爪切男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人生というものに質量があるとするなら、それは案外、拍子抜けするほど軽いものなのかも・・・そう思わされた作品。
これはエッセイでありながら、人生訓でもあると思います。
主人公(以下ツメ君)はお世辞にも幸福な人生を歩む男とはいえない人物。3歳になる少し前に母が家を出て行く、鉄拳制裁の親父、学校のマドンナに顔にダニたくさんいそうだと、”ダニ退治”の名目でビンタされ、挙げ句の果てに笑った顔がカナブンの裏側といわれたり、最愛の彼女アスカは心の病にかかり、断薬すると殺しに来る勢いで襲ってきたり、浮気したり、風呂にはいらなくなって激臭を漂わせるようになったり、借金してたり・・・
「俺は不幸だ・・・」と -
Posted by ブクログ
タイトルから、非モテでネクラな男の叙情的なエッセイかと思って購入したら、とんでもなかったwww
恋人と同棲しながら、過去の自分を回想していくエッセイ。初恋は自分の自転車を盗もうとしていた女で、初体験は冬木弘道似の車椅子の女で、初めての恋人は変な宗教を信仰しているヤリマンで…と壮絶な体験をしていて、驚かされることばかりだった。そして同棲している恋人は精神病を発症して、彼女の狂気と格闘する日々。
それを不幸な話として書くのではなくて、面白く書いており、読みながら苦笑してしまう。文章も巧く、その情景が浮かんでくる。特に、風呂に入らなくなった時の彼女の体臭の描写が生々しくて好き。その臭いに欲情する -
Posted by ブクログ
著者がラジオのゲスト出演で知った一冊
四十過ぎの太ったおっさんが、一本の化粧水から人生変わりましたというフレーズから興味を持って購入
文章が素直で読みやすい
おじさんが美容と健康に目覚めると、こうなるのかと新たな発見!
肌が変わると気持ちも変わって、気持ちが変わると性格も変わって、人生の好循環が生まれるのだなと思った
しかし女性の立場では、そんなことずっとやって来たんだよという思いもある
若い頃は男の子にモテたいとかいう下心から頑張って来たけど、おばさんになると頑張ることに疲れてくる
しかし、とりあえず化粧水とシートマスクだけやってみようかなという気持ちが動いた -
Posted by ブクログ
ネタバレ6年同棲していた彼女から32歳の時に突然ふられた冒頭から、読み進むにつれて、父親に育てられながら少した子ども・学生時代から、そして今、本の書き手である著者に至る姿が、重層的に、立体的に、浮かび上がってくるように読んだ。そしてあとがきでは、幼くして捨てられた母と再会できたという実話もしれっと入っている。
そしてよく考えると、正直真面目に考えて悲惨な状況ばかりな気がしつつ、著者はそういった状況に自ら突っ込んでいっているような気配もあるような、ネタ化しているから救われるものの、あとでネタ化できたとしても別にそっちに行かないのが一般なのでは、とか。
子どもの時から大人になっても、本人のプライベート