【感想・ネタバレ】愛がぼろぼろのレビュー

あらすじ

『クラスメイトの女子、全員好きでした』
『死にたい夜にかぎって』の著者、初の小説。


僕が住む町の外れに、変わり者の太ったおじさんが住んでいる。
学校では不審者扱いされていて、
僕もふざけて「ゴブリン」なんてあだ名をつけてしまった。
悪いことをしたと思ってる。
だってゴブリンだけなんだ。僕の頭を撫でてくれるのは。
お母さんは家を出て行っちゃったし、
お父さんは毎日僕を殴るから――。

少年と中年のくだらない日常が、心の傷の在処を教えてくれる。
自らの過去を投影して描いた、悲しくも笑顔になれる、
自分だけの愛を探す物語。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

おバカでお下品でエッチだけど心がフワッとあったかくなるヒューマンドラマ。ゴブリンが関西弁なんやけど、たまにですます調で話すトーンがなんか笑ける。“世界が一つになるときは、誰かが犠牲になっている”は心に刺さった。“祭りのあとせかいはちっとも変わらない。それを分かっているからこそお祭り騒ぎは楽しいのかもしれない”は全くその通りだと共感。好みの作品でした。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

読んでる途中、この物語の設定に気づいた時に、こういう文学作品もあるんだなと、驚いた。

過去の自分を今の自分が救ってあげる

そんな作品に感じた。

爪さんと佐伯ポインティさんの対談に参加して、実際の爪さんの言葉もリアルで聞いたけれど

爪さんの周囲の人達はこの作品を読んで悲しくなったとおっしゃっていたらしい。

私も、その感想を持つ側の1人であるし、

この作品を読んだから、

爪さんの周りにそういう風に思ってくれる人達が今、いる事が、爪さんの言葉を聞いて、私も嬉しく感じた。

爪さんの他の本も是非読んでみたいと思った。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

母親は物心着く前に出ていってしまい、毎日父親から虐待を受けて育ち、小学生ながら人生に諦念した気持ちを持つ主人公が、地元の不審者と言われるおじさんと関わることで温かな気持ちを取り戻していく物語。
変だけど無害で、避難所のような存在が近くにいるという状況は貴重だ。この作品の舞台である香川県の田舎でさえ、周りの大人は他人の子どもの苦しみになんて無関心であることがショックを受けたと共に、しょうがないとも思ってしまった。みんな一人ひとりの人生に生きることに必死で、それには周りの目を気にしながら生きていく必要もある。苦しみの中に生きる子どもは、誰からも救いの手をさしのべられることなく生きていかないといけないから、耐えるためには子供らしさを手放すしかない。失ってしまった子供らしさを取り戻すためには何をしても受け止めてくれて、どんな状況でも味方でいてくれる存在が必要なんだと改めて思った。

虐待が軸となっているテーマにも関わらず、重苦しい雰囲気も感じられず、作風はコメディタッチで思わず笑えるシーンもあり、温かみも感じる。素敵な人間の本質に思いを馳せたくなる作品。銀魂が好きな人には特にハマると思う。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

爪切男さんの愛がぼろぼろに涙と笑いがぼろぼろ胸熱でした。
やっぱりどうしたって生きていると苦しい事のほうが頭から離れなくて考えてしまうことが多いのが人間だと思うのだけど、
その気持ちも切々とありながら、どうしようもないくだらなさと笑いのバランスが絶妙でとてつもなく人間を感じた作品だった。
言葉では表せないこの複雑な気持ちを主人公の千川広海が後半大きく動かす時に、とても泣きそうになる。
泣くではなく、泣きそうになるなのだ。
それでも広海を包むまわりの人々の変わらない温度とくだらない笑いに、人が心で繋がる絆みたいなものがはっきりと見えて心が救われていく。
それがじんじんと伝わってくる作品でした。

