吉野弘人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこういう一歩一歩踏み締めて行く感じの物語は好き。
R・J・エロリー。邦訳では10数年前に『静かなる天使の叫び』があるのみとのことだが、聞いたことあるようなないような、読んだことあるようなないような。。
主人公ヴィクターのもとにある日、弟の訃報が届く。
アメリカ、ヴァージニア州、同じ州内のそう遠くない郡で保安官同士だった。
保安官になったのは弟の方が先で、追うような形で自身も保安官の職に就いた。
だが、その弟とは激しい仲違いの末、この10年近く言葉を交わすことすらなかった。
訃報にも、驚きはするものの悲しみや憤りは全く浮かんで来ない。
発見された場所、執拗に轢き殺された形跡から事件性のある死。知らなかった結婚と姪の存在。姪曰く、父は誰かに殺されたのだ、警察は当てにならないので真相を追ってほしい。
全く知らなかった弟の一面と対峙し、戸惑いながらもどこかやっぱり恨み節が先行し身が入らない感じが、淡白ではあるがローテンションな落ち着きを醸し出し、好きな語り口。
かたや自分の管轄する郡内の湖で発見された若い女性の遺体。薬物中毒の形跡と結紮痕が残る。
調べを進めて行くうちに州内の他の郡でも同様の若い女性が被害者となっている事件があるとの情報が矢継ぎ早に複数届く。
弟の事件から逃避するかのように一連の事件に力を注ぎ始めるが、いつしか弟の事件との繋がりが。。。
一見関係ない事件が繋がっているという、ありがちな偶然性には目をつぶるとして、事務所の受付係バーバラと真剣な内容を飄々と交わすやりとりや他郡の保安官達との熱い協力関係の構築の過程に、保安官の生き様の正しさを感じる気持ちの良い展開。
一章がとても短く構成されていてページ数の割にはさくさく進む感じもいい。
牽引力の割には、弟と何があったの?に対する書き込みの少なさや原題『the last highway』が暗示するという結末の強引さ(解説より)が自分的にはマイナス要素だったが、『静かなる天使の叫び』も読んでみたくなる(再読なのか?)ような好きな作風の作品。 -
Posted by ブクログ
舞台は90年代の米ジョージア州。ある朝保安官ヴィクターの元に、同じく保安官である弟フランクの訃報が届く。弟さんは、何者かによって無惨にも車で何度も轢かれ殺された、と。兄弟は過去の確執から絶縁状態となり10数年会うことなく別の町で暮らしていた。父を亡くし残された10歳の娘から、死の真相を調べてほしいと頼まれる。過去から目を背け孤独に生きるヴィクターは、事件の真相を暴く調査を開始する。
妻を亡くし孤独そのものの空虚な人生を生きる主人公が、残された姪と心を通わせるうちに事件の究明へと突き動かされていく。ある男の私的な再生の物語と保安官としての犯罪捜査が見事に合わさっていて、とても読み応えがあった。登場人物は多いが、物語はわりと一直線に進んでいく印象で、混乱はなかった。終盤の展開はハラハラし、一気読み。 -
Posted by ブクログ
アラバマからフロリダまでのハイウェイに看板を掲げ、交通事故案件を専門とし、いわば他人の不幸で財を成してきた通称「ビルボード弁護士」ジェイソン・リッチ。しかし彼は離婚と父親の死、さらに独善的な姉との関係に悩み、アルコール依存症に陥っていた。3か月間のリハビリを終えて退院した直後、突然疎遠だった姉からの電話が鳴る。姉は夫殺害の容疑で逮捕されており、ジェイソンに弁護を依頼したいという。ジェイソンは刑事事件の経験が無く、地域で疎まれていた姉にとっては不利な裁判となることは確定的で、ジェイソンは葛藤しつつも、父母を失った姪たちのために弁護を引き受ける。アルコールの誘惑と闘いながら姉の無罪を裏付ける証拠を探し続けるが、事件は想像以上に複雑で闇が深くーー。
新シリーズ開幕。こういうリーガル・ミステリをもっと読みたいと強く思う。 -
Posted by ブクログ
弟の訃報が届いたのは朝食後すぐのことだった
車で何度も轢かれて殺されていたという…
ジョージア州の保安官ヴィクターは、弟とは憎しみ合った末に疎遠になっていた
悲しみは湧かなかったが、唯一の肉親となった弟の10歳の娘・ジェニファーから事件の真相を探って欲しいと懇願される!
