中央公論新社のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今回も粒ぞろいで面白かった。ほんの1時間かからず読める、スイーツのアソートのような文芸誌。
川上未映子さんと穂村弘さんの対談が特によかった。お互いに芯をつくような、でも答えが出る訳でもない、生きることに対する思いが垣間見れる。
特に川上未映子さんの、「つらい本番が来るまでは、楽しく生きればいい」という言葉が心に残っていて、多分ずっと残り続けるような気がしている。
「黄色い家」を読んだことがあるかどうかでまた変わってくるであろう対談だった。文庫で買い直そうかなあ。
森絵都さん「ケアドール」は、近い将来本当にありそうな話。私も普通にだまされてしまって、短いながらすごく巧みな構成の短編だった。思いのほか気持ち良い終わり方をする。
永井玲衣さんの散歩(うろつくこと)に関するエッセイも面白かった。思考の中を深く潜っていくような文章。
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Posted by ブクログ
1冊まるまる余すことなく楽しめる適度なボリュームの文芸誌。文芸誌って分厚いものが多かったり、続きものが多かったりで手を出しにくいことも多いけれど、これはかなり手に取りやすい。
本当に外れがなくて嬉しかった。
読み始める前の目当てはひらいめぐみさんのエッセイと石田夏穂さんの短編だった。
そのほか、朝比奈さんの連載は続きが気になるし、犬怪さんの「オーリーリアの自殺人形」なんかはとても好きな世界観で、2回読んだ。
積んでいる犬怪さんの本を早く読もうと思った。
石田夏穂さんの短編「ノーメイク鑑定士」は、これは間違いなく石田さんの小説だ!と思わせられる舞台設定と独特な切り口で最高。石田さんの書いたものって全部面白い。絶対に私には思いつけないお話だと思うのに、突飛すぎるわけでもない。面白かった。
2巻も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
一気読みしてしまった。
今で触れたことのなかった系統のお話が入っていたり
好きな作家さんの本が入っていたり、
初めての文芸誌は福袋だな〜て思いました。
元々古賀さんのエッセイが好きで、町田そのこさんは作品こそ読んでいないものの、小説紹介欄できっと好きなお話だなーいつか読もうと思っていた作家さん。
それ以外の方はお名前を聞いたことがあるものの初めましてでした。
個人的に今回好きだった作品は、
・信玄餅
・「オールド・マン」との午後
・.ひよ子のいる人生
・オーリーリアの自殺人形
・はりーときどきパリへ行く
です。
普段はわかりやすい作品や日常ものが大好きなのですが、噛めば噛むほど味が出るガムみたいに、
文章を丁寧に読むほど深みの出る小説に出会いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ総じてミステリーとは言えない。
江戸川乱歩以前の時代の雰囲気を感じられる。らんぽがウケるわけだ。
「指紋」佐藤春夫
他のを読むとこれが一番ミステリーしてたな。最初に読んだ時は、この程度で良いの?と思った。友人が建てた家になにか仕掛けがあるのかと思ったら全然無かった。
映画で見た指紋と阿片窟で見た指紋が一緒だから犯人はアイツ!というひどく短絡的な、ただただすごいなの気持ち。指紋なんて覚えてられないのが普通なのに覚えていられるのか。すごいな。
「開化の殺人」芥川龍之介
あまりの読みづらさにぶん投げたくなった。
この文体含めてこの北畠という医者は鼻持ちならない奴だったのか?
従妹のために殺したけど従妹が手に入らないことがはっきりわかって、結婚相手を殺すか自分が死ぬかで自殺を選んだという手紙を送り付けてくるの甚だ迷惑でしかない。
夏目漱石のこころって面白かったなあ、開化がミステリーならこころもミステリーだよの気持ち。
従妹と脈有りみたいな描写も全然無いので、いきなりこの手紙でバラされても困る。すごい。なんだこの独りよがり。
開化というのは文明開化=西洋化で、北畠もキリスト教に傾倒してて自殺は出来ないけど結局する。自殺=他殺の一種にしたい!または宗教よりも愛のために死ぬ!という演出?
「刑事の家」里見弴
別荘使おうと思ったら貸してる家族と一緒に一夏過ごすの気まずいけど、なんかみんな自由に過ごしててその雰囲気は良かった。
結局子供が犯人だけどうまく落語のオチにして犯人探しはやめようっていう話?
「肉店」中村吉蔵
スピード感がすごい。
動機として、殺すまでの段階はちゃんと描写されていたがそれでもすごい。
お店どうすんの……店員可哀想…。
「別筳」久米正雄
裏話を知ってしまうとなるほどな。
緊張感はあって面白いが、みんな自分のことしか考えてない……すごい…。
「Nの水死」田山花袋
タイトルからして、だろうなと思ったらその通りで、普通。開化の殺人もそうだけど、自分が楽になりたくて語るという男のエゴさよ。こころはそこら辺男同士で完結して奥さんには何も伝えずに死のうとしたのが面白いのかも。関係性にもよるが。
「叔母さん」正宗白鳥
親戚の家に言ってちょっと気まずい思いをするの面白いな。叔母さんの娘狙いできたら当てが外れて、叔母さんが自分に色目を使ってる気がするけど今はもうそうでもないから、旦那さんと喧嘩してても別にという話?