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毎日お父さんに殴られていた「僕」の物語。
暴力が日常になっていく様子はとてもつらいけれど、ゴブリンや鰻きょうだい、鶴さん、地蔵のおばさんなど、家族以外の人たちとのふれあいにあたたかさを感じ、救いがあってよかったと思いました。
「僕」は著者自身の幼少期の姿であり、ゴブリンはその後の著者(大人になった自分)なのかもしれないですね。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毎日親父に殴られて鉄になる主人公が哀しく笑える
ギャンブル好きのふらふらしてるゴブリンや、その相手をするめちゃ色っぽい鶴さんがほんと良い
同じ痛めつけられる境遇の兄妹が殺したい空手強者の父が、女装好きで家庭的なのも腰砕けで良い
最後の対決を裏切る結末もなかなかに味わい深い

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

広海少年が悟りすぎていて逆に痛々しい
一鉄さんのキャラ面白
ゴブリンに出会えてよかったね
彼の来し方も気になるところ

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

短い話のなかに悲しい愛が詰まっていた。

お父さんと二人暮らしの僕の毎日は、お父さんに殴られることから始まり、寝る前もやはり殴られる。
しつけだと言って毎日殴られる日常から逃げられずにいる僕は、いじめっこたちのパンチなど、ちっとも痛くなく、鉄みたいに硬い体だと一目散置かれる存在になった。

ある日、変わり者の太ったひとり暮らしのおじさんをゴブリンとあだ名をつけて、みんなと攻撃したりしたが、いつしかみんな飽き始めて僕は罪滅ぼしのような思いで、ゴブリンの庭の掃除をするようになり、いつしか家のなかに入り話するようになった。

ゴブリンと関わってから双子の兄妹とも親しくなるが、お父さんから殴られるのは変わらない、そのうちどうにかしようと計画を立ててくれるが…。

お父さんに殴られる毎日でも逃げようとか、殺したいとか思わないのは、心が優しいからで、そしてやっぱりお父さんなのだ。
僕のためにみんな頑張ってくれたのにお父さんを応援しちゃってごめんと言える素直さも持っている。

「ハッピーエンドじゃないから人生は面白いってなぁ。単純じゃないよなぁ、生きるって。」とゴブリンが言う。
きっとゴブリンは、近くでずっと見守っているのだろうな。









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2025年10月02日

Posted by ブクログ

爪切男作品が大好きな私としては、作中の至る所に爪切男さんの今までのエッセイで描かれた自身の話が散りばめられていて良かった。
というかほぼ実話をもとに書いた話なのか。
小説なら父親のこと書けるかもとどこかで言っていた爪切男さん。
私は爪切男さんが描く人間が好き。
普段は人間大嫌いだけれど、爪切男さんが見る人間の世界が好き。

創作ではあるので、少し話の展開が綺麗すぎる気もした。
正直、エッセイの方が好きではある。
それでも、話の中ではどんな嘘も許されるのだからこれでいい気もした。
誰かに決められたことより、自分で決めたことを守ろう。
夏の庭みたいに誰か映画にしてほしいなと思った。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

面白かった!この作家さんは面白い!
作者自身の幼少期の複雑な気持ちをゴブリンとの交流により明るく軽く描かれている。凪良ゆうさんの作品にも共通するいろんな物の見方・捉え方ができる作家さんだと思う。
「徳川家康が何をしたとかそういう事実はちゃんと記録が残っているのに、大事な感情の部分が抜け落ちているのはとても残念だ。」このフレーズには唸りました。坊ちゃんの「だから、清の墓は小日向の養源寺にある」に出会った時くらいの衝撃でした。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子どものことを自分の好きなように扱っていいと思ってる親に怒りしかない。自分より弱いものを、本来は庇護しなきゃいけない存在をなんで殴れるんだろう。そんな主人公の少年の物語。ゴブリンがね。いい加減でだらしなくてそれでも真っ当な大人なんだよ。関わることで世界が少しづつ変わっていく。優しく見守る人や友達。ラストにほろり。急にいい親にならない、マシになるだけってのが現実にがあってよかった。

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

なにこの発想!フィクションゆえの面白さが確実にあるが、そのフィクションさにノリきれないとも感じていた。だけど結局面白かったー!と思っているんだからやっぱすごいわ

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2025年07月01日

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