ミヒャエル・エンデのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
立て!アクション!ファイト!ジムボタンのように― 勇ましい主題歌がいつまでも記憶に残っていて、この本のタイトルを見た途端、ぱあっと小学生のころに見たアニメを思い出した。
でも1枚目のさし絵を見てびっくり。アニメで見たジムボタンと全然イメージが違う。
読み進めたら、さらに違いは歴然に。ジムボタンは黒人の男の子で、ジムのズボンが何回縫っても同じ所に穴があくので大きなボタンを縫いつけたのが名前の由来だって。ボタンパンチのボタンじゃないんだ(笑い)
でも、そんな違いなんかすぐ忘れるほど、ストーリーに入り込んでしまった。最大の理由は、ジムや機関士ルーカスといった登場人物が、すごくいいやつだってこと。ジムは、冒険に行くと決心したとき、ワクワク感だけでなく、残していく育ての親のおばさんのことを思って悲しくなるし、ルーカスはジムに黙って故郷を去ろうとしたのを偶然ジムに気付かれ、最初は言い逃れようとしてたのをジムの顔に固い決心と不満の色を見て心が動き、それからはジムを本当の友達として認め一緒に行動するし、また、ふとっちょで年寄りの機関車エマも、しゃべれないけど、いい場面で汽笛を鳴らして人の気持にこたえてくれる。
それと、エピソードの豊富さも、大きく引き込まれた理由だ。私にとってのベストは、機関車エマが力を使い果たし動けなくなり、ボイラーの内側からネジを抜かなきゃいけなくなった話。
ルーカスはジムを友人と認めて、誰かが内側からネジを抜く以外に方法がないと正直に告白する。それを聞いたジムはすべてを理解し「ぼくが入る」って即答する。しかし、水が入ったタンクにジムは潜ったものの、中は真っ暗で何も見えないし、ルーカスも、水の中からなかなか戻ってこないジムに、いても立ってもいられずタンクに向かってジムの名前を叫び続ける…
このあとどうなったかは読んでのお楽しみだけど、ジムとルーカスのかわす会話が本当に胸にグッとくる。物語作者エンデの本領発揮ってとこじゃないかな。
冒険物語といえば、多くの人がONE PIECEを想像するだろう。たしかにそっちもエピソード満載だし、キャラも多彩で、上質な作品なのはまちがいない。でも、あたり前だけど、ゴムみたいな体とか特殊な力なんて普通の人は持ってない。自分たちと同じ能力しか持たないジムやルーカスが、友情を高め、その力で困難を乗り越えていくから、私はONE PIECEよりこの作品にシンパシーを感じる。
(2012/9/30) -
Posted by ブクログ
実はまだ読んでいなかった名作。やっと読みました。
昔、映画で見た時中盤までは面白くわくわくしながら見たのですが、ラストがどうしても納得できずモヤモヤ感が残ったのです。バスチアンの役割が腑に落ちなかったんですね。
そうしたらば、映画は原作の序盤部分しか映像化せず無理矢理終らせていたことが判明。なるほど本当の物語、バスチアンの物語はこれから始まるところだったのかと納得。
壮大な物語の中で主人公が出会う人々にもまた物語があることを示唆する「けれどもこれはまた別の物語」という一文に、物語世界のはてしない広がりを感じます。そのことが最終段階で意味を帯びてくることにも驚嘆させられます。いやもう本当に物語の面白さを堪能できます。
バスチアンの心の動きも丁寧に描写されているので成長物語としての魅力も味わえます。途中すごく嫌な奴になっちゃうのですが、成長にはそういう部分も必要なんでしょうね。自分の嫌な部分に対面することも。
そうかと言って説教臭くなく基本どきどきわくわくの物語だというのが一番の魅力なんでしょうけどね。 -
ネタバレ 購入済み
時間の大切さを学べる1冊
「時間がない」「ひまがない」大人や子どもから毎日聞く言葉。これほど足りなくなった『時間』とはいったいなんなのか。
機械的にはかることのできる時間ではなく、人間の心のうちの時間、人間が人間らしく生きることを可能にする時間。
大人にも子どもにもかかわる現代社会の大きな問題、『時間』がテーマの物語。
-あらすじ-
モモと灰色の男たちの『時間』をかけた戦い。
灰色の男たち(時間貯蓄銀行を謳う時間泥棒)と戦うべくモモ(不思議な力を持つ少女)は立ち上がり、時間の国の使者である亀のカシオペイアや、時間を司るマイスター・ホラの手を借りて灰色の男たちに対抗。
奪われた時間、平穏な毎日を取り戻す。
-印象に残った言葉-
時間をはかるにはカレンダーや時計があるが、はかってみたところであまり意味はない。だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるから。
なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだから。そして人のいのちは心を住みかとしているから。
時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜん別のなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないよう。
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていく。
人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんできめなくてはならない。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいけない。
