【感想・ネタバレ】あのころはフリードリヒがいたのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年04月12日

事実を押さえた筆致で綴る。筆者リヒテルがフリードリッヒと過ごし、関わった17年はモノクロで再現され、取り囲む景色、人々、会話が再現される。

善悪を語るのではなく、これを読んだ人間がどう感じ、どう捉えたか、それぞれの胸に手を置いて考える事を突き付けられる。
ナチスモノを始めて読んだのは14歳の時の「...続きを読むアンネの日記」
日本でぼちぼちナチスの罪状に陽が当てられたころで私の頭では余りの惨さに現実味を感じられず、咀嚼できていなかった・・そして子供等と見た「シンドラーのリスト」・・無論彼彼女らは無言のうちに感想すら吐けなかった。

子育てに段落が付き、仕事の合間にナチスモノを読み続けて来た。。読むことは人類である以上、現代人の義務として。永遠に読み続けられねばならないと考える。

ヒトラーの身にスポットが当たっていた初期と異なり、彼を支持した当時の独社会、市井の人々、己の生活を守るためには【仕方なかった】という空気。自分ならどうしたか・・命を賭してユダヤの人々を守るだろうか。

今でもユダヤ人と彼らが紀元前より合った立ち位置~それは宗教的なことに収斂されているともいえ、理解できない・・永久に。
日本人として理解できているという方が薄っぺらい考えだとも思う。

しかし、普遍的に考え、バイアス的思考の怖さ、右向け右という短絡的思考、ひとの尊厳を奪い踏みにじる存在だけはいかに卑しいかを語り伝えたい。
孫に?それは難しいだろう・・基本的に読み物、その受けとめ方を強いると言うのは好まない。

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Posted by ブクログ 2022年05月02日

悲しいお話だった。特に最後のフリードリヒが蹴られて死ぬところは「僕」たちが自分の身を守る為に何もできずにただ見ているだけだったので辛いなぁと思った

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Posted by ブクログ 2021年12月31日

ナチスによるユダヤ人の迫害。
市井の人々の目線で描かれるとまた違う迫力がある。
進んで暴力に加わるもの、躊躇いながらもその力に陶酔してゆく者、抗い信念を貫こうと苦しむ者。
岩波少年文庫、大人の胸にも強く残る作品だった。

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Posted by ブクログ 2021年11月25日

2021年のオリンピック演出(演出家が過去ホロコーストをネタにした)といい、日本人は今一度世界が抱える歴史にしっかり向き合うべきだと考える!!!


この本を読んで、演出家の方は当時の状況を面白おかしくネタにしようとは絶対に思わないはずだ。

当たり前の日常から、少しずつ迫害を受けていく生々しい状況...続きを読むをこの本で感じ取れるだろう。主人公は1番側にいて大親友の友達を最後まで守りきれなかった歯痒さを見てて感じた。

皆に一度は必ず読んで欲しい一冊!!!

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Posted by ブクログ 2021年07月16日

読みながら苦しかった。読み進めるうち、徐々に苛烈になっていくユダヤ人迫害。深くなっていくフリードリヒ一家の絶望。シュナイダーさんの、ユダヤ人への迫害が20世紀という理性ある時代にもなって、そこまで酷いものにはならないだろうという期待に、胸が詰まった。どうしてこんな結末にならなければならなかったのだろ...続きを読むうと思いながら、これが現実にいくつもあった出来事の一つなのだと思うと、頭が痛かった。アンネの日記とか戦争関係のものはいくつか読んで知ってたのにね。でも読んでよかった。
著者自らの経験をつづった3部作ということで、他の2作品もゆっくり読もうと思う。
ユダヤの文化について注付きで細やかに書かれていて面白かった。

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Posted by ブクログ 2021年06月26日

人間て、自分が苦しい状況になった時、他者を見下したり攻撃したりしたくなるのか。
冷静に善意(いや、普通)の感覚を持っている人がいても、それを貫けない世の中になってしまう。
だから、少なくとも、周りに流されるんじゃなく、自分の頭で考えられるようにしたい。

