藤沢令夫のレビュー一覧
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プラトン以降の歴史は全て、彼の手の平の中だったのかもしれない-そんなことを痛切させれらる。とにかく国家の形態とその推移に関する分析は圧巻だった。ここでプラトンは自由と平等を愛する民主主義というのを決して優れた国家形態とはみなしていない。またこの制度は富者が支配する寡頭制に対する反発として、寡頭制の次に必然的に現れるものと考察している、正に歴史がそれを証明している通りに。そして何より恐ろしいのは、この民主制というのが自由と平等を愛する結果、守るべき秩序も失われ僭主独裁制、つまりファシズムを必然的に生み出すものと描かれているのだ。そう、歴史は今まさに、その事実を証明しようとしつつある。
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プラトンの中期対話篇。
「恋(エロース)」について
恋を"美のイデアを想起する神的狂気"と規定して、想起説や魂-三部分説を援用しながら称揚し、打算的な観点から恋を貶めようとする議論を批判する。恋とは、功利的な i.e. 即物的な立場からその是非を論じるべきものではないのであり、現世的な実用主義を超えた形而上的な観点から論じようとするソクラテス=プラトンの姿勢には、一面に於いて共感できる。但し、私の場合は、恋をイデアとの結びつきを根拠にして称揚するのではなく、合理性を超越しようとする実存の投企として肯定するのであるが。本筋とは関係ないが、人間の五感の中で視覚を最重視する -
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上巻を読み終えてからしばらくたちました、ようやく読み終えたプラトンの『国家』。イデア論を中心に、ソクラテスとグラウコン、アディマントス兄弟の答弁は続きます。知ること、知識こそが真理を見出す唯一の道といい、感情がいかに芸術を求めようともそれを切って捨てることが正義。ホメロス批判が響きます。上巻で取り上げられた『ギュゲスの指輪』に対する答えも一応答えられています。結局は本心の問題。死後の世界が巻末に広がりますが、当時の価値観としては意味がある答弁だったのでしょう。黄泉の有無よりも、そういった恐怖信仰以前の人間の本性としての正義を追及した点で哲学のすばらしさを感じます。今より2500年ほど昔に、この
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かかった時間
11時間! プラトンのその他の著作は短いですが、本書は中々骨太でした。
概要
本作は、正義について説いた作品である。作中内での主要な問いは、以下の3つである。
・正義とは何か、正義が実現する状態はどのようか
・正義が実現する国家はどのようにして可能
・正義を守る人自体にもたらす便益は何か
これらの問いを中心に、ソクラテスとその弟子の対話形式という形で論が展開される。
1. 正義とは何か
国家における正義とは、統治者と補助者と生産者の三階級が、それぞれ固有の特徴を発揮し、それに専念することを指す。そのような正義が実現した国家には、節制と勇気と知恵が存在する。勇気は軍人に宿 -
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ネタバレかかった時間
50分
感想(ネタバレなし)
西洋哲学の本を読んでいると、ギリシャの古典作品への言及が多いので、試しに読んでみた。
シェイクスピアのリア王挫折、サロメもファウストも楽しめなかった私にとって、正直王が出てくる古典的な物語は苦手意識がある。念願だったオペラも爆睡するぐらい、古典的な劇も苦手。
(本当にシェイクスピアがトラウマレベルのつまらなさで、もし面白い作品があれば再度挑戦したいので教えて欲しいです...。気概はあるんです...。)
しかし、本作品は短いし、面白かった!!!!
一気に面白くなる場面が来たとき、心の中で、「おっとー?^_^^これは!!!まさかの!!!もしかして! -
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ネタバレ「自分を恋するものより恋していない人に身を任せる方が良い」という一見常識に反するリュシアスの言説を聴くことを発端に、恋することについて、そして弁論術批判についてソクラテスがミュートス(神話)を交えながら滔々と語るという内容。魂がかつて見た美のイデアへの欲求(エロース)の芽生えとしての恋を語り、弁論術に本当に必要なのは哲学により物事の真の姿を問答することであると語ることでどちらの主題も哲学礼賛へとつながるようになっている。
一読した感じだと最後の方の弁論術批判の辺りがよくわからず、うーん?となってしまった。しかし解説はさすがのさすがで過不足なく要点と解釈がまとまっており、そうだったのか、なるほど -
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ネタバレ下巻は洞窟の比喩、善のイデアの役割、様々な政治形態の国家とその国民の性格の解説、詩人追放論、あといつもの巻末魂の不滅神話など。国家の様々な政治形態のくだりの、形態から別の形態への移り変わりの部分はプラトンの洞察力のすごさを感じた。
下巻まで読むと、正義の議論で始まり正義の議論で閉じるきれいな構造もあって見通しが良く感じるし、イデア論・四徳・洞窟の比喩・魂の不滅など有名な理論がそろい踏みするので壮観でもある。ただそれらは国家論の下敷きであって、その上に立った壮大な国家論こそがプラトンの思想の結晶というべき存在なのだろう。解説にもあったが、ソクラテスの徳や正義の問答、魂を磨き続けるという目標と自ら -
Posted by ブクログ
ネタバレ訳が藤沢令夫氏で非常に読みやすい。1979年の訳とは思えない。
最初の正義問答は面白かったけど、すぐにソクラテスの独り舞台となってしまう…というか、「パイドン」といい、プラトンが自分の思想を開陳する時にそうなっているんじゃないかということに気づいた。アカデメイアの講義もこんな感じで、ひたすらよいしょされながら話を続けていたのだろうか。
正義とは何か→国家における正義とは何か→個人における正義とは何かという感じで探究する中でプラトン理想の国家について語るのが上巻の主な内容。有名な「知恵・気概・節制・正義」や哲人政治などの要素も出てくる。
私有財産や貧富の差が国家を堕落させる、というところから始