藤沢令夫のレビュー一覧
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・「熱でふくれあがった国家」(p141)を「理想国」に浄化するための方法を考察することが本書の中心テーマ。
・良い国家を作るためには良い教育が必要で、教育に悪影響を及ぼすものは徹底的に排除されなければならない。さらに、病弱な者は治療せずに死んでいくに任せ子孫も残してはならない一方で、有能な男女間には可能な限り多くの子種が作られるべきだ。そして、国家は有能な少数の者が支配するべきであり、国民全員が国家のために苦楽を共有すべきである。
・言論統制と優生思想と少数支配と滅私奉公とに基づいたこの「理想国」は、プラトンの死から幾千年後の20世紀になってようやく実現した。「もしそのような国制が実現した -
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ネタバレ「なんであるか?」(本質)と「いかなるものであるか?」(属性)の区別は重要。
例となるものをどんどん出していく。
例をだして、それとも君は違うと考えるのか?
話に飛躍がない。一つずつ進歩して行く。
人間には、知っていることも知らないことも、探究することはできない。知っていることであれば、人は探究しないだろう。その人はそのことを、もう知っているので、このような人には探究など必要ないから。また知らないことも人は探究できない。何をこれから探究するのかさえ、その人は知らないからである。
主張の方法
知識の何にもまさる重要性を、「よさ」を生むものという観点から主張しようとする。
例を交えて説明してい -
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哲学の入門書として「ソクラテスの弁明」と同じ程優しく読めると言われるプラトンの著作。
「徳は教えられうるか」というテーマで対話がすすめられています。
そして、魂の不死や想起についても触れられています。
「人間は、自分が知っているものも知らないものもこれを探求することはできない。というのは、まず、知っているものを探求するということはありえないだろう。なぜなら、知っている以上、その人には探求の必要はないわけだから。また、知らないものを探求するということもありえないだろう。なぜならその場合は、何を探求すべきかということも知らないはずだから」
というソクラテスの言葉が非常に不思議に思われます。 -
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「徳は教えられるか」を主に話しているが、一番面白かったのは、想起説。
ソクラテス:ぼくは徳とはそもそもなんであるかということを、君と一緒に考察し、探究するつもりだ。
メノン:なにであるかわかっていないとしたら、どうやってそれを探究するおつもりですか?もし、探り当てたとしても、それだということがどうしてあなたにわかるのでしょうか?もともとあなたはそれを知らないはずなのに。
ソクラテス:つまり、「人間は、自分の知っているものも知らないものもこれを探究することはできない。というのは、まず、知っているものを探究するのはありえないだろう。なぜなら、知っているのだ。ゆえに、その人には探究の必要がま -
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ネタバレ徳とは何か、どういう性質で人に教えられるものかどうかを探ります。
今回ソクラテスと対話するメノンは傲慢なところがなく好感が持てる青年です。
この話の中では、魂が既に学んだことを「想起する」という考え方が出てきます。
ソクラテスは言います。
「知らないものは発見することもできなければ探求すべきでもないと思うよりも、我々はよりすぐれた者になり、より勇気づけられて、怠け心が少なくなるだろうということ、この点についてはもし僕に出来るなら、言葉の上でも実際の上でも大いに強硬に主張したいのだ」
正しいか正しくないかはともかく、想起説を信じる方が実践において有益であるというこの考え方は好きです。
また、 -
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上巻の終盤で放たれた超弩級の思想(哲人統治、イデア論など)に引き続き、下巻も読みどころ満載である。有名な《善のイデア》や《洞窟の比喩》は、下巻の割と早い段階で語られる。下巻の中盤では、国家の諸形態の分析がなされる。名誉支配制国家、寡頭制国家、民主制国家、独裁制国家のそれぞれの特徴を論じたこの部分は、ある意味、最大の読みどころかもしれない。特に、「民主制国家が堕落したらどんな現象がみられるようになるか」「民主制から独裁制への移行はどのようにして達成されるか」を論じた部分は圧巻。下巻の最後は、正義の報酬として有名な《エルの物語》で締めくくられる。ここは哲学というより物語(神話)として興味深い。
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現在を生きる自分はそりゃあもう沢山の物語に囲まれています。それなのに遥か昔のギリシアで書かれた物語が今でも人々の心を掴むことは良いものに時代は関係ないということを示してくれているのでしょう。自分はなにも懐古主義者というわけではありませんが時の洗礼を受けてもなお人々に読み継がれてきた作品はやっぱり充分な魅力をたたえていると思っています。
今は昔と違い手軽に本を読めるようになり読者の層も広がっていますね。そのせいか教養、あるいは文化としての読書から娯楽のためだけの読書になっている気がしてなりません。もちろんそれが一方的に悪いことだとは思いません。けれどもこのような風潮の中でギリシアの偉大な作品た -
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恋している男よりも恋していない男に抱かれろ!と少年(!)に説くリュシアスの衝撃的な言説に見事に喰いついたソクラテスが、パイドロスと真夏のお花畑の木陰で物語るという図式です。(笑)神に憑依された(!)ソクラテスは詩的な調べで「恋」(エロース)についてのいくつかの見解を披露してパイドロスを翻弄する。(笑)結論、「恋は狂気」。
だが実はプラトンはこの話を発端に、詭弁に走りがちな弁論術を批判し、ディアレクティケーを駆使して真実そのものを把握し議論せよという結論を導きたかったのだ。
そういえばいつもよりもソクラテスの詭弁的言説も少ないような・・・。(笑)
ムゥサの後裔たる蝉の鳴くもとで語られる、不死なる -
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プラトンの「国家」。
政治に関心のある僕としてはずっと読みたいと思っていた本で、周囲からは「難しい」と言われていたのでなかなか踏み出せなかったが、勇気を出してその扉を開いた。
構成は上下巻2冊で、さらにその中で大きな話を1巻(章)ごとに区切っている。
プラトンの理想国家について考察をソクラテスと周囲の人物の対話を中心に描写しており、ソクラテスの問答法がいかなるものかが分かる。
国家を統治するものはいかなるべき者がふさわしいか。
そういった人物をどう教育していくか。
そのようなことを議論しながら理想国家への道を模索している。
プラトンの考えは国家の守護者(統治者)は優れた哲学者がなるか -
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絶対と信じていた現実があっけなく崩れていく恐怖。おぞましい罪の上に生きていた自分。これまでの人生は何だったのか?
でも、これって他人事かな?
人生は、そのほとんどが不確実な地盤に立っている。
ソポクレスが「コロノスのオイディプス」を遺してくれて良かった。
「暗い不義の臥床が、父上に失明を招いたのだ」『リア王(福田恒在訳)』これって昔話のお約束みたいなものなのかな。
人は皆、彼らが当然知らなければならないことをすべて知っているということは、到底できるものではない。自分一人だけでは、求めている事柄のすべてを見つけることができないのは確実だ。 -
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内容に入る前に一言…「長いんじゃ、ボケ!」 そして、対話のテーマが、柱である「国家論」「正義論」に留まらず、あらゆる方向に伸びてるのに巻数ごとのテーマ別の分類などが一切無いため、非常に読みづらい。まぁ、解釈書じゃないから原典に忠実でなければならないのはわかるけど…苦しかった。
さて、下巻では上巻の最後で登場した「哲人統治」の続きから。結局は真理や実在を愛する哲学者が、国を守る…というか支配するのに相応しいということでファイナルアンサー。トラシュマコスさんが陥落した今となっては、誰もソクラテスの意見に異を唱えません。「アナタノイウコトハタダシイデス」…そんな言葉ばかり繰り返してないでもっと