あらすじ
ヒトラー政権下のドイツ,人々は徐々に反ユダヤの嵐にまきこまれていった,子どもたちさえも…その時代に生き,そして死んでいったユダヤ少年フリードリヒの悲劇の日々を克明に描く.
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦前の1925年にドイツで生まれたドイツ人の“ぼく”とユダヤ人の幼馴染、フリードリヒとの日々を通じて当時のヒトラー政権下のドイツを描く作品。
これはできるだけ多くの人に読んで欲しい
当時のドイツにいるユダヤ人たちの状況がとてもリアルに描かれているのではないだろうか。
とてもつらい。つらいけど、きっとそうだったんだろうな、と思う。
訳者あとがきによると、著者はフリードリヒたちと同じ1925年生まれ。おそらく作品内のほとんどが著者自身が体験したことだろうと書かれている
120ページで主人公の父が、フリードリヒの父親であるシュナイダーさんに「(中略)早く、でておいきなさい!」と言うシーンがあるんだけど、もうね、これが全てなんよ……主人公一家含むドイツ人たちが今まで共に生きてきた大切なユダヤ人たちに言える唯一の言葉なんよな……。
ほんと、戦争は嫌だ。
Posted by ブクログ
『ベルリンは晴れているか』を読んだのでドイツ人だって辛いんだというのを感じた。
それでもやっぱりユダヤ人は、そんな目にあう必要はないのに酷過ぎる。
嬉しそうに迫害出来る人たちの感覚を疑うと思ったが
こういう人、日本にもゴロゴロいたわと思い直した。
人ってそういうものだよね、でもそれで終わりにしちゃいけない
というのを改めて思った。
Posted by ブクログ
いやこれは……。普通の生活を刻々と蝕む戦争の影。「ぼく」がヒーローではなく、時々は他のドイツ人と一緒になりユダヤ人を囃す描写があるのもまたリアル。「わからない。ぼくはどうしたらいいのか。わからない!」には誰もが共感するのでは。
Posted by ブクログ
街の普通の日常を暮らす人々が差別意識をあらわにして残虐な行為へとエスカレートしていく様子がリアルで本当に怖かった。
主人公も必ずしも善であるわけではなく、分別のつかない衝動的な子供は軽い気持ちで暴力的な行為を面白がったり大人に従ったりしてしまう。
人間の負の側面がリアルに描かれていると思った。
私事だけど、住んでるマンションの住人も最近挨拶してもすごく無愛想でゴミを捨てるような返事しか返さないような人が増えてきて、そういう小さな、他人を粗末に扱うことの延長に差別や負の行動があるように思えてとても乾いた気持ちになる。
怖いなあと思う。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦時のナチスドイツによるユダヤ人迫害をテーマにした作品は数多くありますが、その中でも読み継がれている名作の一つです。
ユダヤ人であるフリードリヒとその家族が住むアパートの階下に暮らすドイツ人の「ぼく」の視点から語られる日々の暮らしは、主人公が英雄的な活躍をするわけでもなく、迫害されるフリードリヒ一家の悲惨な状況を殊更に悲劇的に描こうとしているわけでもありません。
しかし、特にユダヤ人への憎しみを抱いているわけではない、「ごく普通」のドイツ人が、社会の大きなうねりと狂騒に呑み込まれていく様子が淡々と描かれることで、かえってその悲惨さが強調されているように感じます。
リヒターの三部作として岩波少年文庫で刊行されている残りの2冊もぜひ読んでおきたいと思います。
Posted by ブクログ
間違いなく
次の世代に いや 全ての世代に
手渡し、語り継がねばならない一冊
あの悲惨な時代、
被害者としての日本を描いた
ものは数あれど、
アジアの人たちに対しての
加害者としての日本を
日本人の少年の視点から描いた
児童文学が極端に少ないのだろう
と 読み返すたびに
思ってしまう一冊でもあります。
Posted by ブクログ
事実を押さえた筆致で綴る。筆者リヒテルがフリードリッヒと過ごし、関わった17年はモノクロで再現され、取り囲む景色、人々、会話が再現される。