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Posted by ブクログ 2021年01月31日

さまざまな出来事が時系列で進んでいく。
リヒターの作品3作目にして初めて一気に読みきりました。ノンフィクションが好きなせいかもしれません。あとがきにも「おそらくこの作品のほとんどが著者自身の体験、少なくとも自分の眼で見、耳で聞いたことだろうと思います」とあるので。

アンネの日記があまりにも有名です...続きを読むが、これもまた、誰もが読んでおく(知っておく)べき本ではないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2019年06月25日

小学生の時に読んだが再読。
フリードリヒを、どこか遠くの昔の誰かとしか捉えられなかった昔とくらべて、今はもっと身近に感じられ、残酷すぎて読むのが辛かった。
主人公が集団心理に負けてユダヤ人の家を襲うシーンが強烈に怖かった。

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Posted by ブクログ 2018年01月04日

ドイツがナチスの指導の元第二次世界大戦へと進む中で、ドイツ人の「ぼく」が隣人、そしてユダヤ人のフリードリヒとの交流を日記にして当時の時代を描いた作品。
中学生のころ一編が教科書に掲載されており、当時読んだが、20数年の時を経て、古本屋で三部作で販売されているのを見て再読。そしたら最初は辛くて読めなか...続きを読むった。
「ぼく」はフリードリヒ一家と近所づきあいしていたが、数々のユダヤ人迫害政策により、社会全体(国からご近所さんまで)がユダヤ人迫害に動く様が分かる。その中でも「ぼく」の家庭を含めてユダヤ人を守る、というより隣人愛からユダヤ人迫害に加担しない人々がいたことも記されているが、もしかしたら、作者の後悔に伴う懺悔なのかもしれない。
「ぼく」の父親は可能な限りフリードリヒ一家を助けるが、その父も職のためにナチス党員になっている。
当時のドイツにおけるユダヤ人のあり様が分かる作品。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年11月05日

触れたくない思いで来てしまったナチスとユダヤ人の話。
児童書ということで。
児童書だからこそよけいに痛々しく感じる。
反対に子供にもナチスの考えが洗脳されてゆく過程がわかって恐ろしい。

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Posted by ブクログ 2017年10月22日

ナチスの負の部分、加害者としてのドイツについてじっくり学ぶドイツ。
映画「シンドラーのリスト」を観たり、この小説を読んだりする。それは悲劇を繰り返さないため。これに尽きる。ドイツ人のコラムニストの記事に触れこの本を再度読んでみた。

翻って昨今の日本はどうだろうか。
日本の加害の部分に触れる物語より...続きを読む、被害の部分に触れる物語が増えているような気がする。
加害の部分に触れすぎて、自国にネガティブな感情を持ちすぎるのも考えものだけど、ドイツのように自国の負の部分を常に振り返る習慣は見習いたい。
戦後生まれの人が増えている今だからこそ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年08月27日

社会、戦争、宗教、子ども、大人、恋愛、教育。
淡々とした語りが色んなことを考えさせてくれる。
お涙頂戴のストーリーではなく、どこまでも現実的。

巻末の小話も胸に響いた。
「ドイツの店員が(訳者に)この本をすすめてくれた。」
この事実は、とても大きな意味がある。泣きそうになる。

日本はどうだろう。...続きを読む自分はどうだろう。
過去と向き合えているだろうか?
将来、自分の子どもにも読んでほしい一冊。

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Posted by ブクログ 2017年06月23日

ずっと本棚にあったので、てっきり読んだと思っていたけど読んでいなかった。(←と思っていたんだけど、2000年ごろの読書日記読み返したら、読んでた(^_^;; 読んだことすら忘れるって、読書の意味あるんかいな。)

