藤沢令夫のレビュー一覧
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定番中の定番なので、少し違った読み方で感想を書いてみる。ソクラテスとの対話で序盤に登場するトラシュマコスのウザ絡みの意義についてだ。論破王ソクラテスの人に言わせて否定する弁論術を卑怯だと、相当な勢いで突っ込んでくる。今風に言えば成田悠輔やひろゆき相手に挑戦するみたいな感じだろう。
で、このトラシュマコスだが真正面から突っ込んで早々と本書から退場させてしまう。そのせいで議論の場が安全な空間に変質してしまい、そこからソクラテスの独壇場が始まる。
黙らされたことで「正義って、議論で勝ったほうの定義になるのか」という不信感が強まる。ソクラテスの論法はいわゆる勝ち負けを決する議論の進め方であり、必殺 -
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「正義とは何か、悪とは何か」を導き出すために、ソクラテスがその友人や弟子たちと対話していく話の、上巻。
これまで読んだ『ソクラテスの弁明・クリトン』と『パイドン』ではソクラテスの死の間際というタイミングであったのに対し、この国家は弁明・裁判から遡った時間軸になる。
そのためソクラテスの質問への回答や話しぶりではまだ悟りきったような部分がなく、それが故により親近感を湧きやすい。「死の直前」ならではの緊張感がないので落ち着いて読める印象がある。
「正義とは何か」、つまり「正しさとは何か」というのはテーマとして非常に難しい。人によって回答が違って当然と私には思われる。だからとてもこれと断言回答 -
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概要は知ってしまっていたのでどんなものかが分かればよい程度で捉えていたが、なかなかどうして、想像以上に面白かった。
結末を知っていてもなお楽しめる。これが演出の力か。
巻末の解説にもあるが、各登場人物が良かれと思って行動することによって少しずつ真実が明らかになっていく構図にワクワク感があり。
また予言を避けようとして、結果的に予言の通りとなってしまうという無情さもまた心を打つ。
複雑なのは、真実を知らねば、オイディプスはイオカステや子供たちとも幸せに暮らせていたという点。
ただ、その真実が明らかになってしまったが故に苦しみ、自殺し、光や未来を閉ざしてしまう。
それならば、真実など知らない方 -
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テーバイ国のライオス王は神から「お前は自分の子に殺される」と神託を受ける。怖くなったライオス王は生まれたばかりの息子オイディプスを野獣がうろつく森に捨てる。捨てられたオイディプスは羊飼いに助けられて、子のいないコリント王に献上される。オイディプス、コリント王子として育てられ成長。ある日、オイディプスは神から「お前は父を殺し、母と交わる」と神託を受ける。オイディプス、おぞましい神託を回避しようと隣国テーバイ(じつは生まれ故郷)へ逃げる。途中、傲慢な老人に会い、侮辱されたので殺した。それが父ライオスだったが、オイディプスは知らない。テーバイに入り、スフィンクスを退治した功から、オイディプスはテーバ
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テーバイの王オイディプスは国に災いをもたらした先王殺害犯を追及するが、それが実は自分であり、しかも産みの母と交わって子を儲けていたことを知るに至って自ら目を潰し、王位を退く。アポロン神の残酷な神託から逃れようとすればするほど、父子ともに神託のとおりに陥っていく救いようのない悲劇。
そもそも文字で楽しむものではないので、機会があれば舞台で見てみたい。とにかく筋立てが恐ろしくよく出来ている。が、単なる物語ではなく、「哲学」である。これがギリシア悲劇の奥深いところ。オイディプスは優れた人間で、しかもヒーローであるが、己れが“何者か”を知らない。人々のために災いの真相を解き明かそうとして、実は自分が災 -
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「いかなる神も信じておらず、アテネの青年をそそのかして伝統的な信仰から離脱させた」として、ソクラテスは「毒杯を自分で飲む」の刑に処されることに。友人クリトン「逃亡の準備したから逃げて。あなたは判決が間違っていると主張しているのに、なぜ刑罰を受けるのか」。ソクラテス「裁判は不正だが、脱獄もまた不正。脱獄は善ではない。不正されても、不正の仕返しをしてはいけない。ただ生きるのではなく、善く生きることが大切」。プラトンPlato『ソクラテスの弁明・クリトン』BC399
ポリス。人々は市民共同体として共通のルールの下で協力する一方で、名誉・名声を得る競争をしている。弁論術で他人を操作したいと望んでいる -
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ネタバレソクラテス とすると、有益であるという点にかけては、正しい思わくは、知識に何ら劣らないわけなのだ。
メノン しかし、ソクラテス、これだけの差はあるでしょう。つまり、知識をもっている者はつねに成功するけれども、正しい思わくをもつ者のほうは、うまくいくときと、そうでないときがあるという点です。
ソクラテス どうして?つねに正しい思わくをもっている者は、いやしくもその思うところが正しいあいだは、つねにうまくいくのではないかね。
メノン そうでなければならないようですね。すると、どうも私には不思議になるのですが、ソクラテス、もしそうなら、いったいぜんたいなぜ知識は、正しい思わくよりもずっと高く評価され -
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疲れるがすごい(まだ半分) 紀元前でこれか〜すごいわ。ギリシャ哲学と名前はよく聞くけれど、その一端に触れたのは始めて。理論として現在でも通用する、というか人間社会の本質を射抜いていることに驚嘆。
正直理解しきれないところ、屁理屈こねてるなーと思うところはたくさんあるけれど、電気もガスも当然無い、社会システムが未発達であったはずの時代において、これだけの事が考え抜かれていることに感嘆。
正義とは何か、という問から国家のあり方に入っていき、個人が自分のすべきことを徹底して行う社会、人物を共有する社会を理想としているけれど、これは社会主義につながる理解でいいんだろうか。