ミヒャエル・エンデのレビュー一覧

  • モモ

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    ネタバレ

    「時間を節約することで、実は別の大切な何かを節約してしまっていることに、誰も気づいていない」
    「時間とは生きることそのものであり、人の命は心を住処としている。時間を節約すればするほど、生活は痩せ細っていく」
    という言葉が強く印象に残った。現代社会では、時間をいかに効率よく使うか、無駄なく処理するかが常に求められている。それは正しい態度のように見える。しかし『モモ』を読んで、時間を切り詰めることは、単に行動を早めることではなく、感じること、立ち止まること、誰かと心を通わせることまで削ってしまう行為なのだと気づかされた。
    効率化の先にあるのは、豊かさではなく、むしろ「生きている実感の希薄さ」なのか

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    2025年12月21日
  • モモ

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    ネタバレ

    灰色の男たちに時間を奪われた世界は現在や未来のことかもしれないと、きっと誰しもが自分事に感じるからこの作品は時代を超えて愛されるのだろう。
    私も時間に追われて毎日を過ごしているが、時間をどう使うか、それを自分で選ぶ自由を持っているのだと再確認した。

    「とっても長い道路を受け持つことがあるんだ」掃除夫ベッポは言った。「せかせかと働き出す。いつ見ても残りの道路はちっとも減っていない。だからもっとすごい勢いで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて動けなくなってしまう。道路はまだ残っているのにな。こういうやり方はいかんのだ」「一度に道路ぜんぶのことを考えてはいかん。次の一歩のこ

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    2025年12月21日
  • モモ

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    灰色の男たちは、この時代の人間たち(つまり私たち)の気がする。
    いつの時代も、以前に比べたら「灰色の男」指数は上がるのだとは思う。しかし、最近の「灰色の男」化はスピードが速すぎる。

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    2025年12月19日
  • モモ

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    「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きる」といった行為や思いに付随する「時間」、この「時間」が段々と消失し「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きていない」人々が増えているといった現代社会への皮肉を児童文学に込めた一作品。児童文学こそ万人に伝わる表現で、万人が読後に考えをもてるような素晴らしさがある作品が多い中でクリティカルに「時間」とはを考えさせられた。
    私たち大人は生きるために働き、生きるために食べ、生きるために学んでいる。その中で自分らしさといったものが少しずつ減っていき、人間としての象徴性を失っているのではと問われると、グサリと心に刺さる。その通りですと、自分の人生、自分の思い通りになる

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    2025年12月09日
  • モモ

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    対象年齢が小学校5、6年生以上とある児童書だけれど、大人が読んでて大きく問われる本だし、働いて働いて働いて働いて働く方に向かうかもしれない今だからこそ、時間と自分の在り方を見つめ直すために示唆の多い本。豊かさについて考えさせられた

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    2025年12月06日
  • モモ

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    時間に追われたことのある私にとっては、おもしろくも怖い話だった。たくさんお金があって忙しくても、幸せとは限らない。作中には『致死的退屈症』とあったが、うつ病のようなものかなと思った。

    大人になってから読んだ方がわかるというか、おもしろい。

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    2025年12月05日
  • モモ

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    私も灰色のやつに支配されてしまった親みたいになっていないかな?
    学校の準備できてるの?習い事の準備できてるの?勉強終わった?早くご飯食べなさい!
    ずっとせかせかしてるかも…
    灰色のやつに時間を奪われているのかな。
    取り戻せるかな…
    この現代で。
    大切な人を失わないように。

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    2025年12月04日
  • モモ

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    たとえば、みんながひらめくこと、そのひらめきはすぐに忘れてしまうと思う。
    そのひらめきを一つ一つ丁寧に文章にした本。
    だから、痒いところに手が届くと言うか、この表現がしたかったんだって、表現豊かになれる
    子供心がまだ自分に残っていると再確認する。

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    2025年12月04日
  • はてしない物語 下

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    有名な映画の1では描かれていない部分。
    続編の第2章では映像化されてるのかな?
    見る前に予断なく読む方がいいかな。
    エンデと製作スタッブが揉めたのは有名な話。
    基本的にいい映画だと思うけどね。
    作者的には伝えたい事が変わってしまうと思ったんだと思います。
    何度でも読み返せる物語だと思います。
    なるべく早く最初の1回目を読むと良いんじゃないかな。

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    2025年12月03日
  • はてしない物語 上

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    映画は映画で良いと思う。
    ただ、メッセージは原作から正しく受け取ってほしい。
    映画を見た人にも、これから読む人にも。
    大まかに言えば上巻は映画の1の範囲かな。
    映画の1しか見てないなら下巻、物語の後半は知らない事に。
    多くの人に手にしてほしい本です。

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    2025年12月01日
  • モモ

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    わたしたちは現代社会を生きていく上で遭遇する「時間泥棒」とどう対峙していくべきなのか。

    現代はいたるところに灰色の男たちがいて、隙あらば私たちの時間を狙っている。一寸先は致死的退屈症である…と、資本主義への恨みつらみを述べた後に「とかくに人の世は住みにくい。」などと結ぶニヒルな感想が浮かんだがこれではあんまりだ。