思ったより淡々と描かれているけど、それだけにいっそう、刻々と状況が悪化するありさまが伝...続きを読むわってきて、背筋が寒くなる。36年に主人公「ぼく」のお父さんは、シュナイダーさんに亡命するようはっきりすすめたけど、そのときはまだシュナイダーさんは、状況が好転すると信じていたのね。
アインシュタインは、その3年前、ヒトラーが首相になった33年にアメリカに亡命している。たぶんこのころから国外へ逃れるユダヤ人は増えていたんじゃないだろうか。でもシュナイダーさんも言うとおり、行った先で受けいれられる保証もないし、まして、つてもなければ脱出することもかなわなかっただろう。

子どものころは、ドイツ人によるユダヤ人迫害の話を聞いて、どうして人間が人間にそんなことをできるんだろうと単純に思ったけど、今、ネットなどにあふれるヘイトを見ていると、この世界がぜんぜん遠くないことに気づいてがく然とする。(しかも、迫害されていた当のユダヤ人――イスラエル――も、パレスチナでは迫害するほうにまわったりしている。)

どうやったら人間は、憎み合いをやめられるんだろう。
むりなのかな。
でも、国家が主導するようになったらほんとにおしまい。その最後の一線だけはぜったいに越えてはならないと強く思った。

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Posted by ブクログ 2015年09月07日

読み終わった後も心にしこりが残っている気がする。
読書感想文ででた課題がこの本だったのだが、子供でもわかるような悪い事を淡々と綴っていたのが印象にのこっている。
特に、「僕」がユダヤ人の工場にあるものを破壊するシーンを読んでいて、「僕」が集団心理に惑わされてしまったのではないかということと、自分だっ...続きを読むたらどうなるかを考えて背すじが凍ったようになった。
とても胸が痛くなる本だった

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Posted by ブクログ 2015年08月30日

ハッピーエンドが好きです。登場人物のがんばりが報われる物語が好きです。しかし世の中そんな話ばかりでないことも知っています。

戦時中のドイツでの物語。ドイツ人のぼくが見た友人のユダヤ人フリードリヒの生涯。ユダヤ人迫害の様子が、ドイツ人の目から淡々と描かれています。
つらい展開が見えているため、手に取...続きを読むることを躊躇していました。思い切って読んでみると、静かな文章がスルリと胸に迫り、つらさに目を背けることなく読むことができました。重い内容のものを読ませることができるのも小説の力なのでしょう。

まだ平和だった幼年期から書かれているため、世の中の変わりようがはっきりと感じられます。
徐々におかしな方向へと進む社会。気が付けば暴動に参加していたことへの恐怖。差別意識が日常化する怖さ。友人を救いたいのに救えない無力感。
これは昔あるところであったことだけでは括れない問題でしょう。現代の日本でも大きな問題として存在するでしょう。
ぼくの感情描写を表立たせないことにより、読み手に考える余白が与えられます。

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

この本はノンフィクションという分類の児童文学、作者のリヒターが子供の頃の事実を物語風に描いた作品。
作者リヒターの友達のフリードリヒが、ユダヤ人であることだけで、迫害を受け17歳で殺されてしまう。なんとも不条理な物語。
記録は1925年からはじまり1942年で終わる。

68歳の私が読むのに適した本...続きを読むかというと、そうではない気がする。
私のサラリーマン人生で、申し訳ないが「ナチス側」につくことはよくあることだったし、それに、あらすじは知っていたのでストーリーの新鮮味がなかった。
やはり、私には児童文学に対して免疫ができてしまっているのか、体温が上がらなかった。中学生ぐらいが読む適齢期では?