善悪を語るのではなく、これを読んだ人間がどう感じ、どう捉えたか、それぞれの胸に手を置いて考える事を突き付けられる。
ナチスモノを始めて読んだのは14歳の時の「アンネの日記」
日本でぼちぼちナチスの罪状に陽が当てられたころで私の頭では余りの惨さに現実味を感じられず、咀嚼できていなかった・・そして子供等と見た「シンドラーのリスト」・・無論彼彼女らは無言のうちに感想すら吐けなかった。
子育てに段落が付き、仕事の合間にナチスモノを読み続けて来た。。読むことは人類である以上、現代人の義務として。永遠に読み続けられねばならないと考える。
ヒトラーの身にスポットが当たっていた初期と異なり、彼を支持した当時の独社会、市井の人々、己の生活を守るためには【仕方なかった】という空気。自分ならどうしたか・・命を賭してユダヤの人々を守るだろうか。
今でもユダヤ人と彼らが紀元前より合った立ち位置~それは宗教的なことに収斂されているともいえ、理解できない・・永久に。
日本人として理解できているという方が薄っぺらい考えだとも思う。
しかし、普遍的に考え、バイアス的思考の怖さ、右向け右という短絡的思考、ひとの尊厳を奪い踏みにじる存在だけはいかに卑しいかを語り伝えたい。
孫に?それは難しいだろう・・基本的に読み物、その受けとめ方を強いると言うのは好まない。
Posted by ブクログ
悲しいお話だった。特に最後のフリードリヒが蹴られて死ぬところは「僕」たちが自分の身を守る為に何もできずにただ見ているだけだったので辛いなぁと思った
Posted by ブクログ
ナチスによるユダヤ人の迫害。
市井の人々の目線で描かれるとまた違う迫力がある。
進んで暴力に加わるもの、躊躇いながらもその力に陶酔してゆく者、抗い信念を貫こうと苦しむ者。
岩波少年文庫、大人の胸にも強く残る作品だった。
Posted by ブクログ
2021年のオリンピック演出(演出家が過去ホロコーストをネタにした)といい、日本人は今一度世界が抱える歴史にしっかり向き合うべきだと考える!!!
この本を読んで、演出家の方は当時の状況を面白おかしくネタにしようとは絶対に思わないはずだ。
当たり前の日常から、少しずつ迫害を受けていく生々しい状況をこの本で感じ取れるだろう。主人公は1番側にいて大親友の友達を最後まで守りきれなかった歯痒さを見てて感じた。
皆に一度は必ず読んで欲しい一冊!!!
Posted by ブクログ
読みながら苦しかった。読み進めるうち、徐々に苛烈になっていくユダヤ人迫害。深くなっていくフリードリヒ一家の絶望。シュナイダーさんの、ユダヤ人への迫害が20世紀という理性ある時代にもなって、そこまで酷いものにはならないだろうという期待に、胸が詰まった。どうしてこんな結末にならなければならなかったのだろうと思いながら、これが現実にいくつもあった出来事の一つなのだと思うと、頭が痛かった。アンネの日記とか戦争関係のものはいくつか読んで知ってたのにね。でも読んでよかった。
著者自らの経験をつづった3部作ということで、他の2作品もゆっくり読もうと思う。
ユダヤの文化について注付きで細やかに書かれていて面白かった。
Posted by ブクログ
人間て、自分が苦しい状況になった時、他者を見下したり攻撃したりしたくなるのか。
冷静に善意(いや、普通)の感覚を持っている人がいても、それを貫けない世の中になってしまう。
だから、少なくとも、周りに流されるんじゃなく、自分の頭で考えられるようにしたい。
Posted by ブクログ
さまざまな出来事が時系列で進んでいく。
リヒターの作品3作目にして初めて一気に読みきりました。ノンフィクションが好きなせいかもしれません。あとがきにも「おそらくこの作品のほとんどが著者自身の体験、少なくとも自分の眼で見、耳で聞いたことだろうと思います」とあるので。
アンネの日記があまりにも有名ですが、これもまた、誰もが読んでおく(知っておく)べき本ではないでしょうか。
