中央公論新社のレビュー一覧
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昨今の物価上昇の波に呑まれて、値上げを余儀なくされた「卵」(たまご)ですが、ずっと物価(価格)の優等生と言われてきました。
栄養があり滋養に優れた卵は、風邪をひいた時にお粥に入れたり、おうどんに入れたり、毎朝食に生で納豆の相棒となったり、はたまた玉子焼きや目玉焼きとしてレギュラー出場する優秀な食材です。各種お料理は言うに及ばず、スイーツにだって引っ張りだこですし、栄養ドリンクに混ぜたり、カレー・ライス(いえ、ここはあえてライス・カレーと呼んでおきましょう)にかける往年のつわものもいました(わたしの祖父がそうでした)。
この本は、そんな万能食材である卵を使ったお料理の数々が、古今の名エ -
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数年に1度ほどのペースですが定期的に書評集を読みたくなる時がやってきます。
こちらは書評集ではなく「読書エッセイ集」。新しい本や著者との出会いを提供してくれるという意味では同じかな。
鈴木保奈美さんがどのような本をどのような文体で紹介されているのか興味を持ち、読んでみました。あ、ちなみに私はまだ50歳には達していません。
読み終えて改めて思ったのは、私がこれまで読んだ本はこの世に存在する書籍のほんの一握りなんだなぁということ。もっと読まなくちゃと焦りそうになりますが、本書の中で複数の方が「再読は大切」と仰っていたので量は気にしなくて良いようです。そして今の私の年齢ではまだ再読の段階に入らなく -
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著名人の世界各地でのカフェ体験を集めた短いエッセイ集。渋谷のカフェ「Bunkamura ドゥ・マゴ・パリ」が発行しているフリーペーパーがもとになっているとか。
日本のカフェの話もないわけではないが、それにしても"記憶に残るカフェ体験"が題材であるせいか、エッセイとしては「なんでもないことを面白く」というよりは、「それ自体特別な体験をそれ相応に魅力的に」書く、という印象が全体的には強かった。海外への憧れの気持ちがそう思わせるのかもしれない。
読んでいると旅に出たくなる・・・かというとある程度はそうだが、ある程度以上ではない。単に私が出不精だからだと思う。それでも、数少な -
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九代目 林家正蔵は昼の高座を終えて『午後三時から飲み』を嗜み、それは『林家正蔵の今日も四時から飲み』という旅チャンネルの番組になっている。それより1時間早く、まだ日も高すぎる三時から飲みは詩人 萩原朔太郎。
表題の『午後三時にビールを』は、萩原朔太郎の詩『虚無の歌』の中で描かれる風景。午後三時、東京エビス橋の広漠としたビアホールにてひとりビールを飲む朔太郎。『生きて、老いて、その果てに一生を掛けて欲したものは一杯のビール、雲を眺める自由な時間だけ悟った』。
…また詩中には〈私は老い、肉慾することの熱を無くした。墓と、石と、蟾蜍(ひきがえる)が、地下で待っているのだ〉と嘆く一節もあり、麦わら -
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題名をみて、世界中の50カ国のカフェを巡った強者がいるのかと、勘違いした私。
そーではなくてBunkamuraのフリーペーパーに掲載された、50人の作者によるカフェにまつわるエッセイ集でした。それがわかるような題名にした方がいいんじゃない?と思ったけど、もともとは「思い出のカフェ ドゥマゴからの贈り物」という本だったそうで、あえて変えたのかな。
Bunkamuraのドゥマゴと聞くと、それだけで私はきゅんとするけど、若い方はぴんとこないだろうしね。
行ったことのある国、行ってみたい国、そして絶対行かないと思う国、どれもおもしろい。作家さんも知ってる人、知らない人いるんだけど、着眼点や表現が違っ -
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◯武田泰淳は妻の天賦の才に気づいていたと確信した。第四章の泰淳のエッセイ「花火を見るまで」の大部分は、百合子さんの富士日記ほぼそのままだった。引用と言っても差し支えないくらいに。文学者である泰淳が一介の妻の日記をほぼそのままの形で載せたことは、妻である百合子さんを非凡な観察眼と文章力の持ち主として泰淳が追認していた証拠だと思う。
◯巻末にある「富士日記」索引、これ便利だなぁ(使う場面がそんなにあるかは別として)。ただ、この索引作るときの地道な作業、大変だったろうな。
◯角田光代の著書は読んだことないけど、彼女の書いた武田百合子評は、群を抜いて的確だった。
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ネタバレ編者は中央公論新社。匿名ということか。
解説は佐伯順子に頼んでおい格調づけたか。
名前出せばいいということではないけれど、2021年4月に平凡社ライブラリーで高原英理が編んだ「少年愛文学選」のほうが、志は高いか。
とはいえシロートとしては「少年愛文学選」の落穂拾いができる便利な本、とは言える。
個人的には、「少年愛文学選」→川端康成「少年」→なるみさんのブログ「うみなりブログ。」→本書、と深堀りできるのが嬉しい。
と、書いたあとで知ったのだが、編集者(n@smb_g)がツイッターで狙いを連続ツイートしていて、それが素晴らしかった。
おみそれしました。
各作品についてはもはや好きとか嫌いとか