この本は河合隼雄さんのいろいろな著書で、紹介さている。たとえば、「子どもの宇宙」「うさぎの穴からの発信」など

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Posted by ブクログ 2024年03月20日

戦間期、ハイパーインフレがようやく収束しつつあったドイツ。同じアパートに住む同い年の「ぼく」とユダヤ人のフリードリヒは、時に喧嘩もしながらともに少年時代を過ごす。
ナチスによるホロコーストが激化する以前から、ヨーロッパには歴史的・宗教的な背景によるユダヤ人に対する潜在的な差別意識が存在していた。しか...続きを読むし、ぼくとその両親は、フリードリヒたちシュナイダー家と分け隔てなく親しく付き合っていた。
だが戦争が始まるとそれが少しずつ、街の中から変わっていく。ユダヤ人の店への嫌がらせ、経済的な背景も手伝っての露骨な排斥、学校からの排除。特に、フリードリヒの転校のところは先生の温かい言葉とその直後の行動の対比が衝撃的だった。
シュナイダー家が追い詰められていく一方で、ナチ党員になったぼくの父の待遇がどんどんよくなっていくところにも、社会が分断される生々しさが表れている。
ぼくにとってフリードリヒは変わらず友達なはずなのに、次第に表立っての付き合いができなくなってしまう。自分の家族を守るため、結局シュナイダー家を守ることができないやるせ無さ。抑圧された一人一人が、こんな地獄を味わったということを思うとそれだけで苦しくなる。
この悲劇はいつの時代のどこの場所でも起こりうるのではないかという恐怖を感じずにはいられない。

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Posted by ブクログ 2023年10月08日

歴史が繰り返されるのであれば、戦争も繰り返される。今の日本では考えも及ばないようなことが、ユダヤ人に対して普通に行われていたことを、若い人たちは特に知っておくべき。

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Posted by ブクログ 2023年04月29日

凄く考えさせられる内容です。
どれだけ年月重ねても絶えることのない、差別、暴力、迫害などの歴史は悲しくなります。

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Posted by ブクログ 2023年04月27日

物語調に書かれたヒトラー政権時代の話、フリードリヒが実在したかは不明だけど同じような経験をした人が沢山いるのだろうなと思うとただの小説の感想だけじゃなくてもっと何が起きたのか知りたくなる何故あんなことになったのか、
幸せな生活から徐々に不穏な空気感になっていくのが生々しかった

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Posted by ブクログ 2022年12月12日

ヒトラー統治下のドイツ。同じアパートに住むユダヤ人の善良な一家、一家の息子であるフリードリヒの辿る運命を主人公の目線から描いた作品。日常の中に人種差別、ユダヤ人迫害の影が徐々に忍び寄り、やがては実際に血や破壊を伴う暴力的なうねりとなっていく様子が恐ろしい。今の時代を生きる私たちも同じことを繰り返して...続きを読むはいないかと問いたくなる一冊。

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Posted by ブクログ 2022年12月01日

ヒトラー政権下ドイツの話は本当にしんどい。

こんな残酷なことがよくできるなと思うけど、日常に少しずつくい込んでいくからなのかもしれない。
作中ほぼ善良な主人公も一度熱に浮かされたように自然にユダヤ人寮の破壊に加わっているのが印象的。
集団心理ってそういうものなんだろうなあと思う。

この本は注釈が...続きを読む丁寧で、ユダヤの文化のことが知れたのがすごく良かった。

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Posted by ブクログ 2022年06月11日

再読したくて、読書会テキストとして採用したもの。見送らず、このタイミングで読んでおいてよかった。しかしながら、一度読んでいるはずだが、その記憶が見当たらない。衝撃で封印されてしまったのか。読み終えて、ただただ痛切な思いしかない。戦争を起こさない・起こさせないこともまた、「責任」の果たし方かもしれない...続きを読む

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Posted by ブクログ 2023年04月24日

当時のユダヤ人差別が過激化する中で、ユダヤ人の信仰がどのように機能したかについてを調べる過程で本書を読む。事実を基にしているため、とても参考になった。
フリードリヒの父シュナイダーが、早く国を出ていった方が良いと忠告するハンスの父に対して言った言葉が心に残った。
「われわれに対する偏見というのは、も...続きを読むう二千年もの昔からあるんです。その偏見が、半生紀そこそこ無事だった共同生活で、たちまち消えてしまうとは、誰も期待できません。われわれユダヤ人は、それはもう、あきらめなきゃならないんです。この偏見は、中世なら、ユダヤ人にとって命の危険を意味していましたよ。しかし、人間は、その間に、少しは理性的になったでしょうからね。」
当時も今と同じような理由からの楽観がユダヤ人の中にもあったこと。また、当時だってユダヤ人に同情を示す人はいた、またそのような人が加害者になってしまう場合もあったということも窺い知れる。恐ろしい本。

