爪切男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この連載を執筆するにあたって心がけてきたことはひとつだけ
それは美容と健康のハードルをできるだけ下げたいということでした。
おカネがかかる。
時間がかかる。
~中略~
ヨーグルトを自分で作ってみてください。
納豆は四百回こねてみてください。
怖くても胃カメラ検査を受けてみてください。
トルソーウォーキングをやってみてください。
自分の好きな服じゃなくて誰かに勧められた服を着てみてください。
そのときあなたに何が起こるかなんて答えは誰にもわからないんです。
~中略~
私は美容と生活をこれからも続けます。
あなたは何を続けますか。
という文章、急に問いかけられて「ドキッ」とさせられた。
自分は何 -
Posted by ブクログ
母親は物心着く前に出ていってしまい、毎日父親から虐待を受けて育ち、小学生ながら人生に諦念した気持ちを持つ主人公が、地元の不審者と言われるおじさんと関わることで温かな気持ちを取り戻していく物語。
変だけど無害で、避難所のような存在が近くにいるという状況は貴重だ。この作品の舞台である香川県の田舎でさえ、周りの大人は他人の子どもの苦しみになんて無関心であることがショックを受けたと共に、しょうがないとも思ってしまった。みんな一人ひとりの人生に生きることに必死で、それには周りの目を気にしながら生きていく必要もある。苦しみの中に生きる子どもは、誰からも救いの手をさしのべられることなく生きていかないといけな -
Posted by ブクログ
爪切男さんの愛がぼろぼろに涙と笑いがぼろぼろ胸熱でした。
やっぱりどうしたって生きていると苦しい事のほうが頭から離れなくて考えてしまうことが多いのが人間だと思うのだけど、
その気持ちも切々とありながら、どうしようもないくだらなさと笑いのバランスが絶妙でとてつもなく人間を感じた作品だった。
言葉では表せないこの複雑な気持ちを主人公の千川広海が後半大きく動かす時に、とても泣きそうになる。
泣くではなく、泣きそうになるなのだ。
それでも広海を包むまわりの人々の変わらない温度とくだらない笑いに、人が心で繋がる絆みたいなものがはっきりと見えて心が救われていく。
それがじんじんと伝わってくる作品でした。 -
Posted by ブクログ
私のこの中の一人として語り継がるそうな存在になりたい、と思った。それにはあまりにも私は平々凡々な女の子だった幼少期。変わった部分はあったかもしれないけどこの本の中に登場できるだけの突出すべき「なにか」がなかったと思う。もっと、個性的な小学生になりたかった。
爪切男さんもこれだけの女の子に恋をできる心を持ってる、これだけ詳細に覚えいる記憶力がすごい。ここに登場した女の子からしたら、こんなこと覚えてんな、と思われるからもしれないけど、十何年?後でもここまで鮮明に彼女たちへの恋心を覚えてるなんてなんか人として素敵だなと思った。私は、くそ一途だったせいで、幼稚園・小学生・中高生とあまり恋をしてなかった -
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『死にたい夜に限って』が良かったので本作を購入!
作者!?の青春時代に好きになってしまった女の子達との思い出に浸る物語!
一つ一つが短めの短編のようになってます!!!
個人的な白眉は『幼なじみの罪とやまぼうしは蜜の味』
【気になってしまう作中の文章】
・鼻くそをほじると、たまにあなたのことを思い出します。
・人を幸せにする素敵なゲロを吐く女の子だっている
・せっかく集めたベルマークを燃やしちゃってすいません
・中島みゆきの歌のように時代は回る。ジャイアントスイングのように時代は回る。
作者と同い年のせいか言い回しと例えが私の中の琴線に触れます! -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃめちゃに良かった。家庭環境から性生活までとにかく赤裸々に語っている。かなり重たい話をしているのに、爪さんの天才的なユーモアと、どうにか楽しく生き抜くぞという執念が、それらをエンタメに昇華させていた。ほどよく肩の力を抜いてくれる1冊。
・子供の頃、大人になれば充分な時間とお金が手に入って、何でも自分の思い通りにできるはずだと信じていた。いざ大人になってみると、ギャンブル、暴力、嘘などやってはいけないことばかりできるようになった。素直に甘えること、泣きたい時に泣くこと、約束を守ること、悪いことをしたら謝ること、子供の時なら簡単にできていたことのやり方を忘れてしまった。このうち一つでもできれ -
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ネタバレ全21篇の思い出エッセイ。
小学校~高校時代に著者が恋したクラスメイトとのエピソードが描かれています。(文庫本では単行本未公開編として教師とのエピソードも)
幼少期より母親のいない家庭で育った著者。
スパルタだった父親から「女の子との思い出をしっかり覚えておけ」と言われた事をきっかけに、些細な言動や行動を記憶に刻むようになったと。
クスッと笑えるこの本ができたのもそれが一因なのだろうか。
登場する女の子(1名男の子)も、一見ただのマドンナやクラスの憧れの存在かと思いきや…青髭が生えていたり水飲み場での飲み方のクセが強かったり。
著者のユニークな文章と女の子に対する着目点が癖になる1冊です