と同時に少女殺人事件もおき、ヴィクターは弟の死の謎、少女たちの殺人事件との関連を調査していくのだが…
登場人物が多く整理は必要だが、ヴィクター目線で話が進むためとても読みやすかった…
また登場人物のキャラクターがいい!
特に弟の娘のジェニファー!
聡明で人懐っこいかわいい彼女との出合いが、孤独なヴィクターの心を癒やしていく…
また彼女の存在がなければ、事件の解決もなかった
さらにヴィクターの職場で働くバーバラは、いつも姉のような存在で彼を精神的に支えている
ヴィクターは事件を通して否応なしに過去に向き合うことになるが…
それを通して自分の気持ちの変化に気づき、再生していく!
正直、ストーリーはありがちかな…と思ったけど重厚な人間ドラマを味わうことができた -
Posted by ブクログ
疎遠だった弟が謎の死を遂げ、さらに凶悪な事件にも関連し… 人間の絆を描いたミステリ #弟去りし日に
■あらすじ
90年代のアメリカ、ジョージア州。ユニオン郡の保安官であるヴィクターのもとに、弟が亡くなったとの連絡が入った。弟フランクもまたデイト郡の保安官であり、誰かに殺されたようだった。
彼らは憎しみあっており、長い間疎遠だったため、ヴィクターにとってこの知らせは煩わしいだけ。ただフランクには可愛い娘がおり、彼にとっては唯一の血のつながった親族であった。ヴィクターは彼女から、父が殺された真相を調べてほしいと依頼され…
■きっと読みたくなるレビュー
法執行官の保安官が、仲が悪かった弟の殺害をきっかけに、自身の生き方に向き合う物語です。捜査を進めるうちに、さらに凶悪な事件にも関わることになっていく。
家族愛、仲間との絆をしみじみと描いた一冊で、これは日本人好みの作品ですね。展開自体はかなり地味ですが、関係者ひとりずつ聞き込みをしていく捜査は読みごたえがありました。
イチ推しポイントは、登場人物ひとりひとりの生活やコミュニティがリアルに見えてくるところ。仕事場の同僚、別の管轄の保安官、市警、被害者など、それぞれに家族があって暮らしがある。特別な権力や財産もない普通の人たちですが、事件をきっかけに何よりも大切なものを傷つけられてくのです。
そして独り者でいつも寂し気な主人公ヴィクターとの対比も痛々しく、ただ寄り添って生きるってことが何故こんなにも難しいんでしょうか…
特に惹かれたキャラクターは、保安官事務所の受付バーバラ。信頼できる同僚というだけでなく、寂しいときには優しく、弱ってるときには奮い立たせてくれる女性。上司と部下でありながら、姉と弟、先輩と後輩のような関係性でもあり、仕事場での人間関係の大切さ、温かさを教えてくれましたね。
もうひとり、トレントン市警のマイク・フレデリクセン。物語の前半は何じゃコイツって思ってましたが、なかなかどうして、そういうことですか… 熱く語られる背景や心情はものすごく理解できたし、彼の葛藤と熱意にジンジン痺れてしまいました。
さて本作のミステリー要素もかなり濃い、フランクはなぜ殺害されなくてはならなかったのか。生前どういう生活を送り、どんな交流関係があったのか。そもそもこの兄弟は、なぜ仲が悪いのか…
事件をとおしてヴィクターは過去と向き合っていく。たとえどんな辛い現実が突きつけられるとしても、引かなくてはいけないカードは引かなければならない。その勇気を振り絞るためにはどうすればいいのか… しっかりと感じ取ることができたのです。
■私とこの物語の対話
この物語は人との絆に関する名言がたくさん書かれていて、思わず言葉を失ってしまうんです。
本書引用-----------
子どもは命であり、血であり、すべてだ。子どもが生まれると世界は一変する。自分の人生をもう一度やり直すチャンスを与えられたようなものだ。行いを改め、正しいことをし、平和を見いだすことができる。家に帰って子どもに会えば、たとえ最悪なことがあっても、そんなにも悪くないと感じられる。
