吉野弘人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレエンタメ直球ド真ん中。ミステリ(少々)アクションも少々。リーガルハイで盛り上がり、安心して楽しめる、面白すぎる元弁護士のデビュー作。
※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。
アラバマ大の教授トム(トーマス・マクマートリー68歳)は証拠論についての著書が版を重ね今ではロースクールの学生たちが参考書にするほどの名著になっていた。
また学生時代は、フットボールチームで、伝説の名コーチブライアントの指揮の下で選手として優勝に導くほど活躍もした。
トムは現在模擬裁判チームのコーチで、チームを全国優勝させた偉大な実績があった。
だが、模擬裁判中に意見の相違でチームの短気な学生が暴力を振るいトムも手を上げて優勝を逃し、それがyoutubeで拡散したことや、他に些細な出来事もあり理事会から辞任を勧告される。学部長で教え子のタイラーが後ろで糸を引いていたのがわかっていたが。
朝、血尿を見て検査を受けるとステージ2の膀胱癌が見つかる。幸い手術は成功したが苦しい治療の痛みはまだまだ続いていた。
トムは荷物を纏めて小さな町の農場に帰り、父が建てた古いレンガの家に落ち着いた。妻のジェリーは三年前に亡くなり老犬のムッソが唯一の話し相手だった。
とそこに巨漢で黒人の教え子、ボーセフィスが訪ねて来た。体調の悪いトムに代わって家や農場を整理して帰郷を心から喜んでくれた。お互いに早くに父を亡くして農場で働いて育った生涯の友だった。貧しいボーは奨学金を受けてアラバマ大に入りフットボールチームで活躍していたが怪我をした。トムは彼を励ましボーもそれに応えてロースクールに入りトップ10の成績で卒業、模擬裁判チームのリーダー時代にチームチャンピオンになったこともあり法律事務所からは引く手あまただった。採用された事務所でインターンとして働いた後なぜか故郷に戻っていた。
密かにやり残したことがあるといったが、それが何かトムにも話さなかった。孤独に陥りそうになるトムの支えであり力強い味方だった。
魅力的な登場人物の中でもひときわ作者のお気に入りだったのか、次作ではボーを主人公にした「白と黒のはざま」という作品がある。故郷はKKK発祥の地というのだからどんなストーリーが展開するのかな。
トムに初恋の女性から会いたいと電話があった。話を聞くと娘夫婦と孫の乗った車が18輪の燃料輸送の大型トレーラーと衝突して亡くなった。横のガソリンスタンドに入ろうとして信号を左折した時に前から不意に車が現れたのだという。トレーラーは手前のくぼみに降りて坂を上ってきた。一時視界から消えたのだが、目撃したガソリンスタンドの従業員は、トレーラーは時速80マイル(約130キロほど)の猛スピードで走ってきたという。引退したトムはあの学生リックの事務所を紹介する。
運送会社の経営者ジャックは巧妙に、証拠書類を保管している工場ごと焼き払い、ドライバーに、過激な時間短縮運転を課すようなやり方が記された跡を、隠蔽した。
法廷での悪役は知恵を絞って対抗する。
トムは模擬裁判で殴り掛かった学生リックのみすぼらしい事務所を訪ね、自ら弁護を依頼した。誤解を恐れず付き合ううちにいつしかリックに信頼されるようになる。リックは短気ではあるが正義を忘れないいい奴だった。消された証拠の代わりになる新しい証拠を探して彼も死力を尽くす。
ここから作者のフィールド、法廷の戦いになる。リックが冷血経営者とそれに着いた弁護人、トムを追い落とした学部長のタイラーにおいつめられたじたじとなった時
「裁判長、原告ルース・アン・ウイルコックスの追加弁護人として参りました」
トム登場!!
