ミヒャエル・エンデのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本の中の世界、ファンタージエン国に飛び込んだバスチアン。彼は、望みが叶うメダル「アウリン」を用いることで大切なものを失いながら、やがて自分が真に欲することー「真の意志」ーを見つけていく。
だれかを愛することができるということが生きる悦びであり、それこそがこの世界をよくしていくものなのだというメッセージが伝わってくるクライマックスがすばらしかった。
だれかを愛することができたら、バスチアンのように、あるがままの自分でありたい、もうほかのものにはなりたくないと思えるようになる。生きていく悦びを感じることができる。自分はきっと、少し前までは「?」だったと思うけど、愛している妻や息子がいる今はなん -
Posted by ブクログ
バスチアンは、本を盗んだ。その本「はてしない物語」が、自分を魅きつけて放そうとしなかったからだ。バスチアンは、学校の物置部屋に隠れ、本を読み始める。それは、ファンタージエン国の危機を救うために選ばれたアトレーユの冒険の話だった。バスチアンは、「はてしない物語」に没頭して胸を躍らせながらも、物語とそれを読んでいる自分が、奇妙にシンクロし始めていることに気づいていく。
「はてしない物語」の場面と、物置部屋でその物語を読んでいるバスチアンの場面が入れ替わりながら描かれていく。近くの塔の時計が打つ音でバスチアンは「現実」に引き戻されるのだけれど、読み手もそこで同じように「現実」に引き戻されている感覚 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好評と不評のレビューが極端なのを見て改めて感心。
ミヒャエル・エンデに生み出されし古典であり、駄作ではないのに、無条件でいいものともされない不思議。
読者と同じ土俵まで降りてきて、読者と本で取っ組み合いをし始める感じですよね。美しい世界のファンタジーのはずなのに、気軽には読み切らせてくれません。上下巻読み切るのに結局3日かかってしまいました。上巻は半日、下巻が2日半。
ファンタジー物で明確な悪役を作らず、勧善懲悪でなく話をまとめ上げた作品を他に知らず、ああ、これが空想の世界の現実、とノンフィクションを見る気持ちです。空想によって救われる生き物は空想によって苦しみ、欲しいと空想するものは毒であ -
Posted by ブクログ
時間って何だろう 恥ずかしいことに、この年齢になって初めてこの本を手にしてみた。愛読書にしている人も多い位に有名で、良書だということは聞いていたので、期待はしていたのだが、いい意味で期待を裏切られた。
もっと児童書っぽい、童話的な内容かと思っていたが、現代社会への風刺を含んだ社会性のある、だけど一方でワクワクさせてくれる、でも心温まる本当に素晴しい本だと思う。
昨今、働き方革命との掛け声の下、効率追求の風潮がもてはやされる社会だが、一歩間違えると決して人々の幸福につながっていかない状況に陥ってしまわないか、ふと考えさせられた。
自分の時間にもっと真剣に向き合いたいとも思わせてくれた。 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大切なことが数えきれないほどたくさん詰まっている!
・私たちがファンタージエンは虚偽だと思うことで人間界も含めた2つの世界は救えなくなる。
・人間は虚偽に支配されやすく、そのために生き物の命がむごい形で利用されてしまう。
・虚無の吸引力はすごくて、狂って飛び込んでしまいたくなるけど、アトレイユは自分の足で一歩ずつゆっくり遠ざかる。
・フッフールは幸福を信じて進むからこそたくさんのピンチを切り抜けられる。
・善悪・美醜・自分が耐えられること耐えられないこと、すべて区別しない幼心の君の強さと美しさ。
・自信がなくて重要なことに対して踏み出せないとしても、既にその渦中におり、逃げ出す道はない。
・解 -
-
-
-