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Posted by ブクログ 2020年12月26日

教育出版の中学一年生国語教科書に載っている『ベンチ』。その全体が知りたくて、やっと読んだ。もっと早く全部読むんだった。

「ぼく」はどこにでもいるドイツ少年なのだろうし、「フリードリヒ」もどこにでもいるドイツ少年(ただしユダヤ教徒)なのだろう。
レッシュ氏も、「ぼく」の両親も、ヘルガも。

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Posted by ブクログ 2019年08月14日

もう声が出ない。
そういう本。

人生のどこかで絶対に読むべき本だと思う。

日常のなかにこんなふうに戦争が挟まれていくんだ、と背筋が冷える。
戦争がおこると、昼が夜になり、人間が化け物になる、という詩を思い出した。
人間はこんなふうに狂っていくんだ。集団の力とは恐ろしい。

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Posted by ブクログ 2018年04月15日

ユダヤ人に悪い人はいないのか?と、ユダヤ人が迫害されたという話を読むにつけ、疑問に思う事はないんかとも思う。話の持ってき方の都合もあって、99%良い人だし。
と言っても別にユダヤ人にどうこう言うところがあるわけではなく、この手の話にはやっぱり迫害される善人と迫害する悪人、っていう設定が分かりやすくて...続きを読む、こりゃ水戸黄門を見るにつけても、古今東西変わらぬ心理ですな。
そしてなかなかに道徳本として興味深いネタがいっぱい転がっているんで、子どもらに読ませてモヤモヤさせるのにうってつけ。ユダヤ人は迫害されてるけど、それはユダヤ人が他民族より優れているからなのだ、とユダヤ人ラビに言わせてみたりするあたり、一筋縄ではいかない。でも道徳の本って大概そうやね。そして世の中ほとんどグレイで白黒つかんのよ、ってのを教わるのに、世の中は白黒つけさせられる事ばかりで、これがまた、甘くないわ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年02月02日

ああひどいひどい
わたしこれ読んだことなかったんだなー読んだことあるけど忘れてるだけかと思った

生まれたときから仲良しの同じアパートに住むフリードリヒとともにすごした少年時代
それはちょうどナチスによるユダヤ人迫害がはじまって頃・・
ユダヤ人じゃない少年から見た生々しい迫害

昔はこわかったし嫌だ...続きを読むったからあまり見なかったけど
最近気になるのは全部読んだから、大体知識としては知ってることばかりだったけど、
あらためて、本当にひどいし、かわいそうで涙が出た

でも気の毒だと思ってても、主人公やそのお父さんみたいに、家族のために(自分のために)
助けてあげることができないひともたくさんいたんだなあと

助けたりつきあったりしたら自分も強制収容所に入れられるってなったら、助けたくても助けられないものかもしれない

『本泥棒』のお父さんも、決死の思いで手助けしていたし
自分がその立場にいたら・・と思うとなかなか非難はできないな

でも主人公が他の家のユダヤ人の家を破壊するのを手伝って率先してやってしまったところとかは
子どもだしなんかフラストレーションとか若気の至りとかなんかわからなくもないけど、でも先生の話とか(泣けた)フリードリヒのこととか知ってるんだから、
そこはそういうことは絶対してほしくなかった
けどそれでもやっちゃったってところが、あの時代なのかな、とも思う

最後も悲しかった
かわいそうで泣けた

これであらかたユダヤ迫害関連の代表作は読んだかな、もういいかな
と思ったけどいちばん有名なアンネの日記
あれの完全版を読んでないと気づいちゃったので
それも読まないとな・・

