は目が醒めるようなものだったのだろう。
人間が判断に評価軸を必要とすること、最初の行動や条件に後の行動を引っ張られやすいこと、無料を同じ条件の割引より魅力的に感じること、金銭を対価に支払われることがマイナスに働く場合があること、自身の持っているものを過剰に高く評価すること、事前の想像が後の結果に影響を与えること等が記述してあった。それらを確かめた実験内容もきちんと書いてあり(実験の条件が気になるところではあるが)、ただ知識を得るより面白い。