藤沢令夫のレビュー一覧

  • パイドロス

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    ネタバレ

    古書。副題の「美について」がどうにもしっくり来ないが、〈訳者の解釈とは無関係に一応慣用に従って採った〉という記載もあるし、訳者としては「恋と弁論術について」辺りにしたかったのでは。中期著作の特徴たるイデア論の想起説等に触れつつも、後の『ソピステス』『ポリティコス』で縦横無尽の活躍を見せる分割法の萌芽も確認でき、現時点での哲学の総決算にして新たな領域へ踏み込もうという過渡期の印象を強く感じる。あと解説が素晴らしい。的確にして適度なまとめ方はさすがプラトン哲学の第一人者。逝去からもう10年以上経つのか……。

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    2015年05月21日
  • パイドロス

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    ソクラテス先生若者と恋と弁論について議論の巻。

    恋についてと弁論について、
    二つのテーマを扱っているように見えるが、
    藤沢令夫先生のあとがきによると、
    哲学という一つのテーマで一貫しているらしい。

    恋は狂気と同じではあるが、
    偉大なものは狂気から生れるとしているが、
    弁論は正しくないことも
    もっともらしく見せるための方法。
    ついでに文章はどんな相手にも
    同じ答えしか言うことの出来ない
    欠陥品とソクラテス先生は手厳しい。

    ソクラテス自身は著作が全く残っていないため、
    本当にそういう考えの持ち主だったんだろうけど、
    プラトンは師の思想を継承して哲学するために
    師が否定した文章という方法を

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    2015年06月06日
  • メノン

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    ソクラテスは偉大だ。人間の域を凌駕している。彼ですら辿り着けなかった徳に誰がたどり着けるのであろうか。

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    2014年10月25日
  • ソポクレス オイディプス王

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    言うまでもなく、古代ギリシャ悲劇最高傑作との誉れ高いソポクレスによる戯曲。成立は紀元前427年と言われ、エディプス・コンプレックスの語源としても有名。知人からオススメされて初読。

    もちろんオイディプスのエピソードは知っているので、話の筋は判って読んでいるのだが、それでも次々と提示される恐ろしい予言と、徐々に破滅への道を突き進むオイディプスの姿には惹き込まれた。翻訳も非常に読み易く、これは確かに人にオススメできる傑作だ。

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    2018年08月23日
  • パイドロス

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    副題が「美について」の対話篇。文章は平易なのですが、私には難しい主題に思えました。精進が足りん・・・

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    2014年08月01日
  • ソポクレス オイディプス王

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    藤沢令夫、高津春繁、呉茂一など。
    このオイディプス王でも複数の訳本を、
    その他のギリシア悲劇のものもあわせて
    複数の訳者の本を読んで、本当に印象が
    大きく変わることを実感。

    この藤沢訳本は、原典に忠実でない、というような評価があるが、私が読んだ中では感じ入りやすいものだった。

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    2014年02月15日
  • パイドロス

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    エマニュエル・レヴィナスさんが「これは読んでおくべき」と推奨された3冊の哲学書の一冊である。
    後の二冊はヘーゲルさんの『精神現象学』とハイデッカーさんの『存在と時間』
    恋する者のはなしから始まって、狂気や神的なものの効用、ものの考え方、書くということの優劣、語るべき言葉を持つことの困難さやそのことを目指すことの尊さまで余すことなく見事に書かれた書物なのだろうと思う。
    思うと書いているのはわたしにはまだわからないからで、その大事さを感じることができるといいなぁという期待というか望みというかそんなものをもてるだけだからである。
    いずれまた読み返してみなければと、思っているうちに死んでしまうのかもし

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    2013年09月16日
  • メノン

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    メノン:徳は人に教えることのできるものなのでしょうか?

    ソクラテス:その前に、そもそも徳とは何かを考えてみよう。

    メノン:はい、わかりました!で、結局のところ、徳は教えられうるのでしょうか?

    ソクラテス:(唖然)

    ・プラトンの遊び心が感じられる小品。それはともかくとして、ソクラテスは、結局メノンの天然ぶりに押されてしまい、徳とは何かを定義することなく、徳は教えられうるかについて検討する羽目になる。

    ・仮に徳が知識だとしたら、徳は教えられうるものであるし、徳の教師だっているはずだ。しかし、実際には徳の教師など存在しない。したがって、徳は教えられうるものでもなければ知識でもない。徳は、教

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    2013年07月14日
  • メノン

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    徳は教えられるものなのか、徳はそもそもなんなのかを論理的に追及した作品。対話式のため読みやすい。
    最近法律の勉強をしていると「そもそも善とは何か。悪って何?」と根本な問題をしっかりと定義できておらず思考が空転していた。
    本作で扱うのは「徳」の定義であり善悪の定義ではないのだが、通ずる箇所もあり参考になった。
    「徳」について本作でしっかりとした答えが出たわけではないので、ほかの著作も読み答えを見つけたい。

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    2012年11月11日
  • 国家 下

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    久々に読むのに骨が折れた。

    正義とは何か、正しい国家の姿とはどのようなものなのかを根源的に問い詰めたプラトンの著書。ある種の理想の姿なのかもしれないが、この理想を目指して失敗したのがナチス・ドイツだったりレーニンのソヴィエト連邦だったりポルポトだったりするのだろう。家族を否定し、心を揺さぶる娯楽的なものを排除し、理想的な人間の完成をひたすらに目指す。宗教の原理主義もこんな感じなのかもしれない。