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Posted by ブクログ 2021年12月05日

戦争をほとんど描かない、日常の悲劇です。

第二次世界大戦、とりわけユダヤ人の迫害をテーマにした本と聞くと、読まずにはいられません。特に今回は大学時代の先輩のおすすめの一冊とのこと。すぐに手に入れて読んでしまいました。

歴史的に言えば、ある民族の迫害は枚挙に暇がありません。チェコスロバキア、フィリ...続きを読むピン、インド。世界中で似たような出来事が起こっています。
その中でもドイツ、ユダヤ人差別に目が向いてしまう理由は、その悪行がポピュリズムに直接起因するのではなく、ひとりの独裁者による扇動だったこと。また、その恐るべき用意周到さに驚かされるからです。
悪意とはここまで人を不幸にできるのです。

今回の本は、そういったテーマの中でも少し異色かもしれません。
戦争中でありながら、戦争自体の描写は少ない。遠くに聞こえる軍靴の足音を聞きながら、まだ残る日常生活のモラルが少しずつ崩れていく。人間関係が直線的ではなく、うねるようにおかしくなっていく描写に、思わず唸ります。

題名の通り、この作品にはフリードリヒという少年、ユダヤ人が登場します。ですが、彼は主人公ではありません。彼のドイツ人の親友の目線で、彼と、その家族が巻き込まれる迫害の嵐が描写されます。

ユダヤ人とドイツ人の友達関係、これだけ聞くと手塚治虫の「アドルフに告ぐ」を思い出します。あの作品も子供時代の親友関係が、ユダヤ人迫害を通じて崩れていく物語でした。

最後に、この話を読んでみて印象的だった部分をお伝えします。それは、登場人物の発言から垣間見える動機、時にはダブルスタンダードと呼ばれるものです。

ユダヤ人迫害という表の行為に対して、当事者であるドイツ人達が、どんな背後関係でもっていたのか。
その表現が素晴らしい作品でした。

国が決めたことだから、盲目的に信じる。昨日までの隣人はもはや唾棄すべき劣等民族と足早に考えを変える人々。

隣人としてユダヤ人と関係を保ちたいが、家族を養うため、仕事を得るために仕方なくナチスに入党する父。

そして、フリードリヒを面前で鼓舞し、励ましながら、同じ口で学校を退学させ「ハイル、ヒトラー!」と敬礼する教師。

作中に描かれる人々がどんな思いをもってユダヤ人を傷つけたのか。
いわゆる戦記ものでは語られない心の機敏に触れられる作品でした。

最後、フリードリヒに起きる出来事も考えさせられます。

同じ場所にもし居合わせたら何を言えるのか?
同じ場所で、妻子の隣から、彼らを蛮行を非難する勇気はあるのか?

答えは想像出来ますが、、、
ここでは書かないことにします。
きっと後悔する事になる、恥ずかしい判断をするでしょうから。

あの日のフリードリヒは、私たちの弱さをさらけ出す悲劇の主人公に違いありません。
















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購入済み

何時でも起こり得ること

2021年08月27日

最近の国際情勢を見るにつけ、いつでも長い時間をかけて築かれた平和な安定した状況は短期間で暴力的に崩壊するということを、作者は時系列と事実のみを淡々と描くことによりその不変性のある事実がこれからも起こり得るという事を身近に感じさせられる。

#怖い #深い #タメになる

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Posted by ブクログ 2019年08月15日

中学校の教科書に載っている、ベンチという小話。
戦時中、一枚岩ではないということがわかります。しかし、結局のところ、主人公たちもフリードリヒを助けることは出来ず、結果として体制に加担してしまうわけで。
同じ国の中に、完全に対立ができたわけで。戦後も完全な加害者と、完全な被害者に分かれて、ころっと差別...続きを読む撤廃に向かえるのか。こんな地獄、修復不可能でしょう。

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