-感想-
この本を読み終えたら、なんて世界は豊かなんだ!って思った。
現在は子育てに追われてるけど、やっぱり自分の時間は大切。自分で守らない(作り出さない)と。
娯楽も、人と関わる時間も大事にしたい。心の余裕を考える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパートナーに勧められて、ミヒャエル・エンデの『モモ』を読みました。
1973年に書かれた本なのに、タイパや効率化、未来への投資に追われる「現代の私たちの働き方」そのものが描かれていて驚きます。
成果や将来のために効率ばかりを追い求めると、時間泥棒の灰色の男たちに大切な時間を奪われ、心の余裕もなくなってしまう。
作中でのモモの役割は、何か特別なアドバイスを与えることではありません。評価や損得抜きでただ相手の話に耳を傾け、その人本来の心と目の前の時間の豊かさを取り戻させる鏡のような存在でした。
モモが示してくれるのは、時間は単なる数値ではなく命そのものであるということ。
私自身、先回りして考えすぎて焦ってしまうことがよくあります。
未来のために備えるのも大切ですが、一番大切なのは、目の前にある時間や身近な人との会話をちゃんと味わうこと。
焦りそうになった時はモモを思い出して、人生にゆるやかなひとときを取り戻しながら歩んでいきたいです。 -
Posted by ブクログ
※上下巻同じ内容です。
エンデの著作に触れる機会がなかったのだが、歳をとって『モモ』を読む機会があり、そこからこの『はてしない物語』を手に取ることになった。
上巻は現実の世界と物語の世界に分かれ、並行して進んでいくが、物語が進むにつれて、だんだんとその境界が薄れてゆく。
下巻では、本の中に入り込んだ主人公が欲に溺れていきながらも、最後には温かな気持ちにさせてくれる。各章の内容を意識したイラストも良く、より物語に没頭させてくれた。
そして、上田真而子さんのあとがきに、「子どもが読めば子どもなりに楽しめるし、大人が読めば何かはっと気づかされるという物語になっているのだと思う。」とあったが、まさにそのように感じた。
実際、子どもの頃にこの本に出会えていれば、どう楽しんだのだろうか。大人になった今だからこそ、下巻の内容の濃さに自分の人生を重ねながら、「大切な何か」を忘れているのではないかと思わされることもあった。
「四十にして惑わず」は遠に過ぎ去っており、不惑どころか惑惑惑まみれであるが、それでも何かのきっかけで、ふと読み直したくなる小説でもある。
最後に、映画化された作品が『ネバーエンディング・ストーリー』だと今さら知った。
きっと、エンデの愛読者の方々には驚かれるんだろうな……。 -
Posted by ブクログ
※上下巻同じ内容です。
エンデの著作に触れる機会がなかったのだが、歳をとって『モモ』を読む機会があり、そこからこの『はてしない物語』を手に取ることになった。
上巻は現実の世界と物語の世界に分かれ、並行して進んでいくが、物語が進むにつれて、だんだんとその境界が薄れてゆく。
下巻では、本の中に入り込んだ主人公が欲に溺れていきながらも、最後には温かな気持ちにさせてくれる。各章の内容を意識したイラストも良く、より物語に没頭させてくれた。
そして、上田真而子さんのあとがきに、「子どもが読めば子どもなりに楽しめるし、大人が読めば何かはっと気づかされるという物語になっているのだと思う。」とあったが、まさにそのように感じた。
実際、子どもの頃にこの本に出会えていれば、どう楽しんだのだろうか。大人になった今だからこそ、下巻の内容の濃さに自分の人生を重ねながら、「大切な何か」を忘れているのではないかと思わされることもあった。
「四十にして惑わず」は遠に過ぎ去っており、不惑どころか惑惑惑まみれであるが、それでも何かのきっかけで、ふと読み直したくなる小説でもある。
最後に、映画化された作品が『ネバーエンディング・ストーリー』だと今さら知った。
きっと、エンデの愛読者の方々には驚かれるんだろうな……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻で、バスチアンが「はてしない物語」の中に入って旅をするんだ、と予想を立てつつ下巻に。
概ね間違ってはなかった。バスチアンが「はてしない物語」の中に入り、幼ごころの君に新しい名前を与え、アウリンというおしるしをもらってファンタージエン国を旅していく。
その中で、アトレーユとも出会い……というところまでは王道的だった。
ただ、ここからが名著だと思うのが、バスチアンがどんどん独裁者化していく。
バスチアンに感情移入しながら読ませるような構造になっているので、ここで自分自身がどんどんエゴイスティックになっていくような感覚でかなり読むのが辛い。
美しくなりたい、強くなりたい、賢くなりたい、みんなに自分の存在をすごいと知らしめたい……。
誰でもそんな感情を持つとは思うけど、バスチアンにとっての不幸は、その願いを叶えてしまうアウリンがあり願いを叶えてもらえることだった。
少しずつ記憶をなくし、そのことに気も留めないバスチアンはアトレーユを剣で傷つけてしまう。
下巻後半の元の世界に戻ろうとするまでのところが良かった。
これまでの望みはある意味では「愛されたい」というものだし、もっと言えば「ありのままの自分が愛されたい」。
だけど最後の望みは「誰かを愛したい」というものだったところがエンデからのメッセージを感じた。