上田真而子のレビュー一覧
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第二次世界大戦時のナチスドイツによるユダヤ人迫害をテーマにした作品は数多くありますが、その中でも読み継がれている名作の一つです。
ユダヤ人であるフリードリヒとその家族が住むアパートの階下に暮らすドイツ人の「ぼく」の視点から語られる日々の暮らしは、主人公が英雄的な活躍をするわけでもなく、迫害されるフリードリヒ一家の悲惨な状況を殊更に悲劇的に描こうとしているわけでもありません。
しかし、特にユダヤ人への憎しみを抱いているわけではない、「ごく普通」のドイツ人が、社会の大きなうねりと狂騒に呑み込まれていく様子が淡々と描かれることで、かえってその悲惨さが強調されているように感じます。
リヒターの三部作として岩波少年文庫で刊行されている残りの2冊もぜひ読んでおきたいと思います。 -
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なんと初出は1979。私が読んだのは1988年13歳、以来の再読、きっかけをくれた息子に感謝の大感動でした。これは、、、、記憶は前半のアトレーユがバスチアンを探索するところまでしかなかったけど、後半のバスチアンの冒険こそが主題なんだなと。ダークサイドに落ちて支配者になろうとし、叛乱を起こされて(しかもアトレーユ軍との戦い!)とか本当にマジな話で驚きながらの後半でした。そしてラストは、、、大人、特に息子の父となって読めて本当に良かった、死ぬまでに再読出来て良かったと心から思いました。願わくば、本物の『はてしない物語』、ハードカバーで読みたかった!
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すばらしかった。
ハイジがアルムに帰ってきてからの日々を描く下巻は、ずっと幸せな気持ちで読める。上巻でホームシックにかかり、一人で悩みを抱え込んでつらい日々を過ごしたハイジに寄り添ってきたからこそ、この下巻の喜びを満喫できる。
ハイジとクララを心から愛おしく思っている大人たちが本当に素敵で、この物語のいちばん好きなところはそうした大人たちの姿かもしれない。クララが歩けるようになることは文句なしに感動できるのだけれど、読んでいていちばん嬉しいのは、大人たちみんなが心の底から喜びを表している姿だった。アルムじいさん、ゼーゼーマン老婦人、ゼーゼマンさんと、順繰りに驚き、喜びを爆発させていく様子を読んでいると、みんなの喜びがどんどん自分の心にも押し寄せてくる。
子どもたちの世話を焼くことに精を出すアルムじいさんの優しさといい、罪を犯したペーターの苦悩に寄り添い、心に染み入るような話し方で穏やかに諭すゼーゼーマン老婦人といい、ハイジを「うちの子」だと表してくれるゼーゼマンさんといい、ハイジの第二の保護者であろうとするお医者さんといい、本当に信頼できる大人たちばかりだ。大人たち同士の、親しみがありながらも尊敬の念を表し合う関わり合いも好きだった。
ペーターのおばあさんが信仰をもつことで希望を失わずに生きている姿や、ゼーゼマン老婦人やその教えを受けたハイジがいつも神様に感謝しながら生きている姿を見ていると、人間の力の及ばない大きな存在を信じて謙虚に生きていくことの美しさを感じた。何事も自分の努力や力のように捉えてしまうのは傲慢だし、ちっぽけだなあ。 -
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アルムの美しい自然の中で、アルムじいさんと素朴な生活を送るハイジの喜びが、自分のことのように感じられて満ち足りた気持ちになった。高原や花々が夕陽に照らされて輝く景色を見たハイジの感動が忘れられない。
「岩にね、火がもえて、ばらがいっぱい。それから、青い花や、黄色の花。ほら、わたし、もって帰ったのよ。見て!」(76)とアルムじいさんに興奮して話すハイジが微笑ましい。その「夕方の火」がどこからくるのかをじいさんに尋ねたとき、「あれはお日さまがなさるんだ。山におやすみをいうとき、いちばんきれいな光を送ってこられる。あくる日の朝またのぼってくるまで、忘れられないようにな。」(78)と答えたじいさんもまた素敵だなー。
村の人々には無愛想で恐れられているアルムじいさんが、ハイジとの暮らしの中で見せる優しさにも胸が温まる。ヤギの乳やチーズのご馳走をつくったり、大工仕事をしてハイジの椅子をつくったり、ペーターのおばあさんの小屋を修理してやったり…。アルムじいさんも、ハイジと暮らすようになって、心に灯りが灯ったよう。それだけに、別離の悲しみは大きかった。
舞台は変わって、クララの家。常識のないハイジがさまざまな事件を巻き起こしながら楽しく過ごす様子が愉快だった。
意地の悪いロッテンマイヤーさんにうるさく言われるけど、ハイジ自身があまり気にしていないから深刻にならずに読める。しかも、ゼバスチャンやゼーゼマンさん、そしてクララのおばあさんが、ロッテンマイヤーさんをうまくやり込めてくれるので気持ちがいい。
クララのおばあさんはすばらしい人で、ハイジに本を読む喜びや神様に祈ることの大切さを教えてくれる。下巻では、ハイジがクララおばあさんに教えてもらったことを、アルムじいさんに伝えて、アルムじいさんをも変えていく。