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私も子どもが生まれてからは、すこし死ぬのが怖くなりました。確かにこれまでの失敗や後悔を帳消しにしてくれるし、きっと子どもたちなら周りのみんなを幸せになる世界を作ってくれると信じられる。勘違いかもしれないけど、未来ってものがずっーと続いていく気がするんですよね。 -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。3ヶ月ちょっと前に「ザ・プロフェッサー」「黒と白のはざま」のシリーズ第1・2作を続けて読み、書評でこの2作を続けて読む方がいいと書いたが、前言撤回。全4部作を続けて読む方が良さそうだ。
この第3作でもドキドキする怖さ、緊張感溢れる法廷シーンなど面白さは引き継がれている。その上、第1作の伏線も回収しており、更に最後の4作目の予告も描かれている。
勝てそうもない(最後の)裁判に挑む主人公。それを助ける旧友。やむなく愛弟子や旧友と敵対することになってしまう葛藤。迫り来る殺し屋との息詰まる対決。読み出したら止まらない面白さ満載です。
さて、続けて最後の4作目を読むとするか…。 -
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68才の主人公トムは妻と死別し、癌を患い、アラバマ大学の証拠学教授の地位から不当に追い出される。
学生時代の恋人ルース・アンに夫の交通事故に関する相談を受け、教え子で弁護士のリックに弁護を依頼する。
若く感情的なリックと法務の権威で冷静なトムとの対照的な性格の二人が、被告側による証人抹消や脅迫などの暴力的な証拠隠滅という不利な状況下で裁判に挑む。
裁判でのトムの尋問は蓄積された法知識を縦横無尽に操り巧みに被告の弱みを抉り、卑劣な被告弁護士への鬱憤を晴らす姿に快哉を覚える。教え子のボーの恩師を支える姿も頼もしい。78才の老判事が68才のトムを励ます時に言った言葉、"What does Augustus keep saying in Lonesome Dove? ‘The older the violin, the sweeter the music.’ ” 〈ロンサム・ダブ〉でガスがずっと言ってただろ。『古いバイオリンほど、 甘い音楽を奏でる”ってな」
そして勝訴後のトム、“The old bull still has a little gas in the tank.” 老いぼれにもまだ少しはガソリンが残っているのさ。 -
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プラスキで唯一の黒人弁護士、偉大なボーセフィス(ボー)・ヘインズ
別名、ケツの穴全開弁護士
(と言いたくなるはず)
本作でボーは人生において2つの教訓を教えてくれる
ひとーつ!
人生において困難な局面に陥ったとき、重要なのは冷静さを保つことだ
感情を爆発させることは、自滅以外の何ものでもない
冷静さを保ち逆境にどう対処し、立ち向かうかが大切だ
ふたーつ!
「ケツの穴全開でいくぞ」
カッコよく言えば、「ワイド・アス・オープン」
ケツの穴全開でいくというのは、自分のエンジンをフルスロットで回転させること
100%の努力、自分の持てるすべてを発揮し、そこからもう少しだけスロットをまわすんだ
できるかぎり激しく!すばやく!ケツの穴全開で挑めば人生において最高のチャンスが生まれる
この2つの教訓を武器にボーは難しい闘いへと挑むのだ
もしかするとその闘いは、弁護士として間違った側(ザ・ロング・サイド)に立つことになるのかもしれない、、、
だが、正しい側とはなんなのだろう、、、??
それは自分の信念に基づいて進むことではないだろうか
ちなみに、、、
感情を爆発させずに冷静さを保ちつつ、ケツの穴全開でエンジンをフルスロットルにまわすことができれば最強じゃない!?