    別のアプローチを取ろう。それはそれとして、現代社会を生きるために大切なのは生活に彩りを加える姿勢やそれを見逃さない視線といったものなのではないか。

    すなわち、どうしようもない現代を嘆き悲しんだり、時間の開放に思考を巡らすよりも、むしろ人生における「時間の花」と言える瞬間を見落と

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    2025年11月28日
  • モモ

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    ネタバレ

    灰色の男たちは現実にいて、知らぬ間に時間を奪われているとか、そんなことを想像した。時間、効率……技術発展の恩恵を受けて有り難く生活しているわけだが、技術の速さと人間の時間は比例せず、人間を機械は走り去っていく。
    忙しさは日に増して、ニノのレストランのような人たちで溢れかえる。
    そんな社会、都会の歯車の中に入れられている私たちに本当に必要なのは、モモのような存在。
    「モモのところに行ってごらん!」

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    2025年11月17日
  • モモ

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    時間は平等。
    なのに大人は時間が無いと言う。
    子供目線で今で言う学校や習い事が皮肉混じりで書かれている気がして、とても面白かった。
    時間は有限であり、Time is moneyを第1優先にした先に、家族の時間や人と人との繋がりを失ってしまうこともある。
    大切なものの為に今どう動くべきか1度立ち止まって考える大切さを教えてもらった気がします。

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    2025年11月14日
  • モモ

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    35歳にして初めて読み、衝撃を受けてしまった。面白すぎる。
    この世界観どうやって思いついたんだろ。

    文体は読み聞かせしてもらってるような不思議な感覚
    それでいて内容はハッとさせられるようなもので心に深く刺さる部分が多かった。

    自分は大人側になってしまっているのだろうかと怖くなった。
    この本の発行から50年くらい経ち、灰色の男たちによる世界はますます進んでいそうです。

    丁度最近読んだ『暇と退屈の倫理学』にも通じると思った。
    「暇な」時間を大切に生きたい。

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    2025年11月12日
  • モモ

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    当時まだ私が小学生の頃、分厚い単行本をこの本を初めて手に取った。初めは「こんなの読み切れるわけない」と思ったが、気づけば夢中になり、あっという間に読み終えていた。

    内容も当時の私が何を感じたかもすっかり忘れてしまったが、友人の勧めでまた読んでみようと思った。

    物語の大きなテーマは「時間の使い方」
    "時間泥棒"は、人々に時間の節約を迫り、余白をどんどん奪っていく。効率性や意義性に必要以上に囚われると、人は感情を失い、大切にしたかったものすら手放ていく。

    情報にあふれる現代は特に「正しそうなこと」が多く、またSNSの普及により「比較する相手」も増えたことにより、不安を駆り

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    2025年11月10日
  • はてしない物語 下

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    ネタバレ

    会社の同僚と、エンデの話になった。私にとってエンデは、小5の頃に出会って夢中になって読み漁った思い出のある作家であるけれど、大人になって『モモ』を読み返して以来、疎遠になっていた作家でもあった。同僚が『はてしない物語』を絶賛している話を聞きながら、子供の頃、自分もバスチアンのように物置で本を開きながら本の世界に入って冒険できたらどんなにいいだろうと憧れたことを思い出し、本棚から久しぶりに引っ張り出して25年ぶりに読んでみた。
    上巻はとても楽しくワクワクしながら頁をめくっていたのだが、下巻になって、読み進めるのが苦しくなった。バスチアンの姿に、自分自身を重ねてしまったのだ。誰かに認められたい、人

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    2025年11月09日
  • はてしない物語 上

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    小3の時、虫垂炎になって、担任の先生がお見舞いにくれた本。
    当時は読み終わるのに必死だった記憶があるけど、今回は終わってほしくないと思いながら没頭してしまった。
    今なら先生が大好きな本と教えてくれた意味がわかるな。

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    2025年11月04日
  • はてしない物語 下

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    ネタバレ

    ファンタージエンに行ったバスチーユの物語。危うさを感じながらバスチーユの物語を読み進める。バスチーユの考えや判断がだんだん良くない方に傾いている不穏さが満ちてくる。スターウォーズのアナキンがシスに堕ちてしまうところに似て、苦しい。どうしてこうなってしまったんだろうと思ってももう戻れないところに来ている。しかも多くのことを忘れてしまっている。どうやって人間の世界に戻れるのかわからない。わからないままにどこへ向かえばいいのか、何をなせばいいのか、投げてしまいたくなるような世界。バスチーユとともに旅を続けるアトレーユとフッフールが最後は助けてくれるが、やや呆気なさも。あの辛い辛い辛いトンネル部分が面

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    2025年10月28日
  • はてしない物語 上

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    ネタバレ

    何度も読みかけては、中々読みきれなかった名作をようやく読むことができた。
    表紙絵や扉絵を見ながら、ファンタージエンの世界に入って行った。アトレーユの冒険の旅は途方もなくて何をどう目指せば良いのかわからない。それでも導かれる道を信じて進む姿を祈るように見守った。幸の竜、フッフールが最高の相棒で頼もしかった。
    たまに現実に戻る感じもリアルで良かった。

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    2025年10月28日
  • はてしない物語 下

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    上からの下は心の底からワクワクしました。望みを叶えるごとに自分を失っていくバスチアンが見てられなくなってくるのですが、最後の最後でこの本のテーマ「本当に大切なもの」に気づいた瞬間に、この本が私にとって特別な本になりました。結末がとても良いです。

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    2025年10月13日