    だが、だからと言って本書を悪書とは思わない。元来哲学とか思想とかは、斯様に根源的であり、社会にとって劇薬―薄めると薬にもなり、原液だと毒にもなる―であるべきだから。

    とは言え、私はプラトンよりもホ

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    2012年10月08日
  • メノン

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    ネタバレ

    解説を読めば概ね理解できるものの、ソクラテスとメノンその他との会話では真意が推し量りづらい。恐らく彼らとの会話に伍しない限りは分かりえないのだろう。

    ここでは「徳」とは教えられるものであるのか?ということを延々と話し続ける。まずソクラテスは徳とはなんなのか?どういったものか?を云う。

    ①知識は授かるだけではなく、云われて思い起こすこと。(想起)

    しかしこの後、徳がなんであるかがあいまいのまま、「教えられるのか?」という質問に逆戻りする。
    ②性質を語るには、仮設する必要があったこと。
    ③ ②を踏まえて、徳は教えられるものである、という結論に達した。

    ④しかし②においては、仮説

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    2012年09月17日
  • 国家 下

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    最初、哲学史を理解するための教養として読むつもりで手に取ったのだけれど、その気高い思想に触れるうちに読むこと自体が快楽になってしまった。たとえ、本書で語られている内容がほとんど理解できなかったとしても、著者がこれを書かざるをえなかった動機のようなものは感じ取れると思う。そして、それだけでも本書を読んだ価値はあると断言したい。
    個人的には、これまで頭の中でばらばらの点として存在していた数々の思想が、一応弱いながらも一定の線を描きつつあるように感じられたことも含めて非常に満足のいく読書となりました。

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    2012年07月29日
  • メノン

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    「徳とは何か」についての議論はソクラテスとメノンの対話形式にして書かれたもの。

    「知識は教えられるが、徳は教えられるのか?」とか、「徳はどうやって学ぶのか」とか。


    ソクラテスの誘導尋問的な質問の数々をたどると、不思議といつの間にか書かれていることが正しいように思える。これが対話編の魅力であると思う。

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    2012年06月03日
  • 国家 下

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    プラトン以降の歴史は全て、彼の手の平の中だったのかもしれない-そんなことを痛切させれらる。とにかく国家の形態とその推移に関する分析は圧巻だった。ここでプラトンは自由と平等を愛する民主主義というのを決して優れた国家形態とはみなしていない。またこの制度は富者が支配する寡頭制に対する反発として、寡頭制の次に必然的に現れるものと考察している、正に歴史がそれを証明している通りに。そして何より恐ろしいのは、この民主制というのが自由と平等を愛する結果、守るべき秩序も失われ僭主独裁制、つまりファシズムを必然的に生み出すものと描かれているのだ。そう、歴史は今まさに、その事実を証明しようとしつつある。

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    2012年04月11日
  • 国家 上

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     プラトンの『国家』、共産主義思想の原点であるとか、ナチズム的全体主義を正当化するために利用されたとか非常に悪名高いテキストなのだが、実際に読んでみると、なるほどと首肯する発言が多々あった。
     理想の国家、理想の王国は現実では不可能であることが、壮大な歴史的実験によって証明された。とはいえ、なぜ国家があるのか。国家のあるべき姿とは何か、その使命とは、という方向性については決して間違っていないと思う。ユートピア工学ではなく、ピースミール工学によってよりましな国家というものを創っていくしかないのだ。

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    2012年02月09日
  • メノン

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    人を治める人には「徳」があってほしい。
    というか、「徳」って、自分にもあったらいいな。
    でも、
    「徳」って教えられるもの?
    「徳」ってそもそもなんだ?
    プラトンに導かれしばし考えてみてはどうでしょう。
    「教えられる」vs「想起する」
    についての考察ツキ

    プラトン初心者向きだそうです。

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    2011年12月29日
  • 国家 上

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    中学生哲学。

    「不正のほうが正義よりも得になるなどとは、けっして思わない。」
    中学生日記のセリフかとも思えるこの一節。
    これが対話篇の始まりであり、
    国家論の始まりでもあり、
    かつ実はこれが結論である。

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    2011年09月09日
  • 国家 上

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    理想国家の考察から発想を得て個人の理解へ進む、人間理解の推察。

    知恵、欲望、勇気とは、そして正義とはなにかを解き明かす。

    下巻はこれから読む

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    2011年08月20日
  • 国家 上

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    む、むつかしい…。なかなか全文読めないなぁ。
    とりあえず正義とは、理想政体とは、のあたりは読んだ。
    なんでこんなに自由を嫌うんだろう。ペロポネソス戦争とか関係あるのかなぁ。イデアと言う概念を用いた国家統一思想なのかなぁと。要考察。

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    2011年06月21日
  • メノン

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    質問「徳は教えることができるか?」
    結論「徳」は「知」ではなく「神の恵み」でもたらされる「正しいおもわく」というものなので教えることはできない。
    「徳」とは何か?という探求をしたかったソクラテスに無理を言って、後に俗物の権化のように評価されるメノンとともに辿り着いた結論である。但し、解説によれば「真の徳」が「知」であることを知るソクラテス自身を除けばということである。
    ソクラテス・プラトン哲学の導入部であり、初期プラトン対話集という位置づけの短編としてなかなか面白かった。
    特に初等幾何学の問題を解決へ導く手法から、魂は不滅でわれわれはかつて学んだ事柄を想起するだけだという有名な話はとても面白い

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    2011年05月27日