若いリックが巧妙で汚い悪と戦うのも面白い、ここからトムが再び新しい人生に向かって立ち上がる姿に、単純に熱い拍手を送りたくなる。トムのいわれない醜聞の元になった女子学生もリックの事務所でいい働きをする
この後トムとリックは同じ事務所で働き始める後続の物語、シリーズの残り三冊を積んでおく。
ミステリは薄味で後半は法廷部分とややソフトなハードボイルドもあり面白過ぎた。
映画で言うなら「評決のとき」
リックは「ザ・ファーム」テイストも持つ なんてw。 -
Posted by ブクログ
交通事故訴訟専門、刑事裁判経験はたった1件、アルコール依存症克服中の「ビルボード弁護士」ことジェイソン・リッチ。実姉が被告となった夫殺害事件を担当してから半年、ふたたび殺人事件容疑者の弁護に挑む――。
アラバマ州マーシャル郡で、若く優秀な保安官補が銃殺された。容疑者は元高校フットボールのスーパースターにして、リッチの姉の裁判で証言台に立った因縁の人物。彼が犯人であることを示す証拠は充分すぎるほど揃っていた。米国でももっとも保守的と言われるこの地で起きた保安官殺し。リッチは、街中を敵に回すこの裁判の弁護を引き受けざるを得なくなる。
法廷闘争、覚醒剤王の魔の手、依存症との闘い…アメリカ南部発、驚異的ページターナーの傑作リーガル・スリラーシリーズ、待望の第2弾。
ジェイソン・リッチの七転八倒ぶりが読ませます。 -
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ネタバレ2025年の34冊目は、エイミー・チュアの「獄門橋」です。素晴らしい作品だと思います。
舞台は、第二次大戦中の1944年のカリフォルニア州バークレーです。主人公は、市警の刑事アル・サリヴァンです。〈クレアモント・ホテル〉の一室で、フランクリン・ルーズベルトと大統領選を争ったウォルター・ウィルキンソンが殺されます。たまたま事件直前にホテルに居た事も有り、サリヴァンが捜査の指揮を取る事になります。
事件は、カリフォルニアの名家ベインブリッジ家や蒋介石夫人のマダム・チャンが絡み、複雑な様相を帯びて行きます。一人として正しい証言をしない事件の関係者達に捜査の行方は、二転三転とします。
私立探偵風でも有り、ミステリーとしても十分に素晴らしいですが、それだけでは有りません。ベインブリッジ家三世代の物語にもなっている点、大戦中の日系人の強制収容の話、主人公サリヴァンがメキシコ人とのハーフという生立ちでメキシコ人の強制退去の話も触れられる等、当時の世相や雰囲気が良く表れており、より重層的でミステリーだけではない物語に仕上がっています。
文句なしに年間ベスト10級だと思います。
タイトルの「獄門橋」は、原題の通り、1937年に竣工したサンフランシスコの象徴、ゴールデン・ゲート・ブリッジの事です。多くの日本人移民が、この橋の下を越えて新天地に到着した事に思い馳せると、よりタイトルの意味が見えて来ると思います。
☆4.8 -
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「ザ・プロフェッサー」に始まる、老弁護士トム・マクマートリー4部作の最後の作品。
ぐいぐい読めます。
殺人犯ジムボーン・ウィーラーが脱獄した。
自分を牢に送り込んだトムに復讐を誓って。
トムだけでなく、なんとトムの仲間や家族まで、次々に殺すと宣言したのだ。
外出を出来るだけ控え、パトカーも常駐を頼んで警戒態勢をとったが‥
情け容赦なく、家族や警官にまで向けられた銃撃。
それは、女殺し屋のマニーによるものだった。
その恐怖もさることながら、トムは2度目の癌でさらに体力も落ちている‥
撃たれて入院した仲間の、生き延びる闘いも続く。
スリルは十分、ありますが。
これまで普通に生きてきた登場人物が撃たれて死んでしまうって。
現実味の少ないドンパチか、アクションものとして工夫されているなら、割り切れるけど。
これは?
癌で死に向かう様子がリアルで重いため、並行して描かれると、かなり謎を感じながら読まざるを得ませんでした。
私自身、身近な人を見送った経験ありますから。
それだけ、最後の勝利を強烈に感じさせたい?
死んでしまう人、生き残る人、最後に勝つ人。これは読者の深層心理に訴えてるんだろうか。
わかるのは‥ 作者は、ボーがめっちゃ好きなのね!