Posted by ブクログ
ハッピーエンドが好きです。登場人物のがんばりが報われる物語が好きです。しかし世の中そんな話ばかりでないことも知っています。
戦時中のドイツでの物語。ドイツ人のぼくが見た友人のユダヤ人フリードリヒの生涯。ユダヤ人迫害の様子が、ドイツ人の目から淡々と描かれています。
つらい展開が見えているため、手に取ることを躊躇していました。思い切って読んでみると、静かな文章がスルリと胸に迫り、つらさに目を背けることなく読むことができました。重い内容のものを読ませることができるのも小説の力なのでしょう。
まだ平和だった幼年期から書かれているため、世の中の変わりようがはっきりと感じられます。
徐々におかしな方向へと進む社会。気が付けば暴動に参加していたことへの恐怖。差別意識が日常化する怖さ。友人を救いたいのに救えない無力感。
これは昔あるところであったことだけでは括れない問題でしょう。現代の日本でも大きな問題として存在するでしょう。
ぼくの感情描写を表立たせないことにより、読み手に考える余白が与えられます。
Posted by ブクログ
・教科書には「ベンチ」の一部しか掲載されていないので、通して読めてよかった。
・児童向けではあるが、ユダヤ人が置かれた状況をよく理解できて読みやすい。フリードリヒは架空の人物ではあるが、当時彼のような人々がたくさんいたのだと思うと胸が苦しくなる。
Posted by ブクログ
同じアパートで兄弟のように育ったユダヤ人のフリードリヒとドイツ人のぼく。しかし時代はナチの時代。ごく一般人でもユダヤ人を排斥していく。それはまるで狂気。最後に空襲されて怖いから防空壕に入れてほしいと泣き叫ぶフリードリヒを拒絶したシーンがなかなか衝撃的だった。まだ子どもを空襲の最中に放り出すなんて…ユダヤ人がどうしてここまで憎まれるのか、よく分からない。当たり前のようにユダヤ人を排斥していく空気に胸がヒヤリとする。
Posted by ブクログ
不況で父が失業中のドイツ人少年「ぼく」と父が郵便局員で安定した生活を送るユダヤ人少年フリードリヒ。2人は同じアパートで誕生日も1週間違い。貧しいぼくにフリードリヒはこだわりなくおやつなどを分け家族ぐるみで仲良し。ヒトラーが台頭してきて失業から脱しナチスを支持するようになる大人たち。ヒトラーユーゲントに憧れるこどもたち。
振り返って見ると極端でとんでもないことなのに、じわじわとユダヤ人への迫害が強まっていく流れが恐ろしい。
三部作のようなので残りの2作も読もうと思う。
Posted by ブクログ
心が痛い、そして重い
人間って本当に残酷だ……
出来事だけで淡々と進んでいくだけに、色々想像したり、感情を巡らしたり、と様々考えさせられる
読む度に違う受け取りが出来そう
心身共に元気な時に読んだ方がいいかも知れない
ただ人生で一度は読むべき大切な作品だと思った
ユダヤ教の家庭の様子が少し垣間見れて勉強になった
信仰、宗教ってなんなんだろうなぁ~
Posted by ブクログ
戦争について考える夏。
中1国語教科書掲載「ベンチ」の全文。
「ベンチ」だけではわからなかったことたくさんのことが、わかる。フリードリヒが抱えていたものの大きさと理不尽さを思う。そして、フリードリヒとその一家を守ろうとした人々がいたことも。
戦争は日常を蝕む。
Posted by ブクログ
この本はノンフィクションという分類の児童文学、作者のリヒターが子供の頃の事実を物語風に描いた作品。
作者リヒターの友達のフリードリヒが、ユダヤ人であることだけで、迫害を受け17歳で殺されてしまう。なんとも不条理な物語。
記録は1925年からはじまり1942年で終わる。
68歳の私が読むのに適した本かというと、そうではない気がする。
私のサラリーマン人生で、申し訳ないが「ナチス側」につくことはよくあることだったし、それに、あらすじは知っていたのでストーリーの新鮮味がなかった。
やはり、私には児童文学に対して免疫ができてしまっているのか、体温が上がらなかった。中学生ぐらいが読む適齢期では?