だけど、そもそもケツの穴全開にすること自体が高難度だなw -
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本作はトーマス(トム)・マクマートリー亡きあと、黒人弁護士ボーセフィス(ボー)・ヘインズを主人公にした新シリーズ
本作の注目ポイントは「ケツの穴」の開き具合だろう
ボーは師であるトムと最愛の妻ジャズを失い、さらには子供たちの親権を失って人生のどん底にいた
この状況下ではボーのケツの穴は完全に閉まっている…
『ザ・プロフェッサー』シリーズを読んできた読者ならこんなボーは見たくないはずだ…
そのような状況下である人物からボーの元へ弁護の依頼がやってくる
ボーは自分自身の人生と子供たちを取り返すため依頼を受けることに
ここに来てボーのケツの穴が開き始める
これは良い兆候だ
全開までもうひと開きである
つまり半開き状態だ
しかし、裁判は簡単ではない
圧倒的に不利な戦いに身を投じるボー
だが、「オレの人生に簡単なことなど何もなかった」と決して諦めなボー
そして、遂にそのときがやって来た
最終形態のケツの穴
「ケツの穴全開でいくぜ!」
やっぱり「ケツの穴全開」のボーは頼りになるぜ! -
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2024年の11冊目は、アラン・パークスの「悪魔が唾棄する街」です。今、ノワール物のシリーズで最も脂が乗っていると言って良いハリー・マッコイが主人公の第3弾です。このシリーズは、タイトルに月が入っています。1月、2月と来て、今回の3月は、人名に掛かっており、凝った趣向になっています。
舞台は、いつもの街グラスゴーです。今回は、複数の事件が同時に進行します。12才の少女アリス・ケリーの失踪事件、ロックスターのボビー・マーチ変死事件、マレー警部の姪ローラ・マレーの家出に連続強盗事件の捜査もします。これらの事件が、うねり絡み合いながら、ラストの大雨の中での対決シーンに収斂します。途中、ハリーは、盟友クーパーのピンチも助けます。ハリーの別れた奥さんのアンジェラが重要な役どころで登場したり、宿敵レイバーンから執拗な嫌がらせを受けたりと、かなり内容が濃いです。そして、相棒のワッティーには、嬉しい報せが届きます。
これだけ複数の事件を描きながら、ボビー・マーチの回想シーンでは、実在するロックスターを登場させても尚、とっ散らかずに上手くまとめる力量は、流石だと思います。悪魔も唾棄する街グラスゴーについても、街の匂いが、良く伝わって来ます。それだけに、この表紙カバーは、何とかならなかったのでしょうか?
☆4.8 -
Posted by ブクログ
アメリカンフットボールにスター選手とオデルと将来を約束されてる歌姫のブリタニーのカップル。
どちらも高校生でアフリカ系アメリカ人。
で、深夜にバス置き場でブリタニーが頭をビール瓶で殴られ死亡、そこに居合わせていたオデル、指紋からその前の喧嘩から圧倒的に有罪と思われ、そこでボーの登場。
この流れで絶対、犯人は違うとわかって読み進む。
検事長のヘレンが若い頃レイプされてできた息子ザニックが
いかにも怪しい。
でもそんなすぐわかるような仕掛けにはなってないはず…
と思ってよみ進めると、やはり最後の最後で真犯人が。
まさかのバンド仲間のイアンだったとは。
でもボーが写真でイアンに姉のキャシーの首にブリタニーにつけてもらっていた祖母からのネックレスの有無に(死ぬ直前までつけていたのに死後はどこにもなくキャシーのもとに戻っていたこと)気が付かなければ危うくオデルが犯人にさせられるとこだった。
絶体絶命の危機でいつも逆転裁判になるから安心して読めるけど。どういう結末かが知りたくて。
トム・マクマートリーが亡くなり、ボーセフィス・ヘインズ彼に遺志を継いで主人公の弁護士になってからこのシリーズはまだまだ続くと思っていたけど今回がどうやら最後みたい。
でも、ビルボード弁護士(ジェイソン・リッチ)というシリーズが始まるみたいなのでそちらも楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ街中で1人を射殺した犯人がそのあと自殺、その背景を調べる主人公マッコイ、この事件がなぜ起こったのかを比較的ゆっくりめに進んでく。
マッコイの過去も徐々に明らかになって、街の悪の親玉クーパーとは義兄弟のようだし、元奥さんはいけ好かない男と一緒にいるし、権力者に嫌われていることがちょっとずつわかってくるのが面白い。
人物関係も読んでいるとなるほど
さっきのあれはこれのせいかと分かるようになっている。主人公が心の中で読者へ丁寧に教えてくれたりはしないので、それが嫌な人は読み辛いと感じるかも。
マッコイのことを知った状態ならシリーズ2作目はもっと面白くなってそう。