追い詰めまくり。やたら苦労させとるわ~(笑)
作者にとっても「魂の息子」なのかも。
4部作は終わったけど、ボーの出る作品は続くそうです。
ほらね(笑) -
Posted by ブクログ
老弁護士トム・マクマートリーのシリーズ。
「ザ・プロフェッサー」「黒と白のはざま」に続く3作目。
トムの事務所のパートナー、リックが一時的に仕事を離れることになった。リックの父親が大怪我をしたため。
ある少女が弁護の依頼に訪れる。
1作目の事件で服役していた男ジャック・ウィリストーンが仮釈放後に殺され、少女の母親が逮捕された。
事件の証人となるはずだったウィルマという女性で、ある意味因縁のある相手だったが‥
トムは、ひっくり返す見込みの少ない事件の弁護に立ち上がった。
ジャックには莫大な保険金が掛けられていたことがわかり、調べるほどに疑わしい人物は増えていく。
そして、フィリピン女性らしい殺し屋の影が、トムの身近にまで及んでくる‥?
1作目すでに68歳で病身だったトム。
その逆転劇はカッコいいのですが~ダイジョブか?とはらはら。
読んだのはだいぶ前でしたが、このタイトルと似ているため、4作目「最後の審判」を読んだと勘違いしていて、最近になって読んだのです。
こちらも紹介していなかったと気づいたので、書いておきます。
トムは、学生時代はアラバマ大学の有名なスポーツチームの選手で、その後40年教鞭をとった名物教授。
仲間も教え子も多く、その絆が熱い。
「胸アツ」という言葉はぴったり☆ -
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ネタバレ2025年の28冊目は、ジェイムズ・リー・バークの「磔の地」です。1998年のゴールドダガー賞受賞作です。舞台は、アメリカ南部ルイジアナ州。ディープサウスとも呼ばれるスワンピーな土地を舞台にしつつも、暑くるしさよりも乾きを感じるのは、作者の文体なのでしょう。そして、この本がゴールドダガー賞を取る当たりに、イギリス人のアメリカ南部好きを感じずにもいられません。
主人公は、アイビーリア郡の保安官事務所に勤務し、釣り餌屋も営む、デイヴ・ロビショーです。本書は、シリーズ10作目となります。納屋に磔にされて殺されたジャック・フリンの未解決事件を軸に、アイダ・ブルサードの溺死事件や少年2人の射殺事件等を絡めつつ、アメリカ南部の闇の歴史を描いて行きます。ロビショーは、事件の周りを浮遊するようにウロウロするだけで、一向に事件は解決する気配を見せませんが、最終盤に掛けて、驚きの真相が明らかになります。最後まで読み終えれば、ゴールドダガー賞受賞も頷けます。
バークの風景描写は、もう少し湿度を感じたい所ですが、言われる程、悪くないと思います。
☆4.6 -
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飛行機が墜ちて戻ってのタイムループ! 間隔も徐々に短くなり… エモさも抜群なサスペンス #螺旋墜落
■あらすじ
息子をこよなく愛するチャーリー、彼女は息子セオが副操縦士として操縦する飛行機に搭乗していた。チャーリーは息子との関係を修復する必要があったのだ。
まもなく到着するロンドン時間午前0時、なんと飛行機が墜落してしまうのだ! しかし次の瞬間、チャーリーが気が付くと時刻は午後11時1分、まだ飛行機に搭乗中だった。どうやら時間が繰り返していると知った彼女は、墜落を食い止めるようと奔走する…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい! サスペンススリラーの良作ですね、ぐいぐい惹きつけられました。
いきなりなんですが、私、飛行機が苦手なんですよ。高高度の高速移動、密閉された逃げられない感じがして、不安に襲われるんです。何回のっても慣れないんですよねー、いくつになっても怖がりという情けなさです…
さて本作は、そんな非日常空間な乗り物、飛行機を舞台にした物語。あらすじのとおりタイムリープもので、飛行機の墜落するのを止められるのか?!というのが本筋です。