この本は河合隼雄さんのいろいろな著書で、紹介さている。たとえば、「子どもの宇宙」「うさぎの穴からの発信」など
Posted by ブクログ
戦間期、ハイパーインフレがようやく収束しつつあったドイツ。同じアパートに住む同い年の「ぼく」とユダヤ人のフリードリヒは、時に喧嘩もしながらともに少年時代を過ごす。
ナチスによるホロコーストが激化する以前から、ヨーロッパには歴史的・宗教的な背景によるユダヤ人に対する潜在的な差別意識が存在していた。しかし、ぼくとその両親は、フリードリヒたちシュナイダー家と分け隔てなく親しく付き合っていた。
だが戦争が始まるとそれが少しずつ、街の中から変わっていく。ユダヤ人の店への嫌がらせ、経済的な背景も手伝っての露骨な排斥、学校からの排除。特に、フリードリヒの転校のところは先生の温かい言葉とその直後の行動の対比が衝撃的だった。
シュナイダー家が追い詰められていく一方で、ナチ党員になったぼくの父の待遇がどんどんよくなっていくところにも、社会が分断される生々しさが表れている。
ぼくにとってフリードリヒは変わらず友達なはずなのに、次第に表立っての付き合いができなくなってしまう。自分の家族を守るため、結局シュナイダー家を守ることができないやるせ無さ。抑圧された一人一人が、こんな地獄を味わったということを思うとそれだけで苦しくなる。
この悲劇はいつの時代のどこの場所でも起こりうるのではないかという恐怖を感じずにはいられない。
Posted by ブクログ
歴史が繰り返されるのであれば、戦争も繰り返される。今の日本では考えも及ばないようなことが、ユダヤ人に対して普通に行われていたことを、若い人たちは特に知っておくべき。
Posted by ブクログ
物語調に書かれたヒトラー政権時代の話、フリードリヒが実在したかは不明だけど同じような経験をした人が沢山いるのだろうなと思うとただの小説の感想だけじゃなくてもっと何が起きたのか知りたくなる何故あんなことになったのか、
幸せな生活から徐々に不穏な空気感になっていくのが生々しかった
Posted by ブクログ
ヒトラー統治下のドイツ。同じアパートに住むユダヤ人の善良な一家、一家の息子であるフリードリヒの辿る運命を主人公の目線から描いた作品。日常の中に人種差別、ユダヤ人迫害の影が徐々に忍び寄り、やがては実際に血や破壊を伴う暴力的なうねりとなっていく様子が恐ろしい。今の時代を生きる私たちも同じことを繰り返してはいないかと問いたくなる一冊。
Posted by ブクログ
ヒトラー政権下ドイツの話は本当にしんどい。
こんな残酷なことがよくできるなと思うけど、日常に少しずつくい込んでいくからなのかもしれない。
作中ほぼ善良な主人公も一度熱に浮かされたように自然にユダヤ人寮の破壊に加わっているのが印象的。
集団心理ってそういうものなんだろうなあと思う。
この本は注釈が丁寧で、ユダヤの文化のことが知れたのがすごく良かった。
Posted by ブクログ
再読したくて、読書会テキストとして採用したもの。見送らず、このタイミングで読んでおいてよかった。しかしながら、一度読んでいるはずだが、その記憶が見当たらない。衝撃で封印されてしまったのか。読み終えて、ただただ痛切な思いしかない。戦争を起こさない・起こさせないこともまた、「責任」の果たし方かもしれない。
Posted by ブクログ
当時のユダヤ人差別が過激化する中で、ユダヤ人の信仰がどのように機能したかについてを調べる過程で本書を読む。事実を基にしているため、とても参考になった。
フリードリヒの父シュナイダーが、早く国を出ていった方が良いと忠告するハンスの父に対して言った言葉が心に残った。