特にオチがない。これで良いのか。
解説の北村さんがいっぱい語ってくれたのでわかりやすかった。乱歩や佐藤春夫自身でも語ってるのも入ってるので、こういう話なのか、こう読めば良いのかとわかって面白い。
乱歩以前の探偵小説ってこんななんだなあとわかって面白かったが、作品レベルとしてはあんまり自分には楽しめなかった。 -
Posted by ブクログ
50歳という年齢を、わざわざ読書案内に対して区切るのは、どんな意味があるのか。別に自分はそういう区切りと関係はないのだが、読んでみれば何か見えてくるかな?と思い、読み始めた。
予想として、古典を勧めて来るのかなと思ったら、案の定その予想は当たり、ちょっと重々しい始まり方。中央公論からでてる本なのだが、日経の「わたしの履歴書」みたいだなと思うスタート。ちょっと窮屈。面白いのは面白いけど……。そのまま読んでいく。滋味のある紹介ではある。でもこの窮屈はどこから来るんだろう?
そう思っていたら、後半になればなるほど面白くなってきた。違和感のしっぽを、なんだかちらちらさせながら。これ、なんだろう?
金井美恵子さんが、ご自分のパートで書かれておられるように、「50代は若い」のであるのに、既に重々しく一線を退かれたような感じで執筆された項目と、年齢や、迫りくる終了感よりも、むしろご自分の経験や気持ちから選書された項目の、バランス感とか温度、雰囲気に、なんとも言えない差があることが、違和感の原因なのである。
それが悪いとは思わないし、書かれた方も、決して後ろ向きな選書はされていない。実際、良さそうな本や、思いもかけない切り口の選書があって、おおおーぅ。そう来るんだ。と思いながら読み終えた。実際にこのブックリストに思わず手が伸びる方ならば、私の感じた違和感なんて、全然感じないで、楽しめると思う。
先に行ったらこんなこと、思いながら読むのかなあ、なんて噛み締めながら読み終えた。文中にあった「あの名作も、あの本も。読まずに死ぬのかも」という述懐や、「本を読める時間や、読める冊数は有限と感じるようになってきた」という所感は、正直50歳じゃなくても、ふっと感じる事はある。
20歳じゃあるまいし、ぼやぼや読んでんじゃねえぞ、と自分に発破をかけながら、ブックリストに付箋を貼って、今更のコレット「青い麦」や宇野千代の「おはん」を追加して、そういや読んでないな、まだまだじゃんと声に出す。今日びの年齢って、50歳って、どんな気持ちを連れてくるだろう。マドラスチェックのリボンは、その時も私に似合うだろうか。
読むぞ読むぞー! -
Posted by ブクログ
どこで読めば良い本なのか。
『想い出のカフェ』(井上俊子編 1994年)の収録作品から採録・新たにまえがきを加えた本書。各界の著名人が、それぞれの思い出のカフェ(主に海外)についてエッセイにまとめている。
テーマに沿ってカフェでお茶(或いはコーヒー)を片手に読むのが妥当なのだろう。しかし自分の場合、各地のカフェに目移りしちゃって自分がいるカフェを飛び出しそうになるのが目に見えている。
旅のお供に携えた日にゃ、目的地にあるものより魅力的なカフェを知ることになるかもしれない…
それほど各人、後々思い出深くなるような体験をなさっている。
副題が「5分で巡る」なだけに各話3−4ページのショートカットなのだが、思わず付箋しておきたくなる話が結構あった。
海外のカフェといえば、いの一番にパリを思い浮かべる。
パリのカフェは本書でも触れられており、特に作家 辻邦生氏による理論は納得と憧れを増幅させた。
「坐ってぼんやり時を過ごすだけで、たまらない幸福感が身を浸す。それはパリには強烈な自由があるからだ」
幸福感の他にも自己肯定感が全身にみなぎってくるという。休憩所だけで終わらない機能、そしてその効能に自分もあやかりたいものだ。
ウィーンは、何だかため息が出た。
ドイツ文学者 池内紀(おさむ)氏の書いたタイトルは「孤独家にぴったりのウィーンのカフェ」。もっと詳しくお言葉を借りると、「孤独でいるために。まわりに人を必要とする、そんなタイプの心やさしい孤独家にぴったり」。街の特性も手伝って、何だかロマンチックに響いてくる。
音楽はかかっておらず、物思いに浸ったりちょっとした作業をするのにもってこいなんだとか。そんなに静かなら、ため息をつくのも惜しまれるな…。
文化人類学者 中沢新一氏の”ラッシー紀行”はお勧めかも。
ただでさえ珍道中になってしまうインドの旅に進んで飛び込んで行く彼は何者!?そして彼をラッシー屋に導いたガイドブック『シューストリング・ガイド』がめちゃくちゃ気になって今必死に調べているんですけど…!!
カフェの定義や思い出も千差万別なんだなー笑
千差万別といえば、いとうせいこう氏の「ネスカフェの薄い広がり」も独特だった。
彼が訪れた国のカフェではネスカフェ、つまりインスタントコーヒーが平然と出される。
しかしネスカフェが出されるのはたいてい貧しい地域の食堂か何かで、それはどの国においても共通している。彼自身も家族との思い出にネスカフェが色濃く残っているから、旅先のそれと自分を結びつけずにはいられない。
そうして飲み交わす人々とのネットワークが少しずつ広がって行く…。ネスカフェの薄さも相まって、秀逸なタイトルだと気付かされた。
カフェ云々よりも皆様語りが本当にお上手で、そっちに惹かれたかも!同一の体験は出来ずとも、自分もこんな感性でカフェを通した世界を覗いてみたい。
そうやって夢中になるあまり、結局自宅で読み切ってしまった。