中央公論新社のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ教科書に掲載されている短編はそれだけで品質が保証されているのだろう。どれもこれも面白くて読みやすくおまけにタメになるものばかりであった。科学者の考え方の話や他の学問との関係性、科学の哲学や喜び、科学にまつわる様々な発見やエピソードなど読み飽きない面白さばかりだ。特に最後のチョウの行動観察の話は、幾つもの仮説や困惑の果てに真相が明かされる探偵小説のような面白さがあり、とても印象に残った。どの話も科学の楽しさや、科学により人間はより良くなっていくという希望が込められており何度でも読み返したい短編ばかりであり、是非ノスタルジーに浸るような気持ちと未来への思考の育成の心構えを持って読んでほしい。
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Posted by ブクログ
昨年の2021年は、対米英を中心とした1941年12月8日の太平洋戦争開戦から80年の節目の年にあたり、中央公論社新書編集で女性27名のエッセイが発行された。最年長は、開戦時19歳だった故・瀬戸内寂聴氏、最年少は3歳の故・佐野洋子氏。非日常が中心となった戦局の日々の中で、幼少期・青春期を戦時下で送った日常生活が切々と綴られる。ある少女は空襲を逃げ惑い、ある少女は満州、樺太、ジャワ島などで終戦を迎える。戦場で繰り広げられる生死を彷徨った戦争の対極に、銃後の守りを強要された非戦闘員、少女たちがどのように考え、生きたか。そして、戦後には執筆・分筆活動で戦争の愚かさを訴えた27名の著者、中央公論新社
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Posted by ブクログ
この本は、1941年(昭和16年)12月8日の太平洋戦争開戦時に、満20歳未満だった女性によるエッセイを著者の生年順に収録したということ。
最年長、1922年生まれの瀬戸内寂聴さんと、最年少1938年生まれの佐野洋子さんの年齢差は16年。
この時代、男性は生年がたった一年違うことで生死を分けられた。
女性たちも、年齢によりまたは住んだ場所、環境により、さまざまに違った体験をしたことだった。
瀬戸内寂聴さんは、その青春の中で、運よく「良き時代」の最後を味わうことができたと書かれている。
軟弱、と当局ににらまれながらもまだ音楽を勉強することができた石井好子さんは、
優れたユダヤ人の先生方が弾圧 -
Posted by ブクログ
多くの読者を魅了して止まない富士日記。その魅力を作家の書評。解説、帯文や書下ろしエッセイにより語る。写真多数と富士日記索引も収録。
「富士日記」は日記文学の最高峰だろう。ありふれた日常、富士山麓の別荘暮らし、毎日の買い物と食事の献立それに変わりゆく季節。ただそれだけ、読まれることを想定しなかった修辞のない淡白な記述、なのに面白い、不思議な魅力がある。
その魅力を多くの作家さん方が解説している。出典や時期は全くバラバラなので同じような指摘が多い。考えることはみんな似ている。特に愛犬ポコの場面(富士日記既読者なら分かるかと)。
富士日記ファンは本当にたくさんいるようだ。聖書のように枕元に置い -
Posted by ブクログ
ネタバレ総じてミステリーとは言えない。
江戸川乱歩以前の時代の雰囲気を感じられる。らんぽがウケるわけだ。
「指紋」佐藤春夫
他のを読むとこれが一番ミステリーしてたな。最初に読んだ時は、この程度で良いの?と思った。友人が建てた家になにか仕掛けがあるのかと思ったら全然無かった。
映画で見た指紋と阿片窟で見た指紋が一緒だから犯人はアイツ!というひどく短絡的な、ただただすごいなの気持ち。指紋なんて覚えてられないのが普通なのに覚えていられるのか。すごいな。
「開化の殺人」芥川龍之介
あまりの読みづらさにぶん投げたくなった。
この文体含めてこの北畠という医者は鼻持ちならない奴だったのか?
従妹のために殺したけ -
Posted by ブクログ
50歳という年齢を、わざわざ読書案内に対して区切るのは、どんな意味があるのか。別に自分はそういう区切りと関係はないのだが、読んでみれば何か見えてくるかな?と思い、読み始めた。
予想として、古典を勧めて来るのかなと思ったら、案の定その予想は当たり、ちょっと重々しい始まり方。中央公論からでてる本なのだが、日経の「わたしの履歴書」みたいだなと思うスタート。ちょっと窮屈。面白いのは面白いけど……。そのまま読んでいく。滋味のある紹介ではある。でもこの窮屈はどこから来るんだろう?
そう思っていたら、後半になればなるほど面白くなってきた。違和感のしっぽを、なんだかちらちらさせながら。これ、なんだろう?