「われわれに対する偏見というのは、もう二千年もの昔からあるんです。その偏見が、半生紀そこそこ無事だった共同生活で、たちまち消えてしまうとは、誰も期待できません。われわれユダヤ人は、それはもう、あきらめなきゃならないんです。この偏見は、中世なら、ユダヤ人にとって命の危険を意味していましたよ。しかし、人間は、その間に、少しは理性的になったでしょうからね。」
当時も今と同じような理由からの楽観がユダヤ人の中にもあったこと。また、当時だってユダヤ人に同情を示す人はいた、またそのような人が加害者になってしまう場合もあったということも窺い知れる。恐ろしい本。
Posted by ブクログ
教育出版の中学一年生国語教科書に載っている『ベンチ』。その全体が知りたくて、やっと読んだ。もっと早く全部読むんだった。
「ぼく」はどこにでもいるドイツ少年なのだろうし、「フリードリヒ」もどこにでもいるドイツ少年(ただしユダヤ教徒)なのだろう。
レッシュ氏も、「ぼく」の両親も、ヘルガも。
Posted by ブクログ
戦争をほとんど描かない、日常の悲劇です。
第二次世界大戦、とりわけユダヤ人の迫害をテーマにした本と聞くと、読まずにはいられません。特に今回は大学時代の先輩のおすすめの一冊とのこと。すぐに手に入れて読んでしまいました。
歴史的に言えば、ある民族の迫害は枚挙に暇がありません。チェコスロバキア、フィリピン、インド。世界中で似たような出来事が起こっています。
その中でもドイツ、ユダヤ人差別に目が向いてしまう理由は、その悪行がポピュリズムに直接起因するのではなく、ひとりの独裁者による扇動だったこと。また、その恐るべき用意周到さに驚かされるからです。
悪意とはここまで人を不幸にできるのです。
今回の本は、そういったテーマの中でも少し異色かもしれません。
戦争中でありながら、戦争自体の描写は少ない。遠くに聞こえる軍靴の足音を聞きながら、まだ残る日常生活のモラルが少しずつ崩れていく。人間関係が直線的ではなく、うねるようにおかしくなっていく描写に、思わず唸ります。
題名の通り、この作品にはフリードリヒという少年、ユダヤ人が登場します。ですが、彼は主人公ではありません。彼のドイツ人の親友の目線で、彼と、その家族が巻き込まれる迫害の嵐が描写されます。
ユダヤ人とドイツ人の友達関係、これだけ聞くと手塚治虫の「アドルフに告ぐ」を思い出します。あの作品も子供時代の親友関係が、ユダヤ人迫害を通じて崩れていく物語でした。
最後に、この話を読んでみて印象的だった部分をお伝えします。それは、登場人物の発言から垣間見える動機、時にはダブルスタンダードと呼ばれるものです。
ユダヤ人迫害という表の行為に対して、当事者であるドイツ人達が、どんな背後関係でもっていたのか。
その表現が素晴らしい作品でした。
国が決めたことだから、盲目的に信じる。昨日までの隣人はもはや唾棄すべき劣等民族と足早に考えを変える人々。
隣人としてユダヤ人と関係を保ちたいが、家族を養うため、仕事を得るために仕方なくナチスに入党する父。
そして、フリードリヒを面前で鼓舞し、励ましながら、同じ口で学校を退学させ「ハイル、ヒトラー!」と敬礼する教師。
作中に描かれる人々がどんな思いをもってユダヤ人を傷つけたのか。
いわゆる戦記ものでは語られない心の機敏に触れられる作品でした。
最後、フリードリヒに起きる出来事も考えさせられます。
同じ場所にもし居合わせたら何を言えるのか?
同じ場所で、妻子の隣から、彼らを蛮行を非難する勇気はあるのか?
答えは想像出来ますが、、、
ここでは書かないことにします。
きっと後悔する事になる、恥ずかしい判断をするでしょうから。
あの日のフリードリヒは、私たちの弱さをさらけ出す悲劇の主人公に違いありません。