確かにそこが読みどころではあるのですが、それよりも私はキャラクターの人生模様や親子の繋がりを推したい。
主人公はミドルの女性チャーリー、彼女はパイロットである息子セオを溺愛している。しかし父親は訳アリのようで、チャーリーはセオに対して父親のことをずっと秘密にしていた。一方セオは、一度も会ったことのない父親に対し、歪んだ執着をもっている。しかしその父親はなんと…
え、飛行機墜落の話と関係なくね? って気がするんですが、ちゃーんと全部が連携してるんです。最初から最後までストーリーに没頭させる構成がお上手でした。
また読み終わってみると、自身の両親のことを思い出しちゃうんのよ。いろいろあったけど、今振り返ると愛されてた気がするなー。そして我が子どもを見ていると、父親として愛してあげられているのか不安になってしました。
さて物語は終盤にはいると、それはもうスピード感がハンパねぇす。え、え、無理でしょ、えーーーって、怒涛の展開。マジで読む手が止まんないので、しっかり時間をとってから終盤に入りましょう。
ハラハラドキドキのサスペンスだけど、単に面白かったー!だけでは終わりません。それ以上に胸に熱いものが押し寄せてくるエモさ抜群の作品でした。
■私とこの物語の対話
これまで長い人生を歩んできて、色んなな選択をしてきたなー。私にとって一番大きな人生の岐路は、24,5歳くらいから始めたバイト先。そこでの仕事や人間関係がなかったら、もっと不幸な人生をだったに違いない。
でも最近になって少し考え方が変わってきました。
その選択は私にとって偶然なのではなく、必然な出来事だったのだと。当時も今も私は私、そうなるべくして今の自分があると考えるようになってきたのです。
年齢を重ねるほど、どんどん時間が短く感じるようになる。残された人生、自分の時間を大切に、自分を信じて生きてみたくなりました。 -
Posted by ブクログ
1944年、カリフォルニア州バークレー。大統領候補ウォルターが暗殺された。容疑者はサンフランシスコ有数の名家ベインブリッジ家の娘たち三人。刑事サリヴァンは現場のホテルで、14年前にも同じ家の少女が不審な死を遂げていたと知る。二つの事件のつながりを追うサリヴァンだったが、市警本部長の圧力や、ウォルターと関係のあった?介石夫人の介入により捜査は難航する。事件の鍵は、容疑者たちの祖母ジェネヴィーヴが握るというが…。終戦間近のアメリカを舞台に描く、謎解きの妙味と緊迫感に満ちた警察小説。
ミステリとしての魅力もあるが、歴史小説として味わった。日系アメリカ人収容所については、かつて観たアメリカ映画「愛と哀しみの旅路」(1990)を思い出した。 -
Posted by ブクログ
クソ安心して下さい
ロバート・ベイリーの新シリーズもクソ面白いです
と、我が師匠のひまわりめろんさんがおっしゃてましたので、クソ安心して読みました
クソ安心したとおり面白いです
なので、これから読む方もクソ安心して読んでください
さ、新シリーズの主人公はジェイソン・リッチ
主要幹線道路に自らの顔写真を載せた看板を展開する民事専門の弁護士
看板は1枚だけでなくまあまあの枚数があります
(なんかやだーw)
知名度、実績は充分のすご腕弁護士だが、アル中から始まりプライベートはいろいろと問題ありです
そんな彼のもとに"毒姉"のジャナから「助けて!」の連絡が入ります
ジャナは夫の殺害を教唆した容疑をかけられ弟のジェイソンに弁護を依頼するのです
だが、ジェイソンは弁護を引き受けるかどうかを悩みます
なぜなら、アル中の上に刑事裁判の経験がまったくないからです
けど、もちろん引き受けますよ
さ、そこからロバート・ベイリーが描くジェイソン・リッチはカッコよくなっていきます!
主要幹線道路の看板の数をもっと増やしてもいいんじゃないってぐらいカッコよくなっていきます!
もし困ったことがあれば、
CALL 1―800 GET RICH
(リッチに電話を)
彼は頼りになるよ!