藤沢令夫のレビュー一覧
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今までの読んだプラトンの作品に比べて、反論なく円滑に議論が進んでいくので分量も少なく読みやすい。
「徳とは教えられるのか」についての議論だが、そもそも「徳とは何か」に議論がすり替わる。
というのも、それがどうであるかはそれがどのような性質のものかを定義づけなければ語ることができない。これは日常的な会話にも言える。
例えば旅について語っても、「一人なのか複数なのか」、「どこにいくのか」、「目的は何か」と性質を限定して定義づけなければ、議論は想定違いの結論を生みかねない。
話がずれたが、本書では『パイドン』で語られていた想起説やイデア論について述べられており、合わせて読むとプラトン哲学をよ -
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「洞窟の喩え」の出典でもある「国家」下巻。
正しいものごとを理解していない人、そしてそういった人々へ真実を伝えることの難しさ、その中でどう振る舞うべきなのか。
そういった困難を比喩の力で見事に表現しきっている。
画家、詩人について喩えるくだりで語られる、使う人と作る人、そして真似る人。
ここでは何にも増して、使う人の考えこそが重要であると語られる。
これは現代社会においてもUXの重視という形で語られるものであり、普遍的な価値が語られていることの証左でもあろう。
人物から国家に飛躍し、様々な形態の国家について吟味する。
そして国家という粒度での議論から、当初の問題であった正義と不正、正義「の -
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下巻もサラッと読み終わる。翻訳は読みやすい。しかしきっと原著がまだるっこしい。
知的探索の方法としてプラトンが対話を選んだことには理解を示しつつ、それが上手く機能しているのか、というと、どうだろう。
1人に1つの役割、というプラトンの想定では、1人が自分の中で複数の意見を対立させる、ということが考えにくかったのか。
もしくは、自分の中で対話をするにも、その仮想の対話をシミュレーションするにはいくつかの人格を置く必要があり、自己のなかのそれぞれの立場にソクラテスやそれ以外の名をつけたのだろうか。
プラトンは実際には1人で本著を書いているわけだから、後者なのだろう。しかし、その前提になるのは前者、 -
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ソクラテス先生の僕が考えた最強の国家の巻。
プラトン哲学の集大成の呼び声も高い本書。
正義とは何か?という導入部から始まっており、
理想の国についての議論に移っていくという流れだが、
扱うテーマは職務や結婚、戦争など多岐に渡っており、
男性も女性も分け隔てなく向いている職務に着き、
幸福を皆で共有し、それを実現するために支配者は
真理を追究する哲学者であるべきと結論を出している。
個人的に印象に残ったのは以下の二点。
一つ目は、神々の不道徳な逸話を問題視している点。
ギリシア神話の神々のやることがひどいというのは、
「図解雑学ギリシア神話」の感想に書いたが、
神々を人々の道徳の規範とすべ -
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ギリシア神話。率直なところでは、非常な驚愕と共に心の内で叫びをあげる程に恐るべき作品だと感じた。まさに驚異・驚嘆であり、その震えをこの身で感じたまま、作品そのものを抽象的に述べることが許されるならば、爆破と爆発であったと表現しても過言ではない程の、怒涛の劇的進行だった。オイディプス王は、所謂フロイトの提唱したエディプス・コンプレックスで有名であり、並のひとであれば知る物語であるし、ラカンにおいても最重視する項目であるから、概要はわたしも以前から知っている。むしろ知っているからこその驚異が文面にあり、最低でも二度読むか、確実に記憶に留めて序盤を正確に回想することが想定されているだろうと考えられて
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「パイドロス」はプラトンによる対話篇で、紀元前370年代に書かれたもの。プラトンの活動においては中期に位置する著作である(解説 p.191)。
時は真夏の晴れた日盛り、アテナイ郊外にあるイリソス川のほとりで、ソクラテスとパイドロスが対話する。
このパイドロスなる人物は、プラトンの他の著作(『饗宴』『プロタゴラス』)にも姿を見せ、「時代の風潮に敏感な、全般に快活で好奇心に富んだ一人のアテナイの知識人」(解説 p.189)だったようだ。
対話の主題は弁論術についてである。弁論術は当時のアテナイにおいて花形的技芸であったらしい。「言論の自由と法のもとにおける平等をたてまえとする民主制下のアテナ -
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プラトンの著作で僕が一番好きな本。
この本の題名になっているパイドロスとスーパーおじいちゃん(ソクラテス)との対話編。
「自分に恋している人ではなく、自分に恋していない人に身を任せるのがよい。」そんな恋愛論からこの本は始まります。
恋についての3つの説話から派生して、魂について、弁論術について、文字の弊害、真実、愛知者(哲学者)について対話が続いていきます。
これがとても面白く刺激的。
まったく紀元前に書かれたとは思えない。
訳も読みやすく古くささを感じさせません。
とてもおすすめ!
注:イデア論をそのまま信じると形而上学的な悩みに陥る方はウィトゲンシュタイン(青色本)な -
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プラトン最大の対話篇。
正義から始まり、国家、真実在、教育、芸術、魂を対話によって哲学する。
2000年以上たっても何も変わっていないのだなあとつくづく感じる。イデアはどこか天上界にあるのではない。洞窟の比喩が間違って解釈されてしまっている。イデアは、見るー見られるの関係と同じく、知るー知られるの関係によるものなのだから、ほかでもない、自分自身の思推の力によってしかたどり着けないもの。
優れた芸術は常に感覚による模倣だから、真実在へ思考する力を養う教育において大きな役割を果たすが、模倣であることからは逃れられない。ワイルドのいう「芸術は人生そのものではない」や「外観で判断できないような人間」「