クララがホームシックにかかるあたりから物語に深みが増す。自分によくしてくれるクララ家の人々に「アルムに帰りたい」なんて言うのは恩知らずではと悩み、誰にも打ち明けられないハイジの苦悩。幼い少女でありながら、優しいハイジだからこそ抱く苦しみに共感を抱き、アルムへ帰してあげたい気持ちが湧き上がってきた。
悩むハイジの心に土足で踏み込まず、「だれにもいえない悲しいことやこまったことがあったら、天の神さまに聞いていただくの。」と、誰かに打ち明けなくてもよい方法でハイジを支えようとするクララのおばあさんは本当にすばらしい。
夢遊病とホームシック両方に対する薬は、すぐに家に帰してあげることだと言い切ったお医者さんといい、医者の忠告を聞き入れたゼーゼマンさんといい、ハイジの人間性やロッテンマイヤーさんの振る舞いをすぐに見抜くおばあさんといい、ものわかりがよくて信頼の置ける大人が多くいる。だから、ハイジがつらい状況にいても、どこか安心して読むことができた。
ペーターのおばあさんやアルムじいさんとの再会の場面は本当に感動的で、胸がいっぱいになった。物語の序盤で「読むことができるようになればいいってねえ。あの上の棚にお祈りの本があってね、そのなかにいい歌がいくつもあるんだけど、わたしゃもう長いこと聞いてない。もうおぼえてもいないしねえ。」(99)と嘆くペーターのおばあさんの言葉が布石となっていて、下巻では読むことを学んだハイジがおばあさんに本を読んでやることができる。その本がおばあさんの心に希望を灯していくさまは心を打つ。
キリスト教の神様への信仰をもつことのすばらしさが感じられる。日本の子どもにはなじみがないかもしれないが、信仰をもつ人が、それゆえに前を向いて生きている姿を読めるのは意義深いと感じる。特に、ミッションスクールであるうちの学校の子どもたちには、ぜひ読んでほしい物語だと強く思った。 -
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本作の冒頭で、主人公の少年・バスチアンが「はてしない物語」をじっと見つめたときの彼のつぶやきは、本が好きな人なら誰でも一度は感じたことがあると思う。こんなに夢中になれる世界が、両手に収まるサイズに綴じられた「本」のなかに広がっているなんてすごいことだ。
物語の舞台となるファンタジーエン国を救うために選ばれた少年・アトレーユが、国をおかす「虚無」の原因をつきとめるべく、勇気と誠実な心をもって冒険をする。不思議であふれるファンタジーエンの景色や生き物が生き生きと、正体不明の虚無がじわりと迫る恐怖とともに描かれ、それを読み手であるバスチアンを通して私たちも物語の世界を体験する。
物語の世界と読み手の世界が交互に語られ、導かれるようにして世界が重なっていく上巻ラストの描写がどきどきぞわぞわする。一刻も早く下巻が読みたい。 -
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ネタバレ『物語は新しくても大昔のことを語ることができるのです。過去は、物語と共に成立するのです。』
『望みって、どこから起こってくるんだろう?望みって、いったいなんなんだろう?』
ファンタージエン国で過ごす中で、
人のため、自分のため、望みを叶えながら、
自分を失っていくバスチアン。
シュラムッフェンのことば。
『おれたちゃ命令がほしいのさ!指図してもらいたいのさ。強制してもらいたいのさ。禁止してもらいたいのさ!おれたちゃ、なんか意味のある生き方をしたいのさ!』
自分で考えるより、指示されたこと、良いと言われることををきちんとやっていると思えること、あるいはしてはいけないと言われることをしていないことの方が、楽なのかもしれないな。自分の生き方を、『正しいかどうか』という外からの見方で測れるから。
自分で考え選んで生きていくことって、
自己責任が伴うからつらいことでもあるし、
だからこそ自由で、とても幸せなことでもあるんだなぁと気付かされる。
バスチアンが全て失ってから気づいた
心からの願い。
あるがままに愛されたい。
誰かを愛したい。
これが少年文庫か...。
多分、大人になってから読んだ方が深く読み取れるけれど、子供の時に読んでいたら、大人になっても心に残ってる一冊になっていたと思う。ちょっとくやしい。笑 -
Posted by ブクログ
いじめられっ子のバスチアンは、いじめっ子たちから逃げるために飛び込んだ古本屋で一冊の本と出会う。本の中では勇者アトレーユが国を救うために旅を続けていたが……→
子供の頃にテレビで見た「ネバーエンディングストーリー」の原作だろうな?という気軽な感じで手に取ったんだけど……全然ちがーう!!あの映画は上巻にオリジナルエンディングをつなげた感じ?みたいで、物語としては序章やんってなった。
たぶん、これは下巻が本番。上巻は王道の冒険ファンタジーで
下巻がガチのガチなんよ(何が?と言われるとわからんが笑)
私はもうね、アイゥオーラおばさまと出会えただけでね、この物語を読んでよかったって思えたよ。おばさまの言葉は泣く!!人生後半戦の大人に響くぅぅぅー!!
児童書なんだけど、大人が読むともっと良いよこの物語は。ヤバい。